イタリア・コルティナ冬期五輪が始まって毎日熱戦が繰り広げられています。ほぼ毎日寝不足です。やはり生で見るスポーツは見る者を熱くします。まだまだ当分寝不足が続きそうですね
今日の映画は、行きつけの横浜の映画館で見ております。もともと原作ならびにテレビドラマのファンでこのシリーズはすべて見ております。その中でも断トツに面白い作品だと思います
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容疑者Xの献身
2008年/日本(128分)
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東野圭吾氏の人気ミステリー「探偵ガリレオ」シリーズ第3弾「容疑者Xの献身」を映画化した福山雅治の初主演映画!
監督
西谷弘
原作
東野圭吾
キャスト
福山雅治/湯川学
堤真一/石神哲哉
松雪泰子/花岡靖子
柴咲コウ/内海薫
北村一輝/草薙俊平
渡辺いっけい/栗林宏美
品川祐/弓削志郎
真矢みき/城ノ内桜子
ダンカン/工藤邦明
長塚圭史/富樫慎二
金澤美穂/花岡美里
リリー・フランキー/草野球の監督
八木亜希子/八木亜希子
増岡徹/葛城修二郎
林泰文/柿本純一
▲福山雅治/湯川学
▲堤真一/石神哲哉
▲松雪泰子/花岡靖子
▲柴咲コウ/内海薫
▲北村一輝/草薙俊平
花岡靖子(松雪泰子)と娘の美里(金澤美穂)が慎ましく暮らすアパートに、元夫の富樫慎二(長塚圭史)が現れる。何度引っ越しを繰り返しても居場所を突き止められ、金をせびりに来る富樫は二人にとっては厄介者でしかない。言い争いの末二人は富樫を殺してしまうのだが、その気配を察した隣の部屋の住人の石神(堤真一)は、人生に絶望していた彼にとって心の支えだった花岡親子を救うために”ある決心”をする。一方で、顔を潰され指を焼かれるという残忍な殺人事件が発生し、この殺人事件を捜査している草薙(北村一輝)と内海(柴咲コウ)は有力な容疑者として花岡靖子を訪ねるが彼女には鉄壁のアリバイがあった。捜査が行き詰まり、帝都大学理工学部で准教授を務めるガリレオこと湯川学(福山雅治)に捜査協力を求め、偶然容疑者である靖子の隣人がかつて帝都大の同窓だった石神と知り事件とのかかわりを疑うのだが、そこにが意外な真実が隠されていた・・・
基本的なストーリーは原作に沿ったものとなっていますが、所々で独自要素が組み込まれおり、湯川と石神が雪山に登り、足を滑らせた湯川を石神が助けるという演出が追加されています
ガリレオシリーズの最高傑作!
この映画は、東野圭吾氏の推理小説の中の”ガリレオ”シリーズの第3弾!「探偵ガリレオ」「予知夢」(共に短編)がドラマ化(それぞれ10話)されており、そのあとを受けて映画化された作品で、当時39才の福山雅治にとっても初の映画主演作品となりました。引き続きこのシリーズでは、同じ西谷弘監督で「真夏の方程式」(13年)「沈黙のパレード」(22年)が映画化されています。本作はドラマ版からのオリジナルメンバーのほかに、湯川学の親友の数学者の石神役で堤真一、事件の発端となった花岡靖子役に松雪泰子が出演しており見応えのある作品に仕上がっています
「実に面白い!
この映画は、単なるミステリーにとどまらず、重厚なテーマ性と綿密に計算されたストーリーを基に映像化されています。さらに、俳優陣が素晴らしく日本映画史に残るサスペンス作品と言ってもいいのではないでしょうか。この作品は、単なる犯人探しに終わらない、人間ドラマとしての深みと、文字通り「献身」という名がふさわしい愛の形を描き出しており、完成度の極めて高い作品に仕上がっており人気のガリレオシリーズの中での最高傑作と言っていいと思います
天才物理学者vs天才数学者
東野圭吾氏の小説は大好きで過去にも何度か登場させている「新参者」シリーズや「ガリレオ」シリーズはじめほとんど原作は読んでおります。この作品では、いくつかの脚色はあるものの原作に近い形で描かれています。ただ、石神演じる堤真一は少しいいオトコ過ぎますね(笑)。それで原作を知る人の中にはミスキャストという人が多い反面、絶賛する声が多いのも事実です。あまり原作を意識しないで見た方が感情移入できると思います。そういえば堤真一は人気ドラマ「やまとなでしこ」でも数学者役でした。あの時はイケメン数学者、今回は風采のあがらない数学者です。堤真一扮する数学者石神の朴訥とした語り口、そして雨の中靖子を待つシーンは不気味で、俯きながらトボトボ歩く姿がもの哀しい
この映画は、冒頭に殺人が行われ誰が犯人かはっきりわかった上で進みます。いわば謎解きがメインの物語なのですが、そこに17年ぶりに再会した天才物理学者のガリレオこと湯川(福山雅治)と天才数学者の石神(堤真一)の対決が見所のひとつです
「天才なんていう言葉はうかつに使いたくないが、本物の天才と言えるのは石神だけだ」
殺人事件の容疑者である花岡靖子(松雪泰子)のアリバイを崩せない草薙と内海から相談を受けた湯川はまったく興味を示さなかったが、靖子の隣の部屋に大学時代の友人である石神が住んでいることを知らされ湯川が呟いたセリフ。そして湯川は、石神の家へ難解な数学の問題を手土産に遊びに行き数時間で解いた石神を「天才は健在だな」というシーンが伏線になっています
犯罪の陰に美人あり?
