映画と言えば、その作品の主役ばかりが注目されがちですが、そんな主役を際立たせてくれるのが脇役たちです。脇役のおかげで映画はより面白くなると言っても過言ではありません。そこでこのコーナーでは数々の名作、傑作を支えた脇役の俳優さんにスポットライトを当ててみました

~映画を支える脇役たち~PART7

 

 

 

 

 

第7回目はこの3人!

 

 ジェームズ・メイソン

/1909-1984

主役から脇役まで自由自在に演じ、1984年79歳で亡くなるまでに出演作が100本以上に及ぶ息の長い俳優です。主役から脇役までこなす器用な俳優さんで、初めて見たのは「海底二万哩」だったでしょうか。「天国からきたチャンピオン」の天使役や、「戦争のはらわた」の将校役、「夜の訪問者」「北北西に進路を取れ」など思い出深い俳優さんです。ほかにも「スタア誕生」「地底探検」「シーラ号の謎」「地中海殺人事件」「ブラジルから来た少年」など話題作にも多く出演しています。ローレンス・オリヴィエと並ぶイギリスの名優でありながら、ノミネートは何度もされながらついにアカデミー賞は受賞できず”無冠の帝王”とよばれています。それでも50年代~70年代にわたって第一線で活躍した存在感ある名優であることには間違いありません

 

 

 

 

 

 

 ローラ・ダーン

/1967~

ロサンゼルス生まれのアメリカ合衆国の女優。父親がレッドフォード版の「華麗なるギャツビー」やヒッチコックの「ファミリー・プロット」さらに「帰郷」など多くの映画に出演しているブルース・ダーンで母親も女優という芸能一家です。「ワイルド・アット・ハート」「ブルーベルベット」などのデヴィッド・リンチの作品に多く出演しています。彼女の名を一躍有名にしたのが93年の「ジュラシック・パーク」で、生物学者のグラント博士に同行してジュラシック・パークを視察する女性生物学者役と言えばお分かりいただけると思います。ほかにも「パーフェクトワールド」「アイ・アム・サム」「きっと、星のせいじゃない」「マリッジ・スト-リー」など数多く出演している実力派女優です。180センチ近い長身でどちらかというと凛々しい役柄が多い印象です。まだ50代ですからこれからの活躍も期待したいです

 

 

 

 

 

 ウィリアム・H・メイシー

/1950~

アメリカ合衆国のフロリダ出身の俳優、脚本家。初めて見たのはコーエン兄弟の「ファーゴ」だったでしょうか。舞台俳優としてキャリアを重ね、映画俳優として名前が売れてきたのはそのころで、すでに40代半ばでした。「陽の当たる教室」「エアフォース・ワン」「ジュラシック・パークⅢ」「サハラ死の砂漠を脱出せよ」「セルラー」など多数の出演作があります。スーザン・サランドンの「ザ・クライアント依頼人」「ボビー・フィッシャーを探して」にも少しだけ出ていますが、初めて見たときは全く気が付かなかったです。ちょっと情けない役や気のいい上司、旦那さんのイメージで、冴えない中年男を演じたら天下一品ではないでしょうか

 

 

 

 

 

 

映画において、主役に目がいくのは当たり前ですが、こうしてみると実に多くの映画が脇役のみなさんによって成り立っているのがよくわかります。主人公に絡む味わいある演技の脇役さんだけどなく、全く関係のないところでコミカルな演技の脇役さんを見るのも映画の楽しみ方のひとつでしょうね

 

このコーナーはもちろん継続予定ですが、みなさんのおススメの脇役俳優さんは誰でしょう?

 

 

今日の映画を初めて見たのは、公開から数年経ったあとのレンタルビデオでした。公開時は多分人生で一番忙しい頃で、なかなか映画館に行く暇さえなかったので、この頃は見逃した話題作も多かったですね。ただし、そのあとテレビやレンタルで何度も見てます。ホイットニー・ヒューストンの歌が素晴らしかったですね。ちなみに、ポスターでも有名なケヴィン・コスナーが女性を抱えている画像(上の写真)はホイットニー・ヒューストンではなくボディダブルだそうです(劇中はもちろん本物です)

 

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ボディガード

1992年/アメリカ(132分)

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ショービジネス界のトップスターと、敏腕ボディガードの恋を軸にボディガードとしての生きざまを描くサスペンス・ラブストーリー!

