星流の二番目のたな

デジモンフロンティアおよび
デジモンアドベンチャー02の
二次創作(小説)中心に稼働します。

注)『デジモンフロンティア02~神話へのキセキ~』は
管理人が勝手に想像するフロンティアのその後の物語です。
続き物、二次創作の苦手な方はご注意くださいませ。


テーマ:
 パソコンの起動が済むと、自動的にゲートが開いた。仲間達の後ろ姿も見える。
「こっちは渋谷に着いたぞ!」
 大輔の声に、仲間達が振り向く。
 京が画面に近づいてアップになる。
『そっちはどんな状況?』
「黒い鳥デジモンが暴れてるんだ。多分、ダスクモンが進化したんだと思う」
『分かった。行くから下がってて』
 言われた通りに下がると、ゲートが開いて京達がビルの屋上に現れる。
 泉、京、ホークモン、空、ピヨモンだけだ。
「太一さん達は?」
 大輔が聞くと、泉達は顔を曇らせた。
 空が説明する。
「それが、デジタルワールドでもレディーデビモンが襲ってきたの。太一達は残って戦ってる」
 ピヨモンが続けて口を開く。
「人間世界の方は飛ぶデジモンが相手だって聞いたから、飛べるわたし達がこっちに来たの」
「そっか……」
 太一達の戦いも気になるが、今は渋谷での戦いに集中するしかない。
 泉、京、空がデジヴァイスを構える。
 
「スピリット・エボリューション!」
「フェアリモン!」
 
「ホークモン、アーマー進化!」
「羽ばたく愛情、ホルスモン!」
 
「ピヨモン、進化ー!」
「バードラモン!」
 
黒い怪鳥めがけて、新たに三体のデジモンが飛んだ。
 
 
 
―――
 
 

 コウモリの群れが子ども達に襲いかかる。
「ほらほら、よそ見してる暇はないよ!」
 いち早く飛び出したグレイモンとガルルモンが、炎でコウモリを焼き払う。が、数が多く次第に押されていく。
 ヤマトが顔をしかめた。
「まずいぞ、相手は完全体だ。こっちも完全体じゃないと」
「それなら僕達がいきます。ワームモン!」
 賢のデジヴァイスと紋章が光り、パートナーをジュエルビーモンに進化させる。
「《スパイクバスター》!」
 ジュエルビーモンの突き出す槍の衝撃波に、レディーデビモンが上空へと逃れる。 ジュエルビーモンがその後を追う。
 15メートルほど上空でレディーデビモンが止まり、追いついてきたジュエルビーモンと戦い始めた。地上からの援護が届く距離ではなく、グレイモンとガルルモンは歯がゆそうに空を見上げている。敵の方も、地上から援護が来ないことを見越してあの高さまで飛んだのだろう。
 アーマー進化したネフェルティモンが《ロゼッタストーン》を撃ちながら援護に飛ぶ。が、レディーデビモンの放つコウモリに押され、地面に叩きつけられた。
「エンジェウーモンになれれば、あんな敵……」
 進化の解けたテイルモンが、悔しそうにこぶしを握る。
 上空でレディーデビモンが叫ぶ。
 「あんたらにいつまでもかまっていられないのよ! あの一番小さい子どもとパートナーデジモンを、泣き叫ぶまでいたぶりに来たんだから! 私の顔をつぶした礼に、骨まで引き裂いてやる!」
 伊織の肩がびくりと動いた。アルマジモンに向けようとしていたデジヴァイスを取り落とす。
 アルマジモンがデジヴァイスを拾いあげて、伊織に差し出す。
「安心するぎゃ、伊織はオレが守る」
 しかし伊織は浮かない顔のまま、デジヴァイスを受け取ろうとしない。
「いえ、そうではなくて……あんなに他人を怒らせたのは初めてで、なんだか、悪いことをした気分なんです」
「あいつはオレ達の命を狙ってきてたぎゃ。伊織は何にも悪いことしとらん」
「それは、分かってるんだけど……」
 パートナーに励まされても、伊織は納得できないのか顔をしかめる。
 そんな伊織を見て、アルマジモンが半ば呆れた、半ば嬉しそうな表情になる。
「まあ、そこが伊織のええとこだぎゃ」
「そうかな……」
「相手が敵でも、それと自分がしたことのいい悪いを別に考えられるのはええことだぎゃ」
 アルマジモンに肯定されて、伊織が少し表情を緩めた。
「でもな」
 アルマジモンが言葉を続ける。
「今ここで伊織が戦わなかったらどうなる?」
「戦わなかったら……」
 伊織が上空の戦いを見上げる。
「僕達は世界から消えてしまう。そうなったら、デーモン軍団に対抗できる人はいなくなる。デジタルワールドも人間世界も、破壊されてしまう」
 レディーデビモンに対して良心の呵責を感じるかどうかは伊織の自由だ。だが、戦いをためらうことは、自分や自分の住む世界の破滅にもつながりかねない。それだけの責任がのしかかっていることを、伊織は自覚させられた。
「アルマジモン」
「ん?」
「命を狙われていたとはいえ、レディーデビモンの顔を焼いてしまったことは申し訳なかったと思う。でも、彼らがやろうとしていることはやっぱり間違ってる。今僕がやるべきことは、レディーデビモンと戦うことだ。僕はそれが正しいと思う!」
 伊織はアルマジモンからデジヴァイスを受け取った。
 同時に、伊織が胸に下げている紋章が白い光を放ちだした。
「進化だ、アルマジモン!」
 
