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「ヒート」
1995年/アメリカ(171分)
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ロサンゼルスを舞台に、強盗団のリーダーと彼らを追う刑事を描く犯罪アクション!
監督
マイケル・マン
キャスト
アル・パチーノ/ヴィンセント・ハナ
ロバート・デ・ニーロ/ニール・マッコリー
ヴァル・キルマー/クリス
ジョン・ヴォイト/ネイト
トム・サイズモア/マイケル
ダイアン・ヴェノーラ/ジェスティン
エイミー・ブレネマン/イーディ
アシュレイ・ジャッド/シャーリーン
ウェス・ステュディ/カサルス
テッド・レヴィン/ボスコ
ケヴィン・ゲイジ/ウェイングロー
ナタリー・ポートマン/ローレン
監督は「ラスト・オブ・モヒカン」「コラテラル」「パブリック・エネミーズ」のマイケル・マンで、人気テレビドラマ「マイアミ・バイス」の脚本・総指揮としても知られています。主演には「ゴッドファーザー」「セルピコ」「スケアクロウ」「狼たちの午後」「オーシャンッズ13」などのアル・パチーノ。もう一人の主役には「タクシードライバー」「ゴッドファーザーPARTⅡ」「ディアハンター」「ミッド・ナイト・ラン」「アンタッチャブル」「レイジンブブル」「マイ・インターン」などのロバート・デ・ニーロ。ほかには「トップガン」「ウィロー」「セイント」「トゥームストーン」のヴァル・キルマー、「真夜中のカーボーイ」「チャンプ」「オデッサファイル」「ナショナルトレジャー」などのジョン・ヴォイト、「青いドレスの女」「トゥルー・ロマンス」「プライベート・ライアン」「レリック」のトム・サイズモア、さらに「ジャッカル」「インサイダー」のダイアン、ヴェノーラ、「コレクター」「エンド・オブ・ホワイトハウス」のアシュレイ・ジャッドなど超豪華俳優が出演しています。そして「メジャー・リーグ」のデニス・ヘイスバート。「コン・エアー」のダニー・トレホ、さらに「レオン」のマチルダ役で鮮烈デビューしたナタリー・ポートマンも出ています
▲アル・パチーノ/ヴィンセント・ハナ刑事
▲ロバート・デ・ニーロ/ニール・マッコリー
▲ヴァル・キルマー/クリス
▲トム・サイズモア/マイケル
▲ジョン・ヴォイト/ネイト
ニール(ロバート・デニーロ)率いる犯罪集団は用意周到に現金輸送車、銀行強盗などを繰り返しなかなか尻尾を掴ませない。一方、ロス市警のヴィンセント・ハル刑事(アル・パチーノ)は家庭崩壊寸前にもかかわらず仕事に異常な執念を燃やし、犯罪集団を追い詰めていった。ニールは若い恋人が出来、最後の大仕事の計画を進めるがその動きはハル刑事らに捕まれていた。絶体絶命の中、ニールたちは捜査員の裏をかいて銀行を襲うのだが・・・
組織のボスと敏腕警部による因縁の対決を濃密な迫力で描く
1990年代の傑作クライムアクション!
映画は、犯罪者ニール・マッコーリー(ロバート・デ・ニーロ)と刑事ヴィンセント・ハナ(アル・パチーノ)の対立を描いていますが、彼らの関係性は単純な刑事と犯罪者ではありません。二人は互いに異なる道を歩むものの、孤独とプライドを持って生きています。その二人が相対した時、哀しいドラマの幕が開きます
「ヒート/Heat」とは?
