星流の二番目のたな

デジモンフロンティアおよび
デジモンアドベンチャー02の
二次創作(小説)中心に稼働します。

注)『デジモンフロンティア02~神話へのキセキ~』は
管理人が勝手に想像するフロンティアのその後の物語です。
続き物、二次創作の苦手な方はご注意くださいませ。


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改めまして、星流です。今年もよろしくお願いします。
遅くなりましたがお正月特別編です。最近フロ02もユナイトも重い展開だし、お正月だし、明るい話を書こう! ……と思った結果、クレイジーなものができあがりました。珍しくアルコールを飲んだ状態で書いたせいか。
 
 
 
―――
 
 
 
 ある春の日、家のインターホンが鳴った。
 玄関を開けたら、青くて背中に木の生えた鳥がいた。それも1年生のぼくくらい大きいやつ。
 見なかったことにしよう。
 ドアを閉めようとしたら、がしっとへりをつかまれた。頑張って閉めようとしたけど、逆にぎりぎりとこじ開けられた。
 ぼくより頭一つ低いのに、手じゃなくて羽なのに、なんでこんな強いんだ。
「ぜえ、はあ」
 ドアが元通り全開になったところで、ぼくは諦めて手を放した。
 鳥の方は明るい顔で片手(片羽?)を上げた。
「クワッ」
 ……あいさつか、あいさつなのか。
「おにい、なにやってるの?」
 妹がぼくの後ろから顔を出した。鳥を見て目を丸くする。
「うわあ、かわいい!」
 年少さんの妹と鳥の目線は同じくらいだ。妹が手を伸ばして鳥の頭をなでる。
「こんにちは。おなまえは?」
「クワー」
「デラちゃんっていうの。かわいいなまえね」
「いや、どこからデラちゃんって名前出てきたんだよ」
 今の流れだとクワちゃんだろ。妹がきょとんとしてぼくを見た。
「だって、このこがじぶんで、デラちゃんだよ、っていったよ」
 言ってない。
 ぼくがツッコむ前に、鳥のお腹からグーという音が聞こえた。
「デラちゃん、おなかすいてるの?」
「クワ……」
 鳥はとたんに座りこんだ。
「じゃあなにかたべさせてあげる!」
 妹は鳥を家の中に連れていこうとする。ぼくは玄関に立ちふさがって両手を広げた。
「ダメ。知らない人を家に入れちゃダメってパパとママに言われてるだろ」
「デラちゃんは人じゃなくて鳥さんだよ?」
 そうだけど……そうじゃなくて!
 ぼくが考えている間に、鳥はぼくのわきの下をくぐって素早く家の中に侵入した。
「あ、こら!」
 ぼくと妹が後を追う。
 鳥は廊下できょろきょろした後、ダイニングに入っていった。テレビやテーブルを不思議そうに見ている。
 ぼくは鳥が変なことをしないかじっと見張る。その間に妹は冷蔵庫を開けてレタスだのニンジンだのを抱えてきた。
「おにい、デラちゃんはニンジンすきかなあ」
「普通の鳥じゃないよなあ。分かんない」
 適当に答えると、妹は野菜を床に並べた。
「デラちゃんどれがいい?」
 妹が呼ぶと、鳥は野菜に顔を近づけてにおいをかいだ。
 全部かいだ後に首を傾げて、レタスをくわえた。「あまりおいしくないけどこれが一番まし」みたいな顔して食べていく。
 ぼくはその横のイスに座った。テーブルのおやつかごからチョコボールを取って、口に放り込む。
 二つ三つ食べていると、視線を感じた。いつの間にか鳥がぼくを、いやぼくの持っているチョコボールを見つめている。
 ぼくはチョコボールと鳥を見比べて、さっとチョコボールの箱を背中に隠した。
「これはぼくのおやつだからダメ!」
「クワ!」
「おいしそう、だって!」
「おいしいけどダメ!」
「クワー!」
「いっこでもほしい、って!」
「うーん」
「クレー!」
「くれー、って!」
「ちょっと待て、今この鳥しゃべった!」

 鳥を指さすと、鳥は「ナンノコトデショウ?」というように目をぱちくりした。

 となりで妹も「ずっとおはなししてるよ?」と目をぱちくりしている。

 頭が痛くなってきた。

 あきらめてチョコボールを三つぶ手のひらに出した。

「ほら」

 手をのばすと、鳥はすぐにチョコボールを食べた。

 目をまん丸くして、体が一瞬膨らんだ。

「クエーッ!」

 興奮したように一声鳴いて、そのまま「クエックエッ」と嬉しそうに鳴きながらリビングをぐるぐる回った。そしてぼくのところに戻ってきて、手のひらに残っていたチョコボールを全部食べた。

「もっとたべる?」

 妹が自分の分を全部床に転がした。鳥はクエクエ鳴きながらせっせと食べる。

 なんかもう、「キョロちゃん」に名前変えればいいんじゃないかな。鳴き声変わってるし。

 

