この映画は、70年代の終わりに名画座で「シェルブールの雨傘」との二本立てで初めて見ております。その後レンタルで1回、そして2009年にデジタルリマスター版を渋谷で見ています。やはりこの映画も大画面で見るべきだと思いました
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ロシュフォールの恋人たち
1967年/フランス(123分)
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「シェルブールの雨傘」のジャック・ドゥミ監督による、ロシュフォールを舞台にしたフランスのミュージカル映画!
監督・脚本
ジャック・ドゥミ
音楽
ミシェル・ルグラン
キャスト
カトリーヌ・ドヌーヴ/テルフィーヌ
フランソワーズ・ドルレアック/ソランジュ
ジーン・ケリー/アンディ
ジョージ・チャキリス/エチエンヌ
ジャック・ペラン/マクザンス
ダニエル・ダリュー/イヴォンヌ
ミシェル・ピコリ/シモン
クローヴァー・デール/ビル
監督は「シェルブールの雨傘」「ロバと王女」のフランスの監督ジャック・ドゥミ。出演は「シェルブールの雨傘」「哀しみのトリスターナ」「リスボン特急」などのフランスの大女優カトリーヌ・ドヌーヴ。そして、ドヌーヴの実の姉で「リオの男」のフランソワーズ・ドルレアック。他にも「雨に唄えば」「巴里のアメリカ人」などのジーン・ケリー。「ウエストサイド物語」のジョージ・チャキリス。さらに、この前亡くなられた「ニュー・シネマ・パラダイス」のジャック・ペラン。さらにクローヴァー・デール、ミシェル・ピコリ、そして「うたかたの恋」「赤と黒」など50年代のフランスのトップ美人女優と言われたダニエル・ダリューなどの超豪華版です。ちなみに、カトリーヌ・ドヌーヴの姉フランソワーズ・ドルレアックはこの映画のあと25才で交通事故で亡くなっています
カトリーヌ・ドヌーヴ(左)とフランソワーズ・ドルレアック(右)姉妹
ジョージ・チャキリスとクローヴァー・デール
ジーン・ケリーとフランソワーズ・ドルレアック
ジャック・ペラン
フランスの海辺の街ロシュフォールが舞台_
年に一度のお祭りを目前に控えるロシュフォール。そこに住むテルフィーヌ(カトリーヌ・ドヌーヴ)とソランジュ(フランソワーズ・ドルレアック)の美しい双子の姉妹は、いつの日かパリに行きたいと願っていた。テルフィーヌはバレリーナ、ソランジュはは音楽の道を目指していたが、同時に理想の恋人との運命の出会いを夢見ていた。そんな彼女たちの母親イヴォンヌ(ダニエル・ダリュー)が営むカフェには今日もたくさんの常連客で賑わっていました・・・
ロシュフォールはフランス北西部にある港町で、フランスで最も美しい村のひとつだそうです。撮影の際は街も全面協力して広場に面したアパルトメントの窓枠などは実際にイメージに合わせて塗装したそうです。カラフルでありながら調和のとれた色彩は、初めて買ってもらった24色の色鉛筆を開けた時のような感動があります
色彩が踊り出すミュージカル!
キャラバンが到着するオープニングから楽しさ全開です!心弾むメロディ、色彩あふれるファッション、ダイナミックなダンスでどこを切り取ってもウキウキが止まりません!
同じジャック・ドゥミ×ミシェル・ルグランコンビによる「シェルブールの雨傘」の、色とりどりの傘を上からとらえたオーピニングに対し、本作では白と青とのコントラストで魅せる対照的なオープニングです。軽快な音楽とダンスの中央にいるのはジョージ・チャキリスで「ウエストサイド物語」に似た振りもあります。やがてゲートが上がり広場で繰り出すダンス!オープニングからしてワクワクを通り越してすでに心拍数もMAXです
ミュージカルというとアメリカの独壇場という印象ですが、フランスだと一味もふた味も違います。アメリカのミュージカルはある意味力強く男性的なイメージですが、フランスのミュージカルは女性的で優しく色使いに特徴があります。ダンスも微妙に合っていなかったりするのですが、いい意味で張り詰めた感がなくラフなイメージでしょうか。イエロー、ピンク、ブルーなどのパステルカラーに加え海辺を意識した白の使い方が見事です。ファッションは、いわゆるフレンチロリータで色使いと可愛さが魅力です。色・ファッション・音楽・ダンスとのハーモニーが見事で”見る”というより色と音楽が空から降って来る印象です。テレビでも良さはそれなりに伝わると思いますが、できれば映画館の大画面で見ていただきたいと思います
「ラ・ラ・ランド」のデイミアン・チャゼル監督が最も影響を受けたミュージカル映画と言われおり、冒頭シーンなどはインスパイアされていますね
ミシェル・ルグランの名曲の数々
「シェルブールの雨傘」「華麗なる賭け」「おもいでの夏」「栄光のル・マン」など時代を代表するミシェル・ルグランの名曲の数々!ジャズとシャンソンが溶け合った軽妙な音楽は、聴いていて思わず口笛を吹きたくなります
1.キャラバンの到着 (3:16)
2.マクサンスの歌 (3:20)
3.デルフィーヌとランシアン (2:56)
4.水夫,友達,恋人,夫 (3:41)
5.シモンの歌
6.バラバラ事件の女 (2:18)
7.夏の日の歌(3:16)
8.双児姉妹の歌 (3:30)
9.アンディの歌 (2:10)
10.ソランジュの歌 (2:31)
11.デルフィーヌの歌 (2:33)
12.町から町へ (2:43)
13.イヴォンヌの歌 (1:43)
14.いつもいつも
15.キャラバンの出発(1:52)
「キャラバンの到着」や「双子姉妹の歌」はよくCMなどに使われていますが、その他にも「この曲聴いたことある」という曲も多いと思います。一曲一曲が素晴らしく時代を代表するサントラでもっと評価されてもいいと思います。1998年にリマスター完全版では23曲が納められています。個人的には、この映画がなぜアカデミー賞ミュージカル作曲・編曲賞を獲れなかったのか不思議です。この年は「オリバー」のジョン・グリーンが獲得しています
主な登場人物には1人づつテーマ曲があり、カップルになるはずの男女には同じテーマ曲が流れるのでじっくり聞いていれば誰と誰がカップルになるかわかります
人形のような二人!
アメリカからジーン・ケリー、ジョージ・チャキリスらを招いたフレンチミュージカル。ジーン・ケリーはこの時すでに54才ですから若干違和感がないでもありませんが、さすがにダンスはキレッキレでやはり目立っていましたね
アメリカのミュージカルの違いは先ほども少し言いましたが、フランス語のささやくような話し方だとどこかコミカルで可愛いイメージです。歌と踊りで魅せるというより、色と物語で魅せるというイメージでしょうか。この映画で印象的なのが双子役の二人(実の姉妹)のカトリーヌ・ドヌーヴとフランソワーズ・ドルレアックです。バイカラーの二人のファッションを見ているだけで癒されます。姉は赤毛、妹はブロンドで衣裳も全て計算されている印象です
物語は、すれ違い、再会、偶然の出会いなどありドラマチックではありますが、細部の味付けが今ひとつで「シェルブールの雨傘」ほどの感動は少し薄い気がします。それでも最後はほぐれた糸をほぐすようにハッピーに収まっていきます。題名が「ロシュフォールの恋人」ではなくて「恋人たち」ですから、いくつものカップルに幸せが訪れ、新しい旅立ちもあり笑顔で幕を閉じます
ポップで洗練された色彩センスと抜群の音楽で”魔法にかかる映画”です
是非、楽しんでください!