「アルマジモン、進化ー!」
「アンキロモン!」
 
アルマジモンの小柄な体が、背中にとげを張り巡らした頑丈な姿に成長を遂げる。
更に、その体は巨大になり、首は長く天へと伸びていく。
 
「アンキロモン、超・進化ー!」
「ブラキモン!」 
 
 象より太い足で立つそのデジモンを見上げるだけで、伊織は首が痛くなりそうだった。
 四つの足に支えられた胴体は屋根のよう。そこからキリンのように長く伸びた首は、学校の屋上にだって届きそうなくらい長い。
「これが、アルマジモンの完全体――!」
 その姿だけで、伊織は驚きを隠せなかった。
 

 
◇◆◇◆◇◆
 
 
 
多いキャラをどう効率的に動かすかで悩んでいたら書きあがるまでに時間がかかってしまいました。あと名古屋弁! きつい! ここはアルマジモンにしゃべってもらいたいところなのに! 名古屋弁翻訳サイトとかも試してみたけど、あまり性能良くないし。というわけで、今回も怪しげなセリフが飛び交っています。
 
そんなこんなで、アルマジモンの完全体登場です。トリケラモンと迷ったんですが、よりダイナミックなブラキモンにしてみました。色はブラキモンの方が近いですし。
そして、次回から戦闘だって前回言ってた割に、まだほとんど戦闘してない件。じっ、次回こそ戦闘するよ!
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 つい30分前まで人で埋め尽くされていた渋谷駅前は、救急車と消防車、隊員、怪我人であふれていた。
 渋谷駅の地下から突如現れた怪獣――デジモンにより、駅が崩壊。多数の負傷者が出ている。
 光子郎はその合間を抜けて走っていた。一刻も早く、一歩でも渋谷駅から離れるために。
 愛用のノートパソコンを抱えて、人にぶつかるのもかまわず走る。しかし、ぶつかられた人は文句も言わず、光子郎に目を向けもしない。
 それは、光子郎の存在が消えかけていることを意味していた。
 光子郎は奥歯を噛んだ。
 時空のひずみに近づきすぎた。
 デジモンが出たと聞いて、デーモンの一味だと確信した。だから、デーモンの本拠地に繋がるデータを取るために出現地点に近づいた。
 自分の中に仮説はあった。デーモンの居場所に近づくということは、二つの世界の融合が最も加速している地点に近づくということ。
 でも、その影響がこんなに早く現れるとは思わなかった。
「光子郎はん、聞こえてまっか!?」
 パソコンから聞こえてきた声で、はっと我に返る。いつの間にか、渋谷109の入り口まで来ていた。
 頭を振って、意識をはっきりさせる。まだ消えるわけにはいかない。
 地面に座り、パソコンを開く。画面の右上には、デジタルワールドから光子郎を気づかうパートナーが映っている。
 必要なプログラムを起動させながら、光子郎はパートナーに呼びかける。
「テントモン、僕なら大丈夫。今からデータを解析して、デーモンの本拠地の座標を割り出す」
「なんか、わてにできることありまっか? えろう顔色悪いでっせ」
「僕に話しかけ続けてください。僕のことを常に考える存在がいれば、少しは消滅を遅らせることができるかもしれない。せめて、みんなに座標を送るまではもたせないと」
 自分の存在を危険にさらしてまで得たデータを、無駄にするわけにはいかない。
 テントモンの声を聞きながら、光子郎は素早くキーボードを叩き始めた。


