LIXILギャラリーで「建築の皮膚と体温 ジオ・ポンティの世界」を観た! | とんとん・にっき

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LIXILギャラリーで「建築の皮膚と体温 イタリアモダンデザインの父、ジオ・ポンティの世界」を観てきました。ジオ・ポンティといえば、「ドムス」の創刊者であり、イタリアの何でもこなすデザイナーで、僕のなかではミラノ駅前に建つ近代的な高層ビル「ピレリビル」と、小指で持てるほどの軽い椅子「スーパーレジェーラ」です。何度かミラノを訪れていますが、そのたびにスレンダーな「ピレリビル」を観ています。どこか「スーパーレジェーラ」と共通した印象があります。共に「薄さ」と「軽さ」を追求した結果のデザインです。僕は以前ブログで、「ピレリビル」と「トーレ・ヴェラスカ」を対比して書いたことがあります。


ジオ・ポンティ(1891-1979)
1891年、イタリアミラノ生まれ。アーティストの素養を活かし、小さなカトラリーや食器、家具のデザインから建築設計まで、幅広い分野で活躍。教会建築のほか、イタリアではじめての近代高層ビル「ピレッリル」を設計し、「イタリアモダンデザインの父」と呼ばれるデザイン界の巨匠。世界的に有名なインテリア雑誌『DOMUS(ドムス)』を創刊したことでも知られる。
1891年 イタリアミラノに生まれる
1921年 ミラノ工科大学建築学科卒業
1923年 リチャード・ジノリ製陶会社のアートディレクターを務める
1928年  『DOMUS(ドムス)』誌を創刊
1951年 椅子「SUPERLEGGERA (スーパーレジェーラ)」発表
1964年 サン・フランチェスコ教会(ミラノ)完成
1979年 永眠



「見どころ」

LIXILギャラリーのホームページによれば、今回の展覧会の「見どころ」は次の4点です。タイルメーカーである「INAX(伊奈製陶)」ならではの再現タイルは、他では真似することができません。


①ポンティデザインのタイルを再現
ソレントの海を想起させる、ホテル・パルコ・デイ・プリンチピ(イタリア、ソレント)のブルーのタイルや、オランダ、アイントホーフェンのデパートのファサードに使われたタイルなど、6シリーズ11デザインのタイルを再現しました。LIXIL(当時のINAX)は2008年、ポンティ設計の「サン・フランチェスコ教会」(1964年、ミラノ)修復に伴い、外壁タイルを1年の試作期間を経て復原した実績があります。本展開催のきっかけとなる、やきもの技術を駆使した再現タイルの数々をご覧ください。
②ポンティを体感する空間デザイン
本展の会場デザインは常滑に続き、新しい感性で注目を集める若手建築家ユニット、トラフ建築設計事務所が担当しました。「外壁」「内壁」「床」「窓」の4つのテーマを柱に、彼が残した象徴的な言葉を交え、回遊しながらポンティの建築表現を読み解きます。「軽さ」や「温もり」を体感する空間が出現します。
③ポンティの映像
本邦初公開の映像として、イタリア国営放送のみで放映したジオ・ポンティのインタビュー映像も一部翻訳して紹介。自らの言葉で建築や人生を語る姿は必見です。さらに、ポンティのアイディアの宝庫、ヴェネズエラの首都カラカスの丘に立つヴィラ・プランチャートも映像でご覧いただけます。美しい景観とポンティのグラフィカルな空間が目の前に広がります。さらに、ポンティデザインのタイルパターンの展開をアニメーションで試みます。1種類のデザインが組み合わせによって次々と表情が変化する様子は、まさしくポンティマジックと言えるでしょう。
④ポンティの図面・スケッチ

「ジオ・ポンティ アーカイヴス」(ミラノ)の全面的なサポートを得て、貴重な図面や直筆スケッチ類を10点展示します。ポンティは、建築の皮膚をつくる建材のデザインから人間のもうひとつの皮膚としてのコスチュームデザインまで、バリエーションに富んだ多数のスケッチを残しています。思考のスピードを感じさせるような線と自由で楽しい色彩を間近に鑑賞していただけます。







699 SUPERLEGGERA 」について、「カッシーナ」のホームページには以下のようにあります。

イタリアモダン建築、国際様式の先駆者、建築・デザインの初の本格的専門誌「ドムス」の創立者、テーブルウエアからエスプレッソマシン、家具、インテリアに至る優れたデザイナー。その業績を列挙すればきりがない、名実共にイタリアモダンの巨匠、ジオ・ポンティ。その代表作のひとつがスーパーレジェーラ。カッシーナ社が、初めて社外にデザインを依託して開発された記念すべき製品でもあります。その名のとおり、超軽量で、椅子の機能と美を極限まで追求した作品として、発売以来、半世紀近くにもわたって人気の衰えないロングセラーとなっています。座の籐は、現在では貴重な技術とされる手編み。フレームを組み立てた状態で工場から籐編み職人の工房まで移送、籐の座をフレームに編み込んで、再び工場へ戻すという手間のかかる工程を経て、ひとつひとつ丁寧に作られています。



「ピレリ・ビル」1956年

設計:ジオ・ポンティ+ピエール・ルイジ・ネルヴィ

124mの高さを持つ、ヨーロッパにおける超高層ビル建設の最初期の事例の一つです。ほかの超高層ビル建設に対して多大な影響を及ぼしました。主構造体である両側のスリットのある三角形のコアと、その中間を支え上部にいくに従い断面の縮小する2対の壁柱がデザイン的にもカギとなっており、端正で優美な表情を作り出しています。



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「建築の皮膚と体温 イタリアモダンデザインの父、ジオ・ポンティの世界」

ジオ・ポンティは、イタリアの陶磁器メーカー、リチャード・ジノリのアートディレクター時代に培った素養を活かした陶器、カトラリーや食器のデザインから、家具や高層ビルの設計まで手がけるなど、多彩なマテリアルと戯れる稀有な存在として、近年、ヨーロッパを中心に世界各国で再評価が進んでいます。本展は、ポンティの多岐にわたる活躍の中でも建築家としての作品に注目し、視覚的効果を多用した独特の建築表現を紹介します。20世紀初頭のモダニズム以降、建築の“表面”には人間的な温かみや楽しさ、手仕事や装飾の魅力が置き去りにされる傾向がありました。一方、ポンティはモダニストでありながらも、建築の“表面”の表現を模索し、工業製品に手仕事を介在させて、そこに質感や温もりといった「皮膚感覚」を与えました。特に1950年代以降、ポンティは建築という重さを伴う存在のなかに、「軽やかさ」と「薄さ」を追求します。その結果行き着いた建築の「皮膚」(表面)へのこだわりを、彼が好んで用いたマテリアルである陶磁器(タイル)を中心に、建築思考を伝える格言や独自のグラフィックなどから多角的に読み解きます。なお、本展は、2013年11月2日から2014年3月18日まで、愛知県常滑市で㈱LIXILが運営する、土とやきものの文化施設「INAXライブミュージアム」にて開催した同展を、映像、ポンティの言葉など展示資料を加え、空間も新たに展開します。本展は、巡回企画展として、LIXILギャラリー(東京)でも開催します。

「LIXILギャラリー」ホームページ


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