 チョコボールを食べ終わった後、鳥は玄関の方に歩いていく。

「もうかえっちゃうの?」

「クエッ」

 妹が聞くと、鳥はちょっとさみしそうにうなずいた。

「じゃあチョコボールおみやげにあげる!」

 そう言って妹はリビングに走っていって、食べかけの箱を持ってきた。

「あ、それぼくの……」

 言ってる間に、チョコボールは鳥の背中の木に押しこまれた。

 鳥は嬉しそうにした後、背中の木にくちばしを突っ込んで、茶色の木の実を取り出した。妹の手の上に乗せる。

「くれるの?」

「クエー」

 ぼくが聞くと、鳥はまたうなずいた。

 道路まで見送りに出ると、鳥は「クエッ」と片羽を上げてあいさつして、通りの向こうへ歩いていった。どこへ帰っていったのか知らないし、あれ以来会ってない。

 

 もらった木の実はベランダの鉢に植えた。すぐに芽が出て、秋には両手で包めるくらいの小さな木になった。鳥の背中にあった木にそっくりで、茶色の実がなった。

 食べてみたら、チョコボールだった。

 

 

 

―――

 

 

 

自分で読み返しても、クレイジーすぎてオチもなにもない。

鳥デジにお宅訪問させよう→おやつをあげよう→チョコボールのキョロちゃんって鳥だな

というひどい思考回路の結果です。ほんとアルコールテンション怖い。

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みなさま、あけましておめでとうございます! 今年も星流と「デジモンフロンティア02~神話へのキセキ~」と「デジモンユナイト」をよろしくお願いいたします。


さて、毎年恒例のお正月小説をUPします。初めて元日に間に合いました(泣)


信也「そして二度と間に合うことはない、と」


……正月からうちの主人公がひどい……(泣)


こほん、気を取り直して。

毎年お正月小説はギャグなのですが、今回は割とシリアスです。どうしても書きたい番外編があったので。

猿デジモンである必要性皆無の話になってしまいましたが、ご容赦ください。

それではどうぞ。




―――




 十闘士がディノビーモンを討った。その知らせは瞬く間に反乱軍陣営に駆け巡った。

 でもボクには、喜んでいる暇なんてなかった。

「ゴツモン、今助けてあげるから! カメモン、返事してよ!」

 積み上がったがれきを必死にどけながら、ボクは幼なじみ達に呼びかけた。周りのデジモンはまだ戦いの最中で、ボクを手伝う余裕はない。

「町を出る時に約束したよね! 三人で、みんなのカタキを討つんだ、って……」

 ボクの手から、がれきがゴロリと落ちた。

 そこにあったのは、二つのデジタマだった。




 城の主だったディノビーモンがいなくなり、ルーチェモン側の兵士達は降伏するか、光の城の方に逃げていった。この永遠の城は反乱軍に明け渡された。

 城の前や中庭は勝利を祝うデジモン達に埋め尽くされていた。夜はたき火と歓声にいろどられて、しばらく落ち着きそうにない。

 ボクは二つのデジタマを抱えて、中庭近くの廊下に座っていた。勝てたのは嬉しいけど、一緒に盛り上がる気分にはなれなかった。食べ物も食べる気分になれない。デジタマを強く抱き寄せる。

「となり、いいか?」

 急に声をかけられて、ボクは顔を上げた。白いかぶとがボクをのぞき込んでいる。

「エンシェントグレイモン」

 反乱軍を率いる十人の闘士の一人。究極ともいわれる進化を果たした方達。尊敬の念を込めて、エンシェント――長老、指導者を表す称号で呼ばれている。

 遠くから姿を見てはいたけど、直接話しかけられたのは初めてだ。

 驚いて返事のできないボクの横に、エンシェントグレイモンは無造作に伏せた。四足の体にまとった赤い鎧が、がちゃがちゃと音を立てる。

「最前線の陣営に、コエモン、お前のような幼いデジモンが加わっていたとは知らなかった」

 ボクは黙ってデジタマを抱きしめる。エンシェントグレイモンの目がデジタマに向いた。

「戦友か」

「親友です」

 ボクは小さな声で答えた。

「ボク達は同じ町で育ったんです。でも、六年ちょっと前に、町はルーチェモンに焼き尽くされて」

「大粛清……そうか、あの時の生き残りか」

 エンシェントグレイモンは悲しそうな目をボクに向けた。ボクの住んでいた町は、たったひとりの手で滅ぼされた。理由は今も分からない。ただ、ルーチェモンが空から放った光はデジモンごと町を蒸発させた。デジタマになれなかった住人さえいた。

