LIXILギャラリーで「建築を彩るテキスタイル―川島織物の美と技―」を観た! | とんとん・にっき

LIXILギャラリーで「建築を彩るテキスタイル―川島織物の美と技―」を観た!

LIXILギャラリーで「建築を彩るテキスタイル―川島織物の美と技―」を観てきました。LIXILギャラリーで川島織物の作品(製品)の展覧会を開くのか? もともとINAXがTOSTEMと合体してLIXILになり、川島織物セルコンがLIXILグループ入りした、ということから実現したことらしい。建築関係の関連企業が合体するのは、最近では珍しいことではありません。金融機関でさえ合体して、社名がコロコロ変わっています。ましてや・・・。


それはそれとして、「川島織物」は由緒あるファブリックメーカーです。川島織物は、緞帳や帯、そしてカーテン・カーペット類は最高の品質を誇っていましたが、いつ頃からだったか経営が傾き出しました。内井昭蔵設計の「川島テキスタイルスクール」(1973年・京都府京都市左京区)まで運営していたのですが、現在も後進の指導を行っているようです。僕は表参道にあったショールームによく行きましたが、現在は豊洲の方に移ったようです。


最近のニュースとして、川島織物セルコンは、渋谷ヒカリエ内にオープンする「東急シアターオーブ」に設置されるル・コルビジェのタペストリーを製織しました。1956年の坂倉準三設計の東急文化会館開館時に、都内最大の映画館「パンテオン」に掛けられた緞帳として川島織物が納入したモノを、1/5サイズに縮小してタペストリーとして再現したものです。

http://www.kawashimaselkon.co.jp/news/pdf/20120711_1.pdf


「建築を彩るテキスタイル―川島織物の美と技―」の企画展開催の主旨について、ホームページには以下のようにあります。


川島織物セルコンは、2011年8月にLIXILグループ入りしたファブリックスメーカーで、帯、緞帳・祭礼幕から、カーテン、カーペット、インテリア小物まで、約170年にわたり日本のファブリックを牽引してきた。これらの歴史を後世に伝えるため、発祥の地である京都には、日本で最も古い企業博物館「織物文化館」を開設しており、国内外の染織品や古書の他、今まで手掛けてきたプロジェクトや商品の下絵、試織など約16万点を所蔵している。一方LIXILでは、「文化の多様性」や「生活の文化のすばらしさ」を広く社会に伝えていくために、ギャラリーや出版活動などを継続して行っている。特に建築やアートについての情報は、LIXILが独自の視点でテーマを発掘し、発信し続けている。今回両社は、川島織物セルコンのグループ入り1年を機に、LIXILが運営するギャラリーにて、川島織物セルコンの収蔵品を通じて、テキスタイルの技術と表現が、いかに室内空間の近代化とデザインの多様性に貢献してきたかを紹介する企画展を開催する。


織物には当然のことながら「原画」が必要です。それに基づいて織るわけですから・・・。今回の「建築を彩るテキスタイル―川島織物の美と技―」の案内はがき、見てビックリ、これは誰が見ても伊藤若冲でしょう。よく見ると、綴織額「紫陽花双鶏」部分、二代目川島甚兵衛(綴織制作)、伊藤若冲(原画)、明治37年、とあります。そして今回の目玉は、というと、セントルイス万博「若冲の間」の再現模型。完成予想の室内図(内装図面・天井図・窓掛図)を描いた絹本着色の巻子をもとに制作されたもの(所蔵と写真提供は、川島織物セルコン織物文化館)です。川島織物と伊藤若冲とのつながり、これはまったくのところ予想外でした。パリ万博(1900年)に出品し、最高栄誉賞を受賞した「群犬」(試織)、これもすごいものです。


