LIXILギャラリーで「WASHI 紙のみぞ知る用と美 展」を観た! | とんとん・にっき

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LIXILギャラリーで「WASHI 紙のみぞ知る用と美 展」を観てきました。


上に載せたのは「案内はがき」、画像は「修二会紙衣」です。東大寺二月堂で行われる「修二会」(お水取り)で練行衆(僧侶)が着用した紙衣。灯明の煤跡が見られる。白岩氏は清浄を表し、練行衆は自ら紙衣紙を揉んで仕立てる。紙衣は、揉みほぐした紙でできた衣で、日本では平安時代より存在していたと記録されている。

暮らしの中にいきる 変幻自在の素材力

見どころ

日本で和紙が広く作られるようになったのは、江戸時代になってからのことです。原料として主に使われていた楮(こうぞ)・三椏(みつまた)・雁皮(がんぴ)などの植物の靱皮(じんぴ)繊維はしなやかでねばり強く、薄くても丈夫で美しいため、さまざまな成形に向く身近な素材として認知されていきました。 和紙は、折り畳んで和傘や提灯にしたり、紙縒(こより)を編んで柿渋を塗り箱ものや笠にしたり、揉み和らげて紙衣(かみこ)を作ったり、紙糸を織ることで衣類に仕立てるなど、書写利用はもとより、建具や食器、衣服、玩具にいたる多様な日用品の材料として普及したのです。漉き方や産地によって特長のある和紙に、さまざまな加工技術が加わることで、暮らしを彩る道具たちが誕生していきました。改めて用途のバリエーションを見つめると、和紙の秘めたる力と人々の手業の粋を感じることができます。

本展では、木、布、皮などに代用された変幻自在な紙製品約80点を、「衣」「食」「住」「遊」の生活場面のコーナーに分けて紹介します。和紙文化が栄えた江戸から昭和初期にかけ丹精を込めて生み出された逸品をご覧ください。日本のみならず意匠を凝らした紙工芸品が数多く残る韓国の資料も交えて展示します。繊維の特長は解説を用意し主な役割を伝えます。本展を通して、さまざまな特性が活きた和紙の造形文化を楽しんでいただくとともに、未来につながる和紙の可能性を再考していただく機会になることでしょう。
 
「住」:八面六臂の働きもの
このコーナーでは、住まいの中で使用された紙製品を紹介します。まず、襖障子に用いられる「江戸唐紙」や「利久紙」、雲母や胡粉の描画による「襖紙見本帳」などをご覧いただけます。大胆な図案や色柄からは、襖紙が空間を仕切るだけでなく室内を装飾してきた役割が伺えます。また、和紙による光の拡散効果を利用した「行灯(あんどん)」や携帯用「提灯(ちょうちん)」などの照明具、屋内用の敷物や掛け布団用の和紙も展示します。さらに、皮革を模造した「擬革紙(ぎかくし)」の中でも、凸凹文様が美しいヨーロッパの「金唐革(きんからかわ)」をなぞらえ、紙加工の粋と言われる「金唐革紙」で作られた小箱や筆入れを展示します。独特の趣がある和紙の表情をご覧いただけます。



「衣」:まとい携帯する
身に着ける紙製品として色々な種類が登場します。和紙を揉んで柔らかくし、表面に柿渋や寒天、こんにゃくを塗り仕上げた「紙衣」や、縦糸に和紙を用いて織り上げた「紙布(しふ)」、紙縒を網目状に編んだ肌着などを展示します。また女性の嗜みとして髪を結いまとめる「元結(もとゆい)」や装飾用の「丈長(たけなが)」、男性用の「煙草入れ」や「煙管筒(きせるつつ)」「陣笠」など、風合いや細工の妙をご覧ください。


「食」:量産できる身近な素材
和紙を張り重ね、漆で仕上げた「お椀」や、紙縒を編んで成形し、漆や柿渋で塗り固める長門細工の「瓢箪型酒器」などをご覧いただきます。自由な成形に加えて、編み方と加飾にも意匠を凝らし、軽量で携行に便利な食の道具が作られました。手のひらサイズのぐい飲みや旅行用のおむすび入れ、特大の雑穀入れや茶壺なども紹介します。


「遊」:豊な表情を愛でる
ここでは貴重な歌川国貞のちりめん錦絵「源氏姿花の宴」を展示します(前期のみ)。ちりめん紙とは、通常の版木で摺られた錦絵を6~8割ほどのサイズに揉み縮めたものですが、複雑な技術が必要なため今ではその技の伝承が危ぶまれています。細やかな風合いと凝縮された色合いは必見です。また、紙製の節句飾りの雛鎧も展示します。蒔絵を施し、兜の鉢や面頬には鉄を模して銹(さび)漆をかけるなど、見応えのある重厚なつくりとなっています。その他、張子の三春人形など、細工がしやすい紙ならでは特性を活かした躍動感ある作品をご紹介します。


WASHI 紙のみぞ知る用と美 展
和紙でつくられたお椀、傘、着物…。その優れた特性と加工技術により、江戸時代以降、和紙の用途は一気に広がり様々な生活道具が生み出されました。 本展は、「加工」の視点から捉えた和紙の造形文化と変幻自在な素材の魅力を、江戸から昭和初期の最盛期につくられた実資料約80点より紹介します。

「LIXILギャラリー」ホームページ

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