それでも夜は明ける (評価:★★★★) | そんなことより恋をしろ

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※※※ 注意 ※※※

 「シネマ報告書」には、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれております。
 これから観ようと思っている方は、本報告書の内容についてご理解のうえ十分注意してお読みください。

「『シネマ報告書2014』の掲載にあたって」



容赦ない奴隷映画

★★★★

それでも夜は明ける




(2013年/アメリカ/134分/12 Years A Slave)

【 製作 】
ブラッド・ピット

【 監督 】
スティーヴ・マックイーン

【 原作 】
ソロモン・ノーサップ

【 出演 】
キウェテル・イジョフォー
マイケル・ファスベンダー
ベネディクト・カンバーバッチ
ポール・ダノ
ポール・ジアマッティ
ルピタ・ニョンゴ
サラ・ポールソン
ブラッド・ピット
アルフレ・ウッダード




【あらすじ】

 黒人の奴隷制度が根強く残っていた1841年アメリカ。
 ニューヨーク州サラトガに住む“自由黒人”の音楽家ソロモン・ノーサップ は、ある日、二人組の男たちに騙され、奴隷として南部地方にある綿農園へ連れて行かれてしまう。
 そこから12年間後に解放されるまで、ノーサップは南部の奴隷として生きることを余儀なくされてしまう―


【コメント】

 さて、見事第86回の米アカデミー作品賞を受賞した本作。
 3年前に鑑賞した、同じく作品賞を受賞した『英国王のスピーチ』でも散々語っておりますが、本作を語るうえで“アカデミー作品賞=面白い映画”という図式は必ずしも成り立たない、ということは念頭に置くべきかと思います。
 個人的には、本作が作品賞を受賞したのは、映画プロデューサーとして絶賛手腕を発揮中の本作の製作者であるブラッド・ピットの功績が大きいと思料します。

それでも夜は明ける


それでも夜は明ける


それでも夜は明ける


 とはいえ、僕は本作、かなり興味深く拝見させていただきました。
 ソロモンが拉致されて解放されるまでの2時間強、ドラマチックな展開はほとんどなく、ただただソロモンと黒人たちが奴隷としてこき使われているシーンだけを淡々と描いております。黒人奴隷解放に立ち上がったり、裁判で逆転勝訴したりなんて盛り上がる展開は一切なし。黒人たちがとにかく“労働マシーン”として働かされているだけの、とにかく容赦ない奴隷映画だったと思います。なかなかにエグかったと思いますよ。
 もっとも、中盤あたりは中弛みしまくって集中できなかったり、12年間という割にそれほど長きの時間を映像では感じなかったところはありますが、それでも奴隷という立場の疑似体験的な感覚はひしひしと感じさせてくれました。

それでも夜は明ける


それでも夜は明ける


それでも夜は明ける


それでも夜は明ける


 本作はなぜ本年度の作品賞に選ばれたのでしょうか?結局のところ、それについては毎年明確な答えが出ることはないと思います。
 しかしながら、本作を観て、いちサラリーマンである僕の個人的な感覚で考えると、企業の“経営者側”と、彼らに雇われひたすら働いている“労働者側”の間にある超えられない壁、いわゆる格差社会が広がる現状について、とても思う部分があります。
 ソロモンのように知性がある奴隷の場合、最初の主人にその才能を見出され取り立てられながらも頭の悪い“幹部”に因縁をつけられたり、次のワンマンな主人では、その有能さすらも認められない。結局のところ、どんなに有能であっても“労働者”は“労働者”でしかない。どんなにがんばっても“経営者”になることはできない。その理由が、単なる“黒人”だから、ということなんではないかと。
 昨今日本で問題になっている、いわゆる“ブラック企業”なんかも、まさにこんな“労働者=奴隷”としか考えていない、我々はこんな奴らとは違うと信じて疑わない経営者が多いのではないかと思います。まあ、アメリカでブラック企業と呼ぶのかどうかは知りませんが、劣悪な環境で働かされている人たちは、むしろ日本よりも多いのではないでしょうか。

 とまあ、そんな自分が今置かれている現状とダブらせながら鑑賞した本作は、非常に心に残った作品であったと言えますね。


【2014年度 Myランキング】(3/9時点)

 本作は、本年度のベスト10中第3位(暫定)にランクイン。
 洋画が盛り上がってきましたな。


(ベスト)… ★★★☆以上が基準

  1位:ダラス・バイヤーズクラブ ★★★★☆
  2位:新しき世界 ★★★★
  3位:それでも夜は明ける ★★★★
  4位:永遠の0 ★★★★
  5位:ヌイグルマーZ ★★★★
  6位:トリック劇場版 ラストステージ ★★★★
  7位:ジャッジ! ★★★☆
  8位:
  9位:
 10位:
  次点:
          


(ワースト)… ★★☆以下が基準

  1位:偉大なる、しゅららぼん ★★
  2位:バイロケーション[表] ★★☆
  3位:


<その他ランク外一覧>
大脱出マイティ・ソー ダーク・ワールドオンリー・ゴッドスノーピアサーラッシュ/プライドと友情土竜(モグラ)の唄 潜入捜査官 REIJIキック・アス ジャスティス・フォーエバーマチェーテ・キルズ






『それでも夜は明ける』公式サイトはこちら
)

それでも夜は明ける オリジナル・サウンドトラック




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