 

 

 監督

ミック・ジャクソン

 キャスト

ケヴィン・コスナー/フランク

ホイットニー・ヒューストン/レイチェル

 

ゲイリー・ケンプ/サイ(マネージャー)

マイク・スター/トニー(用心棒)

ビル・コップス/ビル(付き人)

ニッキー/ミシェル・ラマー・リチャーズ(姉)

ラルフ・ウェイト/フランクの父

トーマス・アラナ/ポートマン

 

監督は97年の「ボルケーノ」、ジャック・レモンの遺作「モリー先生の火曜日」のミック・ジャクソン。主役の二人は「アンタッチャブル」「さよならゲーム」「ダンス・オブ・ウルブス」「ウォーター・ワールド」などのケヴィン・コスナー。もう一人はビッグアーティストでもあるホイットニー・ヒューストン。この二人を中心に「ナイトミュージアム」のビル・コップス、ギャングや用心棒役などが多い大男のマイク・スター、「クリフハンガー」のラルフ・ウェイト、以前紹介した「L.A.コンフィデンシャル」「レッドオクトーバーを追え」のトーマス・アラナら多数出演しています。さらに「雨に唄えば」のデビー・レイノルズが本人役でカメオ出演しています

 

 

 

 

 

▲ケヴィン・コスナー/フランク

▲ホイットニー・ヒューストン/レイチェル

凄腕のボディガードのフランク(ケヴィン・コスナー)の元へ、ある日スーパースターのレイチェル・マロン(ホイットニー・ヒューストン)の護衛の依頼がくる。最近、彼女宛てに脅迫状や身辺で不審な出来事が多発していたのだ。ところが、彼女を含めスタッフの多くに危機感がない。さらに、自由奔放で我が儘なレイチェルとフランクは何度も衝突する。ところが、ライブ中に暴徒に襲われたレイチェルを救ったことでフランクは信頼されるようになるが、彼女を狙う魔の手は目の前まで迫っていた・・・

当時絶大な人気を博したトップスターのケヴィン・コスナーと映画初出演の歌姫、ホイットニー・ヒューストンが共演した話題作!

 

 

 

  サスペンスというよりラブストーリー

 

ホイットニー・ヒューストンの「I will always love you」の楽曲に加え、映画の大ヒットやテレビ放映などで何かと話題になった映画ですから、誰でも一度は観た人は多いのではないでしょうか?

 

この映画は、サスペンス映画にカテゴライズされていることが多いようですが、どちらかと言うとサスペンスタッチのラブストーリーです。途中ミスリードの演出はありますが、比較的早い段階で犯人の推測が出来てしまい、サスペンスとしては淡泊な印象です。それでも、ここまで話題になったのはホイットニー・ヒューストンの存在です。彼女の演技に対して批判的な意見もありますが、それをカバーしても余るほどの魅力がありました。さらにいうまでもありませんが、

「I will always love you」などの彼女の歌唱はすばらしい。この映画がここまでヒットしたのも、彼女の主題歌に負うところが多かったのは間違いありません。当時は珍しかった白人と黒人のラブストーリーということ以外はあまり目新しさはないのですが、中盤以降の緊迫感はさすがです。2人の微妙な距離感がいいですね。超人気だったケヴィン・コスナーが常に一歩引いた印象で、まさに「ボディーガード」を演じていた印象です

「私が嫌いなの?」

「お世辞を言う余裕がないだけだ」

「なぜボディガードになったの?」

「僕には唄えないから(笑)」

もともとこの脚本は、70年代にスティーブ・マックイーンを主人公として執筆されたそうで、その時の相手役がダイアナ・ロスだったそうです。それはそれで見たかったですね。そういえばケヴィン・コスナーの髪型、話し方、動作はかなりマックイーンを意識していたような気がします

 

▲映画「用心棒」の三船敏郎

  ボディガードと用心棒

 

