【若紫58-3】古文単語「命」☆
こんにちは。このブログは
源氏物語イラスト訳「古文単語」のカテゴリです。
古文単語には、
1.とにかく丸暗記して覚える
2.漢字やイメージで覚える
3.文脈判断で決める
などの覚え方があります。
今回は、現代にもある常識古語☆
【今回の源氏物語】
尼君、
「いで、あな幼や。言ふかひなうものしたまふかな。おのが、かく、今日明日におぼゆる命をば、何とも思したらで、雀慕ひたまふほどよ。…」
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今回出てきた古文単語
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■【尼君(あまぎみ)】…若紫の祖母
■【いで】…いやはや。なんと
■【あな】…ああ。まあ
■【幼や】…幼いなあ
※【幼(をさな)】…ク活用形容詞「幼し」の語幹
※【や】…詠嘆の間投助詞
■【言ふかひなう】…ク活用形容詞「言ふかひなし」連用形ウ音便
※【言ふかひなし】…どうしようもない
■【ものしたまふ】…いらっしゃる
※【ものす】…代動詞。ここでは「あり」の意
※【たまふ】…尊敬の補助動詞(尼君⇒若紫)
■【かな】…詠嘆の終助詞
■【おの】…自分。私
■【が】…連体修飾格の格助詞
■【かく】…このように
■【今日明日(けふあす)】…今日か明日か
■【に】…状態の格助詞
■【おぼゆる】…ヤ行下二段動詞「おぼゆ」連体形
※【おぼゆ】…思われる
■【命】…寿命
■【をば】…~を。~は
※【を】…対象の格助詞
※【ば】…強意の係助詞「は」の清音化
■【何とも】…なんとも。何も
■【思し】…サ行四段動詞「思す」連用形
※【思(おぼ)す】…「思ふ」の尊敬(尼君⇒若紫)
■【たら】…完了の助動詞「たり」未然形
■【で】…打消接続の接続助詞
■【雀(すずめ】…スズメ
■【慕ひ】…ハ行四段動詞「慕ふ』連用形
※【慕(した)ふ】…恋い慕って追いかける
■【たまふ】…尊敬の補助動詞(尼君⇒若紫)
■【ほど】…程度。分際
■【よ】…詠嘆の間投助詞
◇ 今回は「で」にも注意しましょ♪
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☆ 本日の古文単語「命」 ☆
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尼君、
「いで、あな幼や。言ふかひなうものしたまふかな。おのが、かく、今日明日におぼゆる命をば、何とも思したらで、雀慕ひたまふほどよ。…」
問)次の傍線部の説明として最も適当なものを1つ選べ。
1.今日も明日も覚えている私の生涯
2.今日明日にも消えてしまう雀の寿命
3.今日か明日かも分からない私の寿命
4.今日から明日にかけて命ある限り
5.今日も明日もない雀の子の命
古文読解のためには
次の3つの知識が必要です。
● 古文単語をきっちり覚える
● 古典文法を押さえる
● 古文常識を理解する
この【重要古語】カテゴリでは
今回出て来た『源氏物語』の一語一語を
詳しく解説しつつ、
特に今回注目したい古語をピックアップして
詳しく解説しています。
今回の古語はこれ☆
【命(いのち)】
【名詞】
①生きる力。生命
②生涯。一生
*小学館『全訳古語例解辞典』より
「命」という言葉の使い方は
とくに昔も今も、変わらないですよね。
それは、
「今日明日」という連語に対しても言えます。
【今日明日(けふあす)】
【連語】
…きょうかあす。ごく近くに迫っていること。
*小学館『全訳古語例解辞典』より
つまり…
尼君は、
少女若紫が、どうしようもなく幼く
スズメを恋慕って泣く姿を見て、
自分がいつまで生きていられるか分からないのに
そんな幼くいらっしゃっては
少女の将来が思いやられる
…と嘆いているのです。
【答え】…3
尼君、
「いで、あな幼や。言ふかひなうものしたまふかな。おのが、かく、今日明日におぼゆる命をば、何とも思したらで、雀慕ひたまふほどよ。…」
● 過去記事リンク
■いで
■あな
■~をば
■も
■たまふ
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