―――
 
 
 大輔とチビモン、拓也、輝二は地下鉄日比谷線の広尾駅で降ろされた。渋谷周辺に被害が広がり、この路線も運行見合わせになったらしい。
 でも、ここまでくれば渋谷まではあと少しだ。
 改札を出て、手近にあった公園に入る。人目につかない木陰に入ったところで、デジヴァイスを取り出した。
 数分後、ビルの上を黒、赤、青の3つの影が駆け抜けていったが、気づいた人はいなかった。
 

―――


 着信音が鳴って、ヒカリがD-ターミナルを開いた。
「大輔くんから。もう少しで渋谷に着くって」
 その言葉に、座って休んでいた仲間達がテレビの前に移動してきた。渋谷にデジモンが出てからだいぶ時間が経っている。大輔側の準備ができ次第、すぐにでも渋谷に向かえるようにする。
 仲間が減っている、という感覚は全員の頭の隅にこびりついているが、目の前の戦いが先だ。
 ふと、地面を影が飛び過ぎた。テイルモンが何気なく上を見る。
「っ! みんな伏せろ!」
 急な言葉に反応した仲間が、周りの仲間を押し倒して伏せさせる。
 その頭上を、コウモリの群れが通過する。
 顔を上げると、上空で黒い悪魔が羽を広げていた。高度があって小さくしか見えないが、伊織はその正体に気づいた。
「あれは、レディーデビモンです!」
 全員が身構える中、レディーデビモンが高度を下げて近づいてくる。
「覚えてくれてたみたいで嬉しいわ。こっちだってあんた達に会いたくて仕方なかったんだから。……私の顔をこんな風にした相手を、八つ裂きにしたくてね!」
 表情が判別できるほど近づいてきたおかげで、敵の言葉の意味が分かった。
 黒いマスクの下、元は青白かった頬は赤黒く焼けただれていた。アグニモンとサブマリモンが与えた傷だ。
 紅い目は怒りに燃えて、伊織とアルマジモンを見据えている。
「あんた達が世界から消えるまで待っていられない……ここで全員データの屑にしてやる!」
「来るぞ!」
 太一の言葉に、子ども達がデジヴァイスを握った。
 
 

