第18回ショパン国際ピアノコンクール ファイナル 第3日 および結果発表 | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

ポーランドのワルシャワで開催されている、第18回ショパン国際ピアノコンクール(公式サイトはこちら)。

10月20日は、ファイナルの第3日、ついに最終日。

ネット配信を聴いた(こちらのサイト)。

ちなみに、第18回ショパン国際ピアノコンクールについてのこれまでの記事はこちら。

 

第18回ショパン国際ピアノコンクール 予備予選出場者発表

第18回ショパン国際ピアノコンクールの予備予選が4月から9月へと延期

第18回ショパン国際ピアノコンクール 予備予選免除の出場者発表

第18回ショパン国際ピアノコンクールの予備予選が2021年4月から2021年7月へと延期

予備予選 第1日

予備予選 第2日

予備予選 第3日

予備予選 第4日

予備予選 第5日

予備予選 第6日

予備予選 第7日

予備予選 第8日

予備予選 第9日

予備予選 第10日

予備予選 第11日

予備予選 第12日

1次予選 第1日

1次予選 第2日

1次予選 第3日

1次予選 第4日

1次予選 第5日

2次予選 第1日

2次予選 第2日

2次予選 第3日

2次予選 第4日

3次予選 第1日

3次予選 第2日

3次予選 第3日

ファイナル 第1日

ファイナル 第2日

 

 

 

 

 

以下、曲はいずれもショパン作曲である。

また、以下の協奏曲はアンドレイ・ボレイコ指揮、ワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団との共演である。

 

 

3-1. Aimi KOBAYASHI (Japan, 1995-09-23)

 

- Piano Concerto in E minor Op. 11

 

ピアノはスタインウェイ 479。

あらゆる音、あらゆるフレーズに深い情感の込められた演奏。

前回大会でファイナリストになるも入賞できなかった彼女が、前回すでに完成されていた自身の演奏(動画はこちら)からいかにして更なる深みへと達しうるのか、その並々ならぬ辛苦と見事な成果が今回の演奏からありありと伝わって、涙なしには聴くことができない。

私の思うこの曲のイメージからするといささか細やかに過ぎるのだが、それでもいいと思えるような説得力である。

 

 

3-2. Jakub KUSZLIK (Poland, 1996-12-23)

 

- Piano Concerto in E minor Op. 11

 

ピアノはスタインウェイ 479。

キラキラしすぎない音で、クールにさらりと弾き進められる。

力まない充実した強音に、安定した技巧(終楽章の副主題再現の後、コーダ開始の三連符音型がなぜか不明瞭なのは気になるが)。

こういう演奏が優勝することもありえそう。

 

 

3-3. Hyuk LEE (South Korea, 2000-01-04)

 

- Piano Concerto in F minor Op. 21

 

ピアノはシゲルカワイ EX。

情熱的かつロマン的な、素直でまっすぐな演奏。

第2日のMartín GARCÍA GARCÍAのような余裕とはまた違った、若者らしい一本気が感じられ、こちらも捨てがたい(むしろこちらが好み)。

 

 

3-4. Bruce (Xiaoyu) LIU (Canada, 1997-05-08)

 

- Piano Concerto in E minor Op. 11

 

ピアノはファツィオリ F278。

人工美の極致ともいうべき、細部まで洗練された切れ味鋭い演奏。

同じ細やかでも、深い情感を込めた上記の小林愛実とはまた違った明るく軽快な解釈で、ファツィオリの華やかな音色も相まって魅力的。

 

 

 

 

 

そんなわけで、ファイナル第1~3日の12人の演奏を気に入った順に並べると

 

1. Aimi KOBAYASHI (Japan, 1995-09-23)

2. Eva GEVORGYAN (Russia/Armenia, 2004-04-15)

3. Kyohei SORITA (Japan, 1994-09-01)

4. Bruce (Xiaoyu) LIU (Canada, 1997-05-08)

5. Hyuk LEE (South Korea, 2000-01-04)

6. Jakub KUSZLIK (Poland, 1996-12-23)

7. Hao RAO (China, 2004-02-04)

8. Martín GARCÍA GARCÍA (Spain, 1996-12-03)

9. J J Jun Li BUI (Canada, 2004-06-10)

10. Kamil PACHOLEC (Poland, 1998-11-11)

11. Leonora ARMELLINI (Italy, 1992-06-25)

12. Alexander GADJIEV (Italy/Slovenia, 1994-12-23)

 

といったところか。

もうここまでくると、どの演奏も良くて順番もわけがわからない。

1~8あたりまでは優勝もありえそう。

小林愛実のように繊細なタイプの演奏が優勝したことはこれまでにないように思うが、これほどの演奏、今回どう評価されるか。

反田恭平も含め、良い結果を期待したい。

 

 

 

 

 

さて、ファイナルの実際の結果は以下のようになった。

 

 

【ファイナル結果】

 

1位: Bruce (Xiaoyu) LIU (Canada, 1997-05-08)

2位: Alexander GADJIEV (Italy/Slovenia, 1994-12-23)

        Kyohei SORITA (Japan, 1994-09-01)

3位: Martín GARCÍA GARCÍA (Spain, 1996-12-03)

4位: Aimi KOBAYASHI (Japan, 1995-09-23)

        Jakub KUSZLIK (Poland, 1996-12-23)

5位: Leonora ARMELLINI (Italy, 1992-06-25)

6位: J J Jun Li BUI (Canada, 2004-06-10)

 

入選: Eva GEVORGYAN (Russia/Armenia, 2004-04-15)

          Hyuk LEE (South Korea, 2000-01-04)

          Kamil PACHOLEC (Poland, 1998-11-11)

          Hao RAO (China, 2004-02-04)

 

ポーランドラジオ放送局賞(マズルカ最優秀演奏賞) Jakub Kuszlik

国立フィルハーモニー賞(協奏曲最優秀演奏賞) Martin Garcia Garcia

クリスチャン・ツィメルマン賞(ソナタ最優秀演奏賞) Alexander Gadjiev

 

 

 

 

 

以上である。

反田恭平が第2位、小林愛実が第4位。

いやもう上出来である。

12人全員がハイレベルだった中、2人ともよく入賞できたと思う。

優勝のシャオユー・リウも緻密かつ華があった。

ショパンコンクール、本当に良いものを聴かせてもらった半月間だった。

 

 


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