 ボク達は、偶然あの日地下室で遊んでいて助かった。

 地上の残骸の向こうに見えた、犯人の黒々とした影を、ボクは一生忘れない。誓ったんだ。絶対に三人でカタキを討つんだって。

 なのに。ボクの目から涙がこぼれる。

 デジタマは、普通ならすぐに始まりの町に旅立つ。だけど、思い残していることがあるとその場に残る。ゴツモンとカメモンも、死にきれないからここにいる。

「エンシェントグレイモン」

 別の声が近づいてきた。白い鎧に身を包んだ大柄の剣士。エンシェントガルルモンだ。

「今回の戦いの立て役者が見当たらないっていうんで探されてたぞ」

「俺はディノビーモンを追い詰めただけだ。とどめを刺したのはエンシェントボルケーモンだろう」

「あいにく、奴はここの貯蔵庫で酒を見つけてしまった」

 エンシェントガルルモンの言葉に、炎の闘士はあからさまに呆れ顔をした。

「それでは誰も近づかないな」

「エンシェントメガテリウモンが相手をさせられてるよ」

 光の闘士はやれやれと首を横に振った。土の闘士の酒癖の悪さは、ボクのような下っ端のデジモンにも知れ渡っている。

 エンシェントガルルモンの目がボクに向いた。

「そいつは?」

「今日の戦いで親友を二人失ったそうだ」

 炎の闘士の説明に、エンシェントガルルモンが目を細めた。鋭い視線がボクを突く。

「カタキ討ちか正義感かは知らないが、無謀な真似をした結果だな」

 ボクはびくりと肩をすくめた。反乱軍に加わる時も、無謀だと言われた。

「で、でも、どうしても自分達の手でルーチェモンを倒したかったから」

「こいつの気持ちは買ってやれよ」

 エンシェントグレイモンがやんわりとボクに味方してくれる。エンシェントガルルモンは鼻を鳴らした。

「ふん。気持ちでルーチェモンに勝てるのなら苦労しないさ」

「そんな言い方ないだろ! コエモンは今、傷ついてるんだ」

 炎の闘士がかっとなって立ち上がった。二人がにらみあう。その視線だけで、横にいるボクは体が縮みあがった。

「エンシェントグレイモン。お前も分かっているはずだ。コエモンの実力じゃとても最前線では戦えない。二三日中には光の城を攻めるんだ。こいつじゃあっという間に親友と同じ目に遭う」

「でもボク、何もしないでいるのは嫌なんです!」

 怖かったけど、ボクは思い切って声を出した。言われっぱなしは悔しいから。

 エンシェントガルルモンがボクをにらむ。僕はデジタマを両脇に抱えて、精一杯にらみ返した。弱くたって、動かずにはいられなかったんだ。たとえ十闘士相手だからって、ボクや親友を馬鹿にされてたまるか。

 その間に、エンシェントグレイモンが割って入った。

「分かった分かった。つまり、コエモンを戦場に出さずに何か役に立つことをさせればいいんだろ」

 一呼吸置いて、言葉を続ける。

「こいつに山の鍵を託す」

「本気か?」

「試す価値はある」

 山の鍵?

 ボクが飲みこめないうちに、エンシェントガルルモンがうなずいた。話がまとまったみたいだ。

「コエモン、君に未来を託したい。ついてきなさい」

 エンシェントグレイモンが歩き出す。ボクが戸惑って光の闘士を見上げると、彼は肩をすくめて道を開けた。ボクは少し迷ってから、デジタマを抱えて後を追った。



 エンシェントグレイモンは大柄で歩幅も大きい。ボクは早足でついていく。

 宴会で盛り上がっている中庭を避けて、廊下を歩く。途中、傷病者の収容所を通った。戦いに勝ったといっても、ゴツモンやカメモンのように犠牲になったデジモンもいる。

 ベッドの間を歩くデジモンを見て、ボクははっとした。エンシェントイリスモンとエンシェントマーメイモンだ。寝ているデジモン一人ひとりに声をかけている。二人も今日の戦いで疲れているはずなのに。

「こっちだ」

 エンシェントグレイモンが立ち止まってボクを待っている。走って追いついた。

 客室の扉が一つ開いていた。炎の闘士が部屋の中をのぞきこむ。

「入っていいか?」

「君か。もちろんだ」

 中から返事が返ってきた。エンシェントグレイモンに続いて、ボクも部屋に入る。

 二体のデジモンが、床に食べ物を広げていた。

 一体はエンシェントビートモン。カブテリモンのような上半身とクワガーモンのような下半身のデジモンだ。この部屋のイスは小さすぎるのか、床に直接座っている。

 もう一体はエンシェントワイズモン。体は一枚の長い鏡になっていて、緑のローブを羽織っている。あまり人前に出てこない十闘士だ。雷の闘士につきあって床にちんまり座っている。

 エンシェントワイズモンとボクの目が合った。相手がびくっとした。ひょっとして、ボクを怖がってるのかな。

 エンシェントワイズモンが炎の闘士に体を向けた。長い鏡に文字が浮かび上がる。ボクは字が読めない。困るボクの横で、エンシェントグレイモンが小さく笑った。

「ああ、こいつはコエモンだ。こいつに、あのデジメンタルを託そうと思ってな。コエモン、エンシェントワイズモンは滅多に口をきかないんだ。気にしないでくれ」

「あ、はい」

 十闘士も色んな性格のデジモンがいるんだな、とこっそり思う。

 炎の闘士がエンシェントビートモンに顔を向けた。

「木の闘士を探しているんだが、どこにいるか知らないか?」

「エンシェントトロイアモンか。彼なら門の外だ。どうしても門をくぐれなかったから」

「そうか。ここの門は大きいからてっきり通れたと思ったんだが」

「たてがみの部分がつかえた」

 エンシェントトロイアモンは大きくて、ゴツモンの憧れの的だったけど。大きすぎて不便もあるみたいだ。

 ふと気づくと、エンシェントワイズモンがボクを見つめていた。正確には、ボクの抱えている二つのデジタマを見ている。

「あの、何か?」

 ボクが聞くと、鋼の闘士はまた鏡に文字を映した。ボクが首を横に振ると、困ったようにエンシェントビートモンを見る。エンシェントビートモンが文字に目を通して、ボクを見る。

「そのデジタマを貸してくれないか、と言っている」

「え、いや、これは」

 ボクはデジタマを抱えて一歩後ずさった。

 エンシェントワイズモンが困ったように体を揺らして、もう一度雷の闘士に向けて文字を出す。

「そのデジタマは、未来で十闘士を継ぐ者にに関わる可能性が高い。詳しく見てみたい、と言っている」

 またエンシェントビートモンが代弁してくれた。本人は横で激しくうなずいている。

 ボクは両脇のデジタマを見下ろした。親友のデジタマが、今後十闘士に関わる?

