<前編> より

 

 

【文天祥 「正気(せいき)の歌」 】
 本書の本文の2ページ目には文天祥のイラストが描かれ、このように記述されている。
 忠義に従って刑死した官僚の文天祥(1236-1282)。彼の「正気の歌」に書かれた思想は、時代と国を超えて、日本の幕末と昭和史を突き動かした。 (p.17)
 著者は、自らのことを、南宋時代の宰相・文天祥であると語っているほどである。
 さて、明治維新から現在に至るまで、はたして日本は、「正気(せいき)」に支えられているのだろうか?

 

 

【尊皇攘夷の現実】
 しかし、ここ(松下村塾)に集まっていた下級藩士のうち、後に明治政府の高官になった者たちは吉田松陰先生の精神を大きく裏切っている。・・・(中略)・・・裏からイギリスの支援をもらって、資金をもらって、表面では尊皇攘夷と言いながら、裏でイギリスの手先となっていた。ここの大きな裏切りのところを今の私たちは見抜かなければいけない。高杉晋作、木戸孝允、伊藤俊輔(博文)、井上聞多(馨)、山県狂介(有朋)らだ。 (p.128)

 伊藤博文をハルピン駅で自分の子飼いの陸軍部隊を使って暗殺させたのは山県であり、伊藤のあとの最高権力者は山県有朋である。 (p.174)

 吉田松陰の叔父の玉木文之進が、「萩の正気はここに朽ちたり」 と慨嘆して自刃した。 (p.173)

 彼ら、後に “明治の元勲” と呼ばれる者たちは世界史の大きな軸の中では、イギリス帝国の世界戦略の中に組み込まれていた。背後には上海にまで進出していたジャーディン・マセソン社(あるいはマジソンとも表記する)とサスーン財閥(現在のHSBC、香港上海銀行)の動きがある。
 ジャーディン・マセソン社の日本向けの派遣社員であったのがトーマス・グラバーである。彼はイギリス商人であり、武器商人でもあり、ジャーディン・マセソンという今もイギリスの大手商社あるいは政商が長崎に派遣した人物である。 (p.224)
 グラバーに関しては周知のことだけれど、伊藤博文暗殺は、巷間伝えられているヒットマンとは全く違っている。
     《参照》   『HSBCの挑戦』 立脇和夫 (蒼天社出版)

 

 

【背後で操るイギリス】
 背後には薩長同盟を画策して操ったイギリスがいる。・・・(中略)・・・。
(孝明)天皇と将軍(家茂)という、当時の日本国の最高権力者がうけた奇妙な事件(悲劇)の意味を日本史学者や歴史小説家たちは、覆い隠して口をぬぐっている。日本の正しい歴史を表に出さない。日本の最高指導者二人をこんなにそまつに扱ったまま、今の歴史書とそれから 「司馬(遼太郎)史観」 は作られている。それらは多くの虚偽(ウソ)に満ちている。大間違いだ。私の思想研究と日本史研究は、それらと対決して、大きな流れの中の真実を自分にできる限り表に出す。 (p.136)

 司馬遼太郎氏が著作 『竜馬が行く』 や 『花神』 等で捏造したに等しい、嘘八百の 「幕末・維新期の英雄物語」 はすべて木っ端微塵にされなければならない。世界基準と合致する日本史の諸真実を、今こそ大きく表に出さなければならないのである。 (p.243)
 司馬遼太郎史観に関しては、本書と同様な見方をする良識的知識人が少なくない。
                【前書き】

 

 

【アメリカの触手】
 南北戦争は1865年まで続いた。だからこのあとアメリカ合衆国が日本に強い影響力を及ぼすのは、1977年(明治10年)の西南の役の時である。この反乱で西郷隆盛を謀略で決起させ、犯罪者集団として消滅させた。この年、ロックフェラー財閥と組んだのちの三菱財閥の岩崎弥太郎が、その年の国家予算の3分の1を受け取って、アメリカから物資を多量に輸入した。・・・(中略)・・・三井家と組んでいたロスチャイルド財閥の方は、明治元年の1868年からわずか10年で、三菱ロックフェラーの挑戦を受けて、拮抗するようになった。 (p.205)
 20世紀の世界史は米ソの対立ではなく、ロスチャイルドとロックフェラーの対立(但し、表向き。実質的には、両者は通底している)として読まねば本当のところは全然見えない。維新後の日本に於いても全く同様である。
   《参照》  『泥棒国家日本と闇の権力構造』 中丸薫・ベンジャミン・フルフォード (徳間書店)
 映画 『アラビアのロレンス』 の背景は、石油資源をめぐってアラビアの王家を巻き込んだ利権争い。正統王家のハーシム家を立てたロスチャイルドと、サウド家を建てたロックフェラー。ロレンスはロスチャイルド側のイギリス人スパイ。ロックフェラーが勝ったから「サウド・アラビア(サウジアラビア)」が誕生した。

 

 

【民政党=米ロックフェラー=三菱 VS 政友会=欧ロスチャイルド=三井】
 政友会の大物政治家だった原敬(1921年11月、東京駅頭で刺殺)も、犬養毅(1932年5・15事件で射殺)も、高橋是清(1936年2・26事件で射殺)も暗殺だ。みんな中国侵略に反対した政友会の政治家だ。「中国には借款(経済援助)をせよ。軍事進出はするな」と主張し続けた人々だ。すべて立派な人格者であり、国民に愛された優れた指導者たちだった。 (p.271-272)
 先に中国に進出していた英国は、対ロシアの観点から日本の満州進出を認めていた。日本が満州に留まっていれば、英国・ロスチャイルドにとっては安定し望ましいものだったのである。しかし、割って入りたい米・ロックフェラーの意向が、穏健派を暗殺させて、日本を狂気の中国侵略に駆り立てていった。
 日本はアメリカの計略にまんまと乗せられて中国との戦争をさせられたのだ、ということをまだ誰も語らない(書かない)。イギリスは、ずっと「日本は戦争をするな」と助言していた。 (p.283)
    《参照》  『国際史学入門』 横内慶八郎 東京読売サービス
               【ユダヤの二つの系譜】

 

 

【日米開戦を仕組んだのは米内光政と山本五十六である】
 一般的に平和論者として英雄視されてきた「米内光政・井上成美・山本五十六」の海軍3提督は、単に愚将であるどころか、日本を戦争に引きずり込んだ張本人たちだ。三村氏はそのあたりを丁寧に、一つ一つ確かな根拠を挙げてきちんと論証している。ぜひこの本をお読みください。 (p.279)
 この本とは、 三村文男・著  『米内光政と山本五十六は愚将だった』 (テーミス刊) である。
 東京裁判で海軍派は、誰一人処刑されていない。アメリカの意向に忠実なスパイだったのだから当然。
 このような経緯で、戦後の日本は、現在までアメリカの属国状態が続いてきた。

 

 しかし、正直で誠実に生きてきた日本人が、そろそろ世界の中心に立つ日が来てもいい。アメリカ経済の衰退で、日本経済に仕掛けておいた三角合併など経済関連の法整備は、逆にアメリカの首を絞めることになるだろう。
  《三角合併:参照》 『そして、日は昇った!』 増田俊男 PHP
               【2007年5月に解禁される予定の「三角合併」】

 アメリカの支配者であるロックフェラーが、それでも懲りずに戦争を誘発させようとしても、アジア諸国はそれに乗ってはいけない。日本は、モラルを担保に高度な技術力と潤沢な資金力で、アンモラルな諸国であるアジアとアメリカを救うことになるだろう。

 
<了>