The Fountainhead

天才建築家ハワード・ロークは自分の仕事に対して一切の妥協をしない。結果としてロークには設計依頼が来なくなった。
ニューヨーク・バナー紙では、エルスワース・トゥーイーがローク批判を展開し、ドミニク・フランコンがロークを擁護した。
ロークは落ちぶれて採石場の労働者となった。そこはフランコンの父親の経営で、フランコンが訪ねてきた。


製作年:1949,監督:King Vidor,脚本:Ayn Rand,原作:The Fountainhead(Ayn Rand)


■ はじめに

◆ 登場人物(キャスト)

ハワード・ローク(ゲイリー・クーパー) 建築家
ゲイル・ワイナンド(レイモンド・マッセイ) ニューヨーク・バナー紙オーナー
エルスワース・トゥーイー(ロバート・ダグラス) 建築評論家
ドミニク・フランコン(パトリシア・ニール) コラムニスト
ガイ・フランコン(?) ドミニクの父親
ピーター・キーティング(ケント・スミス) ドミニクの婚約者

◆ 補足

ゲイリー・クーパーとパトリシア・ニールは「(1950)燃えつきた欲望/Bright Leaf」でも共演している。

ゲイリーは25歳も離れたパトリシアと浮気し彼女は妊娠して、大きなスキャンダルとなった。ゲイリーの妻はカトリックで離婚を拒否し、結局パトリシアは中絶した。その後パトリシアは結婚して五人の子供を出産した。
 