「貸してやってくれないか。エンシェントワイズモンのいうことならまず間違いない。傷つけるような真似はしないから」

 エンシェントグレイモンからも言われる。

 ボクは黙って考えてから、デジタマを床に置いた。

「ありがとう。君が戻ってきたらお返しするよ」

 雷の闘士からお礼を言われた。ボクは思わず背筋が伸びて、「こちらこそありがとうございます」なんて変な返事をした。

「じゃあコエモン、エンシェントトロイアモンのところに行こう」

 炎の闘士に連れられて、ボクは部屋を出る。振り返ると、鋼の闘士がいそいそとデジタマに近づくのが見えた。



 門の外の広場は、中庭に負けない勢いで盛り上がっていた。ここにはボクが見上げなきゃならないほどの大きなデジモンが多い。きっと彼らには中庭は狭すぎるんだろう。

 そのデジモン達を更に見下ろすようにそびえているのがエンシェントトロイアモンだ。一歩歩くだけで民家をぺしゃんこにしてしまう、生きた要塞だ。

 ボク達が近寄ると、長い首が軽やかな機械音を立てて動いた。赤い目がボク達を見下ろす。

「エンシェントグレイモン。横ノ少年ハ一体?」

 妙にカクカクした声で木の闘士が聞いてくる。

「彼に聖なる山の鍵を託したいんだ。出してくれ」

 仲間の言葉に、エンシェントトロイアモンの目がボクに向いた。ボクは精一杯背伸びしてその顔を見上げた。巨大で表情のない彼は怖いけど、おびえていると思われたくなかった。炎の闘士がボクに何をさせたいのかは分からない。けれど、十闘士に期待されているならそれに応えたかった。

 赤い目が素早く点滅した。笑ったように見えた。

「イイダロウ」

 左前脚のつま先近くが両開きで開いた。隠し扉だ。中からデジタマくらいの丸いものが転がり出る。

 エンシェントグレイモンが近づき、前足の爪でつかんだ。途端にそれが黄色い光に包まれた。炎の闘士はボクのそばに戻ってきて、それを地面に置く。エンシェントグレイモンが離れると、光は消えた。

 ボクは置かれたそれを見下ろした。赤地に黄色い炎の模様がついている。形や大きさはデジタマに似ているけど、正面に刃物が一本、角のように生えている。

「これはまさか、デジメンタル、ですか?」

 デジモンを進化させる力を持つ道具、デジメンタル。普通なら進化は、長生きしたり戦いの経験を積んだりしないとできない。でも、この道具があればすぐに強くなることができる。山奥の工場村で作られる高級品だ。

 でも、ルーチェモンとの戦いのためにその全てが失われた。不利な戦いの中でデジメンタルは兵器として使われた。そして危険視された結果、製造元の工場ごと滅ぼされた。だから、今は一つも残っていないと思っていた。

「十闘士でも持っているのはこれだけだ」

「そんな大事なものを、どうしてボクに」

「説明ノ前ニ、資格ガアルカ確カメル。触レテミルンダ」

 エンシェントトロイアモンの声が降ってきた。感情がなくて、反論しても許してくれそうにない声だ。

 ボクは緊張しながらしゃがんで、デジメンタルに手を伸ばす。ゆっくりと両手でつかんだ。

 デジメンタルは赤い光に包まれた。

 ボクはそっと二人の闘士を見上げた。二人は黙ってボクを見ている。

「あの、これは……」

「合格だ」

「良カッタ。直前ニナッテ、ヨウヤク見ツカッタ」

 炎の闘士がほほえんだ。木の闘士の声もほっとしているように聞こえた。

 エンシェントグレイモンが真剣な顔に戻って、ボクを見た。

「これは聖なる山の鍵だ」

「聖なる、山? デジメンタルじゃないんですか?」

「正確には、最後に残ったデジメンタルに鍵としての仕組みを埋め込んである。最初から説明しよう」

 炎の闘士が語る。

「聖なる山というのは、南にあるデジメンタルの産地の跡だ。我々はその山の中に記憶の保管庫――アーカイブを密かに作った」

「鋼ノ闘士ノ能力ヲ一部切リ出シテナ。ソコニ行ケバ、コノ世界ト十闘士ノ辿ッテキタ歴史ヲ見ラレル」

「そのアーカイブに入るための鍵が、このデジメンタルですか?」

「ああ。だが特殊な処理をしたためにデジメンタルを扱えるデジモンが限られてしまった。鍵の役目に加えて、かなりの長命を得られるようにしてしまったから。それでずっと適正者を探していたんだ」

「じゃあ、今の赤い光が」

「その証だ」

「でも、ボクはそんなすごい場所の鍵なんて預かれるデジモンじゃありません!」

 ボクは必死に二人に訴えた。戦う力はないし、頭だってよくない。カタキ討ちがしたいって気持ちだけで戦場に飛び込んで、親友二人も死んでしまった。帰る町もないひとりぼっちだ。

