今日は大晦日、大晦日と言えばNHK紅白歌合戦。もうだいぶ前から、紅白歌合戦は、私にとっては単なるBGVになってしまったが、昔はテレビにかじりついて観ていたものだ。今年の紅白に関して、「くだらん企画をやるくらいなら岩崎宏美を出して筒美京平メドレーをやれ!」というツイートだか何だかをどこかで見かけた、と弟が教えてくれた。

 

 われらが宏美さんも、紅白歌合戦にはデビューから14回連続で出場しているので、簡単に振り返ってみたい。西暦(元号)、回、曲名、対戦相手(曲)の順である。

 

1975(昭和50)年 第26回 ロマンス 細川たかし(心のこり)

1976(昭和51)年 第27回 ファンタジー 三波春夫(人生おけさ)

1977(昭和52)年 第28回 悲恋白書 野口五郎(風の駅)

1978(昭和53)年 第29回 シンデレラ・ハネムーン 平尾昌晃・畑中葉子(カナダからの手紙)

1979(昭和54)年 第30回 万華鏡 ツイスト(燃えろいい女)

1980(昭和55)年 第31回 摩天楼 沢田研二(TOKIO)

1981(昭和56)年 第32回 すみれ色の涙 新沼謙治(待たせたね)

1982(昭和57)年 第33回 聖母たちのララバイ 中村雅俊(心の色)

1983(昭和58)年 第34回 家路 西城秀樹(ギャランドゥ)

1984(昭和59)年 第35回 20の恋 菅原洋一(忘れな草をあなたに)

1985(昭和60)年 第36回 決心 山本譲司(男詩)

1986(昭和61)年 第37回 好きにならずにいられない 角川博(波止場シャンソン)

1987(昭和62)年 第38回 夢やぶれて-I Dreamed A Dream- 布施明(そして今は -Et Maintenant-)

1988(昭和63)年 第39回 未成年 TM NETWORK(COME ON EVERYBODY '88 FINAL MEGAMIX)

 

 14回、その全てを観ているはずなのである。しかし、27〜29回は宏美さんに意識がいっていなかったので、記憶にないのが残念でならない。😭

 

 それ以外はそれぞれに思い出があるが、ヨシリンと姉妹同時出場を果たした「摩天楼」、レコ大最優秀歌唱賞の感動もそのままにひとつぶの涙を流した「すみれ色の涙」、出ない声を振り絞った「聖母たちのララバイ」、そして益田宏美名義の絶唱「未成年」が特に思い出深い。

 

 だが、何と言ってもこの14年間の白眉は、「夢やぶれて」ではないだろうか。説明無用、宏美さんが出演していたミュージカル『レ・ミゼラブル』でファンティーヌが歌う劇中曲である。作詞:アラン・ブーブリル、英訳詞:ハーバート・クレッツマー、作曲:クロード=ミシェル・シェーンベルク。

 

 この紅白での歌唱については、眞峯隆義氏の『岩崎宏美論』で熱く語られているので、詳しくはそちらをご参照いただきたい。ひとことだけ言えば、まさにゾーンに入っている、何かが降りて来ているとしか思えない絶唱である。一年の締め括りである紅白の舞台、羽田健太郎氏のピアノ、そして相手にとって不足なしの布施明さんの「そして今は」との対戦。お膳立てが整ってはいた。惜しむらくは、紅白歌合戦の常で放送時間の制約がある。この歌のバースのような導入部分はカットされていた。

 

 今更ではあるが、宏美さんは独身時代と、お子さんと離れて暮らすようになってからと、二度『レ・ミゼラブル』の舞台にレギュラーメンバーとして立っている。いずれも岩谷時子氏による訳詞であるが、歌詞が変わっているのはご案内の通りである。二度目のステージに立たれた経緯は、「With Pen In Hand」のブログの折りに簡単に触れた通りだ。

 

 私の今年の宏美さんの生のステージ聴き納めは、12月27日の『レジェンドたちのシャンソン〜2020 フィナーレ〜』だった。36年ぶりに生で聴く「再会」などを堪能した。

 

 その折り、宏美さんは共演者の鳳蘭さんとの思い出についてMCで触れた。当時ディレクターから、ファンティーヌはもっと強い女性だから、「もっと強く」表現するように指示を受けていたと言う宏美さん。だが鳳さんから、「宏美ちゃん、そのくらいでいいよ。あんまり強くすると、意地悪に見える」😜とアドバイスされた、というエピソードを紹介していた。

 

 残念ながら、宏美さんがファンティーヌ役を務めた『レ・ミゼラブル』自体の音源や映像は商品化されていない。宏美さんがコンサートなどで歌われた単体の「夢やぶれて」は、何度もCDやDVDなどになっているので、一応発売順にご紹介(ブルーレイでの再発等は割愛)しておこう。落ちがあったらご指摘ください。

 

●30TH ANNIVERSARY LIVE SPECIAL Happiness(2005、CD・DVD)

●PRAHA(2007、CD)

 

 

●Precious Night(2008、DVD)

●album Ⅱ +8(2010、紙ジャケCD)

●35th Anniversary Concert(2011、DVD)

●Live in Praha 虹〜Singer〜(2011、DVD)

●LIVE BEST SELECTION 2006-2010(2011、CD)

 

 

 今日のブログを書くに当たって、「夢やぶれて」を歌唱した全てのDVD・CDをチェックしてみた。いずれ劣らぬ名唱揃いだが、その時々の表現が少しずつ異なり、聴き入ってしまった。件の紅白歌合戦の音源は、紙ジャケの『album Ⅱ +8』に収録されている。

 

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 新型コロナウイルス感染症に揺れた1年が幕を閉じようとしている。すぐにこの状況が収まるとは思えないが、新しい年は少しでも落ち着き、感染症や生活に苦しむ方々が少なくなるよう祈るばかりである。

 

 このブログを読んでくださっている皆さん、本当にありがとうございました。暗くなりがちだったこの1年でしたが、皆さんのアクセスやいいね、コメント欄での楽しい交流が心の支えになりました。2021年が皆様にとって、幸せな一年になりますように。💞

 

 32年前の紅白歌合戦での宏美さんの「夢やぶれて」の映像を見ながら、大変だった2020年に別れを告げたいと思います。

 

 

(2005.4.21 アルバム『30TH ANNIVERSARY LIVE SPECIAL Happiness』収録)