■ あらすじ

◆ 建築家ハワード・ロークの生き方

ハワード・ロークは才能豊かな建築家である。

だが彼は設計するに際して自らに妥協を許さない。自分の設計方針、美的感覚を譲らない。最善・最高を追及する。当然の結果として依頼主にも妥協しない。

その結果として、しばしば依頼主と衝突する。次第に彼への設計依頼は少なくなってきた。

◆ トゥーイーの批判とフランコンの援護射撃

評論家のエルスワース・トゥーイーは、ニューヨーク・バナー紙に建築評論の連載コラムを持っている。

トゥーイーはロークを批判する評論を展開する。同紙の社主ゲイル・ワイナンドはトゥーイーの行為を特に問題視せず、そのままにする。

だが同紙のコラムニスト、ドミニク・フランコンは、素人ながらロークの建築を評価しており、トゥーイーに反対のキャンペーンをする。

◆ フランコンの微妙な立場

だがフランコンは、凡庸な建築家ピーター・キーティングの婚約者であるという微妙な立場にいる。

キーティングは才能は凡庸ではあるが、世渡りが上手で、仕事が順調に推移している。

客観的に見ると、ロークには将来の見込みがなく、キーティングの目の前は明るく開けている。

さらにワイナンドがフランコンに好意を持っている。

◆ ロークは採石場で働く

ロークはわずかにあった設計依頼にも自分の信念を貫く。そして依頼主と衝突し、依頼を断る。

結果として職を失い採石場の労働者となった。

ところが、その採石場はフランコンの父親のガイ・フランコンの経営である。

フランコンは父親の別荘を訪れる。近くにはロークが働く採石場があった。

採石場を訪れたフランコンはロークに気がつく。

◆ 新たな設計依頼

フランコンは別荘の暖炉の大理石を破壊し、ロークに修理を依頼した。

ロークは依頼を引き受けたものの、実際の作業を別の人夫に任せた。

それに怒ったフランコンは採石場に行ってロークを責めた。対してロークはまともに答えない。フランコンは馬の上から鞭を打った。

ロークは夜中に別荘に忍び込んで、フランコンを犯した。フランコンは犯人がロークであることを知らない。

ロークが自分の部屋に戻ると、新しい設計のオファーの手紙が来ていた。高層住宅の設計である。ロークは夜のうちに採石場を出発した。

◆ 高層住宅は完成した

ワイナンドはフランコンが自分を愛していないことを知っているがプロポーズした。フランコンは返事を保留する。

ロークが設計した高層住宅が完成しバーティが開かれた。

出席したフランコンはロークと話して、別荘で自分を犯した犯人がロークであることを察知した。

ロークは、今回の仕事は完遂したものの、ロークの信念は変わらず、今後の展望が開けたわけではない。

フランコンは大胆にもロークに建築の設計を止めるように要求した。もちろんロークは拒否した。

◆ ワイナンドの屋敷の設計

フランコンはワイナンドに対して保留にしていたプロポーズを受け入れると伝えた。

ワイナンドはフランコンのために豪華な屋敷を計画する。設計はロークに依頼した。

ロークとワイナンドは友人となり、フランコンは疎外感を感じた。

ロークの性格と信念を知っているワイナンドは注文を付けずロークに任せた。屋敷は完成した。

◆ キーティングは設計をロークに頼る

大規模な公営集合住宅コートランド・ホームズが建設される。

この仕事を獲得するためにキーティングはトゥーイーに援護射撃を依頼した。キーティングは仕事を受注した。

さらにこの仕事は自分の能力を超えるため、ロークにも手助けを依頼した。

対してロークは、自分の設計通りに建築することを要求する。ロークとしては当然のことである。

◆ ロークの設計は改変された

だがロークの設計は改変された。ロークにとっては到底許されないことである。

ロークは建設中のコートランド・ホームズを爆破しようと決意する。

ロークは現場で逮捕された。

トゥーイーは設計したのがキーティングではなくロークであることを掴んだ。

◆ ローク擁護のキャンペーン

ロークは裁判にかけられた。メディアは社会の敵としてのロークを批判をした。

だがニューヨーク・バナー紙はワイナンドの指示でローク擁護のキャンペーンを展開した。

結果、トゥーイーや信奉者は同紙から撤退した。さらにトゥーイーは他紙を使って、ロークとニューヨーク・バナー紙を攻撃した。

ワイナンドは降参し、ロークを糾弾する声明を出さざるを得なかった。

◆ ワイナンド・ビルの設計

ロークは弁護士も立てず、最終弁論で自分の立場すなわち自分の信念を擁護する長~い弁論を展開した。

ロークの熱意が通じたのか陪審員団は無罪を評決した。

ワイナンドはニューヨークで一番高い「ワイナンド・ビル」の設計をロークに依頼した。ロークの設計には一切干渉しない。

契約を締結し、ロークが部屋の外にでると、ワイナンドは拳銃自殺した。

◆ フランコンが現場を訪れた

数か月後、ビルの建設が行われている。

フランコンは現場に来て「ローク夫人」を名乗って、作業用エレヴェーターに乗った。上に上っていく。

フランコンは、エレヴェーターを下りて、屋上に誇らしげに立っているロークの後姿を眺めた。
 


■ 出演作

◆ パトリシア・ニール
(1950)燃えつきた欲望/Bright Leaf
(1950)三人の秘密/THREE SECRETS
草原のウィンチェスター

ゲイリー・クーパー
モロッコ/Morocco(1930)
(1943)誰が為に鐘は鳴る/For Whom the Bell Tolls
真昼の決闘/High Noon(1952)
(1941)群衆/Meet John Doe
(1932)武器よさらば/戦場よさらば/A Farewell to Arms
西部の男/The Westerner(1940)
(1959)コルドラへの道/They Came to Cordura
(1954)悪の花園/Garden of Evil
(1935)永遠に愛せよ/PETER IBBETSON
(1935)オペラハット/Mr. Deeds Goes to Town
(1938)マルコ・ポーロの冒険/The Adventures Of Marco Polo
(1950)燃えつきた欲望/Bright Leaf
(1936)真珠の首飾り/Desire
(1931)ビール密造組織:市街/City Streets
(1936)平原児/The Plainsman
(1932)悪魔と深海/Devil and the Deep
(1953)吹き荒ぶ風/Blowing Wild
(1959)縛り首の木/The Hanging Tree
(1958)秘めたる情事/Ten North Frederick