 ボクが止めれば、二人はカタキ討ちをやめたかもしれない。そうしたら、戦いにくることもなかった。二人はボクが死なせたようなもんじゃないか。

 そんなボクに、十闘士からの頼まれごとなんてできるわけがない。

 涙目になったボクを、エンシェントグレイモンがまっすぐに見つめた。

「戦いの怖さを知っている君だから頼めるんだ。アーカイブは十闘士がいなくなった後、新たな戦いを防ぐためのものだ」

 十闘士がいなくなる? バカな。

 ボクの気持ちに気づいて、エンシェントグレイモンが顔を伏せた。

「最後ノ戦イハ激シサヲ極メル。我々モ無事デハ済マナイダロウ」

「そして、それでもルーチェモンは倒せない。封印するのが精いっぱいだ」

「そんな」

 十闘士なら、きっとルーチェモンを倒せると思っていたのに。だから信じてついてきてたのに。十闘士でもあいつを滅ぼせないなんて。ボクの足が震える。

 僕の肩に、炎の闘士が前足を乗せた。

「だからこそアーカイブを託したいんだ。遠い未来、ルーチェモンが復活するかもしれない。その頃には我々の戦いの詳細は忘れ去られ、ルーチェモンがまだ生きていることすら忘れられているだろう。その時のために、過去に何があったのか覚えているデジモンが必要だ。その時代に戦いを生まないように。再びルーチェモンとの戦いがあっても、その時の戦士の助けとなれるように」

 未来のためにできること。

 コエモンは悩みすぎるのが欠点だな。知識は行動に生かさなきゃ意味がないよ。ゴツモンならそう言う。

 コエモンのしたいことをすればいいんじゃない? カメモンならあくびをしながらそう言う。

 親友二人はこれから生まれ変わって、新しいデジモンとして生きていく。そして、十闘士を継ぐ者に出会う。戦いに巻き込まれることもあるだろう。来世でも同じ目にあわせたくない。そのためにできることが目の前にある。

 ボクはデジメンタルを握り、闘士二人を見上げた。

「分かりました。アーカイブはボクが守ります」



 デジメンタルを大事にかばんにしまって、一人で雷と鋼の闘士の部屋に戻った。

 開いた扉の向こうから早口が聞こえる。初めて聞く声だ。

「現在の技術では十闘士の力を二分割しないとデジモンに組み込めないけど、理論上は二つのスピリットを同時に組み込むこともできると思う。あたしはその形態にも仮称をつけてるんだ。炎の闘士にアルダモン、光の闘士はベオウルフモン――」

 中をのぞくと、エンシェントワイズモンが壁に向かって三角座りしていた。熱心に話している。

「おやコエモン、戻ったのか」

 エンシェントビートモンが中に手招きして、小声で話しかけてきた。楽しそうな声だ。

「エンシェントワイズモンとは長い付き合いだが、あんなによく話すのを見るのは始めてだ。聞き手が熱心だからだな、恐らく」

「聞き手って」

 ボクはエンシェントワイズモンの目の前を見直した。

 親友二人のデジタマが並んでいた。灰色のデジタマは鋼の闘士の方に傾いている。話に聞き入ってる時のゴツモンの癖だ。時々小さく揺れて頷いている。青い水玉のデジタマは横向きに転がっている。あれは間違いなくカメモンだ。難しくて長い話の時は、必ず寝る。

