■ Rancho Notorious
ヴァーンは恋人のベスを殺されて、犯人を捜すために旅に出た。
お尋ね者を匿うチャック・ア・ラックという場所を探し当てた。


製作年:1952、監督:フリッツ・ラング、脚本:ダニエル・タラダッシュ、原作:シルヴィア・リチャーズ


■ はじめに

◆ 登場人物(キャスト)
 ヴァーン・ハスケル(アーサー・ケネディ)
 ベス・フォーブス(グロリア・ヘンリー) ヴァーンの恋人
 アルター・キーン(マレーネ・ディートリッヒ) チャック・ア・ラック責任者
 フレンチー・フェアモント(メル・ファーラー) アルターの恋人
 マキシン(リザ・フェラディ) 酒場の女性
 ドリー(?) アルターを知っていた女性
◇ 以下はチャック・ア・ラックのお尋ね者
 モート・ギアリー(ジャック・イーラム)
 ウィルソン(ジョージ・リーヴス) 左頬に傷
 ブリーチャー(フランク・ファーガソン)
 ハービン(フランシス・マクドナルド)
 コマンチ・ポール(ダン・シーモア) 先住民との混血
 スター(スチュアート・ランドール)
 レット(ロジャー・アンダーソン)
 ジェス(?)
 キンチ(ロイド・ゴフ) ベスの店襲撃
 ホワイティ(ジョン・ドーセット) ベスの店襲撃
 


■ あらすじ

◆ 恋人が殺された

ワイオミング。ヴァーン・ハスケルは恋人のベス・フォーブスと八日後に結婚する。将来は二人で牧場を持つつもりである。

ヴァーンはベスが勤務している店に現れて、ブローチをプレゼントして店から出てきた。

二人の男がヴァーンが出てきたのを確認した。二人は店に強盗に入り、ベスは殺された。

知らせを受けてヴァーンは慌てて駆けつけた。店の金とともに先ほどプレゼントしたブローチがなくなっていた。犯人は二人で一人は銀色の髪をしていたとのこと。

ベスの左手は指が硬直しており、最後の力でベスは犯人を強くひっかいたものと思われた。

◆ 「チャック・ア・ラック」

ヴァーンは保安官や他の人々と犯人を追跡した。山中を走り州境まできた。

他の人々は「もう行きたくない」と言い、保安官は「逮捕令状がなければ州外では逮捕できない」といった。

ヴァーンは一人で追跡を継続した。

一方犯人の二人は山中で休んでいたが、一人は「ここで分け前を」と言う。もう一人は拒否する。このトラブルで分け前を要求した犯人は撃たれた。もう一人はさらに逃亡した。

ヴァーンは山中で犯人と思われる銀髪の男が倒れているのを発見した。男を追及すると「チャック・ア・ラック/Chuck-a-luck」と言って息絶えた。ヴァーンにとっては意味不明である。

◆ オルター・キーン

ヴァーンは「チャック・ア・ラック」をキーワードにしていろいろなところで聞いて回った。だが誰に聞いても、まともな答えは得られなかった。

しかし散髪屋で「アルター・キーン」という名前を聞いた。その男が拳銃を向けたので、跳ね飛ばして格闘となった。

逮捕されて保安官事務所へ行った。散髪屋の証言もあって、正当防衛が認められて釈放。相手の男は「エース・マクガイア」と判明。駅馬車強盗で手配中であった。賞金は300ドル。