【主な展示内容】
① 国内初の企業博物館「織物参考館」のほぼ実物大のレプリカと模型
②神坂雪佳の原画による「草花文様」は、椅子張の原画と完織した窓掛をセットで展示
※大阪会場のみ
③パリ万博(1900年)に出品した「群犬」試織(最高栄誉賞受賞)
④オランダ・ハーグ平和宮殿(1913年竣工)の大壁面を飾る綴織意匠として、菊池芳文直筆の草稿画と山田耕雲が模写した「晩春初夏百花百鳥」屏風






「建築を彩るテキスタイル 川島織物の美と技」

経糸(たていと)と緯糸(よこいと)でさまざまな世界を描き出す織物。川島織物の創業は1843年(天保14年)、京都・六角室町で呉服悉皆(しっかい)業を開業したことに始まります。この時代は、明治期に押し寄せた近代化と西洋化の波により伝統産業にも変化が求められ、川島織物も呉服商から織物貿易へと事業を拡張するなどしていました。その中でも二代甚兵衞が先んじて取り組んだのが織物による空間づくりでした。本展では、主に衣服に用いられてきた染織品を、空間を彩る室内装飾に発展させた川島織物の二代目当主、川島甚兵衞(1853~1910)が手がけた多くの仕事をとおして、川島織物の美と技を35点の実資料とその他模型や写真などの関連資料からひも解きます。


展示では、まず、二代甚兵衞が手がけた国内初の企業博物館「織物参考館」(1889年)の模型と実物大レプリカをご覧いただきます。シルクスクリーンで再現した織物の壁張作品「光琳四季草花」の、大胆に図案化された花や草木の美しさと空間の迫力を体感いただきます。また、二代甚兵衞が創設した考案部の仕事より、一流の画家らが描いた原画類を間近でご覧ください。二代甚兵衞は西陣織の伝統をもとに綴織技法を発展させ、本格的な「美術織物」の製織を開始します。図案が大きなポイントとなる美術織物の製織において、図案製作を担当する考案部は必要不可欠な部門でした。さらには、海外を視野においた業績として、セントルイス万博やパリ万博、日英博覧会、ハーグ平和宮殿(オランダ)などに出展した、綴織や紋織による試織や原画類、空間を彩る調度品の図案など、往時の空間を彷彿とさせる資料が登場します。日本の織の精緻さと風合い、色彩の美しさをご堪能ください。


「LIXILギャラリー」ホームページ


とんとん・にっき-lix1 「建築を彩るテキスタイル 川島織物の美と技」

(LIXIL BOOKLET)
出版社: LIXIL出版
発売日: 2012年8月25 日

本書では、織物の用途を一気に拡大した二代川島甚兵衞の功績と、現在まで連綿と続く「ものづくり」の現場を図版豊富に紹介しながら、染織品に秘められた美と技を再考する。最大の見どころとして、今回は写真界の巨匠、十文字美信氏をカメラマンに迎え、新たな撮りおろしの図版で展開する。独特の視点で捉えられた作品や工場内風景はもとより、繊細で鮮やかな染織品の質感や表情までもくっきりと浮かび上がらせる。二代甚兵衞が研究のため国内外で蒐集した裂地や装束などの貴重な資料も登場し、国内初のショールーム「織物参考館」の試みも披露する。また、彼が尽力した事業としてセントルイス万博の「若冲の間」(明治37年)を誌上で再現。伊藤若冲による原画「動植綵絵」より15面を選び綴織で壁面装飾した幻の室内空間を展開図や古写真などで詳細にひもときながら、国内の技術と海外の趣向とを盛り合わせた日本式室内装飾の集大成を伝える。さらに、明治天皇のご休憩所「泉布観」(明治31年)、最後の大仕事としてオランダの「ハーグ平和宮殿」(大正2年)なども取り上げる。人物像や当時の時代背景、西陣という産地の特長などは、京都を拠点に活動するノンフィクション作家の菊池昌治氏が情景豊かに描き上げる。染めと織りがあやなす人の手の痕跡と技術の集積をみつめる一冊。


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