レイチェルに告白されて2人で見にいった映画が三船敏郎主演の「用心棒」。とても初デートに相応しい映画だとは思えないのですが、映画を見たあとレイチェルがフランクに尋ねます

「彼(三船敏郎)は死にたかったの?」

「死を恐れないことと、死にたいのとは違う」

フランクはこの映画をとても好きな映画だと言い、今までに62回観たと言います。ひょっとしたらフランクがボディガードになったのは「用心棒」の影響があったのではないかと思わせるシーンですね。そして、それは彼のボディガードとしての矜持ではないかと思います

黒澤明監督へのリスペクトは感じるのですが、2人が見た映画館がいただけない(笑)。日本映画の専門映画館のようですが入口が唐破風(銭湯の入り口のような曲線の屋根)で「アタシ」の文字のネオン。「アタシ」??、これは多くの人が指摘しているように「シアター」の間違いだと思うのですが、ちょっとお粗末でした(上の画像)
 

場面が変わってフランクの自宅にある日本刀。面白がってレイチェルは危なっかしい手つきでそれを振り回し、刃先をフランクに突きつける。微動だしないフランク。彼女の首からスカーフをそっとはずし天井に放り上げる。スカーフはそのままレイチェルの構えた日本刀の上に落ちてくると、ハラリと二つに斬れて落ちる。静寂と動と静の美しい場面ですね。自然な流れで二人のラブシーンへと変わるのですが、刀は引かなければよく斬れません(笑)
 

 

 

  余韻あるラストシーン!

 

事件が解決し撃たれた片腕を吊ったフランクが空港で一人で待っている。そこへレイチェルを乗せた車がやってくる。喜ぶトニー(レイチェルの用心棒)たちとレイチェル。車の傍らには厳しく指示する初老のボディーガードらしい人物がいる

「見送りなんか来なくていいのに・・」

「さよならは言いたくないからキスして」

軽くキスを交わし専用機に乗り込むレイチェル。そして、飛行機が動き出すが、見送るフランクを見て

「止めて!」

飛行機から飛び出し一目散にフランクの元へ走り出し抱き合う2人・・・「I will always love you」の曲

 

場面が変わって、新たな雇い主のそばで佇むフランク。彼は再びボディーガードの世界へ戻り、レイチェルはショービジネスの世界へと帰っていきます。愛し合っていても別れるしかない運命の少し切ないラストでした

 

 

 

 

 

集計に手間取り1日発表が遅れて申し訳ありません。今回の回答ではみなさんから40作以上もの「クリスマスが印象的な映画」が寄せられました。見たことがある映画、ない映画があると思います思いますがこの機会にご覧ください!

 

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シネマDEクイズ /第89回

「クリスマスで思い出す映画は?」

/解答編

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問題(12.1出題)

クリスマスと聞いて思い出す映画といえば?(洋画限定)

*トップ~NO2~ブービーで回答

 

<正解>(投票の結果)

①トップ

ホーム・アローン

②NO2

素晴らしき哉、人生!

ラブ・アクチュアリー

(同数のため2作品)

③ブービー

あなたが寝ている間に・・

エルフ・サンタの国からやってきた

天使のくれた時間

暗闇にベルが鳴る

 

トップ~No2~ブービーは連単式で順番が違うと正解にはなりません

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<回答集計結果>

●応募総数 42件

(コメントより39件、メッセージ3件)

*有効投票数 117票(無効3票)

*投票作品数 42作

 

今回もたくさんの回答ありがとうございます。なお、コメント承認は企画の性質上、解答編を掲載するまで遅らせていただきました。この解答編をアップした段階で、みなさんのコメントを承認していますので詳細を是非ご覧ください

 

参考までにメッセージ(3件)からの回答は次の通りです

(トップ~NO2~ブービーの順)

メッセージ①さん

素晴らしき哉、人生~ホワイトクリスマス~若草の頃

メッセージ②さん

ホーム・アローン~ラブ・アクチュアリー~暗闇にベルが鳴る

メッセージ③さん 

ゴースト・ニューヨークの幻~天使のくれた時間~ユー・ガット・メール

 