賞金の支給には数日かかるとのことだったので散髪屋に譲った。

「アルター・キーン」については、保安官が記憶を辿って「酒場で歌手をやっていた」と答えた。しかし今の居場所は知らない。

アルター・キーンについても聞いて回ったが、これも雲をつかむような話であった。

アルターの知人のドリーと言う女性を探しあてたが、やはり今の居場所は知らないとのこと。

◆ フレンチー・フェアモント

あるところでアルターのことを聞くと、やはり居場所は知らないものの「フレンチー・フェアモント」と一緒にいたとの情報が得られた。

アルターはある店で歌手をしていた。店でトラブったので、店主と喧嘩をして、貰った金で賭博をして大儲けをした。この時にフレンチー・フェアモントと知り合った。

アルターはフレンチーと一緒にその町を立ち去った。しかしヴァーンとの話を聞いてた人物が「フレンチーは先週に捕まったらしい」との重要情報をもたらした。

◆ 拘置所を脱獄する

フレンチーは捕まって拘置所に入れられている。隣の牢には政治的不正をした人物が三人。

ヴァーンは、酒場で酒ビンをわざと割って拘置所に入れられる。フレンチーに接触するためである。フレンチーと同じ牢に入れられた。

ところで隣の三人は外に内通者がいる。酒ビンを差し入れしてもらう。二人にも酒ビンが差し入れ。

三人は酒ビンを割る。本当は、中に牢の鍵が入っているはずだったが、入っていない。二人に差し入れられた酒ビンに入っていた。

二人は拘置所を脱出した。三人もカギを貰って脱出した。

◆ チャック・ア・ラック

二人はチャック・ア・ラックに向かった。そこはアルターが取り仕切っており、無法者を匿うところである。

匿ってもらう代わりに、稼いだ金の一割をアルターに差し出す。食事も提供される。

二人が行くとアルターとともに10人ほどの男がいた。みんなお尋ね者である。他には彼らの世話のために雇われている人間が数人。表向きは馬を育てる牧場。

ヴァーンも彼らに受け入れられた。

左の頬に傷がある男がいた。ヴァーンは「ベスに引っかかれた傷ではないか?」と思い聞いてみるが、アルターは「ここでは他人の詮索はしてはいけない」と制止する。

補足。私なりの見解を言っておけばベスは左手で犯人をひっかいたのだから、傷は右頬にできるはず。

◆ 保安官の捜査

列車強盗したギアリーとジェスが帰ってきた。保安官に追いかけられたらしい。

一部はギャンブルをして、他は世間話をしている。それが終わってアルターが着替えて出て来て歌を歌った。そしてアルターの胸にはベスのブローチがあった。ブローチのことを聞こうとしたが「保安官が来た」との連絡。

お尋ね者たちは慌てて山の中に避難する。残った人々は屋敷の中の怪しいものを急いで片づけた。実はヴァーンは避難せず、近くに隠れて様子をうかがっていた。

保安官は「四人の男を探している。フレンチー・フェアモント、ヴァーン・ハスケル、ギアリー、ジェス」。アルターはしらばっくれた。

保安官は「国境まで距離があるので馬を借りたい」と言った。保安官一行の一人が「馬が少なくなっている」と疑問を呈する。42頭いたはずが32頭に減っている。

ここで隠れていたヴァーンが現れて「馬は谷に移動しておいた」と言ったので、保安官は疑いを撤回した。保安官がヴァーンの顔を知らないのは不思議だが....。

保安官一行は出発。アルターはヴァーンに礼を言ったが、一方で指示に反したことを叱った。ブローチのことを聞いたがアルターは答えない。アルターは「ここを出て行ってちょうだい」と要求。

◆ 偵察

フレンチーは銀行強盗を計画している。そのための偵察に出て行った。

アルターとヴァーンは馬で出かけた。ヴァーンの馬に乗るときの動作を見て、キンチが「どこかで見たことがある」と話した。

二人は景色が良いところに来て話した。わりと微妙なところまで会話が進む。「10年前に出会っていれば...」。ヴァーンは再びブローチのことを聞くが答えない。

フレンチーは偵察の結果を報告し計画を披露する。銀行の近くに保安官事務所。五人が銀行に入る。うち三人が行員や客を抑える。二人が金を詰める。通りは三人が警戒する。銀行の前の劇場のバルコニーに一人。合計九人。

ヴァーンも参加することになった。しかしフレンチーとアルターはもめる。一つはアルターは計画の中止を要求。もう一つはヴァーンのこと。フレンチーは「彼は必要」と言うがアルターは「彼とはなんともない。出ていくように言った」。

