■ Raton Pass
アンは牧場主の息子マーク・チャロンと結婚し、その後マークと一緒に財産を相続した。
しかしアンは鉄道会社の役員と組んで牧場の半分を奪い取った。マークはなんとか反撃しようとする。
チャロン家に敵対しているポズナー家の姪のエレーナの説得によって、ポズナー家がマークに味方した。
アンはならず者の一団を集めて対抗した。


製作年:1951、監督:エドウィン・L・マリン、原作:トム・ブラックバーン、脚本:ジェームズ・R・ウェッブ


■ 登場人物(キャスト)

 ピエール・チャロン(バジル・ロイスダール) 牧場主
 ベル・チャロン(-) ピエールの妻、すでに死亡
 マーク・チャロン(デニス・モーガン) 息子
 アン・チャロン(パトリシア・ニール) マークの妻、旧姓不明
 ハンク(ジェームズ・バーク) チャロンの部下
 バディ(?) チャロンの部下、殺される
 プレンティス(スコット・フォーブス) 鉄道会社役員
 サイ・ヴァン・クリーヴ(スティーヴ・コクラン)
 ジム・ポズナー(ルイス・ジーン・ヘイト) 牧場主
 ジムの妻(?)
 エレーナ(ドロシー・ハート) ジムの姪、同居
 サム(ジョン・クロフォード) ポズナーの部下
 ペリゴード保安官(ローランド・ウィンタース)
 