―――
 

 
「これは……」
 曇天の渋谷。
 大輔はビルの上から街を見下ろして、言葉を失った。
 建物が崩壊しているだけでなく、あちこちに奇妙なクレーターができていた。
 きれいな円形に地面や建物がえぐれている。その切り口が、鋭い刃物で切ったように滑らかだ。
 爆発で吹き飛んだというより、まるで、円の中にあった物がそっくり消えてなくなったように見える。
 その上空を、怪鳥が旋回していた。
 鳥の骸骨のようなその体は深い緋色で、羽だけが黒い。胴体だけならエアロブイドラモンとそう変わらない体格だが、羽を広げた姿は何倍も大きく見えた。
 遠目でも気味の悪い見た目だが、大輔はどこか既視感を覚えた。
「……ダスクモン?」
 先に口にしたのはヴォルフモンだった。怪鳥を憐れむような悲しいような目で見つめている。
「でも、前に見た時と姿が違う。進化したのかも」
 ライドラモンが警戒するように姿勢を低くする。
 進化するとデジモンの性能は大きく変わる。以前の姿でも苦戦した相手だ。更に手ごわくなっているのは間違いない。
 怪鳥が口を開け、甲高い鳴き声を上げた。耳をつんざくような高さと音量に、大輔達は耳をふさいだ。
 その奇怪な鳴き声に、大輔は悲しみが混じっているように聞こえた。
「泣いてる、のか?」
 その疑問に答えを出す間もなく、怪鳥が降下し、ビルをかぎづめで砕いた。コンクリートの塊が崩落し、道路の車を一撃で押しつぶす。
「とにかくあいつを止めるぞ!」
 アグニモンが声を上げ、ビルを伝って怪鳥へと駆ける。ヴォルフモンも表情を引き締めて後を追う。
 大輔は背負っていたかばんを開け、京のパソコンを取り出した。起動している間に、ライドラモンがブイモンに戻る。
「ブイモン、頼んだ!」
「ああ、エアロブイドラモンだな!」
 大輔とブイモンの意思に応えて、デジヴァイスと紋章が光を放った。
 
 
 
◇◆◇◆◇◆ 
 

 
先日初めて渋谷駅で降りたのですが、あまりに人が多くて全然写真撮れませんでした(汗)フロでもサイスルでも出てくるのでぜひ撮りたかったんですけど……。あのスクランブル交差点の混雑ぶりは想像以上だったし、あの場に誰もいなくなるっていう状況はなるほどホラーだと実感しました。
 
テントモンの口調はアニメのセリフを参考にしながら作ったのでたぶん間違ってないと思うのですが……おかしいところがあれば、そっと教えてください。直します。方言難しい。
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 聞き慣れた目覚ましの音がする。
 大輔は半ば無意識のうちに手を伸ばして、目覚ましを止める。
 床に敷いた布団の上で、もう一人の少年が体を起こす。大輔と目が合うと、ほっとしたように笑った。
 大輔もベッドから起き上がる。チビモンがぴょこんとベッドから布団に降りて、二人の少年を見上げた。
「おはよう、だいすけ、たくや」
「ああ、おはよう」
「おはよう」
 何気ないあいさつなのに、それだけで心が温かくなる。
 普通に朝を迎えられることがこんなに嬉しいって、初めて知った。
 
 D-ターミナルに光子郎からメールが入っていた。
 デーモンの居場所の特定は思うように進んでいないらしい。サンプルになるのが、ふ頭のマリンデビモンが時空を越えた跡しかなく、座標を絞りきれない。昨日、デジタルワールドにレディーデビモンが現れたと聞いたので、デジタルワールドも調べてみる、とのことだった。
 大輔も敵とは戦ったが、暗黒の砂漠にもうデーモンはいない。行動したくても動きようがないのはじれったい。
 そんなモヤモヤを抱えながらも、大輔は朝ごはんをしっかり胃袋に詰め込んでいた。今大輔にできるのは、来るべき戦いに備えて体調を整えることだ。家族の目を盗んで、チビモン用のパンもポケットに入れる。
 拓也は泊めてもらっている手前、遠慮がちに食べていた。が、大輔の食欲に安心したのかおかわりのパンに手を出した。
 その時、テレビから緊急ニュースの音が流れた。全員の手が止まり、テレビに視線が集まる。
 テレビの上部にテロップが入った。
『東京都渋谷区でビル崩落事故発生』
 ニュースのスタジオも慌ただしくなり、画面外からキャスターに原稿が渡される。
『緊急ニュースが入りました。渋谷区のJR渋谷駅付近でビルの崩落事故が発生しました。現地では三年前のお台場で目撃されたような怪獣が現れたという情報も入っています。付近にいる方は安全に注意して避難してください。渋谷駅付近に怪獣が現れ、ビルの崩落事故が発生しました――』
 「渋谷」
 拓也がぽつりと口にした。大輔と顔を見合わせ、真剣な表情で頷きあう。
「俺、出かけてくる!」
 大輔と拓也は勢いよく席を立ち、自分の部屋に駆け込んだ。瞬く間に大輔はチビモンを引っつかみ、拓也は帽子をかぶり、二人揃ってゴーグルをはめ、玄関に走る。
 唖然と見ていたジュンが我に返る。
「でかけるって、まさか渋谷に!?」
「いやえっと、違う!」
 適当に返事をして、大輔は家から飛び出した。
 