◆銀行強盗

計画通りに銀行を襲撃し金を詰めて出てきた。ヴァーンは劇場のバルコニーにいる。保安官事務所から保安官が出てくるのを目撃。ライフルを撃った。それをきっかけに銃撃戦。

金は奪ったが、フレンチーとスターはケガをしてみんなからはぐれた。

残りは酒場に集合して話した。「チャック・ア・ラックには行かない」との話も出るが、トランプを引いて数が少ないものが行くことになった。ヴァーンは引いたカードの数字をごまかして役目を引き受けた。

ヴァーンはチャック・ア・ラックに戻った。アルターがピアノを弾いていた。二人はキスをする。例のブローチをつけている。「キンチから貰った」と白状。

補足。冒頭の強盗場面で、顔が分かるので、我々はキンチが犯人であることは分かっている。

◆ キンチが逮捕

ヴァーンは元の酒場に戻った。二丁拳銃でみんなを制する。キンチに対して「拳銃を抜け」。

キンチはしばらく硬直していたが拳銃を抜いた。しかし拳銃を床に落とした。

店の通報で保安官が駆けつけた。ヴァーンは「ベスの殺害、ホワイティ(銀髪)の殺害」を告発。キンチは手錠をかけられて連行された。

補足。保安官は銀行強盗の件は知らないのか?

保安官事務所。キンチが牢に入れられようとしている。しかし先ほどの酒場のメンバーが来て、保安官に拳銃を突き付けて、キンチと一緒に立ち去った。

◆ 最後の決闘

チャック・ア・ラック。フレンチーが戻ってきた。右肩にケガをしている。注、スターは途中で死亡した。

アルターが荷物をまとめている。アルターは牧場の証書などをフレンチーに渡した。「でていくわ」「お前がいなけりゃ、自首した方がましだ」。しかしアルターはヴァーンと行くためにでていくのではないらしい。

ここで酒場にいたメンバーが戻ってきた。キンチはブローチの件でアルターを責めた。

双方拳銃を抜いて睨みあったが「後ろからウィルソンがドアの陰からライフルで狙っている」と言われた。

アルターが代わりに見ると、ドアの隙間からライフルの銃口がのぞいている。

ここでヴァーンが登場。「ウィルソンは縛った。ライフルの後ろには誰もいない」。

フレンチーが引き金を引き撃ちあいになる。ヴァーン+フレンチーが勝利。

彼らの拳銃を取り上げて「二度とここに来るな」と馬に乗せて立ち去らせた。

屋敷に戻る。アルターが倒れていた。ヴァーンは「お前を守るために撃たれた」。

ヴァーンとフレンチーは馬に乗って去っていく。
 


■ 出演作

◆ アーサー・ケネディ
(1941)ハイ・シェラ/High Sierra
(1941)壮烈第七騎兵隊/They Died with Their Boots On
(1966)ミクロの決死圏/Fantastic Voyage
(1949)窓/The Window
(1949)ウォーキング・ヒルズの黄金伝説/The Walking Hills
(1946)まごころ/Devotion
(1947)影なき殺人/Boomerang!
(1952)無頼の谷/Rancho Notorious

◆ マレーネ・ディートリッヒ
(1930)モロッコ/Morocco
(1932)上海特急/Shanghai Express
(1939)砂塵/Destry Rides Again
(1950)舞台恐怖症/Stage Fright
(1956)八十日間世界一周/Around the World in Eighty Days
(1952)無頼の谷/Rancho Notorious

◆ メル・ファーラー
(1950)生まれながらの悪女/Born to Be Bad
(1952)無頼の谷/Rancho Notorious

◆ ジャック・イーラム
(1952)真昼の決闘/High Noon
(1953)アリバイなき男/Kansas City Confidential
(1948)赤い河/Red River
(1957)OK牧場の決斗/Gunfight at the O.K. Corral
(1951)狙われた駅馬車/Rawhide
(1952)ジャングルの逃亡者/Lure of the Wilderness
(1952)無頼の谷/Rancho Notorious

◆ フランシス・マクドナルド
(1957)十戒/THE TEN COMMANDMENTS
(1952)無頼の谷/Rancho Notorious
(1949)サムソンとデリラ/Samson and Delilah
(1946)白昼の決闘/Duel in the Sun
(1940)シー・ホーク/The Sea Hawk
(1930)モロッコ/Morocco