松岡美術館で「吉祥のうつわ」展を観た! | とんとん・にっき

松岡美術館で「吉祥のうつわ」展を観た!

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松岡美術館で「吉祥のうつわ 中国陶磁にみる祝い寿ぐ文様の世界」展を観てきました。出光でも、根津でも、三井でも、サントリーでも、静嘉堂でも、五島でも、年に一度ぐらいは必ずと言っていいほど、陶磁器を展示しています。直近では出光美術館で「麗しのうつわ 日本やきもの名品選」を観てきましたが、なかなか「やきもの」は難しい代物です。それに加えて「中国陶磁」となると、ますます訳がわからなくなります。


が、しかし、そういう人のために、つまり僕のような人のために、松岡美術館の「吉祥のうつわ 中国陶磁にみる祝い寿ぐ文様の世界」があるのでしょう。出光の「麗しのうつわ」も比較的わかりやすかったのですが、松岡の方もそれに劣らず懇切丁寧な解説で、わかりやすく展示してありました。しかも展示品の撮影はオッケーということなので、その太っ腹には頭が下がります。


ということで、もちろん全部ではありませんが、それでもしっかりと写真を撮ってきました。その画像の一部を下に載せておきます。今回は中国陶磁の吉祥の文様がテーマでした。ではどういうものがそれに当たるのか、会場に掲げられていた解説を頼りに列記してみました。


*瑞祥―龍、鳳凰、麒麟

中国の吉祥モチーフの筆頭にあげられる龍や鳳凰、麒麟は、古代中国において瑞祥を示す霊獣、瑞鳥とされ、古くから吉祥文様とされてきました。陶磁器の文様としては、龍文様が景徳鎮官窯磁器の指標とされてきました。

*神仙、鹿、桃―長寿を祝する吉祥文

中国人の幸福感の一つとして長生きをし、年をとらない長生不老の願いがあります。多くの中国の文物に長寿を祝し願う吉祥図が表現されてきました。寿老人の元に八仙人が集まる八仙祝寿図はよく知られています。鹿や鳩は長寿の吉祥図として、盛んにあらわされてきました。桃は長寿を象徴する果実とされてきました。

*魚藻文―豊穣を寓意する吉祥文

魚は豊かさとめでたさを象徴するものです。文様としては新石器時代の彩陶など早くから表され、特に2匹の魚は吉祥文様として定着しました。また蓮と魚が組み合わされたもの、蓮池魚藻文が宋・金時代から繰り返し描かれています。

*蓮花文、蓮池水禽文

蓮は仏教の重要なシンボルですが、それとは別に中国固有の吉祥モチーフでもあります。蓮の実や花は好ましいことが連続して起こること、男の子が連続して生まれ子孫が繁栄すること「連生貴子」の吉祥図として、中国ではよく知られています。「蓮池水禽文」も幸福な結婚を寓意する吉祥文様です。

*瓜、葡萄、石榴、れいし―子孫繁栄の吉祥文

子孫が途絶えずに長く続くことは中国ではもっとも大きな幸福でした。瓜は蔓が伸び、多くの実をつけることから、葡萄も同様、多子と子孫繁栄を寓意する植物文様として、石榴はたくさんの種をつけるlことから吉祥文様とされてきました。

*牡丹―富貴を讃える花

牡丹は中国では、その花姿の絢爛たるところから富貴花と呼ばれ、中国を代表する花とされてきました。文様としては、牡丹唐草文は富貴万代を寓意する吉祥文様として盛んに使われてきました。



















「吉祥のうつわ 中国陶磁にみる祝い寿ぐ文様の世界」:松岡美術館

現在、私たち日本人が、身の回りの吉祥文様としてすぐ思い浮かぶのは、松竹梅や鶴亀をあらわした意匠でしょう。お正月や結婚式といった「ハレ」の場を飾り、祝い寿ぐ文様としてポピュラーなものであり、今年のお正月にも、門松や正月飾りなどで目にされた方も多いと思われます。わが国では、そうした松竹梅や鶴亀をはじめ、七福神や宝尽くしなどといった吉祥文様が、おめでたいしるしとして、古来より様々な美術工芸品にあしらわれ、豊かな展開をみせてきました。しかし、そのようなわが国の伝統的な吉祥文様も、多くは中国にその起源を求めることができ、さらにほかにも、日本の吉祥文様には見られない中国固有の吉祥図が、中国の文物に多くみることができます。

松岡美術館の創立者松岡清次郎(1894-1989)が蒐集した中国陶磁コレクションは、洗練された鑑賞陶磁コレクションとして知られ、主に後漢時代から清時代までの中国陶磁史をほぼ網羅できる内容となっております。このたびの展観では、日本の吉祥文様にも大きな影響を与えた中国の吉祥文様に焦点をあて、肝臓品より宋時代から清時代までの中国陶磁を生鮮、展観し、中国の人々がやきものの文様に込めた意味や願いに迫るものです。


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