まず、ヘンなタイトルにギョッとされた方にお詫び申し上げよう。申し訳ない。本当は、「ヴァース(前歌)がある宏美さんの歌ベスト20❣️」という、いつものランキングものにしたかったのだ。
昨日、このヴァース(verse)に着目したブログを書きたい!と思って、夜曲目リストを眺めながら脳内再生を試みた。だが、思った以上にヴァースのある歌は少なかった。私は焦った。対象をカバー曲、ライブ盤まで拡げてみても20曲に満たない。タイトルを見ただけだとサビしか頭に浮かばない近年の曲は、歌詞カードも見た。
と言って「ベスト15」は座りが悪い。うーん、断念か。とも思ったが、内容的には捨て難いところもある。そこで思いついたのが、標記タイトル、という訳である。
今回、ヴァースはどこまでをヴァースと考えるか、と言うのも少し迷った。臼井孝氏は、「万華鏡」の歌い出しの「♪ 夢だと言って 嘘だと言って〜」も「ヴァース」と呼んでいる。だが、曲のエンディングで、このフレーズはリズムやコーラスを伴ってリプライズされ、ヴァースと言うよりはリフレインと言った方がしっくり来る。
また、「月光」の歌い出しの「♪ その昔 一人寝に いけない夢を みた頃〜」もヴァースと言いたいところだが、その後激しいリズムを伴って始まるAパートと同じメロディーなのだ。同様に、リズムレスのヴァースが、後でビートが加わってサビになる「頭サビの変形」も何曲か思い当たった。
なので、今回の「ヴァース」の定義では、「2度と出現しないメロディーであること」という厳しい条件を自分に課した(笑)。結果、自分で自分の首を絞めたのだが…。😅💦
今回のブログタイトルの意味は、コアな宏美ファンの読者の方なら、すでにお分かりのことと思う。一応、最後に種明かし?をするとしよう。
では、20曲には足りませんが、一応15位からランキング形式で発表させていただきます❣️😜それぞれタイトルの次行、♪マーク以下に、ヴァースに相当する部分の歌詞を引用しました。
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🎤次点 夕凪海岸
♪ ああ そうよ
これは一体、前歌と言えるのか。この歌は全体でワンハーフで、2番の出だしの部分はない。で、想像するしかないのだが、もし2番が存在したとしても、この部分は使わず、「♪ 彼なら ちょうど今〜」のメロの部分から歌い出すのではないか。そう思うのだ。この短さにしてこのインパクト。ある意味究極のヴァースである。
🎤15位 甘いせかい
♪ お願いやめて!ハンドル握った わたしにささやかないで…
なんと甘く色っぽいヴァースでしょう。宏美さんご本人による作詞です。
🎤14位 パーティーズ・オーバー
♪ また会う日のために ひとは別れる〜ほほえんで 見送れるから
9年間続けたリサイタルの締め括りにこれ以上ない楽曲、そしてヴァースである。ヴァースの詞が心に沁みる。
🎤13位 アイ・アム・チェンジング
♪ 見てよ 私を
ヴァースで自分に注目を惹きつけておいて、本編の始まり始まり。リサイタルのフィナーレに打って付けの、ビッグなこのナンバーにピッタリの前歌だ。
🎤12位 夢のかけら
♪ あなたの吐息が違って聞こえる〜さっきから ずっと話をしてる わたしです
不安から饒舌になる主人公。その焦燥感や、後半に現れる投げやりな気持ちも見え隠れする哀しい導入部分である。
🎤11位 愛は限りなく
♪ 雲が流れる空を〜その白さが胸にしみる
名曲揃いの’80年リサイタルの中でも、ひときわその絶唱ぶりが際立つカンツォーネ。その名唱の予感に満ち満ちたヴァース!
🎤10位 時代
♪ 今はこんなに悲しくて〜もう二度と笑顔にはなれそうもないけど
このヴァースがあることにより、この名曲の魅力が倍増していることに、誰も異存はないであろう。中島みゆき、恐るべし。オリジナルだったらトップ3入りの名ヴァースである。
🎤9位 メーン・イベント
♪ Extra, extra, I’m in love 〜 Hurry, hurry, don’t be late
リサイタルの幕開けを飾るにふさわしいヴァースである。その後始まる「♪ もう待てない〜」からのパワー爆発の本編が、ホントにもう待てない!