本作「ヒート/Heat」は、強盗団とロサンゼルス市警察との死闘を描いた作品です。タイトルにもなっている「ヒート」とはスラング(俗語)で、銃火器や強盗団という意味と警察の2つの意味を持っており、まさに本作そのものです
サスペンス映画、アクション映画の秀作が多い90年代の中でもひときわ異彩を放っておりストーリー、演出、俳優陣のどれをとっても一級品の犯罪映画です。しかし、ただのクライムアクションではありません。悪と正義、信念と矜持の間で揺れ動く人間の心理を深く描いた優れた人間ドラマでもあります
現代はジェンダーレスや多様性が叫ばれ、映画の描写や表現も大きく変わってきています。決してそれらを否定するつもりはありませんが、この映画は”男”が”男”を描いた作品です。もちろん女性も重要な役どころで何人も出てきますが、最終的には「男対男」の対決になります。それは芳醇な深い香りが充満し”男たち”を虜にする映画です
171分の長編映画
この映画は171分、つまり約2時間51分の長編映画です。時々この映画を評して「長すぎる」「前半が退屈」などという声を聞きます。ですが、ちょっと待っていただきたい!この映画は、最初に述べたように犯罪のプロのニール(ロバート・デ・ニーロ)と敏腕刑事ヴィンセント(アル・パチーノ)の二人を軸に描く犯罪映画です。前半は、そんな二人の生活や信条を丁寧に描き後半はその二人の対決を描いています。つまり、前半の二人をしっかり追って理解していないと面白さも半減してしまいます。ニールとヴィンセントの別々の物語を同時進行している前半のドラマこそが見どころのひとつになっています。そして、そのふたつの物語が交差する後半に、もうひとつの物語があります
敏腕刑事のアル・パチーノを描く物語と犯罪プロのリーダーのロバート・デ・ニーロを描く物語と、その二人が対峙する物語の三本分と思えば2時間51分は決して長く感じないはずです
史上最も迫力ある銃撃戦
この映画には夥しい銃やライフルが登場します。その方面にはあまり詳しくはないのですが、好きな方にはまさに宝庫の映画だそうです。そうした銃火器の見どころが終盤の警察との銃撃戦です。映画史上最も迫力ある銃撃戦と言われ、CGを一切使わないリアルな描写として、後にクリストファー・ノーラン監督ら多数の監督が参考にしたと言われています。なんと言ってもヴァル・キルマーやロバート・デ・ニーロがライフルでぶっ放すシーンはゾクゾクするくらいカッコイイ!後半の有名な銃撃シーンはわずか13分弱ですが緊張感があり、それまでの静かな映画がクライマックスへ向けて走り出す合図のようでした
銃撃戦のずっと前に二人はカメラ越しに対峙しています。とても印象的なシーンで、警察の気配を察知して逃げる時に明らかにカメラに向かって挑発するニール(ロバート・デ・ニーロ)とその彼をにらむヴィンセント(アル・パチーノ)がめちゃめちゃかっこいいです。画面越しににらみ合う二人のアップは直接対峙しているわけではないですが、独特の緊張感がありました
マイケル・マン監督は、「コラテラル」「パブリック・エネミーズ」などを見てわかる通り、緻密な演出と革新的な映像美でクライムムービーに新たな境地切り開いたとされています。本作でも圧倒的なリアリズムとスタイリッシュな映像が観る側の胸に刻まれることになることでしょう。クリストファー・ノーラン監督の大ヒット作「ダーク・ナイト」制作において本作「ヒート」を何十回も観て研究したと語っています。そう言われてみれば少し雰囲気は似ていますね
ゴッドファーザーの二人の共演
主演の二人は「ゴッドファーザーPART2」(74年)でニアミスをしています。アル・パチーノはヴィトーのあとを継ぎ、コルレオーネファミリーのボスとなったマイケルを演じ、ロバート・デ・ニーロは、マイケルの父ヴィトーの若き日を演じています。二代目を継いだマイケルの闘いと苦悩と若き日とヴィトーがアメリカでのし上がっていくまでを描く二つの物語が同時進行していく映画で、主演の二人とも絶賛され俳優としても確固たる地位を築きました。ただ、実際には共演はしていません。1940年生まれのパチーノと、43年生まれのデ・ニーロは「ゴッドファーザーPART2」では共に30代前半でしたが、本作ではお互い50代で初共演を果たします
強盗犯ニール(ロバート・デ・ニーロ)は犯行計画に少しでも綻びが生じたら即座に逃げられるよう、不要な繋がりはあらかじめ全て捨てています。その異常なストイックさで完璧に仕事をこなします。対する刑事ヴィンセント(アル・パチーノ)にしても昼も夜もなく刑事の仕事に没頭し、家庭は崩壊寸前で毎日LAの街を闊歩して、悪と対峙しています。強盗と刑事という正反対の立場にいるアル・パチーノとロバート・デ・ニーロの存在感がこの映画の格を一段も二段も押し上げています。それぞれの信念と孤独が交錯する中で知らず知らずに物語に引き込まれていきます
レストランでの二人!