■ 戦いの構造

これを説明しておかないと本作は分かりにくいだろう。

当地の有力者チャロン家は東西の二つの牧場を持っている。西側が本来のもので、こちらに屋敷がある。

東西の牧場は、ポズナー家の土地を通じてのみ行き来することができる。

チャロン家とポズナー家は仲がよろしくない。

チャロン家の長男マークとアンが結婚する。

しかしアンは裏切って鉄道会社のプレンティスと組んで、西側の牧場を手に入れる。

この時、たまたま牛はすべて東側の牧場に移動している。この状況を利用してマークはアンに反撃をしようとする。

すなわちポズナー家所有の連絡路を封鎖すれば、アンは牧畜などを行うことができない。

ポズナー家は、この争いには無関係ではあるが、ポズナーの姪のエレーナはもともとマークが好きで、エレーナの働きかけで、ポズナー家はマークに味方する。

この状況でアンは、ならず者のクリーヴに助けを求める。クリーヴは多数の手下を使って攻撃してくる。
 


■ あらすじ

◆ アンが到着

ニューメキシコ州。当地ではチャロン家が大きな力を持っている。それはチャロン家の努力の結果ではあるが、反発する者も多い。保安官さえもチャロン家の影響下にある。

駅馬車が到着した。アンとサイ・ヴァン・クリーヴが下りた。二人は途中で知り合いになったようで、クリーヴはアンを食事に誘った。アンは応じた。

その場でクリーヴは近くにいたピエール・チャロンに「仕事をさせてくれ」と願い出た。ピエールはクリーヴの評判を知っているので拒否。

アンは当地は初めてではあったが当地の状況をすばやく掴み、クリーヴとの食事を断った。ピエールと一緒にいたマーク・チャロンに話しかけた。「ここに住みたいわ」。

アンとマークは食事に出かけた。店の中で食事をするが、アンは今仕込んだばかりの知識でマークを褒める。その店で働いているエレーナが二人を見ている。

◆ 土地の貸借契約

一方ピエールは、酒場に入っていった。ジム・ポズナーと土地の貸借契約をするためである。

チャロン牧場は二つに大きく分割されている。その間にはジムが所有する土地がある。その土地を借りる契約をする。

ジムは本当は契約したくないのだが、力関係を考えると仕方がなく、しぶしぶと契約に応じた。

◆ マークとアンは結婚した

マークはアンを案内して牧場を回った。見渡す限りがチャロン家の土地である。補足。当時の牧畜業は放牧であって、牧場と言っても囲いがあるわけではない。

アンはストレートにものを言う。「広くて素晴らしい土地。ここに住みたいわ」。マークはそれが気に入った。「他の娘とは違う」「うれしいわ」。

二人は屋敷に帰ってきた。ピエールもアンが気に入ったようである。マークとアンの肩に手を置いて「身を固めたらどうだ」。

とんとん拍子に話が進み二人は結婚した。

式が終わった後、ピエールは二人を自室に招き入れた。すでに死亡したピエールの妻のベルの肖像画が飾っている。ピエールは常にベルのことを偉大な妻であると褒めている。

ピエールは牧場などのすべての権利をマークとアンに譲るという証書を渡した。マークは一瞬躊躇するが、二人はそれを受け取った。マークとアンは半分ずつの権利。

◆ マークはカンザスに行った

マークは「今後のためには投資が必要」と言う話をしている。アンは「まだ分からない」という顔をしている。マークはすでに準備をしているらしい。

それとマークとアンは「カンザスに行こうという」と言う話をする。新婚旅行もまだである。

マークが不在の時に、保安官とプレンティスという人物が訪ねてきた。アンは知らなかったので、外で待たせた。

マークが帰ってきた。すぐにピエールも帰ってきた。マークはプレンティスに詫びて鉄道会社の重役と紹介した。このことはアンだけではなくピエールにも話してなかったようである。

プレンティスの会社に投資をして貰うつもりである。

プレスティスはしばらく滞在したが、条件が煮詰まらないようである。この間、マークはすべての牛を東側の地域に移動した。

マークは予定通りカンザスに行こうとする。アンは「自分は残る」と言い出した。アンは「投資のことは、私がまとめる」と言う。マークはアンのことを信用した。

マークとピエールはカンザスに出かけた。

◆ アンは裏切った

この間、アンとプレンティスは傍目から見ると、交渉しているように見えない。むしろ楽しんで遊んでいるようである。

二人で馬を走らせて行く。アンは馬を下りて、わざとらしくよろめいてプレンティスに抱き着く。夜は二人で話し込んでいる。

プレンティスは「二人でどこかに行こう」と言う話をする。アンは「でもこの土地は特別なのよ」と言う。

二人がキスしているところにマークが帰ってきた。

愕然としているマークにアンは「プレンティスさんと私で牧場を買い取る」と宣言した。

マークは、とりあえずピエールと別の部屋に入った。ピエールは拳銃を取り出したが「拳銃を使えば敗北したのと同じ」と制止する。

マークは牧場の地図を見て考えている。「今は牛がすべて東側に集まっている。一年で勝てる」と言う。

ピエールは怒って家を出て行った。

◆ ポスナー家が協力する

マークは牧場の使用人や屋敷の使用人をすべて東側の土地に集めてキャンプを張った。使用人がこれに従うかは、個々の使用人の判断だが、すべてマークに従った。

この事態をエレーナが把握した。元はと言えば、チャロン家とポズナー家は仲がよくない。

キャンプにポズナー家のメンバーが来た。エレーナに説得されたからである。

両者は意見が対立するが、エレーナの説得により協力することになった。

ポズナーの連絡路を封鎖する。

◆ アンとプレンティスはクリーヴを頼る

アンとプレンティスは屋敷がもぬけの殻であることが分かった。プレンティスは「また誰かを雇えばよい」と言うが、アンは「もっといい案がある」とサイ・ヴァン・クリーヴを使うことを提案した。

