闇金ウシジマくんPart2　（評価：★★★★）

※※※　注意　※※※
　「シネマ報告書」には、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれております。
　これから観ようと思っている方は、本報告書の内容についてご理解のうえ十分注意してお読みください。

「『シネマ報告書2014』の掲載にあたって」

まさに「ご利用は計画的に」

★★★★

（2014年／日本／133分）

【　監督　】
山口雅俊

【　原作　】
真鍋昌平

【　出演　】
山田孝之
綾野剛
崎本大海
やべきょうすけ
菅田将暉
中尾明慶
窪田正孝
柳楽優弥
木南晴夏
門脇麦
高橋メアリージュン
本仮屋ユイカ
光石研
バカリズム
大久保佳代子
キムラ緑子
マキタスポーツ

【あらすじ】

　10日で5割という暴利で金を貸す闇金業者“カウカウ・ファイナンス”の社長ウシジマ。
　彼のもとに金を借りに来るパチンコ狂の母親とその息子マサル、そのマサルにバイクを盗まれた弁償をさせる暴走族のヘッド愛沢、そしてNo1ホストを目指す神咲と彼を応援する彩香。
　それぞれの事情を持った人間たちのドラマが交錯する―

【コメント】

　僕はここ数年、ほぼ週２のペースで映画館に足を運んでいるわけで、明らかに普通の人よりもよく映画を観ていると言えます。まあ、映画好きは今に始まったことではないので、週２とはいえ、やみくもに映画を観に行っているわけではなく、ちゃんと観たい作品・観ておくべきであろう作品に目星をつけて足を運んでいるわけです。
　とは言いながらも、ごくまれにフラっと選んでしまう“気まぐれチョイス”をやってしまうこともありまして、本作がまさにそれでした。なんたって、原作未読・ドラマシリーズ未見・前作未見という状況でありながらチケットを購入してしまったんですからね。普段であれば僕はこの手の作品には手を出さないことにしているんです。バックボーンを全く知らないから。
　それでも、何か惹かれるものがあって「まあ、ダメならダメでいいや」という気持ちで気まぐれで鑑賞した次第なわけです。

　いや、すっげ～面白かったッス。お世辞抜きで。
　先にも言ったように、原作未読・ドラマシリーズ未見・前作未見という何の知識も思い入れもない状態で鑑賞したのが功を奏したのかもしれませんが、とにかく２時間強中弛みすることなく楽しむことが出来ましたよ。
　タイトルが“ウシジマくん”としながらも、決してウシジマが中心となって話が回るのではなく、闇金に手を出した人間のそれぞれのドラマを交錯させながら話が展開するという群像劇的な構成がとてもうまくて観てて全然飽きさせない。ウシジマは、むしろそういった人間のご意見番みたいな位置付けなんでしょう。
　多少ドラマを詰め込み過ぎな感じもありましたが、闇金に手を出してしまうダメ人間どものドラマがうまく絡み合い、結果誰も幸せにならずに終わることで、お金の怖さと止まることを知らない人間の欲望の底深さを改めて考えさせられる、ちょっとドギツイ道徳作品であったと僕は思いましたね。まさに「ご利用は計画的に」を教えられたような気がします。

　ウシジマ役の山田孝之はもちろんのこと、族のヘッド役の中尾明慶やパチンコ狂いの母親の息子役の菅田将暉、No1を目指すホスト役の窪田正孝、リアルにキモすぎたストーカー役の柳楽優弥など、魅力的なキャラも見どころ。ウシジマ同業者役の高橋メアリージュンも怖美しくて良かった。甲高い声がウケたけど。チョイ役だったけど本仮屋ユイカのエロセクシーな感じもグッド。
　だけど、個人的に印象的だったのはやっぱりホストにハマってしまう彩香役の門脇麦ですよね～この娘見たことあるな～と思ってたら東京ガスのCMで竹之内豊とヘンなドラマやってたコなのね。
　失礼ながら、決して美人とかカワイイ系の部類に入る役者じゃないんですが、本作ではすごく幸薄そうなエロさを醸し出していて、それこそお金のためにAV撮影しちゃったりヘルス嬢やっちゃったりと、思いっきりギリギリの体当たり演技しています。このコは本作が役者のターニングポイントとなるのは間違いないでしょう。