■ The Window
トミーはアパートの非常階段からケラーソンの部屋をのぞき込んで、殺人を目撃した。
両親に話すが信用されない。警察にも行ったが信用されない。しかし母親がケラーソンに謝りに行かせたので、ケラーソンに知られてしまった。
母親は姉が病気で外出した。父親は夜勤に出かけた。そしてケラーソンがトミーの家に忍び込んできた。
製作:1949年、監督:テッド・テズラフ
■ はじめに
登場人物(キャスト)
トミー(ボビー・ドリスコル) 10歳
エド・ウードリー(アーサー・ケネディ) トミーの父親
メアリー・ウードリー(バーバラ・ヘイル) トミーの母親
ジョー・ケラーソン(ポール・スチュワート) 上の階の住人
ジーン・ケラーソン(ルース・ローマン) ジョーの妻
ロス刑事(アンソニー・ロス)
トミーが住んでいるアパートはホルト通225番地。かなりのボロアパート。窓の外に非常階段があり、窓を開けると非常階段の踊り場にでる。トミーが住んでいるのは五階。
隣のビル。ホルト通237番地。ほとんど廃墟。屋上の高さはトミーのアパートと同じ。距離がほとんどないので、屋上から隣のビルの屋上に飛び移ることができる。
エドの仕事は不明だが夜勤がある。
■ あらすじ
◆ トミーは嘘つき
トミーはしょっちゅう嘘をついている。友達からも信用されていない。
父母は愛情をもって接しているというものの困っている。
今日の嘘は「親がテキサスに牧場を買う。なのでもうすぐ引っ越す」というもの。友達に話したが、この嘘は信用された。
夕方になって管理人が、次にアパートに住みたい人を連れてきて、下見をしに来た。両親は恐縮して事情を説明した。
◆ 殺人事件を目撃
エドは夜勤に出ていった。
トミーはベッドに入ったが、暑くて寝苦しい。メアリーの許可を得て、非常階段で寝ることにした。枕を持って階段に出た。
それでも具合が悪いので、上の階にいった。ケラーソン家。ブラインドの隙間から中が見えた。
ケラーソン夫妻がいる。そして他の人がいる。争っている。夫婦がハサミで、もう一人を刺した。刺された人は床に崩れ落ちた。
ジョー・ケラーソンがジーンに「窓の外を見ろ」と言ったので、慌てて下りて、自分のアパートに入った。注、枕はそのまま置いてきた。
◆ しかし信用されない
ケラーソンは死体を非常階段から外に出して屋上に隠した。注、夜なのでトミーの枕には気がつかなかった。
トミーはメアリーに「人殺しを見た」と言うが、トミーが嘘をつくのはいつものことなので信用しない。嘘だとはストレートに言わず「夢を見たのよ。寝なさい」。
トミーは枕を回収してベッドにもぐりこんだ。
朝になった。メアリーは洗濯物を干している。「もう起きたの?」「眠れなかった」「夢を見たんでしょ」「本当だよ」。
エドが夜勤から帰ってきた。エドにも話すが信用されない。メアリーは「ケラーソンさんはいい人よ」と言い、エドは「パパに恥をかかせたいのか?あれがトミーの父親だと言われるぞ」。
二人は「困ったもんだ」と話している。
◆ トミーは警察に行く
メアリーに「部屋にいなさい」と言われたが、窓から非常階段にでた。警察署に行った。
警察署の前。躊躇するが、思い切って入っていった。
「警部」と書いてある部屋に行くと「刑事のところに行きなさい」と言われた。
刑事の部屋に行って「殺人を見たんです」と言うと、刑事は「お~、それは大変だ」と大げさに驚いてみせた。つまりはトミーはここでも信用されていない。
しかし刑事は一応話を聞く。「両親に話したか?」「話した。でも作り話だと思ってる」。
「一応見てこようか?」という話で刑事が出かけた。
◆ ケラーソン家を調べる
ロス刑事はまずトミーの家に来てメアリーと話した。「念のために確認しに来た」「作り話です」。
ロス刑事は階段を降りかけたが、思い直してケラーソンの家を訪問した。
ドアを叩いた。刑事ではなく修理屋を装った。「部屋の修理計画があるので、中を見せてください」。
一応各部屋を見て回った。怪しいところはない。ケラーソン夫婦は不安げな様子。「床に染みがある」「雨漏りのせいだよ」。
見終わって出ようとすると「いつから修理?」というので、ロスは「まだ見積もりの段階です」と答えた。
メアリーはトミーを連れてケラーソンに謝りに行った。「本当に悪い子なの。あなたたちの作り話を」と具体的な話はしなかった。
帰ってトミーは「僕が見たって知られた」。
◆ メアリーの姉から電報
三人で食事をするが、トミーは気になって仕方がない。警察に行ったこともエドに話した。
さてドアがノックされた。ジーン・ケラーソン。「電報が間違って届いたの」と渡された。
メアリーの姉の調子が悪いとのこと。
エドはメアリーの姉の家に電話をかけて確認した。「電報を打った?」「イエス」。
注、ウードリー家には電話はなく、姉の家には電話があることになる。それと電話をかけて確認したので、電報の件はケラーソンの偽装ではなく、本当に電報が間違って届いたことになる。
