【夕顔126-3】古文単語「ものの変化」
源氏物語イラスト訳の重要古語です
【古文単語の主なパターン】
1.古典特有語
…現代にない古語。
2.古今異義語
…現代と意味の異なる古語。
3.死語的現代ワード
…高校生がほぼ使わない死語?
【今回の源氏物語】
夜深きほどに、人をしづめて出で入りなどしたまへば、昔ありけむものの変化めきて、うたて思ひ嘆かるれど、
――――――――――
今回出てきた古文単語
――――――――――
■【夜深し】…深夜だ。まだ暗い早朝だ
■【ほど】…うち。時
■【に】…時間を表す格助詞
■【人】…女房
■【を】…対象の格助詞
■【しづめ】…マ行下二段動詞「しづむ」連用形
※【しづ(鎮)む】…寝静まらせる
■【て】…単純接続の接続助詞
■【出で入り】…出入り
■【など】…例示の副助詞
■【し】…サ変動詞「す」連用形
■【たまへ】…ハ行四段動詞「たまふ」已然形
※【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒光源氏)
■【ば】…順接の接続助詞
■【あり】…ラ変動詞「あり」連用形
■【けむ】…過去の伝聞の助動詞「けむ」連体形
■【もの】…何か
■【の】…連体修飾格の格助詞
■【変化(へんげ)】…化身
■【―めく】…~のようだ。~じみている
■【て】…単純接続の接続助詞
■【うたて】…いやだ。気味が悪い
■【思ひ嘆か】…カ行四段動詞「思ひ嘆く」未然形
■【るれ】…自発の助動詞「る」已然形
■【ど】…逆接の接続助詞
◇ 今回は「けむ」の用法にも注意しましょ♪
――――――――――――――
☆ 本日の古文単語「ものの変化」 ☆
――――――――――――――
「もののけ」という言葉からも想像できますが、
「物(何か)」と「変化」のドッキングで、
超自然的なもの、霊的なもの
ってイメージが湧きませんか?
【物(もの)】
【名詞】
①物。衣服・飲食物・楽器など形のある存在
②物事。もの。芸能・音楽・行事など形のない存在
③人。者
④ある所
⑤怨霊(おんりよう)。鬼神。物の怪(け)。超自然的な恐ろしい存在
【変化(へんげ)】
【名詞】
①(神仏などが)仮に人の姿となって現れること。また、そのもの。化身(けしん)。権化(ごんげ)
②(動物などが)別のものに姿を変えること。また、そのもの。化け物。妖怪
③変わること。変化(へんか)
*全訳古語例解辞典(小学館)より
こういうの、ドッキング古語といいます。
たとえば、こんな入試対策問題をひとつ☆
夜深きほどに、人をしづめて出で入りなどしたまへば、昔ありけむものの変化めきて、うたて思ひ嘆かるれど、
問)傍線部の説明として最も適当なものを選べ。
1.夕顔は、昔の頭中将との情事を思い出し、前にも同じ事があったという既視感を持って、変な心持ちになっている。
2.夕顔が昔に見た美しい夢が、今まさに突然目の前に現れているので、これは夢にちがいないと思い込もうとしている。
3.光源氏は、今までに出逢った女性の中で、夕顔がいちばん特異だと感じ、その異常さに抜け出せなくなっている。
4.よく昔の神話などで、神や精霊が、人の姿を借りて女に逢いに行くというのがあるが、まさにそれとよく似た状況である。
5.昔話に出てきた異形の化け物が目の前に現れたような気がして、夕顔はその恐怖に恐れおののいている。
光源氏が、夜も更けてから、
人目も忍んで現れる様子を、
「ものの変化めきて」と著しているんですね。
選択肢5は、辞書の意味にはズレていませんが、
光源氏の背景知識からして、ちょっと言いすぎかな;
(;゚;∀;゚;)
正解…4
夜深きほどに、人をしづめて出で入りなどしたまへば、昔ありけむものの変化めきて、うたて思ひ嘆かるれど、
● 過去記事リンク
■けむ
■~めく
■うたて
ーーーーーーーーーーーーー