松岡美術館で「理想郷 古代中国―いのりのかたち」を観た! | とんとん・にっき

松岡美術館で「理想郷 古代中国―いのりのかたち」を観た!

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どうして達磨と凧が飾ってあるのか?  それは観に行ったのがお正月、1月8日のことだったからです。前期の終了が迫っているので、大慌てで、以下に載せておきます。


以前、出光美術館で「ユートピア」展を観たことがあります。

出光美術館で「ユートピア 描かれし夢と楽園」展(前期)を観た!

ユートピア 【Utopia】 とは何か?辞書によると、以下のようにあります。

《ギリシャ語からの造語で、どこにもない場所の意》
トマス=モアの長編小説。1516年刊。原文はラテン語。架空の国ユートピアの見聞録というかたちで、

当時のヨーロッパ社会を批判、自由平等な共産主義的社会、宗教の寛容を説く。
(utopia)《から転じて》空想された理想的な社会。理想郷。理想の国。無可有郷(むかうのさと)。


松岡美術館で「理想郷 古代中国―いのりのかたち」を観てきました。チラシには、「神々の住む世界、神々との交信、そして、いつかたずねたい場所・・・日常とは異なる『理想郷―Utopia』」とあります。ここでは展示室④の「古代中国―いのりのかたち」を取り上げて載せておきます。


古代中国――いのりのかたち

命あるものには必ず終焉の時が訪れます。肉体に永遠は存在しません。終焉のその先には何があるのか。人類にとって、その見えない世界は古来から大きな「恐怖」でした。それを克服するため人類は偉大なチカラを求めました。いつしかそれは「神」と呼ばれるようになりヒトが散らばった先々で「神」が生まれました。やがて、多くの神々と、人間たちとのかかわりは「理想郷―Utopia」を創りだします。


2014年は、松岡清次郎生誕120年の年にあたります。95年の生涯をかけて蒐集したコレクションの中でも最も力を注いだのが中国古美術だったと言えるでしょう。展示室4では、中国の文化のはじまりから清時代に至るまで数千年の歴史の中ではぐくまれてきた神々との関わり「いのちのおかたち」を通して「理想郷」を見つめます。


憧れの暮らし――神仙世界
世界の初めは混沌として、形も色も味もない、それを「道(タオ)」と呼ぶ。この道は、万物の根源。一つに集まると「気」となり、ちりぢりになると「天地」となる。(太上妙始経) 道教は、中国固有の宗教です。「三精」と呼ばれる三人の最高神を掲げ、そのもとに多くの仙人や神々が、さまざまな働きをなしています。仙人や神々の住む憧れの世界―神仙世界。それは、「山水画」となり、「道」の教えと共に、世界中に広まっていくことになります。


思想の花々―諸子百家

周が滅びると勢力の拮抗した諸侯たちによる戦いが始まります。戦国時代の到来です。偉大な王によってとられていた統率が乱れ、混沌とした世の中で人びとが求めたのは、新しい「秩序―おしえ」でした。孔子、老子、墨子、韓非子・・・思想家を「子」と呼び、それぞれの集団を「家」と呼びました。「諸子百家」と言われるほどに、多くの思想家が生まれた時代です。人として生きた思想家たちは、いつしか「神」となり崇められ、その教えは、人びとの生きる糧となっていきました。それぞれのいのりは、言葉や文字だけでなく、「かたち」を伴い伝えられました。



五彩壺・盤



楼閣

青銅器・鐘

はじめのいのり――青銅器文化:黄河中流域にうまれた中原の国、中国。高い文化をもつ人びとはやがて大きな部族となり、各地に集落を築いていきました。夏から商(殷)、そして周へ。大きなチカラが歴史を刻みました。国を治める王は、「神」と密接に結びついていました。王の願いは民の願い。それを神に知らせるために、また、神から告げられた事柄を民に知らせ、王の権威を示すために「文字」が生まれました。はじめ、それらは動物の肩甲骨や亀の甲羅に刻まれました。


甲骨文字です。石器時代から行われていた「骨占い」がそのはじめのかたちと言われています。あらゆる「まつりごと」を、王は神にゆだね、民はその神の声を待ちました。歌い、躍り、たくさんの食物や酒を神に捧げました。青銅器は、神への供物を入れるための祭器でした。そこに刻まれた文様や文字は、有力な士族の存在を明らかにしています。はるかなときを超えて響く、中国の人々の魂の声に、しばし耳を傾けてください。







金銅仏

ほとけのかたち:後漢の初めごろ、インドから新しい「おしえ」が中国に伝わりました。「仏教」です。ヘレニズム文化を受け継ぐ美しい像を伴い伝えられたその「おしえ」は、やがて中国全土にそして海を越え、日本にも伝わりました。ここに紹介するのは三十二相のひとつ「金色相」をあらわしたとされる金銅仏の数々。金色に輝くおすがたに人びとは魅了され熱心にいのりをささげたことでしょう。手の中に収まるほどの「いのりのかたち」。そこにこめられた感謝と願い。今に生きる私たちの想いともどこかつうじているのではないでしょうか。




「理想郷 松岡コレクション」

作家たちが思い描いた理想の世界。それは太古の昔から、人びとがさまざまな願いを込めて、あらゆる工芸や絵画の上に表現してきたものです。神々の住む世界、神々との交信、そして、いつかたずねたい場所・・・日常とは異なる「理想郷―Utopia」を松岡コレクションからご覧いただきます。

前期2014年1月8日(水)~2月23日(日)
後期2014年2月25日(火)~4月13日(日)
展示室4,5にて絵画作品の展示替えがあります。


展示室4 古代中国―いのりのかたち
展示室5 理想郷1
展示室6 理想郷2


「松岡美術館」ホームページ


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