メアリーは姉の家に出かけた。エドは夜勤に出かけた。それをジーンが見ている。
◆ トミーは閉じ込められた
トミーは伝言を書いた。「パパとママへ、困らせてごめんなさい。家を出ることにした。追伸。ケラーソンさんの話は本当」。
トミーは出かける準備をした。ちょうどエドが帰ってきた。心配で仕事の途中で帰ったもの。
エドは非常階段に出られないように板を打ち付けた。その部屋のドアにカギをかけてトミーが出れないようにした。ドアの外側にはカギが刺さっている。なのでトミーは非常階段に通じる部屋からは出られない。
◆ トミーは誘拐された
ケラーソンはこの様子を見ていた。午前二時五分。ケラーソンは行動開始。
ジーンは非常階段からトミーを見張る。ジョーは玄関から入ってきた。注、なので玄関にはカギがかかっていなかったことになる。
ジョーはトミーの伝言を見て、追伸の部分を切り取った。
先に注、トミーが今いる部屋は、部屋の外から出ても中からでもカギをかけることができる。今は外からカギがかかっていてトミーが中にいる。トミーは、そのカギを中から下に落として、落ちたカギを部屋に取り込んで、ドアを開けようとする。
トミーはまだ、この事態を把握していない。トミーはカギ穴から針金を突っ込んで、カギをドアの外に落とした。ドアの下に落ちたカギをワイヤーのハンガーを使って中に引き寄せようとする。
それを見ていたジョーはカギをハンガーに引っかける。トミーはカギを引き寄せて、カギを取り上げてカギ穴に刺した。ドアが開いた。前にはジョー・ケラーソン!
「やー、トミー、俺は何をした?」「あんたは人殺しだ、非常階段から見た」「夢だろ?」「そうじゃない」。
玄関から回ってジーンも入ってきた。
「警察に行ったのか?」「行ってない(←これは嘘)」「警察に行こう」とトミーは連れ出された。
◆ トミーはまた信用されない
隙を見てトミーは逃げ出した。あるビルに駆け込んだ。逃げ回ったが二人に捕らえられた。注、このビルはあまり近くではないはず。
三人でタクシーに乗った。行き先はアパートのホルト通225番地。
トミーは騒いだが、運転手はトミーが単なるいたずらっ子と思い信用しない。
警官を見かけた。「お巡りさん、助けて~っ」。しかし警官もトミーを信用しない。
「殺されるっ!」「この子は家に帰りたくないだけなんです」「この二人は人殺し」「叱られたくなくて嘘をついているです」。
トミーは殴られて気絶した。
◆ エドが警官に連絡する
エドがアパートに帰ってきた。早退。
エドはドアの異常に気がついた。またトミーの(追伸が切り取られた)伝言を見た。
エドは階段を下りて警官を探した。警官に事情を話すと「署に連絡して応援を依頼する」。
◆ トミーは逃げ出した
トミーはケラーソン家に連れ込まれた。二人は「トミーをどうするか?」と話し合う。ジョーは「トミーは事故に合って死ぬことになる」。
ここでトミーが気がついて、非常階段へ逃げ出した。上に登っていく。ジョーが追いかける。
トミーは屋上に出て、隣のビルに飛び移る。ジョーも飛び移る。
ここでトミーとジョーがビルの中で走り回る。ここがいろいろと展開。
最後はトミーが三階への階段をかけ上げる。ジョーも追いかけるが、階段が崩れ落ちて一階まで落ちた。
トミーは三階の崩れかけている部分に取り残された。上や横に移動することができない。下は一階まで素通し。
警官隊が飛び降り用のマットを広げた。トミーは思い切って、その上に飛び降りた。
エドがトミーを抱え上げた。
◆ ラスト
トミーと両親は警察に行った。経過を話した。
エド「これからはお前を信じる」。トミー「もう僕は作り話をしないよ」。
エド「あれがトミーの父親だと言われるぞ」。
■ 補足
「トミーの父親だと言われる」という言葉が二回出てくる。一回目は「悪いトミーの父親」と他人から批判されるという意味。二回目は「あの立派なトミーの父親」と褒められるという意味。これがオチになっている。
■ 出演作
◆ アーサー・ケネディ
(1941)ハイ・シェラ/High Sierra
(1941)壮烈第七騎兵隊/They Died with Their Boots On
(1966)ミクロの決死圏/Fantastic Voyage
(1949)窓/The Window
(1949)ウォーキング・ヒルズの黄金伝説/The Walking Hills
(1946)まごころ/Devotion
(1947)影なき殺人/Boomerang
(1952)無頼の谷/Rancho Notorious
◆ ルース・ローマン
「吹き荒ぶ風/1953」(ゲイリー・クーパー、ルース・ローマン、バーバラ・スタンウィック、アンソニー・クイン、ウォード・ボンド)
◆ アンソニー・ロス
「死の接吻/Kiss of Death(1947)」(ヴィクター・マチュア、ブライアン・ドンレヴィ、コリーン・グレイ)