 
 
―――
 
 
 ゆりかもめで新橋駅まで出たのは良かったが、渋谷駅につながる路線はJR山手線も東京メトロ銀座線も運転見合わせになっていた。駅前には人だかりができている。
「大輔! 拓也!」
 呼ばれて振り返れば、ヤマトと輝二が手を振っていた。顔つきも似てるし、同じ動きをしてると兄弟みたいだな、と大輔は思った。何か違和感を覚えたが、その理由はよく分からなかった。
 ヤマト達と合流して、一度駅から離れる。
 少しでも渋谷に近づけないか。地元民の大輔とヤマトで知恵を出し合う。
「駅の放送だと、浅草線は動いているみたいです」
「なら、浅草線で東銀座に出て、そこから日比谷線で行けるところまで行ってみるか」

「浅草線も混んでましたよ」

 声に振り返ると、ウパモンを抱えた伊織と、ポロモンを抱えた京が歩いてきた。京は大きな肩がけカバンを下げている。

「伊織と一緒に見てきたんだけど、山手線と銀座線使ってた人が浅草線に流れちゃって、もう人だらけ。駅員さんが改札から入る人数を制限してる」

 京の情報を聞いて、輝二が考え込む。

「人数制限となると、仲間が全員着くまでには時間がかかりそうだな」

「そんなこともあろうかと、京しゃんがちゃんとパソコンもってきてますよ」

 ポロモンの言葉に、京がカバンを下ろした。開けると京愛用のノートパソコンが現れた。

「渋谷にパソコンを持った仲間が到着すれば、他の仲間はデジタルワールド経由で行けるでしょ。だから、このパソコンを渋谷まで持っていって」

 大輔が素直な疑問を口にする。

「京が持っていかなくていいのか?」

「私はアクィラモンで飛べた方が便利だし、デジタルワールドに行く」

 京は答えながら、パソコンを起動した。デジタルゲートが現れたところでD-3を取り出す。

「それじゃ、よろしくっ」

 京、伊織、ヤマトはパソコンの中に吸い込まれた。

「じゃあ電車組は俺とチビモン、拓也、輝二だな」

 パソコンを肩に担いで、大輔達は浅草線の改札に向かった。

 


―――

 

 

 湖のほとりにあるテレビの前で、伊織とアルマジモン、ヤマトが座っている。

 重量感のある足音が近づいてきた。立ち上がると、木立の向こうからグレイモンが歩いてきた。その背には太一、ヒカリ、テイルモンが乗っている。

 別方向からスティングモンに抱えられた賢が、また別方向からは、アクィラモンに乗った京とガブモン、バードラモンに乗った空とフェアリモンが集まってきた。

 京が開口一番に伊織に聞く。

「泉先輩と連絡取れた?」

「いえ、メール何度か送ってるんですが返信なくて」

 肩を落とす伊織の横で、ヤマトがため息を吐く。

「今朝、光子郎からD-ターミナルに来てたメール、送信時間午前4時だったからな……。メールに気づかないくらい集中してるか、徹夜明けで寝落ちしてるか、だな」

 選ばれし子ども達が「あり得る……」と頷く中で、フェアリモンが苦笑する。

「大変そうね……。そうすると、あとは誰か来る人いるの?」

 その何気ない問いに、全員がお互いに顔を見合わせ、戸惑った表情になった。問いかけたフェアリモンでさえ、不安そうな表情を浮かべる。

 太一がヘアバンドに手をやりながら考え込む。

「いや、これで全員……のはずだ。……でも俺達、こんなに少なかったっけ」

 太一の言葉に、誰も返事を返せない。もっと沢山仲間がいた気がする。なのに、それが男だったか女だったか、年上か年下か、どんな顔だったか、考えても何も思い出せない。

 何の証拠もない。でも、直感が「仲間が消えている」と告げていた。

 

