いよいよ記念すべき令和元年(2019年)も残りわずかとなりました。今年はみなさんにとってどんな年だったでしょうか?
今年一年ありがとうございました!
今日が今年最後のレビューとなります。多忙の毎日で例年通り年末年始も仕事でのんびりしていられません!その分、ブログの方はマイペースでやらせていただいております。来年も好きな映画や音楽で楽しくやっていきましょう!
来年も「ワンダの映画三昧」をよろしくお願いします!
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今年最後のレビューは、大好きな70年代の映画の中でも、特にお気に入りの一本で、70年代の終りに東京下町の名画座で観ております。その後、この映画を追いかけて「雑誌ぴあ」を片手に近郊の名画座で何度か観ております。あの頃はいつも金欠で、片道の電車賃と映画館の入場料しかないのは承知で遠くの名画座まで映画を観に行き、夜中に6時間かけて歩いて帰ってきたこともあります(笑)。つらいと思ったことは一度もありません!むしろ映画を観た感激を何度も何度も噛みしめ、当時書き綴っていた「映画ノート」に感想をぶつけていました。その後、この映画はレンタルで何度か観ておりますが、やはり劇場で観るべき映画だと思いました
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「フレンチ・コネクション」
1971年/アメリカ(104分)
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公開されてから50年近くたった今でも、さん然と輝くウイリアム・フリードキン監督の刑事アクションの金字塔!
▲主演のジーン・ハックマン
◆ 監 督 |
ウイリアム・フリードキン
この作品で、1972年アカデミー監督賞を受賞しています。他には、オカルトブーム巻き起こしたあのメガヒット作品「エクソシスト」(73年)、リメイクの「恐怖の報酬」(77年)、「L.A.大捜査線/狼たちの街」(85年)など多数。あのフランスの名優ジャンヌ・モローの元ダンナさん!
◆ キ ャ ス ト |
ジーン・ハックマン/通称”ポパイ”
1960年代から2000年代まで活躍したハリウッドの代表的男優。アメリカン・ニューシネマの名作*「俺たちに明日はない」(67年)で注目されるまで無名の遅咲き。その後、*「ポセイドン・アドベンチャー」(72年)、*「スケアクロウ」(73年)、などの話題作に出演、「地獄の七人」(83年)、「ミシシッピー・バーニング」(88年)、「許されざる者」(92年)、「クリムゾン・タイド」(95年)、「目撃」(97年)、「エネミー・ライン」(01年)など多数出演。この作品でアカデミー賞主演男優賞を、92年「許されざる者」で助演男優賞を受賞しています
ロイ・シャイダー
ご存知「ジョーズ」(75年)のブロディ署長!ジェーン・フォンダの「コールガール」(71年)、「マラソンマン」(76年)など知的で大好きな俳優さんのひとりです
フェルナンド・レイ
スペイン出身の名優。「哀しみのトリスターナ」(70年)、「さすらいの航海」(76年)などで「さすらいのガンマン」(66年)をはじめとした西部劇では、神父役が多いと感じるのは自分だけでしょうか?
ビル・ヒックマン
エディ・イーガン
*以前レビューしています!
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1961年のニューヨークが舞台_
実際に起きた危険をもとにつくられた作品!マルセイユとニューヨークを結ぶ麻薬取引ルート(通称フレンチコネクション)を背景に、二人の刑事(麻薬捜査官)が組織撲滅に執念を燃やすが・・・
オープニングがすばらしいの一語!これから始まる主人公の暴走を暗示するかのように響く音楽が印象的です
誰がなんと言おうと、刑事モノの最高傑作!
以前「第34回/シネマDEクイズ・刑事映画といえば?」では「ダイハード」や「ダーティハリー」などが人気となっておりましたが、個人的にはぶっちぎりのナンバーワン!それまでの刑事像を根本的に覆し、犯罪者へのあくなき執念と手段を選ばぬ非情なやり方の、いわゆる、今では当たり前のようになっているはみ出し刑事モノやアウトロー刑事モノの基本を作り上げた映画です。同時期に作られた「ダーティハリー」(71年)と共に、エポックメイキング的作品です!この映画の中で、主人公”ポパイ”刑事のムチャぶりやはみ出しぶりは、今では当たり前ですが当時としては珍しく新鮮でした。アメリカン・ニューシネマが絶頂の71年という時代が創り上げた作品で、ウイリアム・フリードキンとジーン・ハックマンの渾身の一作です!
アメリカン・ニューシネマの代表的な映画のひとつ!
*以前レビューしています
▲ポパイ刑事ことジーン・ハックマン
▲相棒役のロイ・シャイダー
▲フェルナンド・レイ
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リアリズム重視のドキュメンタリータッチで繰り広げられる骨太の刑事ドラマ!
