■ Desire
詐欺師のマドレーヌは真珠の首飾りを盗んでスペインに逃亡した。
国境の検問を逃れるために首飾りを隣にいた自動車メーカーの技術者トムのポケットに隠した。
マドレーヌはトムからなんとか首飾りを取り戻そうとする。


製作年:1936、監督:Frank Borzage、脚本:Justus Mayer、Waldemar Young、Samuel Hoffenstein


■ はじめに

登場人物(キャスト)
 トム・ブラッドリー(ゲイリー・クーパー) 自動車メーカー技術者
 ギブソン氏(William Frawley) トムの上司
 アヴィリア(Akim Tamiroff) 刑事

 マドレーヌ・ド・ボーペル(マレーネ・ディートリッヒ) →伯爵夫人ド・ボーペル
 カルロス・マルゴリ(John Halliday) →王子・公爵、ド・ボープルのオジ
 オルガ(Zeffie Tilbury) →ド・ボープルのオバ

 アリスティード・デュヴァル(Ernest Cossart) 宝石商
 モーリス・ポーケ(Alan Mowbray) 精神科医

マドレーヌが宝石を掠め取る手順がなかなか変で笑ってしまう。
 


■ あらすじ


◆ トムは休暇を貰った

デトロイトにある自動車メーカーの技術者のトム・ブラッドリーはパリでの勤務を終えてデトロイトに戻ることになった。

戻る前に休暇を貰い、スペインに旅行することになった。

自社の車「ブロンソン8」に乗って出かけた。

◆ マドレーヌは宝石を盗んだ

詐欺師のマドレーヌ・ド・ボーペルは、デュヴァル宝石店と精神科医のモーリス・ポーケを訪れて、巧妙な方法で真珠の首飾りを盗んだ。

みなさんの参考になるかと思うので紹介する。

まず精神科医モーリス・ポーケの妻と称してデュヴァル宝石店を訪れる。店主のアリスティード・デュヴァルが直々に応対して、結局220万フランの真珠の首飾りを購入する。購入した商品をモーリス・ポーケのオフィスに届けるように依頼する。

次にアリスティード・デュヴァルの妻と称してモーリス・ポーケのオフィスを訪問する。「最近夫がおかしいので診断をお願いしたい」と言う。症状は「金についての妄想がある。誰にでも請求書を渡す。自分を女生徒と思い込んでいる。ネグリジェを着て寝る」。診察は営業時間外の午後六時となった。

ポーケのオフィスの外でデュヴァルを待ち構えて宝石を受け取る。二人を引き合わせて自分は逃亡した。

デュヴァルは代金の請求をする。ポーケはデュヴァルを患者と思って応対する。しばらく二人はトンチンカンな会話をしているが、宝石を盗られたことを認識する。

マドレーヌは盗んだ首飾りを持ってスペインに向かった。

◆ 盗んだ宝石はトムの手に渡った

トムとマドレーヌはスペインに向かって走っている。

途中で「トムが写真撮影をしようとしてマドレーヌの車が走ってきて泥水をかけられる」「マドレーヌの車のクラクションがなりだして止まらない」などのトラブルが発生する。

二人ともスペイン国境の検問所に到着。トムは違法に持ち込もうとしたタバコが見つかって罰金を取られた。

マドレーヌは首飾りが見つかりそうになり、トムの上着のポケットに首飾りを入れた。

◆ マドレーヌはトムを置き去りにした

マドレーヌは首飾りを取り戻さないといけないので、先に走って行って故障を装ってトムの車を待っている。

「岩に乗り上げた」「部品がないと治せない」と話す。ここでトムは上着を脱いで自分のカバンにしまう。二人はトムの車に乗って行く。

ここで補足。二人のカバンは同じもの。マドレーヌのカバンはトムのカバンの下に積み込まれた。

マドレーヌは「上着なしで寒くない?」と言って上着を出させた。しかしトムはカバンから別の上着を出す。

トムは車の後部につけられている自社の広告の泥を落とすために停車する。

そこでマドレーヌは車をスタートさせる。トムは置いてきぼりとなる。しかしトムは自分のカバンを持っており、トランクにあるカバンはマドレーヌのものである。すなわち首飾りはトムが持っている。

マドレーヌは途中で事故を起こし列車でサン・セバスチャンに到着した。コンティネンタルパレスホテルに入る。

トムは馬車に乗せてもらって同じくコンティネンタルパレスホテルまで来た。

◆ 詐欺師仲間が集まった

マドレーヌは「伯爵夫人ド・ボーペル」としてホテルに入った。もちろん真っ赤な嘘。

そのマドレーヌをカルロス・マルゴリという人物が、公爵と称して訪ねてきた。二人とも詐欺師仲間である。さらにオルガという女性がド・ボーペルのオバということで訪ねてきた。

マドレーヌは事情を話して、真珠の首飾りが別のところにあると説明した。

ここで補足。マドレーヌは独力で首飾りを盗んだので、カルロスやオルガは不要のようにも思えるが、首飾りを売却するためにはコネが必要である。それで彼らは仲間を組んでいる。また昔マドレーヌが貧乏をしていた時に助けられたという事情もあったりする。

◆ 首飾りはカルロスとマドレーヌの手に

ここで警察が訪ねてきた。「アメリカ人がおかしなことを言っている。女に車を盗まれて壊された。その女の人相があなたに似ている」。もちろんトムのことである。

首飾りはトムが持っているので「そのアメリカ人に会わせてちょうだい」と要求した。

トムが訪ねてきた。トムとマドレーヌはすでに惹かれあっているという設定なので、二人は適当におべんちゃらを言う。

この後はいろいろ展開するが、トム、マドレーヌ、カルロスの三人がいるところで、カルロスが手品を披露する。

マドレーヌが持っている偽物の首飾りをカルロスが手に持つ。そして首飾りを消す。そして「あなたのポケットに入っている」とトムのポケットから本物の首飾りを取り出す。

◆ 首飾りを取り戻した

さて二人は首飾りを手に入れたので姿を消すだけである。

しかしマドレーヌは「もうこんな生活はイヤ」と話す。そしてトムを好きになってしまったという事情もある。

マドレーヌはトムの部屋に行って事情をバラした。それを知ったカルロスはトムの部屋に行って拳銃を出す。

トムはテーブルをひっくり返してカルロスに反撃した。

◆ 二人は結婚した

トムとマドレーヌはデュヴァル宝石店を訪れた。首飾りを出して返品を願い出る。

有名宝石店としてはことを荒立てて評判を落とすようななことはしたくない。

返品は受け入れられて、さらにアリスティード・デュヴァルとモーリス・ポーケを証人として二人の結婚式が行われた。
 


■ 出演作

◆ マレーネ・ディートリッヒ
(1950)舞台恐怖症/Stage Fright
(1952)無頼の谷/Rancho Notorious
(1936)真珠の首飾り/Desire

ゲイリー・クーパー
モロッコ/Morocco(1930)
(1943)誰が為に鐘は鳴る/For Whom the Bell Tolls
真昼の決闘/High Noon(1952)
(1941)群衆/Meet John Doe
(1932)武器よさらば/戦場よさらば/A Farewell to Arms
西部の男/The Westerner(1940)
(1959)コルドラへの道/They Came to Cordura
(1954)悪の花園/Garden of Evil
(1935)永遠に愛せよ/PETER IBBETSON
(1935)オペラハット/Mr. Deeds Goes to Town
(1938)マルコ・ポーロの冒険/The Adventures Of Marco Polo
(1950)燃えつきた欲望/Bright Leaf
(1936)真珠の首飾り/Desire