 選ばれし子どもとパートナーデジモンは残り9組。十闘士は残り3人。

 


◇◆◇◆◇◆
 
 
 
次回は戦闘です。

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 拓也達が家族に追い出された朝に始まり、京と伊織の紋章探索に、ダスクモンとの戦闘と慌ただしかった一日が終わった。
 拓也は大輔宅に、輝二はヤマト宅に、純平は光子郎宅に、泉は空宅に泊まることになった。
 輝二は人の世話になりたくないと、土壇場で意地を張った。が、ヤマトが「うちは徹夜した親父の後輩しか泊まりにきたことないから、近い年の奴が泊まってくれるのは歓迎だ」と説得していた。

 大輔が拓也を連れ帰ると、母親と姉に疑われる羽目になった。
「大輔のサッカークラブ? こんな子いたっけ?」
 拓也をじろじろ見るジュンに、大輔が唇を尖らせる。
「まだ入ったばかりなんだよ! で、両親は旅行に行ってて、拓也はうっかり家の鍵なくしちゃったんだ」
 あらかじめ用意しておいた嘘で訴える。
 しゃっくりあげる声に振り返ると、拓也がうつむいて目を腕でこすっていた。
「大輔くんと遊んでる途中で鍵をなくしたのに気づいて……僕の親が帰ってくるまで大輔くんちに泊められるか聞いてくれる、って言われたからついてきたんです。急に無理なお願いしてすみません」
 涙混じりの言葉に、ジュンも母親も困った顔になった。
 母親が拓也に優しく聞く。
「神原くん、親御さんはいつ帰ってくるの?」
「えっと、あさってです。二人で九州に行ってるんです」
「親御さんには連絡つかないの? 携帯電話持ってたりしない?」
「おっ、僕の家、誰も携帯持ってないです」
 拓也のデジヴァイスは拓也の母親の携帯が変化したものだ。大輔もそれを知っていたが、表情には出さなかった。
 大輔の母親が、仕方なさそうにうなずいた。
「分かった。散らかってる家だけど二晩なら泊めてあげる」
「ありがとう!」
「ありがとうございます!」
 大輔が顔を輝かせ、拓也が深く頭を下げた。
「そうと決まったら、大輔、夕飯ができるまで部屋を片づけてきなさい。床のじゃまなものをどけれは、布団一枚くらいひけるでしょう」
「げっ、そうくるか」
「手伝うよ」
 大輔の後を追って、拓也も大輔の部屋に入る。
 ドアを閉めた途端、大輔の腕からチビモンが飛び出した。勉強机に着地して拓也を見上げる。
「うまくいってよかったな、たくや!」
「ああ。俺の泣き真似上手かっただろ」
 拓也が自慢げに笑う。

 大輔が拓也をひじで小突いた。

「でも一回「俺」って言いかけたよな」

「大輔にはばれたか」
 拓也の目の端には本物の涙が光っていたが、大輔は気づかないふりをした。鍵をなくしたというのは嘘だが、自分の家に入れないのは本当だ。
 さて、と床に放り出していたランドセルを拾う。
「夕飯できるまでに片づけ済ませようぜ」
「ああ」
 拓也も鉛筆を拾い上げて、片づけに加わった。

 

 