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もともと、監督のフリードキンはTVのドキュメンタリー出身で、本作もセットは一切使わず、ニューヨークの街をオールロケで撮影しています。乾いたニューヨークの街並み、歩く人々、何気なく干してある洗濯物、ゴミ箱など生々しいリアルな様子が映し出されており、また、一部ヌーベルバーグ的な、いわゆる手持ちカメラによるアドリブ撮影されており、よりリアルさを追求しています。さらに驚くべきは、そのカメラワークと編集技術のすばらしさで映画全体が生き物のようにうごめいている点です
一本道(犯人逮捕)をひたすら走る映画です!
この映画の多くは尾行シーンです。音楽やセリフも少なく、ただ犯人を追う地味な映画です。「フレンチ・コネクション」と聞いただけで派手なアクションやカーチェイスを思い浮べる人も多いかと思いますが、実際は地下鉄や車でニューヨークの街を走り回り、ひたすら事件だけを追うわかり易い映画です。この一見退屈な尾行や張り込みシーンを楽しめない人は、この映画の本当の良さがわからないでしょうね。昨今の刑事アクション映画は、画像の凄さとスピード感、緊張感は素晴らしいと思いますが、観客が飽きるのを恐れて急ぎ過ぎの感があります。後半のカーチェイスばかり注目されているようですが、全体は静かで地味な映画です。しかし、乾いたニューヨークの街を生き生きと駆け回る彼らがアメリカの正義を物語っているように感じるのは自分だけでしょうか?
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第44回アカデミー賞5部門受賞!
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この映画は作品賞、監督賞、主演男優賞など5部門受賞しており(8部門ノミネート)大ヒットを記録しています。ちなみに、同年作品賞を最後まで争ったのがキューブリックの*「時計じかけのオレンジ」で、当時のレベルの高さがうかがえます
*以前レビューしています
ここで最強と呼ばれた70年代のアカデミー作品賞を紹介します
70年/真夜中のカーボーイ
71年/パットン大戦車軍団
72年/フレンチコネクション
73年/ゴッドファーザー
74年/スティング
75年/ゴッドファーザーPARTⅡ
76年/カッコーの巣の上で
77年/ロッキー
78年/アニー・ホール
79年/ディア・ハンター
80年/クレイマー・クレイマー
いかがでしょう?「ある愛の詩」、「キャバレー」、「アメリカン・グラフィティ」さらに、「チャイナタウン」「ハリーとトント」「タクシードライバー」も作品賞は獲っていません。そんな傑作、名作がキラ星のごとくあった70年代でした。70年代映画は大好きで過去多くの映画をレビューしておりますので是非どうぞ!
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映画史上に残るカーチェイスシーン!
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有名なシーンですから、ご存知の方も多いと思いますが、前半の地味な尾行シーンから一変しての構成は実に見事です。電車で逃げる犯人を追って線路と上下平行な道路を車で追うシーンは圧巻です!今ではCGによる凄いカーチェイスも多くみられますが、まだ「カーチェイス」という言葉も一般化していなかった時代に、実写でのこの映像は驚きの一語です!以前、紹介したマックイーンの*「ブリット」(68年)と並んで本格カーチェイスの元となった映画と言っても過言ではありません!途中で乳母車が横切り、それをよけるためにゴミ箱に突っ込むシーンや今では珍しくもない逆走シーンなど、まさに手に汗するシーンばかりで、地面を舐めるようなローアングルで捉えたカメラワークは見事としか言いようがありません!
カーチェイスシーンの素晴らしい映画は、最近では「ワイルドスピード」など多く作られています。この映画と「ブリット」は別格として他では、ウォルター・ヒル監督の「ザ・ドライバー」、デ・ニーロの「RONIN」、ほかにも「ボーン・スプレマシー」「フィフス・エレメント」などたくさんありますね~いつか特集したいものです
*以前レビューしています
最後に好きなシーンを二つ!
ボスを尾行し電車で巻かれ、電車のドア越しに「ニギニギ」するフェルナンド・レイと悔しがるハックマン(笑)、逆に、彼らを追い詰めて「ニギニギ返し」のハックマン!子供かっ(笑)
もう一つは、捜査の途中で前を自転車で走る若い女の子をナンパして自宅へ連れ込んだのを相棒クラウディに見つかり・・・
「若いな、いくつだ?」
「19だ!」
「なに?19だって?」
「19はババアのはしりだ!」
いい味だしている相棒クラウディ(ロイ・シャイダー)も、もて余すポパイ(ジーン・ハックマン)は、ハンサムでもなく、切れるタイプでもなく、頭は単純で暴力的!そんな彼を”ポパイ”と呼ばせ、今までの正義像を変えさせたフリードキンの時代を読む上手さと、したたかさがこの映画のもう一つの見どころでもあります
古くて陳腐な映画と侮るなかれ!
この映画があったからこそ「今の映画がある」といってもオーバーでないくらい凄い映画です
是非どうぞ!
新年は仕事のため1月3日に久々の「シネマDEクイズ/45回」を予定しております。みなさん、よい年を!