この映画は、一度でも見たことがある人ならわかると思いますが、天才数学者を演じた堤真一の怪演がずば抜けています。ほかにも長塚圭史さんが演じる富樫慎二のダメ男ぶり、そしてなんと言っても松雪泰子が素晴らしい。彼女は「フラガール」も良かったですが、今回は”儚げで美しい”。草薙(北村一輝)が難航している事件の容疑者の女性・花岡靖子(松雪泰子)のことを話すと、即座に湯川が「美人か?」と聞き、内海(柴咲コウ)が「美人かどうか事件に関係あるんですか?」の問いに二人とも「大事なことだ」といい、さらに草薙が「どこか儚げな美人なんだよな~」と言うシーンがあります。まさに彼女は儚げで美しい。そして、それは石神が事件に加担したことと無関係ではないはずです。二人が「大事なことだ!」と言ったセリフが的を得ていたことになります
「湯川、君はいつまでも若いな、うらやましいよ」
十数年ぶりに再会し二人で飲んだ朝、信号待ちで向かいのガラスに映った自分と湯川の姿を比べて石神がポツンとつぶやきます。何気ないシーンですが、このセリフこそガリレオが石神を疑う第一歩となる重要なセリフでした。そして、ラストの湯川の独白でこう語っています
「石神という人間は自分の容姿を気にするような人間じゃない、それで恋をしていると思った」
容疑者Xの献身
このシリーズは、ガリレオこと湯川学が犯人のトリックを物理的に実証して犯行を暴くのですが、この回の主人公は石神と言っても過言ではありません。人生の絶望にあった石神を救ったのが花岡親子の存在です。彼女と子どもの笑顔です。尊いものの幸せを守るために、考えられたトリックは愚かさと優しさを兼ね添えており常人では考えつきません。つまり、石神の見返りを求めない不器用な愛を理解出来ない限り事件を解明することができないのです。ラスト近くでの石神の独白がすべてを語っています
「なあ湯川、あの問題(事件)を解いても誰もしあわせになれないんだ。もう忘れてくれないか」
東野圭吾作品の渾身の映画化
人気の東野圭吾氏の映像化作品としては、最近では「ブラック・ショーマン」や先に紹介したガリレオシリーズの「真夏の方程式」「沈黙のパレード」。「ある閉ざされた雪の山荘で」「マスカレード・ホテル」「人魚の眠る家」新参者シリーズの「麒麟の翼」「祈りの幕が下りる時」。さらに「プラチナデータ」「さまよう刃」「秘密」「天空の蜂」などなど書き切れないほどたくさん映画化されています。それでも東野圭吾好きのひとりとして言わせていただけるのなら、原作の良さを生かし切れない映画が多い印象です。そういう意味では本作は最高傑作の一本であると言えます。さらにキャラクターとして「新参者」の刑事・加賀恭一郎役の阿部寛と並んで「ガリレオ」の福山雅治はダントツに面白いですね
これは個人的な意見ですが、原作は面白いのに映像化するとイマイチ面白くないということが多いです。映画の場合多くは2時間前後ですから、すべて表現出来るはずがありません。したがって、良い脚本が出来ない限り面白い作品は出来ません。最近人気の連続ドラマを劇場版と称して映画化することが多いです。もちろん、それには商業的な側面があるでしょうが内容的には1時間ドラマを2時間かけて映画にしたようなものが多い印象です。せっかく素晴らしい原作を映画化するのであれば、せめて本作くらいの脚本とスケール、キャストで撮ってもらいたいです
切ないラスト
ラストはやっぱり切ないですね。全てを犠牲にした計画が、靖子(松雪泰子)の告白によって台無しにされた石神が気の毒にみえます。靖子たちが黙っていれば石神の計画は成功したかもしれません。ただそれで良かったかどうかの問題は残ります。普通の人間は人の死に関わる秘密を一生守り抜くのは難しいでしょうから。この作品は、出来事をたんたんと受け入れて、愛するひとたちのために罪を被る石神の強い想いを噛み締めて泣くことだという気がします
「石神は花岡親子に生かされていたんですね」
冒頭で内海(柴咲コウ)との話しの中で、愛という不確かな物について考えることの無意味さを語っていた湯川ですが、愛ゆえに罪を犯した石神を複雑な思いで見つめます
やはり最後の石神の独白が泣けます。そしてそれが本当の意味での謎解きになります。いつも冷静だった石神が松雪の「わたしも一緒に罪を償います」という告白に「なんで!」「なんで!」となきながら叫ぶのが声が響きます
何度見ても面白いです、是非どうぞ!


















