 夜9時40分。大輔達が布団にもぐってから静かな時間が流れ、目覚まし時計の針が動く音と、チビモンのいびきだけが聞こえる。
「大輔、まだ起きてるか?」
 ぽつりと拓也に聞かれて、大輔は目を開けた。
「俺のこと、まだ覚えてるか?」
「神原拓也、11歳、自由が丘に住む小学5年生、炎の闘士、アグニモン。忘れるもんか」
「だよな。……でも、明日大輔が起きた時には、俺は消えてて、大輔も俺のこと忘れてるかもしれない」
「それが心配で眠れないのか?」
 大輔の質問に、拓也は数秒黙った。
「昼に伊織が言ってたんだ。デジタルワールドに来たの、本当に6人だったかって」

 拓也が寝返りを打つ音がする。
「家族が俺のこと忘れたみたいに、俺達も仲間のことを忘れて、そいつが消えたことにも気づいてないんじゃないか? 俺達が気づいてないだけで、もう仲間の消滅は進んでるんじゃないか? そう思ったら、怖くなって」
 大輔だって、「気のせいだ」と言える自信はない。
 でも。
「もし俺達が忘れた仲間がいたとしても、その人やデジモンが仲間だってことは変わらないさ。デーモンを止めて世界を元に戻した時、消えた仲間も戻ってくるかもしれない。いや、戻ってくる! 俺はそう信じて頑張る!」
 大輔は天井にこぶしを突き上げる。理由も根拠もない自信だが、それが大輔の良いところだ。

 拓也もふっと笑う気配がして、「そうだよな!」とこぶしを天井に突き出した。
「忘れた仲間を思い出すためにも、しっかり寝て体力つけて、デーモンをぶっ飛ばす! ってことでおやすみ!」

 こぶしを下ろした後、少しして拓也の安心した寝息が聞こえてきた。

 大輔も目を閉じる。

 自分には明日があると信じて。

 

 


◇◆◇◆◇◆
 

 

 

短いですがキリの良いここまでにします。前回の大輔とヒカリのやりとりから恋愛話でもやろうかと思ったんですが、拓也の方がそんなメンタルじゃなかった。

次回は(まだ消えていない)人間キャラ全員出します。

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 大輔達はお台場のヤマトの家に連れていかれ、ヒカリとテイルモンが真っ先に風呂場に通された。
「おれたちだって、すなだらけなのに」
「こういう時は女の子が先だよ」
 膨れ面になるチビモンを、タケルが苦笑してたしなめた。
 ヒカリが入っている間に、インターホンが鳴った。ヤマトがドアを開けると、中学2年生くらいのショートカットの女の子が入ってきた。タケルが目を丸くする。
「あれ、空さん。どうして」
「ヤマトから連絡があって、ヒカリちゃんの着替え用意してきたの。この家は男二人暮らしで、女の子の服がないでしょ。太一に持ってこさせてもいいけど、それだと太一のお母さんに怪しまれちゃうし」
 答えながらも手早く靴を脱ぎ、下げてきた紙袋を脱衣所に持っていく。
「輝二、紹介するよ。太一先輩の同い年で、武之内空さん」
 空が戻ってきたところで、改めて自己紹介を済ませる。
「光子郎くんのメールで事情は知ってる。自分でデジモンになって戦うだけでも大変なのに、家に帰れなくなるなんて……体とか心とか、辛いところあったら言ってね」
 空の気遣いに、輝二は横を向いてつっけんどんに言う。
「別に、辛いところはない。それより、早く風呂に入りたい」
「そーだよ! ヒカリとテイルモンまだ?」
 チビモンの言葉が聞こえたのか、脱衣所の扉が開いた。
「お待たせ。ヤマトさん、シャワーありがとうございました」
 空の服に着替えたヒカリが、さっぱりとした顔で出てきた。テイルモンも白く滑らかな毛並に戻って満足そうだ。
 さっきまで汚れた顔を見ていたのもあり、改めてヒカリちゃんかわいいな、と思う大輔であった。
 
 
 
 
「はああーっ、やっとさっぱりしたー!」
 最後の大輔とチビモンが風呂場から出ると、テーブルの上に昼食のそうめんと麦茶が用意されていた。時計を見るともう午後の1時を過ぎている。

