【夕顔281-3】古文単語「かごと」
古文でムズかしいのは、
平仮名ばかりが続く場合、どこで区切れるかということ。
さあ、今回の古文、ちゃんと区切って読めたかな?
源氏物語イラスト訳 重要古語
【古文単語の覚え方】
1.現代語から想像して覚える
2.漢字のイメージで覚える
3.ゴロを利用して丸覚えする
の3つのどれかで覚えます。
今回は、【漢字のイメージ】で覚えましょ♪
【今回の源氏物語】
「さかし。さ皆思ひなせど、浮かびたる心のすさびに、人をいたづらになしつるかごと負ひぬべきが、いとからきなり。…」
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今回出てきた古文単語
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■【さかし(然かし)】…その通りだ
■【さ】…そう
■【皆(みな)】…全部。すっかり
■【思ひなせ】…サ行四段動詞「思ひなす」已然形
※【思ひなす】…思い込む。思い決める
■【ど】…逆接確定条件の接続助詞
■【浮かぶ】…落ち着かない。浮わつく
■【たる】…存続の助動詞「たり」連体形
■【心の遊(こころのすさび)】…気まぐれ。遊び心
■【に】…原因の格助詞
■【人】…あの人。夕顔をさす
■【を】…対象の格助詞
■【いたづらになす】…死なせる
■【つる】…完了の助動詞「つ」連体形
■【かごと(託言)】…口実。恨みごと
■【負ひ】…ハ行四段動詞「負ふ」連用形
※【負(お)ふ】…背負う。こうむる。身に受ける
■【ぬ】…強意の助動詞「ぬ」終止形
■【べき】…当然の助動詞「べし」連体形
■【が】…主格の格助詞
■【いと】…たいそう。とても
■【からき】…ク活用形容詞「からし」連体形
※【からし】…つらい
■【なり】…断定の助動詞「なり」終止形
◇ 今回は「ぬべき」にも注意しましょ♪
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☆ 本日の古文単語「かごと」 ☆
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「さかし。さ皆思ひなせど、浮かびたる心のすさびに、人をいたづらになしつるかごと負ひぬべきが、いとからきなり。…」
問)傍線部の意味として、最も適当なものを一つ選べ。
1.夕顔を死なせた責任を負ってしまわねばならないこと
2.世間の人を無駄に混乱させたかのようにふるまうこと
3.女房たちにいたずらをしてしまったかもしれないこと
4.人を死なせたときの穢れを負ってしまいそうなこと
5.あの人を無為に失ってしまったのが残念でならないこと
傍線部のような、重要古語のポイントが多く含まれる箇所は
大学入試でも問われ所になりますよ~!
【人】⇒誰のことか?
【いたづらになす】⇒「いたづらになる(=死ぬ」)の他動詞形
【つる】⇒完了の助動詞
【かごと】⇒「託言」
【負ふ】⇒背負う。身に受ける
【ぬべき】⇒確述用法
…こういう問題は、偏差値55を越してきます。
では、今回、「かごと」という名詞をきちんと見抜けたかな?
【かごと(託言)】
【名詞】
①言い訳。口実
②不平。ぐち。恨みごと
※Weblio古語辞典より
今回の解釈問題は、
この一語が見抜けるかが大前提☆
1.夕顔を死なせた責任(○)を負ってしまわねばならないこと
2.世間の人を無駄に混乱させたかのように(?)ふるまうこと
3.女房たちにいたずらをしてしまったかも(?)しれないこと
4.人を死なせたときの穢れ(×)を負ってしまいそうなこと
5.あの人を無為に失ってしまったのが残念(×)でならないこと
1以外の選択肢は、
「かごと」が名詞の「託言」として、
まったく読み取れてませんよね;;
「かごと(託言)」とは、漢字を見ても分かるように、
「たくす(託す)」という意味が元になっています。
「かこつ(託つ)」や「かこつける(託ける)」も同様、
人に託す⇒「他の人や物事のせいにしようとする」ニュアンスですね!
つまり、「かごと(託言)」は、
「物事の原因・理由・責任を他人や他のことにかこつける言葉」
というのが基本のニュアンス☆
「かごと(託言)」を負う、とは、
人々が、夕顔が死んだ原因や責任を、
光源氏に託す言葉を投げかけるということ。
イラスト訳や逐語訳では、
辞書通りの意味で訳してはいませんが、
ネガティブに誘導する言葉
というニュアンスは生かしたつもりでございます。
【解答】…1
「さかし。さ皆思ひなせど、浮かびたる心のすさびに、人をいたづらになしつるかごと負ひぬべきが、いとからきなり。…」
● 過去記事リンク
■浮かぶ
■すさび
■人
■なす
■ぬべし
■いと
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