「本当は試験をしてから実用にしたいところだけど、時間の余裕もないから」

 鋼の闘士はそこまで話して、はっとボクを振り向いた。流れるようなおしゃべりが一瞬で止まった。

「あの、大丈夫です。気にせず続けてください。ゴツモンも楽しそうだし」

 ボクが言うと、エンシェントワイズモンは恥ずかしそうに顔を伏せた。鏡に文字が出てくる。

「自分のスピリット理論を熱心に聞いてくれるから、つい話し過ぎてしまった。一通りは話したからもういい、と言っている」

 仲間の代弁の後、エンシェントワイズモンはますます縮こまった。

 でもボクは安心した。デジタマになっても二人は二人なんだって思ったから。きっと生まれた後もこんな調子でやっていくんだろう。

 廊下から足音が聞こえた。見ると、暗い廊下から同じ黒色をした四足のデジモンが現れた。背中には金色の金属の羽がある。

 エンシェントスフィンクモンだ。十闘士として最前線に出る戦士であり。

「旅立とうとする者の気配を感じた」

 道に迷ったデジタマを始まりの町へ導く案内人でもある。

 ボクは自然と二つのデジタマに歩み寄っていた。デジタマを抱えて、闇の闘士の前に差し出す。

「二人をよろしくお願いします」

 腕の中のデジタマが温かい。

 気持ちの余裕ができて分かった。二人は残されたボクを心配して、そばにいてくれたんだ。

 もう大丈夫。ボクは新しい道を見つけられた。聖なる山で、デジメンタルの力で生きていく。遠い未来に記憶をつなぐために。


 エンシェントスフィンクモンに連れられて城の外に出る。宴会はいつの間にか終わって、しんと静まり返っている。空にはうっすらと青みがかかっている。夜明けが近い。

 闇の闘士が、前足でデジタマに触れた。デジタマは白い光に包まれて舞い上がる。

 二つの光が空の中に消えるのを、ボクは黙って見届けた。

 静かに息を吐くボクに、エンシェントスフィンクモンが視線を向けた。

 ボクは何も言わずにうなずいた。

 闇の闘士は、それだけで満足したのかボクに背を向けて、城に戻っていった。

 ボクはかばんからデジメンタルを出した。胸に当てて、そっとつぶやく。


「デジメンタルアップ」


「バロモン」



 デジメンタルの力を身に宿し、一人、自分のいるべき場所へと歩き出す。

 親友の来世を、この世界の未来を守れるように。




―――




というわけで過去編でした。コエモン(というかバロモン)も書きたかったし古代十闘士も書きたかったですが、一番書きたかったのはデジタマです。

原点は「初めて生まれたダブルスピリットの名前を知っているのは何故か」です。プラスαで色んな要素が組み合わさってこの話になりました。考証をきちんとする暇もなく書いてしまったので、どこかおかしいところがあるかもしれません(汗)

古代十闘士の名前については、当時から「エンシェント」ってつくのも変な感じだなと思ったので、理由づけしました。実際「老人」という意味もあるようですし。



ひとまず小説はねじ込めましたが、コメントする余裕が出るにはもう少しかかりそうです(汗)ほうぼうの更新は見ているのですが……すみません。この小説へのコメントにも返信が遅くなると思います。ゆっくりお待ちいただければ幸いです。

ではっ。

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 時空越えも半分まで来て思ったのは、「アンブロシアが食べたい」でした。

 世界の壁を越えるにはとても体力が必要なのです。決して僕の食い意地だけが理由ではありません。

 でもその時の僕は何より、「マーメイモン様の作ったアンブロシアが食べたいな」と思いました。




 世界戦争マキアーの終結から三十年後、マーメイモン様は五度目の進化を果たしました。

 戦いには弱い種族になりましたので、ネプトゥーンモン様が「ずいぶん控えめな姿と能力になったものだ」と正直に言ってしまいまして。ぺちぺちと反撃のビンタをされていました。

 進化したのだから呼び名も変えよう、という話になったのですが、「新しい種族名は天の奥方の昔に似ているから嫌」と頑固に主張されて、それまで通り「マーメイモン」とお呼びすることになりました。

 戦えなくなったマーメイモン様が新しく始めた趣味が、アンブロシア作りでした。天上の小麦、塩海しおうみの塩と甘海あまうみの砂糖、大地の木の実コデジタマを用いて焼くアンブロシア。マーメイモン様の作ったものは格別おいしく、疲れもきれいに消え去りました。

 僕が焼きたてをねだりに行くと、いつも「みんなには内緒ですよ」と一枚食べさせてくれました。

 今では食料も貴重になり、アンブロシアは気軽に食べられるものではなくなってしまいました。口惜しいことです。

 あの何気ないやり取りが、今思えばどれだけ幸せだったか。




 光の渦を抜けると、そこは僕の世界でした。

 見慣れた、いや、見慣れてしまった残骸の世界。

 まともに残っている大地などなく、海や山の断片が中空をさまよっているばかり。

 僕が拓也さん達を乗せてこの世界を出てから、こっちでは何日経ったのでしょう。海や大地と共に、空も太陽も姿を消してしまいました。もう、一日を計ることもできないのです。

 世界が崩れ去っていった日々も、どれほど前のことだったか、もう分かりません。遠い過去のような気もします。

 でも、マーメイモン様の船へと走ったあの日だけは、まるで昨日のことのように覚えています。




 海も空も陸も、安全な場所などどこにもありませんでした。突然村や町を構成する全てがデジコードと化し、砕け、二、三時間のうちに粒子になって消えるのです。逃げのびられるデジモンはわずかでした。飛べる者でさえ、空の崩落に巻き込まれて塵になっていきました。

 世界が崩れ始めてから滅びるまでの半年間、僕はほとんど休むことなく各地を駆け回っていました。いつもの僕からは想像できないほど、がむしゃらに。

 どんな場所へも行ける僕は、住民救出のための貴重な戦力だったのです。どの村に異常が出た、と聞くたびに走りました。それでも間に合わず、村の残骸を前に呆然としたのが何度あったことか。せっかく助け出せても、避難した先が崩壊し、そこで全滅してしまったこともありました。誰にも止められない悲惨な日々でした。


 ネプトゥーンモン様もまた、十二神族の皆と協力して惨事を食い止めようと必死に動いていました。

 神々の膨大なデータが世界崩壊の原因である。そう言われてもなお、人々は神に助けを求めていました。オリンポス十二神族の存在はあまりに大きく、人々には他に頼れる相手などいなかったのです。