アン、プレンティス、クリーヴは、牛がすべて東側にいて、連絡路にポズナーやマークがいることを確認した。

クリーヴは「法律で対処しよう」と撤退する。

◆ クリーヴがポズナーを脅す

保安官のところに、クリーヴ、アン、プレンティスが来た。「マークが牛泥棒をした。逮捕しろ」。

保安官は疑問を呈するが、クリーヴに脅される感じで、キャンプにきた。しかし保安官は追い払われた。

プレンティスはアンに「マークがそんなことをするとは思えない」と話すが、アンは「彼が手を出せなくなればいいの」と意に介さない。

クリーヴがポズナー家に来た。そして「マークの牛泥棒を証言しろ」と言う。そんな事実はないのでポズナーは拒否する。

しかしクリーヴはポズナーの妻を捕らえて拷問する。仕方なくポズナーは証言することを約束した。クリーヴと保安官事務所に向かった。

◆ マークが撃たれた

マークやエレーナがポズナー家に来て事態を把握した。エレーナは「チャロン家のせいで、この始末よ」とマークを睨みつけた。

この事態を解決できるのは父親」と言う。父親とはピエールのこと。エレーナは遠くに行っているピエールを連れ戻しに行く。

エレーナの説得でポズナー・グルーブも動くことになる。

マークとチャロン・グルーブ、ポズナー・グルーブは保安官事務所に向かう。

保安官事務所付近は、クリーヴ配下の部隊が潜んでいる。マークと一緒に到着した部隊は待機して、マークだけが保安官事務所に入っていった。

マークは保安官と会い「クリーヴに屈したのか?」と責めた。保安官は黙っている。牢に入れられているポズナーに会いにいった。

ポズナーは牢の中から謝った。「奴らはお前に罪を着せようとしている。妻が拷問されたので仕方がなかった」。

ここでクリーヴが後ろから現れてマークを撃った。マークは倒れた。ポズナーも撃った。

銃声を聞いて、マーク&ポズナー部隊が突っ込んできた。マークとポズナーを確保した。

しかしハンクが「ここで戦ったら彼らの思うつぼ」と言うので、脱出することになる。もう態度が揺らいでいるプレンティスを盾にして脱出した。

ポズナー牧場まで撤退した。

◆ ポズナーグループとチャロングループは反撃に向かう

エレーナがピエールを連れて戻ってきた。二人は事態を把握した。

マークは背中が撃たれて銃弾が入っている。エレーナはみんなに怒るようにして「弾を取り出すのよ」と言う。ナイフや湯の準備を指示する。

エレーナはマークの背中から弾を取り出して包帯を巻いた。エレーナは医師ではないが、なんとか成功した。

ピエールは「奴らを牧場から叩きだす」と言う。なんとか息を吹き返したマークは「奴らは手ぐすねを引いて待っている」と言う。

ピエールはチャロン・グループを率いて出ていく。マークも起き上がって行こうとする。

マークは馬に乗るのは無理なので、エレーナと馬車に乗った。エレーナは傍観しようとしていたポズナー・グルーブに「これは私たちの戦いよ」と言って馬車をスタートさせた。

ポズナー・グループも追いかけた。

◆ 最後の決戦

チャロン家の屋敷。クリーヴ・グルーブは周到に向かえ撃つ準備をしている。

プレンティスは、この状況となって立ち去った。アンも迷っている様子だったが、クリーヴの「俺たちは似た者同士だ」という言葉に納得した。

チャロン・グループが現れ、馬から下りて保安官とピエールが前に進んだ。保安官が「逮捕する」と言うが撃たれた。ピエールも撃たれた。

双方の銃撃戦となった。ポズナー・グループも到着して戦いに加わった。

少し遅れてマークとエレーナが到着。傷ついているピエールはエレーナに「マークのことをよろしく」と依頼した。

マークは手錠と拳銃を持って「ヤツを逮捕する。援護してくれ」と言って屋敷に近づいていく。

激しい銃撃戦が続いている。マークは屋敷に忍び込み、一部屋ずつ調べていく。

アンがいた。アンに拳銃を向けた。しかし後ろからクリーヴが現れて拳銃を突き付けられた。

外から打ち込まれた銃弾にクリーヴが気を取られたスキにマークは殴りかかった。しかし再びクリーヴに銃を向けられた。

その瞬間、クリーヴは背中から撃たれた。倒れて戸口の外に転がった。それを見て銃撃戦は終了した。

マークは外に出た。アンはマークに寄ってきて「私はあなたの妻なのよ」と言ってきた。マークは無視した。

倒れていたクリーヴは後ろからマークを撃った。しかし、その瞬間アンがマークの袖を引っ張って態勢が入れ替わりアンに当たった。アンは倒れた。クリーヴは撃たれた。

すべては終わった。エレーナがマークに近づいた。「このことは忘れた方がいいわ」。
 


■ 補足/アン・チャロン

アンの動きだけを取り出して見る。なかなかすごい。

1.駅馬車で到着した時クリーヴから食事に誘われる。

2.しかしチャロン家が当地の有力者と判明したので食事を断り、マーク・チャロンに近づく。

3.マーク・チャロンに取り入って結婚。

4.父親ピエールから牧場を相続し、マークと共同所有となる。

5.投資の件で会いにしたプレンティスと結びつき、牧場を買収する。

6.マークが復讐しようとしたので、クリーヴに依頼して対抗組織を作る。

7.アンとクリーヴが過激な動きをする。プレンティスは離れていく。マーク側と全面対決となる。

8.クリーヴが撃たれるとマークに「私はあなたの妻なのよ」と寄っていく。