LIXILギャラリーで「吉田謙吉と12坪の家」を観た! | とんとん・にっき

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「吉田謙吉と12坪の家」案内葉書

 

LIXILギャラリーで「吉田謙吉と12坪の家」を観てきました。観に行ったのは、3月9日のことでした。1か月以上前のことです。実は、会場での写真をたくさん撮ったので、これで記事が書けると思ったのですが、「12坪の家」だけではなく、吉田謙吉の多彩な活動を考えるに、とても記事が書けそうになく、半月経ってから再び「小冊子」を購入しにLIXILギャラリーへ行きました。

 

吉田謙吉の名前は、僕の中では今和次郎とともにあります。

「バラック装飾社」誕生のきっかけは、今和次郎と吉田謙吉が関東大震災直後の東京の、風俗の急速な変化に純粋な興味を持ち、連れ立って被災者が建てたバラックをスケッチしたことです。街の復興が進んだのちも、彼らの中の「移りゆく世相を記録にとどめておかなければ」という思いが消えず、風俗の調査記録を継続。街中を歩き回り、街並み、人々の生活様式など広く暮らしに関わるものごとを雑多に書き記し、この行為自体を「採集」と呼んだ。

採集の手法としては、調査・統計・考察の全工程を経た表もあれば、採集対象をスケッチし、書き込みをした簡単なものもあった。1927年(昭和2年)10月、新宿・紀伊国屋書店の二階で「第1回しらべもの(考現学)展覧会」を開催。このとき今が「"しらべもの"では格好悪」という理由で「考現学」という呼称を考え出し、試みが広く世の中に知られることになった。

 

「バラック装飾社」は、早稲田大学建築学科教授・今和次郎を中心に吉田謙吉や若手芸術家が集まり、「バラックを美しくする仕事一切」を請け負うべく、関東大震災が起きた1923年(大正12年)9月に結成。「バラック」とは、礎石などを用いず、あり合わせの材料で建てられる掘立柱式の建築物のこと。食堂、商店、工場、住宅などの殺風景なバラックの内外に、芸術家たちがペンキで色鮮やかな装飾を施した。

 

舞台美術をはじめ、想定、文筆業など多ジャンルで活躍していた吉田謙吉が52歳で建てた"12坪の家"を、彼の師の一人、今和次郎は「愉快な家だなァ」と評した。建築家ではない謙吉が設計した、たった12坪の家(約40平米)には小さなステージが設けられ、各部屋には複数の用途が兼ねられ、狭いながらも細部に工夫と夢が込められている。

 

「吉田謙吉」1970年(昭和45年)

 

第1幕

劇的空間 12坪の家

 

「小ステージのある12坪のぼくの家」

 

「12坪の家」模型

 

第2幕 "12坪の家"への系譜1

自由であたらしいまなざし

 

「バラック装飾社」

 

「考現学」

 

第3幕 "12坪の家"への系譜2

人をたのしませる空間づくり

 

「築地小劇場と舞台美術」

 

「店舗設計」

 

エピローグ

住まいをたのしむ、暮らしの工夫

 

「わが家の工夫」吉田鹿乃子

 

「吉田謙吉と12坪の家」

片流れの屋根に赤い板壁、窓周りの白がアクセントのかわいらしい家。これは戦後、吉田謙吉が52歳(1949年)のとき、東京・港区飯倉(現・麻布台)に自ら設計して建てた自邸です。12坪、約40㎡の狭小住宅は当初家族3人の住居としてスタートしました。ステージと観客席用のホールを内在するこの家は、謙吉が舞台美術家であったことを象徴しています。故に、一般的な間取りとは明らかに異なるのがこの家のオリジナリティです。この「劇的空間」を解き明かすには、彼の多面的な活動も影響していると推測されます。関東大震災直後、今和次郎らと立ち上げたバラック装飾社、それが発展して誕生した考現学、また築地小劇場を中心とした舞台美術家としての仕事や住まいの提案の数々・・・。世の中が苦難の中にあっても自由で新しいまなざしを持ち、人を楽しませることが好きで、自身も人生を楽しく謳歌することを望んだ謙吉の生き方が、様々な活動のエッセンスとともに、「12坪の家」に満ちています。
本展では、「12坪の家」を基軸に、謙吉が残した空間づくりに関わる数多くの記録や資料からその秘密を探り、同時に前向きに楽しく生きた吉田謙吉の人となりを浮き彫りにします。

 

「LIXILギャラリー」ホームページ

http://www.livingculture.lixil/gallery/

 

「吉田謙吉と12坪の家 劇的空間の秘密」

小冊子

発行日:2018年12月15日

発行所:LIXIL出版

 

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