・・ココロのビタミン・・
大震災での受け入れがたい出来事を、心におさめていくために、
心と身体には、様々な反応があらわれます。

それは、人が、自分の身を守るために、全力をあげて頑張っている証です。

被災地の子どもたちの様子をテレビなどでみていると、
力強い言葉、笑顔で元気そうな様子も見受けられます。
けれど、子どもたちは、おとなに心配をかけないように、
悲しみや怒りを心に閉じ込めてしがいがちなので、
「うちの子は大丈夫」と、安心しきってはいけないと感じています。

子どもは、元気そうにしていても、一人になると、辛くなってしまうことがあります。
心の傷は、様々なサインとしてあらわれます。
保護者のみなさま、そして、支援に携わる方の参考にしていただけたら、と思い、
その反応があらわれたときの対応を、ご紹介したいと思いますクローバー

・・ココロのビタミン・・

心のケアは、時期と段階に応じて行うことが大切です。
現段階で出ている心身反応としては、急性ストレス反応、不安、絶望、喜び、
エコノミークラス症候群、不眠などがあります。この対処として、
現在、食料、水、防寒、体操、余震への対処、絆を深めること、健康体操など
様々な取り組みが行われていると思います。

今は、安心、安全の確立の段階で、過酷な環境へのストレスマネジメントが
求められます。次の段階として、「フラッシュバック、甘え、退行、不眠、抑うつ」
などの心身反応があらわれ、子どもによっては、この時期に津波、地震ごっこなど
をする子どももいるでしょう。この時期の対応としては、向き合ったり、一緒にいる、
なだめるなどです。心身コントロールが課題となります。

心理ケアは、この段階から、関わることができます。
身近な人による適切なかかわりがあれば、大丈夫。
ステップとしては、安心→絆→表現→チャレンジです。

以下は、各心身反応に対する対処法です。
症状化があり、どうすれば良いのかわからないときには、
抱え込まず、専門家の助けをかりてくださいハート

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<過覚醒>

症状
いらいらして怒りっぽい
物音がすると、ドキッとしたり、ビクッとする
非常に警戒してしまい、用心深くなる
勉強や遊びに集中できなくなる
興奮したり、気分が高まっている

意味
身体を緊張させて、この出来事を乗り越えようとしています。

対応
安全な場所では、リラックス。
緊張しなくてはならない場所では、落ち着けるように。

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<再体験>
症状
眠れない、夜中に目を覚ましてしまう。
こわい夢をみたり、うなされて起きて、叫んでしまう。
ショックなことの遊び(津波ごっこ、地震ごっこ)をしている
ショックなことを繰り返し話す

意味
地震のときのこわい記憶から、そのときの身体の感じ、気持ちがよみがえって
きています。また、そのできごとを連想することで、気持ちや身体が不安定になります。

対応
遊びは、危険でなければ、すぐには止めない。
見守り、一緒に遊んであげる。
眠れなさそうなときには、「大丈夫?」と声をかけたり、
抱きしめたり、なだめてあげてください。
ショックなことを繰り返し話すときには、
じっくり話を聴いてあげるところからはじめてください。


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<回避、マヒ>
症状
ボーッとしている。
大震災や津波にまつわることを話したり、聞いたりをいやがる。
震災を思い出させる場所を避ける。
それまで、楽しかったことが楽しめない。
無口になり、話すことをいやがる。
「私はぜんぜん怖くない」という。

意味
その出来事が本当のことだと感じられない。
その出来事を「考えないようにする」ことで、こわいことを思い出さないように
しています。直後に、この反応は、よい対処であったとしても、
長期的にみると、生活をせばめてしまうことになります。

対処
少し、落ち着いてきたら、家族で、健康的な遊びや活動をしてみてください。
「話してみると、気持ちがラクになるよ」と声かけをします。
安全になっても、まだ何か避けている様子でしたら、
少しずつ、段階的にチャレンジしていくのが良いでしょう。

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<退行、幼児がえり>
症状
甘えたり、幼い頃に戻ったようなふるまいをする
小さい頃にしていた癖がはじまる
おびえる
トイレやお風呂に一人で行けない
親から離れられない

意味
心と身体の安心を取り戻そうとしている段階です。
甘えることにより、心のエネルギーをたくわえています。

対処
安心感が戻るまで、添い寝をしてあげたり、抱きしめてあげてください。
マッサージをしあうのも効果的です。


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<喪失反応>
症状
本当のことと思えない
死についてたずねてくる
涙がとまらない/涙がでない
いなくなった人が見える

対処
「悲しいね」「辛いね」「お祈りをしようね」と
一緒に涙を流しながら、喪の作業を行います。
涙は大切。涙をこらえないで、泣きたいときには、泣いた方が良いです。
心の中に、亡くなってしまった大切な人を生かしていく作業でもあります。
この症状は、今の時点では、あまりみられないと思いますが、
数ヶ月後くらいからケアが必要になってくる子どももいると思います。
(大人も同様の症状が出ることがあります。対処方法もほぼ同じです。)

・・ココロのビタミン・・
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