第一次大戦後、ポールはベルリンに戻った。不気味にナチスが浸透してきていた。
ブラブラしていたが、ヘルガという金持ち女性のジゴロとなった。ナチスと共産党系組織のトラブルに巻き込まれて殺された。
製作年:1978,監督:David Hemmings,脚本:Ennio De Concini,Joshua Sinclair
■ はじめに
◆ 登場人物
ポール・アンブロジウス・フォン・プリジゴドスキー(デイヴィッド・ボウイ)
ミュッティ(マリア・シェル) ポールの母親
ヒルダ伯母(ヒルダ・ヴァイザー)
シリー(シドニー・ローム)
ヘルマン・クラフト連隊長(デイヴィッド・ヘミングス)
セマリング男爵夫人(マレーネ・ディートリッヒ)
ヘルガ(キム・ノヴァク)
◆ 補足
本作は名前は変えてあるがホルスト・ヴェッセル(1907年10月9日~1930年2月23日)のことである。
彼は国家社会主義ドイツ労働者党(ナチス)の突撃隊員であった。愛人と一緒にアパート住まいであったが、家賃の件で家主の女性とトラブルになり、その女性が共産党系の赤色戦線戦士同盟に関係があったため、彼らに射殺された。
ナチスは彼の死を英雄化し、彼の作った詩を「ホルスト・ヴェッセルの歌/旗を高く掲げよ」として政治宣伝に用いて、ナチスの党歌にしてしまった。
共産党側がヴェッセルを批判したために、ナチス側が逆宣伝したという事情もあったらしい。
本作はナチスの宣伝道具と化した人物を「ただのジゴロ」と冷笑するものだが、ナチスが滅んだあとで、このように言っても意味はないのでは?
デイヴィッド・ボウイの出演も意外だが、キム・ノヴァクがこのような映画に出演しているとは意外。マレーネ・ディートリヒはご存じのようにドイツ生まれのハリウッド俳優。歌手でもある。本作でも歌っている。
マレーネはいろいろなものに出演しているが、とりあえず「(1936)真珠の首飾り/Desire」を推薦。共演はゲイリー・クーパー。コメディ映画。
キムの推薦作は非常に難しいが今回は「(1962)怪しい美人家主/The Notorious Landlady」。こちらもコメディ映画。
■ あらすじ
◆ 敗戦でベルリンに戻った
ポール・アンブロジウス・フォン・プリジゴドスキーは第一次大戦で負傷して、故郷のベルリンに戻ってきた。
彼はすることもなくブラブラしていた。一生懸命に働いている母親のミュッティや伯母のヒルダは彼を軽蔑した。
敗戦のショックの中で、ナチスのファシズムが不気味に伸びてきていた。
◆ ヘルガのジゴロになった
幼馴染のシリーはダンサーであったが、ハリウッドへ行って人気を得た。
ポールの上官だったヘルマン・クラフトはノイローゼとなっており、自分の怪しげな政治結社に誘ったが、ポールは拒否した。
まだポールはブラブラしたが、セマリング男爵夫人が経営するエデンというバーで働くようになった。
やがてポールはヘルガという金持ち女性のジゴロとなった。だがヘルガはわがままで、気分はよくなかった。
◆ ヘルガと別れた
シリーがハリウッドから戻ってきた。彼女はある貴族の妻に迎えられたとのこと。
ポールはヘルガとケンカをしてシリーの結婚式に出席した。
シリーはポールに対する愛を囁いたが、ポールには空虚に聞こえた。
二人はキスをして別れた。
◆ 殺されて英雄となった
ポールは夜の街を彷徨った。
ナチスと共産党の争いが発生しており、彼は流れ弾に当たって死亡した。
ナチスはポールの亡骸を回収し、ナチスの英雄として埋葬し、宣伝した。
■ 出演作
◆ キム・ノヴァク
(1954)バッジをつけた殺人者:強盗と女と刑事/Pushover
(1955)黄金の腕/The Man with the Golden Arm
(1956)愛情物語:あるピアニストの生涯:エディ・デューチン伝記/The Eddy Duchin Story
(1957)伝記映画:女優ジーン・イーグルス(ジャンヌ・イーゲルス)/Jeanne Eagels
(1955)カジノ強盗計画/5 Against the House
(1973)魔のバミューダ海域/Satan's Triangle
(1955)ピックニック/Picnic
(1959)真夜中/Middle Of The Night
(1962)怪しい美人家主/The Notorious Landlady
(1958)Vertigoめまい:知人の妻の正体/Vertigo
(1958)映画:媚薬:魔女に魔法をかけられた男/Bell, Book and Candle
(1953)フランス航路:金持ち女性とモデルと俳優/The French Line
(1977)ホワイト・バッファロー/白い野牛を探して放浪/The White Buffalo
(1980)クリスタル殺人事件/The Mirror Crack'd