 僕が執務室に行った時も、ネプトゥーンモン様は一人机に向かい、被害状況を地図にまとめていました。僕が入ってきたのに気づいて、手を止めました。

「どうだった」

「生きていたのはルカモン二体とポヨモン一体。デジタマは十七個回収しました」

「ご苦労。海の侵食もひどくなる一方か」

 ネプトゥーンモン様は疲れた声で言って、僕の行った町に×印をつけました。

「今日はもう休め。いつまた呼び出すか分からない」

「ネプトゥーンモン様こそ、少しはお休みにならないと。ここ数日まともに寝ていないでしょう」

 僕が心配すると、ネプトゥーンモン様は首を横に振りました。

「何かしていないと落ち着かない。私が眠っている間にまた被害が出るのではないか。一つでも打っておける手はないのかと考えてしまう。それに」

 そこで言葉を切りましたが、僕には続く言葉を容易に想像できました。あれより他にネプトゥーンモン様が恐れているものなどありません。

「ネプトゥーンモン様!」

 だから駆け込んできたハンギョモンの言葉に、僕はそっと目を閉じました。

「北の海が……マーメイモン様の海域がデジコード化を始めました」

 ああ、恐れていた日が来てしまったのだな、と。



 北の海は既に一部が消え失せ、ハチの巣のような有様になっていました。僕達が泳ぐ間にも、デジコード化した海が消えるのが見えました。消え失せた空間に海水がなだれ込み、あちこちで渦巻いていました。

 その隙間を縫って、ネプトゥーンモン様は一心不乱に泳ぎました。行く手を渦に阻まれ回り道をさせられるたびに、ネプトゥーンモン様がいらだっているのが分かりました。

 普段の二倍近い時間をかけて、やっとマーメイモン様の船にたどり着きました。

 上質の木材で作られた帆船ラグーン号。かつての戦乱の折には、戦艦としても活躍しました。船そのものが一つの町と呼べるほど大きく、「動く城」の異名を持っていました。

 しかし数年前から、船は穏やかな海に錨を下ろし、海底に横たわっていました。

 僕達が甲板に降り立つと、舳先の方から年老いたズドモンが歩み寄ってきました。イッカクモンの頃から船乗りをしている長老格です。

「ネプトゥーンモン様、いらしてくだすったのですか」

 ズドモンの言葉は静かで、でも微かに安心感がにじんでいました。

「船に人気がないようだが」

「海に異常が出てすぐ、みんな避難させました。残ってんのは姫様とわしだけです」

 確かに、いつもデジモンでにぎわっていた甲板はがらんとしていました。見捨てられ、朽ちるのを待つかのように。

「マーメイモン殿は……自分の部屋だな」

 ネプトゥーンモン様の確認に、ズドモンも当然のように頷きました。

「姫様は動かせる状態じゃありませんから……。さあ、こっちに」

 ズドモンか扉を開けて、僕達を船室へと案内してくれました。



 小さなベッドに、マーメイモン様は埋もれるように横たわっていました。

 もちろん、進化してずいぶん小柄になられたのもあったのですが。僕達が前にあった時よりも、更にやせてしまったようでした。

 ネプトゥーンモン様が来たのを見て、マーメイモン様は一瞬嬉しそうに、それから悲しそうに表情を変えました。

「会いにいらしている場合では、ありませんのに」

 途切れ途切れの声を聞きとろうと、ネプトゥーンモン様はベッドの横に座りました。僕は一歩下がった場所で、黙って見守っていました。

  数年前、マーメイモン様は病に倒れました。自らの癒しの力や部下の看病でも、進行を遅らせることしかできませんでした。あの時にはもう絶対安静で、動かせる体ではなくなっていました。当然、避難も不可能でした。

 マーメイモン様が、小さな手をネプトゥーンモン様の手に添えました。

「ネプトゥーンモン様。マーメイモンのことはどうかお気になさらないで。どちらにせよ、もう長くない体だったのですから。それよりも、民を一人でもお救いになってください」

「……マーメイモン殿を置いてはいけない。マーメイモン殿がこのまま消えていくのなら、最期まで共にいてやりたい」

 ネプトゥーンモン様の真剣な言葉に、マーメイモン様は目をうるませました。そして、首を小さく横に振りました。

「なりません。あなたには民を守る義務があります。ご自分の感情に流されて、助かるはずの民を見捨てるのですか」

「私は誰よりも、マーメイモン殿を見捨てたくないのだ」

 ネプトゥーンモン様は間髪入れずに返しました。

 僕は知っていました。マーメイモン様の容体が悪化していると知ったネプトゥーンモン様が、しばらくラグーン号で生活しようと考えていたことを。マーメイモン様がデジタマに還るその日まで船にいるつもりだと、城の者に告げていたことを。世界崩壊が始まらなければ、とうに実現していたでしょう。

