LIXILギャラリーで「金沢の町家 活きている家作職人の技 展」を観た! | とんとん・にっき

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LIXILギャラリーで「金沢の町家 活きている家作職人の技 展」を観てきました。展覧会の趣旨は、以下の通りです。


建築における伝統技術はいかに保存され継承されているのでしょうか。
本展では、その実例を加賀百万石の城下町、金沢の町家から探ります。



上の「案内はがき」を観ただけで、涙が出てきましたよ。縦格子と透けて見える光がいいですね。画像は「旧湧波家住宅主屋(金沢市指定文化財)」です。


「金沢市の文化財と歴史遺産」 には、以下のようにあります。


旧涌波家住宅主屋は江戸時代末期の建築と推定され、調査に基づいて平成15年(2003)に復元整備された町家です。主屋は桁行4間、梁間6間半で、平入(ひらいり)・鋼板葺き、1階庇は板庇となっています。建築当初の姿に復元すると平屋建て・板葺き石置き屋根の建物となりますが、復元整備では現状のまちなみとの調和に配慮して、明治期の姿で整備されました。1階正面の柱間には蔀(しとみ)が入り、玄関部の蔀にはくぐり戸が付いています。軒先の先端にはカザガエシと呼ばれる横板、2階壁面の両側には袖壁(そでかべ)、2階窓面には古格子が付き、1階板庇の下にはサガリと呼ばれる板張りの装置が下がっています。建築当初からの敷地に残り、金沢の町家の古い表構えの意匠を見せる貴重な建物です。現在は、「ひがし茶屋休憩館」として活用されており、観光ボランティアガイド「まいどさん」が常駐し、建物の説明や周辺のひがし茶屋街などを案内しています。



「ひがし茶屋街」へは、2度ほど行ってます。「旧涌波家住宅主屋」は、行ったことがあります。「志摩」や「懐華楼」とともに、ひがし茶屋街の見どころの一つに挙げられています。残念ながら、画像は残っていません。


ひがし茶屋街(tonton撮影:2010年7月)







展覧会の見どころ

七種の伝統技術と職人コーナー:大工・石工・瓦・左官・畳・建具・表具
七種の伝統技術を伝える道具や材料、また工程サンプル等を展示します。道具は七種七様。自ら手作りする 道具もあります。工程サンプルからは仕事の緻密さが分かります。
また職人たちのインタビューパネルからは彼らの仕事との向き合い方、さらには意気さえ伝わります。


大工:安田正太郎さん(1963年生)
社寺や古民家、町家の修復を手がける。最近では金沢城の「河北門」、「橋爪門」復元の棟梁を務めた。

石工:出口昭さん(1942年生)
金沢城の「河北門」「橋爪門」の石垣や敷石の復元工事に携わった。3人の息子が石工の跡を継ぐ。

瓦:長田和明さん(1948年生)
18歳で家業の瓦屋4代目を継ぐ。現在は親方として石川県内外の寺社仏閣の修復をはじめとした瓦葺きに携 わる。

左官:中村康さん(1948年生)、藤田秀紀さん(1974年生)
中村さんは中学卒業後、金沢の石動左官工業所(現・イスルギ)に入社。公共施設などの大規模な現場を中 心に、文化財の修復にも携わった。藤田さんは中村さんの世話を受け伝統技術の資格を持つ左官職人となっ ている。

畳:立野善吉さん(1932年生)、克典さん(1961年生)
善吉さんは畳 立野7代目。13歳から畳職人の道に進む。息子の克典さんは8代目として兼六園の成巽閣(せい そんかく)の畳の表替えなどを手がける。

建具:西田守男さん(1943年生)
中学卒業後に建具の家業を継ぐ。建具はもとより、茶室も含めた自邸の増改築を自ら手がけた。

表具:永嶋明さん(1949年生)
修行時代は糊を炊くことからスタートした。表具師の仕事の中でも屏風を好み制作している。

*金沢市は1996年に「金沢職人大学校」を創設しました。木造建築物に関わる伝統技術の伝承と人材育成を 目的としています。本展で紹介する職人たちも多くがここで伝統技術を学びその技術を次の世代に伝えてい ます。


大工:

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  継手・仕口の模型
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石工:

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左官:

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畳:

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建具:

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表具:
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大工、石工、瓦、左官、畳、建具、表具
継承される伝統技術

城下町の風情漂う金沢。幸いにも戦災や震災に遭うことがなかったこの町では、今も古い町家を数多く見か けることができます。町家とは、古くからある都市住宅のことで、住まいと生業が共存したかつての日本特 有の暮らしの場でした。日常的な手入れや修復は地域ごとの家作職人が担い、一軒に凝縮されたその知恵と 工夫は伝統技術の宝庫ともいえます。職人の世界も様変わりしていく中で、金沢ではこのような豊かな町家 をはじめとする重要な歴史的資産があることにより、それらの修復や再利用を通して職人たちが育成され、 また技術も受け継がれています。
本展では、町家の家作に必要な技術のうち、七つの技-大工・石工・瓦・左官・畳・建具・表具-とそれぞ れの職人たちにスポットをあて、道具、材料、工程サンプル等の実物資料ほか職人たちのインタビュー、修 復の現場レポート、映像を含む約170点から、金沢における伝統技術の保存・継承のあり方を読み取ってい きます。七種それぞれの伝統技術に欠かせない道具が一堂に会するこの機会は同展の大きな見どころのひと つです。
修理しながら百年持つ家、それが当たり前だった家づくり。本展がそのような日本の伝統建築を支える職人 の「活きた」技に出会う場となり、それを受け継ぐべくこれからを考えるきっかけになれば幸いです。


「LIXILギャラリー」ホームページ


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