*集計については当初のお知らせ通り、「全有効投票数」の中からトップ(1番投票が多い)NO2(2番目に投票が多い)ブービー(2票投票されたもの)を決めています

*今回は同名のリメイク作品などもいくつか見受けられましたが、特別な記載がない場合元ネタ(古い方)としました。さらに「三十四丁目の奇蹟」(47年)と「34丁目の奇跡」(94年)は監督名、年代の記載があればそちらを優先し、記載がない場合は「三十四」と「34」の表記で区別しました

 

<ベスト投票>

▲第1位/24票

「ホーム・アローン」


▲2位/12票

「ラブ・アクチュアリー」

 

▲2位/12票

「素晴らしき哉、人生!」

 

4位/ダイ・ハード(9票)

 

5位/ホワイトクリスマス(5票)

6位/恋におちて(4票)

6位/グレムリン(4票)

6位/三十四丁目の奇蹟(4票)

6位/34丁目の奇跡(4票)

6位/ホワイトクリスマス(4票)

 

トップは全投票24票で圧倒的な強さで「ホーム・アローン」でした。トップ予測も14票で2位以下を大きく離し独走状態で未だにクリスマス映画として根強い印象です。2位は「ダイ・ハード」「素晴らしき哉、人生!」「ラブ・アクチュアリー」の三つ巴で最終的には「素晴らしき哉、人生!」「ラブ・アクチュアリー」の2作が同点2位となりました。個人的には「素晴らしき哉、人生!」が最上位予測でしたが、思ったより伸びなかった印象で、逆に「ラブ・アクチュアリー」が2位予測が一番多く票を伸ばしました。全体としては往年のクリスマス映画が上位に多かったと思います。個人的には「スモーク」「8人の女たち」「戦場のアリア」「3人のゴースト」などにもう少し票が集まると思っていました

 

トップ的中(「ホームアローン」をトップ投票した人)が14人、NO2的中(「ラブ・アクチュアリー」か「素晴らしき哉、人生!」を2位予想した人)が13人で、トップ~NO2の的中がよらひくさん、conco852qさん、マドモワゼルBさん、ほくとさん、メッセ②さん、まるごさん、内田也子さんの7人でした。お見事でした

 

<ブービー投票>*敬称略

「あなたが寝ている間に・・」

conco852q×すずめちゃん

 

「エルフ~サンタの国からやってきた~」

point7077×まるご

 

「暗闇にベルが鳴る」

タカ×メッセ②

 

「天使がくれた時間」

point7077/妻×(メッセ③)

*メッセ③さんはNO2での予想のためブービー正解にはなりません

 

ブービー投票は以上4作品で正解者は7人でした!正解のみなさん、お見事でした!

 

オリビア・ハッセーの「暗闇にベルが鳴る」が入りましたか。そして大好きな「俺たちは天使じゃない」は多分誰もいないだろうと思って入れませんでしたが、ありましたね。「恋に落ちて」「ホワイトクリスマス」は意外に人気になりました。以前レビューした「やさしい嘘と贈りもの」「ホリディ」「8人の女たち」「大逆転」はブービーでもおかしくなかったですね。ワンダが挙げた「クリスマスツリー」は感動の名作なのですが残念ながら3票でした。ほかに「シザーハンズ」「ラストクリスマス」(80)も惜しくも3票でした。「クーパー家の晩餐会」「サンタクローズ」「サンタクロースになった少年」「若草の頃」「グリーンブック」「バッドサンタ」「別れのクリスマス」などはボッチ投票でした。

 

今回の「トップ」「NO2」「ブービー」の3連単的中のパーフェクトがなんと3名!

conco852qさん

メッセ②さん

まるごさん

おめでとうございます!マドモワゼルBさん、途中までパーフェクトでした。ブービーの「クリスマスツリー」が3票で惜しかったです

 

次に惜しくも準正解(トップ&ブービーの正解)は

point7077/妻さん

タカさん

の2名でした。おめでとうございます!さすがです!

 

今回もたくさんの回答ありがとうございます。感謝、感謝です。何度も言いますがクイズですから当てることも大事ですが、一番も目的は「映画を知り、楽しむこと」です。これを機会にたくさんの映画を知り、見ていただきたいです