 さすがに人数分のいすと器はなく、茶碗やマグカップを手に、男達は立って食べている。

 暗黒の砂漠での出来事を話しているらしく、みんな真剣な表情でそうめんをすすっている。

 大輔とチビモンもそれぞれマグカップを受け取って話の輪に加わる。

「渋谷駅にはデーモンの本拠地の情報はなしか。光子郎の調査結果に期待するしかないな」

 ヤマトが厳しい顔で腕を組む。

 タケルがその横で表情を和らげる。

「いいニュースもあるよ。デジタルワールドに行った伊織くんと京さんが自分の紋章を見つけたって、メールが来たんだ」

「本当か!?」

 テイルモンが目を輝かせた。

「賭けみたいなものだったけど、こんなに早く見つかるなんてね」

 空は自分達が紋章を探していた時のことでも思い出しているのか、遠い目をして言った。

「問題は、それを発動させられるかだけどな。俺達が消えるまでに残されてる時間は、多分あまり多くない」

 ヤマトの現実を指摘する言葉に、また場の空気が重くなる。

 ――が、そんな状況でもそうめんをズルズルとすする音が二つ。

 大輔とチビモンである。

「でもふぁ、デーモンがどうやって俺達の世界に手を出してるのかとか、光子郎さんの考えが当たってる証拠とかつかめたし良かったんじゃないふぇすか?」

「もんしょーがふえたのも、いいことふぁよな!」

「……二人とも、食べるかしゃべるかどっちかにしない?」

 空が苦笑しながら提案した。

 

 


 大輔はふと目を覚ました。いつの間にか眠っていたらしい。柔らかい枕に頭を乗せたまま視線を巡らし、自分がヤマトの家のリビングにいることを思い出す。

 確か、食器洗いを手伝おうとしたら、ヤマトさんに「お前達は疲れてるんだから少しやすんどけ」って言われて、言葉に甘えて冷たい床に座って、そのまま眠ってしまったんだ。テーブルには、輝二が突っ伏して寝ている。そばの床にはチビモンとテイルモンが寝ている。

 大輔は小さくあくびをしながら頭を起こす。

 そこでようやく、ひざの上に乗っているものに気づいた。

 

 ヒカリが自分の膝の上で寝ている。

 自分が枕だと思っていたものは、ヒカリの背中だった。

 つまり、お互いにお互いを枕にして寝ていたことになる。

 横に座って話をしているうちに寝てしまった覚えはあるけど、ヒカリにもたれかかった覚えはない。断じて。
 上半身を起こしたままヒカリを見下ろすと、相変わらずぐっすりと眠っている。

 この事態に固まっていると、横の部屋からヤマトが入ってきた。大輔が起きているのを見て、意地悪く笑う。

「太一に写真を送りつけてやろうか」

「っ! 撮ったんですか!?」

「どうだろうな」

「勘弁してください」

 楽しそうに笑うヤマトを見て、大輔は肩を落とす。そんなことをされたら、しばらく太一の顔をまともに見られなくなる。

「冗談だよ。良く寝てたし、起こすのもなんだから放っておいてた。あと、タケルと空はもう帰ったからこの状況は見てない」

「あの……この状況、どうしたらいいと思います?」

「『1、ヒカリちゃんを起こさないように上手く抜け出す』『2、ヒカリちゃんが起きるまでその姿勢でいる』」

「太一先輩には、内緒にしててくれますよね?」

「内緒にする、と言ったら?」

 大輔はヒカリの顔に視線を落として、小さな声で言う。

「2の方にしときます」




◇◆◇◆◇◆

 

 

 

反省を1件。

前回の大輔達が渋谷駅に戻ってくるシーンで、間違ってこのシーンにいないはずの拓也のセリフを入れてしまっていました(汗)拓也は伊織や京と一緒に紋章回収班に行ってたんだって……。

既に修正済みですが、ユナイトで大量のキャラを扱っている以上、誰が現在どう動いているのか、ちゃんと整理しながら進めないといけないな、と思いました。

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