この映画ではたくさん好きなシーンがありますが、映画としてのターニングポイントになっているのが、中盤にニール(ロバート・デ・ニーロ)とヴィンセント(アル・パチーノ)の二人がレストランで会うシーンです
「俺とお前は立場は違うが似たもの同士だ」
「ここでは、俺もお前も普通の男だ。俺たちは他人で俺は俺の道を行く。お前はお前の道を行け。だが、こうして顔を合わせた仲だ、お前をムショ送りにはしたくない。だが、もしお前が俺の邪魔をするのなら迷わず俺はお前を撃つぞ」
「ああ、俺も邪魔はさせない。それに俺は絶対にムショには行かない」
前半でさんざん二人の仕事ぶりを見せられて、二人が面と向かって初めて話しをするのがこのレストランでのシーンです。粋なセリフの応酬で、かつてのフランスのギャング映画の名作「シシリアン」でのジャン・ギャバンとリノ・ヴァンチュラのやりとりを彷彿させます
「ある奴がこう言った。サツの気配を感じたら30秒フラットで高飛びできるよう、面倒なかかわりを持つなって。 そうゆう男を捕まえようって奴が、結婚するのが間違ってる」
そんな完璧主義者のニール(ロバート・デ・ニーロ)もイーディ(エイミー・ブレネマン)と出会ってから徐々に考えが少しづつ変わってくる。そのニールの心の揺れが最高級アクション映画に絶妙なドラマを生み出しています。ニールとヴィンセントは警察と犯罪者という敵対するポジションなのですが、お互いの良き理解者であるところも面白い。そんな二人はまさに男が惚れるレベルで、最高なクライムアクションであると同時にドラマとしても一級品です
彼らの唯一の対話シーンでは、お互いの生き方に対する理解と尊敬がしっかり見て取れます。この映画のポイントは、全く立場が違う二人の間に芽生える奇妙な共感であり、そしてラストの対決に至るまでの緊張感を高めています。つまり、このシーンは、二人の人生がここでクロスし、後半の展開に結びついていくという重要なターニングポイントとなります
ドラマを彩る女優陣
冒頭に言いましたが、この映画はアル・パチーノとロバート・デ・ニーロの競演が最大のウリですが、ヴァル・キルマー、トム・サイズモアやダニー・トレホ、ジョン・ヴォイトといったいかにも男気あふれる配役も見逃せません。さらに、男臭い男優陣に対し、あまり目立ちませんがダイアン・ヴェノーラ、アシュレイ・ジャッド、ナタリー・ポートマンら女性陣の繊細さが対照的でドラマの部分の柱になります
仕事への異常な執念のため家庭崩壊寸前になりながら、娘(ナタリー・ポートマン)の自殺未遂により妻と和解するように見えて「お前の望む夫じゃない」と言って犯罪の現場に戻るアル・パチーノ。妻役のダイアン・ヴェノーラの熱演も見逃せません。そして、ヴァル・キルマーと妻役のアシュレイ・ジャッド。言い争いの絶えない夫婦生活で破局を迎えながら、警察が張り込んでいるのをそっと教えて逃がすシーンはグッときます
ムショには二度と帰らない
最後のシーンは、ロサンゼルス空港の近くの倉庫_夜の闇と飛行機の着陸灯が織り成すコントラストは、二人の内面を映し出しています。ヴィンセント(アル・パチーノ)とニール(ロバート・デ・ニーロ)の間には、明と暗、善と悪、法と犯罪という対立構造が存在しますが、先のレストランでの二人だけの対話でもあったように”似たもの同士”という共感と理解があります。できれば戦いたくなかった相手ですが、お互いにプロとしての矜持がそうさせません
暗闇の中で瞬間飛行機のライトと影、そして銃声_
「言っただろ?ムショには二度とかえらないと・・・」
いい映画はいくつも見てきましたが、こんな痺れる映画はめったにお目にかかれません。CGのない贅沢この上ない気分にさせてくれる映画です。是非どうぞ!


































