INAXギャラリーで「凝縮の美学展 名車模型のモデラーたち」を観た! | とんとん・にっき

INAXギャラリーで「凝縮の美学展 名車模型のモデラーたち」を観た!



INAXギャラリーで「凝縮の美学展 名車模型のモデラーたち」を観てきました。 最初に観に行ったのは6月7日、それから何度か通りがかりに覗いて、結局4度観に行きました。「自らの手ですべてをゼロからつくりあげていく模型」を“スクラッチビルド”というそうですが、もちろん、それらに必要な知識がなければお話にならないのは当然のことですが、一から作り上げることを考えると、これは驚きです。完成まで何百、何千ものパーツを作り、組み上げ、仕上げを施す。いやそれ以前に、そのパーツを作る道具さえ自前で作るという強者も。まさに気が遠くなるような作業の連続です。


創造力と想像力を駆使して出来上がった完成品は、モノづくりの醍醐味、世界でただ一つ、究極の作品といえるでしょう。正直言って、根性なしの僕にはとてもとてもできません。「凝縮の美学」、誰もが幼少期よりミニチュアモデルに熱中し、憧れます。何ごともレディメイドの時代に、スクラッチビルド、自らの手で作り上げる模型は、模型という名の工芸品です。そこには独自の世界があり、そしてそれは夢の世界へと観る者を誘います。会場では、5人のアマチュアモデラーとその作品、そして3名のプロフェッショナルのモデラーの作品も展示されています。



アマチュアモデラー

濱上晴市:1942年大阪府生まれ。乃村工藝社を退職後、自宅で制作に励む。改造したプラモデルやセミスクラッチを含めて、これまでに500台以上を制作した。

山田健二:1944年東京都生まれ。27歳の時、結婚を機に群馬に移住。百貨店を経て広告会社に転職。61歳で退職後は、ライフワークとして模型制作を楽しむ。

水野秀夫:1959年生まれ。瀬戸窯業高校卒業後、ノリタケに勤務。2005年「Car Graphic」誌にモデル制作の記事を連載。スクラッチ1作目は88年に制作したポルシェアバルト・カレラ。これまで8台手がけている。

高梨廣孝:1941年千葉県生まれ。日本楽器製造(現・ヤマハ)退職後、静岡文化芸術大学で教鞭をとる。現在はデザイン会社の顧問を務める。模型制作歴は27年。

斎藤勉:トヨタ自動車勤務。主に用品デザインを担当している。社内の模型サークルTDMC(トヨタデザインモデラーズクラブ)のメンバーでもある。制作過程にあるアルファロメオ・カングーロは、実車同様にアルミボディでの再現を目指す。1/24スケールは難しく、世界でも例がないといわれる。


プロフェッショナルモデラー

G.ウイングローブ:1934年イングランド生まれ。子どもの頃から父親とともに飛行機、船、自動車などあらゆる模型をつくっていた。成人して機械工として働くかたわら、さまざまな技術を独学で身につける。ナショナルモーターミュージアムのモンタギュー侯から1/20スケールのモデルの依頼を受けたのを皮切りに、本格的なスクラッチモデラーとなる。2000年にはエリザベス女王からMB(Member of the Order of the British)を授与された。

アリイステア・ブルックマン:1947年オーストラリア・メルボルン近郊生まれ。工業系学校を卒業後、設計の仕事に従事。メカとクルマ好きから、英国に渡りF-1のチームで設計の仕事をする。その後チームは解散、オーストラリアに帰国。1988年最初の作品はフェラーリF500。1991年フェラーリシャークノーズを作る。総アルミ製のボディーは着脱可能、その間制度は素晴らしく、愛好家を唸らせた。特にアルミ金属の使い方が巧く、スクラッチモデルGPカーのスペシャリスト。

酒井文雄:1950年東京生まれ。約17年刊自動車整備に従事した後、スクラッチビルドモデルの仕事を始める。クルマのメカに精通しており、、几帳面な性格からモデル制作にも一切の妥協を許さない。1986年最初に作品、ポルシェ356スピードスターを制作。2009年ニューヨークで開催されたArt of Model car展にDタイプジャガーを展示。現在フェラーリ250GTOの3台目を製作中。わが国プロスクラッチモデラーの第一人者。


*画像につけた展示品とモデラーの名称が間違っていたら、訂正しますのでお知らせください。







ブガッティ、フェラーリ、ドゥカティ
ゼロからつくるスクラッチビルド
至高への挑戦

自らの手ですべてをゼロからつくりあげていく模型―スクラッチビルド。それは、丹念な実車調査から組立て・塗装に至るまでの一連の工程を指します。スクラッチビルドを手がけるモデラーたちは、1ミリに満たないパーツづくりに取り組み、パーツをつくる道具がなければそれさえ自前の作とします。完成までには数ヶ月から1年以上を費やします。制作に必要な様々な知識や技術、そして創造力と想像力を駆使してつくられているプロセスはモノづくりの醍醐味と言えるでしょう。惚れ込んだ実車はやがて限りなくリアルに、彼ら独自の感性とともに縮小の造形へと生まれ変わります。本展では、スクラッチビルドのモデラーたちと彼らの珠玉の作品をとおして、究極の模型づくりに情熱を傾けるクリエイションの世界と、世界を彩る名車の数々を紹介します。会場では、つくることの楽しさを純粋に追い求めている5人のアマチュアモデラーと作品を、プロセスを垣間見られる内容で、コーナーごとに紹介します。それぞれの技法でつくられた作品は、どれもが圧倒的な完成度と趣きで私たちを驚かせてくれます。もう一つ、プロフェッショナルのコーナーも設けました。多くのアマチュアモデラーたちが憧れと敬意をもつ英国のG.ウイングローブ氏をはじめとする3人のプロモデラーたちによる作品です。世界に一つだけの美術品のような貫禄と風格が表れています。それらの作品が見られる希少な機会です。

「INAXギャラリー」ホームページ


過去の関連記事:

INAXギャラリーで「三井美幸展」と「窪愛美展」を観た!
INAXギャラリーで「にっぽんの客船 タイムトリップ展」を観た!

INAXギャラリーで「中山明日香展」、「松元久子展」を観た!
INAXギャラリーで「松井亜希子展」、「田中礼展」を観た!
INAXギャラリーで「青木千絵展」と「高柳むつみ展」を観た!
「INAX ギャラリー」で、「一畳敷展」、「下平千夏展」、「杉本ひとみ展」を観た!
INAXギャラリーで「若江漢字展」と「森庄平展」を観た!