🎤8位 南の島の忘れもの
♪ 潮風に吹かれると想い出す〜心はずませPENを走らせた
『Love Letter』のオープナーらしい、潮騒が聞こえて来そうなヴァース。この短い間に転調するところもレア度高し。
🎤7位 マイ・カラリング・ブック
♪ さよならの前に これをあげる〜クレヨン持って あなた どうぞ塗って
リサイタルのアンコールの最後に歌われている。その前に歌われた「エイント・ノー・マウンテン・ハイ・イナフ」の興奮冷めやらぬ聴衆を、このヴァースでスーッと惹きつけてしまい、そしてステージが収束してゆく圧巻のパフォーマンスである。
🎤6位 未完の肖像
♪ 誰でも一つだけは 物語が書けますね〜my story
無伴奏で歌い出される緊張感に満ちたヴァース。「♪ my story !」から突然バックの演奏もコーラスも、そしてもちろん宏美さんのボーカルもパワー全開、ノンストップの10周年記念エキサイティング・チューン。🥰
♪ 昔は男も 甘い言葉ささやいたわ〜夢だわ もう今は
過ぎ去った昔の夢を歌うヴァース。そして本編では「♪ 二度と私には/夢は かえらない」と絶望を歌う。導入部があってナンボのこの曲、NHK紅白歌合戦での史上に残る絶唱が、前歌がカットされていたことが返す返すも悔やまれる。😭
🎤4位 SOMEONE TO WATCH OVER ME(My Gratitude)
♪ There’s a saying old says that love is blind 〜Tell me where is the shepherd for this lost lamb
若い頃のスタジオ録音、ライブ盤では歌われなかったヴァースを、三度目の正直で原語で吹き込む。ジャズのスタンダードらしい、限りなくシャレオツなテイクです。😘
🎤🥉 Music Lovers
♪ 私たちは そうよミュージック・ラバーズ〜夢の中へ 愛の世界へ
この曲のヴァースを聴くだけで、われわれの心は1982年のコンサート・ツアーにタイム・スリップ。自分の家族も人生さえも忘れて、今から2時間、岩崎宏美ワールドへようこそ❣️😍
🎤🥈 やさしい妹へ
♪ ねえ 眠いのならいいの〜眠らずに聞いてほしい
このヴァースの部分がなければ、照れ臭くてとてもいきなり「♪ 小さな頃は いつも いつも 一緒に居たから〜」とは言えませんよね。語る宏美さんの心の準備、聴く良美さんのスタンバイ。宏美さんの歌ごころの真価が垣間見える、必然の素晴らしいヴァース!💞
🎤🥇 二十才前
♪ ごきげん如何と〜一度だけ逢って下さいと
十代にして、このスケールの大きなヴァース付きのシングルを歌うとは。間違いなく今回挙げた曲の中で、一番多くの方の耳に馴染んでいるこのヴァースが堂々の第1位!本編からほぼ倍テンになるが、ご本人がそのテンポのカウントをうまく出せずに苦労した、と言うエピソードも有名。😉✨映像ではカウントを出す動作は確認できないが、テンポがうまくいかなかった例の動画をどうぞ。
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🎤番外 ヒット・ナンバーズ・メドレー
♪ 過ぎ去った 季節は〜いつもエバー・グリーン
1982年のコンサート・ツアー及びリサイタルで歌われたヒット・メドレーのために書き下ろされた前歌である。私は、「Music Lovers」と同じく、山川啓介・小野寺忠和コンビが書いたと睨んでいる。
この“ヴァース”の後、メドレーは「二十才前〜二重唱〜センチメンタル〜未来〜ファンタジー〜熱帯魚〜私たち」と続く。興味深いのは、このオリジナルのヴァースがあるせいもあるだろう、次の「二十才前」は、ヴァースをカットして本編の「♪ 胸の奥に残る 重い忘れもの〜」から歌い出されているのだ。😊
さて、蛇足になるかもしれないが、本日のタイトルの種明かしである。取り上げた17曲のうち、2位、8位、12位、15位と、何と4曲もアルバム『Love Letter』の収録作品、つまり宏美さんご本人が作詞した楽曲なのだ。
11曲収録のアルバムのうち、4曲までもがヴァース付きとなると、無意識のうちに宏美さんはヴァースのある歌を好んでいた、と言うことになるのではないだろうか。よって、本日のタイトルは、
「作詞家」岩崎宏美はヴァース(前歌)がお好き? 😜
【当ブログに於ける外国語のカタカナ表記について】
本題とは関係ないが、「ヴァース」等の外来語のカタカナ表記について触れて置く。基本的に私は「ヴァース」「バース」等の表記の違いについて全く拘りがなく、いずれでも構わないと考えている。所詮、どんなに心を砕いても外国語の発音に忠実にカタカナで表記することは不可能だからだ。
高校生の時、大女優のオードリー・ヘップバーンと、ヘボン式ローマ字を考案したジェームス・C・ヘボンが、同じ苗字“Hepburn”だと知った時、まさに目から鱗が落ちた気分だった。なので、私は基本的に外来語は意味が通じさえすれば良いと思っている。
(もちろん、新聞や教科書等では一定のルールが必要なことは理解できる。)
bにブ、vにヴを当てることを考えついた人はすごいとは思うが、lとrについては放置されている。そもそも、日本語の日常会話でbとvの違いは意識されないのだ。
宏美さんの亡くなった愛犬Verryへの愛を歌った「ベリー」という楽曲がある。作者の大江千里さんは、デモ音源で英語風に「ヴェリィ」と歌っていたが、宏美さんはそのように呼んだことがないので、レコーディングでは宏美さんは普通に「ベリー」と歌っている、というエピソードがある。🐕🦺