LIXILギャラリーで「南極建築」展を観た! | とんとん・にっき

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LIXILギャラリーで「南極建築 1957-2016」展を観てきました。


「南極建築」といえば、丹下研の浅田孝を真っ先の思いだします。「ウィキペディア」には、以下のようにあります。

浅田 孝(あさだ たかし、1921年3月19日 - 1990年12月4日)は、日本の都市計画家・建築家。香川県出身。戦後活躍する丹下健三の右腕として、丹下の数々の建築作品に関与。・・・南極大陸昭和基地プレファブユニットの設計、・・・甥には『構造と力』などの著者で元京都大学経済研究所准教授で京都造形芸術大学教授の浅田彰がいる。


南極観測が始まったときだったか、どういう経緯で選ばれたのかは思い出せませんが、2000人もいる小学校の代表として僕が選ばれて、小学校で集めた南極観測のための寄付金を朝日新聞社の支局に届けた、ということがありました。一人で行ったわけではなく、もちろん女子生徒も選ばれていたでしょうし、付き添いの先生も同行していたとは思いますが、その辺は僕の記憶から抜け落ちています。


「南極建築 1957-2016」

極寒と強風の地、南極では、厳しい環境に耐えうる建築物がつくられてきました。本展では、日本初のプレファブ建築が誕生した第一次観測隊の1957年から2016年まで、昭和基地を軸にした南極建築の変遷を、極地観測の中核機関である国立極地研究所のアーカイブから選りすぐった写真を中心に、映像、実資料など約90点から辿ります。

展示構成は以下の通りです。


<物資を運ぶ観測船>
建築物の規模に大きく関わる観測船。初代「宗谷」(1956-1962)に始まり、「ふじ」(1965-1983)、「しらせ」(1983-2008)、現在は「新しらせ」(2009-)が就航。「宗谷」から「しらせ」にいたっては基準排水量が倍々で大きくなっています。また、船は厚い氷を砕きながら基地へと向かいます。それを「ラミング砕氷」といい、その様子がわかる映像と「新しらせ」の模型(1/200)を展示します。

<第一期:日本初のプレファブ建築/宗谷時代>
1957年、日本は南極大陸から4km離れた東オングル島に昭和基地を開設。日本初の木質パネルによるプレファブ建築が誕生します。過酷な環境下で素人の観測隊員が作れるよう設計されました。そのときの『南極地域観測用建物解説書』を展示します。このマニュアルにはプレファブ建築をはじめ木箱の通路など様々な青図が収められています。
 
<第二期:高床式の建築へ/ふじ時代>
観測船の大型化で物資の大量輸送が可能になり、昭和基地は建設ラッシュを迎えます。基地の機能や居住性も上がりました。一方、スノードリフト(雪の吹き溜まり)対策で、第8次隊より「高床式」の建物が作られました。建物の下を風が抜けるため、スノードリフトを軽減できます。昭和基地でのブリザード映像とあわせてご覧ください。
 
<第三期:内陸基地への挑戦/ふじ~しらせ時代>
日本の観測拠点は昭和基地以外、内陸に3カ所開設されました-みずほ基地(1970年開設、閉鎖中)、あすか基地(1985年開設、閉鎖中)、ドームふじ基地(1994年開設)。標高が高いため、気候は東オングル島に比べはるかに過酷です。これらの基地でははじめから雪に埋まることを前提に建物が建てられ、雪洞でつながっています。
 
<第四期:基地の大型化「昭和基地・管理棟」/しらせ時代>
1993年に建てられた「管理棟」は最大規模のものとして登場。コンクリート基礎で3階建ての管理棟は、中央に吹き抜けの階段室があり、真上にはシンボル的なドームがついています。2階には娯楽室、スタンドバー、診療室などが、3階にはゆったりとした食堂、厨房、書庫などがあります。生活の快適さが大きく向上しました。
 
<第五期:新しい建築へ/新しらせ時代>
「自然エネルギー棟」(2013年竣工)は、風上側の屋根が流線形になっています。北向きの壁に集熱パネルが取り付けられ、太陽エネルギーを上手に使っています。2018年完成予定の「基本観測棟」は円形に近い12角形で、さらに高床式にしてスノードリフト対策を強化しています。ともに、風洞実験※をくり返して形が決定された建物です。 ※高層ビルや橋などの風の影響を受けやすい建築物の設計に用いられる実験。
 
<世界の南極基地16か所>
ここでは、世界の南極基地から16カ所を写真と解説パネルで紹介します。ドイツのノイマイヤーⅢ基地は、コンテナモジュールで構成された建物は6mの高床式で、雪面が上昇すると全体をジャッキアップするシステムになっています。英国のハリーVI基地は、支柱に橇が取り付けられ、雪面上をブルドーザーで牽引して移動することが可能です。この移動の様子を映像でご覧いただきます。

以下、展示風景

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第一期:日本初のプレファブ建築/宗谷時代

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第二期:高床式の建築へ/ふじ時代

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第四期:基地の大型化「昭和基地・管理棟」/しらせ時代

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第五期:新しい建築へ/新しらせ時代

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輸送・移動

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南極生活スナップ写真

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日本初のプレファブ建築から始まった
極寒環境での知恵と工夫 
1957年に日本が初めて南極に開設した昭和基地には、現在約70棟の建物があります。これまで延べ3,000人強の隊員たちが観測や建設作業等のため、この地で暮らしてきました。この間、彼らの生活を守る建築はどのように進化してきたのでしょうか。南極建築での大きな課題のひとつが暴風雪(ブリザード)による雪の吹き溜まり(スノードリフト)です。建物を数年で埋没させてしまい、いかにこれを回避できるか、設計者はこの問題と向き合ってきました。建物の改良、発展を促したのは、4代にわたる、建築資材や食料などを輸送する観測船の大型化でした。 本展では、1957年から2016年までを5期に分け、観測船の代替わりと重なるエポックメイキングな建築物の変遷を追います。会場には、第一次隊で梱包用の木箱を積み重ねた通路をイメージした空間を会場中央に設置します。南極へと誘うこの通路を抜けた空間では、隊員たちによる現地での貴重な写真を中心にブリザードや風洞実験の映像、実資料などを交えながら、建築物が進化する様をご覧いただきます。各建築物にはイラストレーターのモリナガ・ヨウ氏による図解パネルも展示します。さらに、異なるアプローチで南極建築に挑戦する諸外国の基地16か所も紹介します。 極地で求められる安全で快適な暮らしには、人々の知恵や工夫の積み重ねがあります。本展がその記録を伝える場となれば幸いです。


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