 ネプトゥーンモン様がここに残るつもりであることも、予想がついていました。何しろ長い付き合いですから。

 今日がお二人との最後の別れになるかもしれない。僕はそんな心構えさえしていました。

 なのに、マーメイモン様は悲しく微笑むばかりでした。

「そこまで想ってくださるなんて、本当に優しいお方。その優しさ、マーメイモン一人が受け止めてはもったいないですわ」

 ネプトゥーンモン様は深いため息をつきました。

「頑固だな」

「よく分かっているはずです。こういう時の私は譲らないと。何百年も過ごしてきたのですから」

 ネプトゥーンモン様はとうとうおし黙ってしまいました。

 マーメイモン様がその顔を見て、泡を一つ、そっと吹きました。青いハート形のそれは、ネプトゥーンモン様の胸元へと漂い、鎧の隙間から体内へしみこみました。

「お守りです。これなら誰かに食べさせてしまうこともないでしょう?」

 マーメイモン様が小さく笑って、僕が無理やりに笑って、ネプトゥーンモン様は全く笑いませんでした。

 その代わりかすれた声で、もう一度名前を呼びました。

「マーメイモン殿」

「もう行ってください」

 マーメイモン様がきっぱりと言って、目を閉じました。

「長くここにいても、別れが辛くなるばかりです」

「ネプトゥーンモン様……いきましょう」

 僕が促すと、ネプトゥーンモン様はのろのろと重い腰を上げました。マーメイモン様は目を閉じたまま、身動きしませんでした。

 僕も後を追ってマーメイモン様に背を向けます。

「ユニモン、ネプトゥーンモン様を頼みます」

「……はい」

 小さな声に、僕もささやき声で答えました、

 僕がドアを開けると、ネプトゥーンモン様は静かに部屋を出ました。

 部屋を出たところで、ネプトゥーンモン様が立ち止まりました。

「ドアを閉めてくれ。開いていると思うと、振り返ってしまいそうだ」

 僕は取っ手をくわえて、ドアを閉めました。一瞬マーメイモン様に目を向けましたが、入口からではベッドに埋もれてしまって、ほとんど見えませんでした。



 甲板に戻ると、ズドモンが景色を眺めて待っていました。

「あなたは、ここに残るんですか」

 僕が聞くと、ズドモンは当然のように頷きました。

「姫様のいるこの船が、わしの故郷です」

「そうか。……マーメイモンのそばにいてやってくれ」

 ネプトゥーンモン様の言葉に、ズドモンは深々と頷きました。



 北の海、ラグーン号崩壊。生存者ゼロ。

 その報告が入ったのは、城に戻って二日後でした。




 壊れた世界の向こうに、唯一残った城が見えてきました。僕は速度を落として、辺りを漂う岩に隠れながら進みます。重症だったアポロモンを見れば、ユピテルモンが本性を現しつつあるのは明らかです。戻ってきたのに気づかれたら、丸焦げにされてしまうでしょう。

 まずはディアナモンに会って、世界崩壊の真相を伝えること。そしてディアナモンが決断したならば、ユピテルモンが住むこの城から住民を逃がすこと。

 そして、それが終わったら。

 城に入る前、僕は危険を冒して身を乗り出しました。謁見の間がある城の奥を見るために。

 謁見の間は半分が吹き飛んでいました。雷と海の力がぶつかった跡です。散々見慣れた僕が言うのですから間違いありません。

 アポロモンの言葉では一方的に攻撃を受けたようでしたが、反撃するだけの力は残っていたのです。その後どうなったのかは分かりませんが……。

 でも僕は、ネプトゥーンモン様は生きていると信じています。根拠なんてありません。僕がそう信じたいから信じているんです。

 マーメイモン様の思いに応えるためにも、僕は必ずネプトゥーンモン様を探し出すんです。




☆★☆★☆★




8/1おめでとうございます! 今日は(チケット取れなかったのもあって)自宅でネット巡りの星流です。

そして、こんなめでたい日に鬱全開の小説を叩き込んだのは、はい、私です(汗)

番外編三部作の終わりはこれを書こうってずっと決めてたんですもの……8/1以外にこれをUPするタイミングが見つからなかったんですもの……。


お正月特別編でマーメイモンを初めて出した時から、この別れは決めていました。お正月編を書く前まではマーメイモンは生存している予定だったんですが。書いてる最中に現在のネプトゥーンモンと昔のネプトゥーンモンを比べて、世界崩壊だけでない悲しさが生まれているような気がして。

ああ、マーメイモンが死んだんだな、と直感しました。マーメイモンが生きているのなら、ネプトゥーンモンはもっと明るい表情をしているはずだって。

ですので、本編でもユニモンはマーメイモンのことを常に過去形で話していました。


果たしてユニモンはディアナモンに会い、説得できるのか? ネプトゥーンモンの生死は?

その顛末は、本編で明らかになります。

ではっ!

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星流「番外編!」
信也「150話記念企画!」
8人+星流「メンバー座談会ー!」(ぱちぱちぱち)


星流「というわけでとうとう3回目の座談会! 今回も座談会用不思議空間からお送りしますっ!」


ノゾム「だから僕達と拓也達が顔を合わせてたり、知らないはずのこと話したりするのは気にしちゃダメ」


信也「前回の座談会がずれ込んだから実は36話しか経ってないんだけど、状況がすっかり変わったよな」


拓也「新しい仲間が現れたり、やっと昔の仲間と再会できたりしたな」


友樹「物語に関する質問もそうじゃない質問もたくさん来てるよ!」


泉「感想をくれたみんな、Grazieグラッチェ(ありがとう)!」


輝二「で、その質問を持ってくる係はどこに行ったんだ」


ユニモン「はーい! 呼ばれて出てきて初登場でーす!」(音割れ)


純平「こらお前! マイクの前に立つんじゃない! 俺達の声が入らないだろ!」(ドタバタ)


拓也「いつも以上にテンションハイだな、ユニモン」(苦笑)


ユニモン「僕宛の質問が何通も来ましたから。もう嬉しくて仕方ないです」


輝一「分かった分かった。じゃあ質問箱はもらうから、自分の番が来るまで待っててね」


ユニモン「はい。舞台裏で待機してます!」


星流「さてじゃあ最初の質問引くよ。いつも通りくじ引き(という名のサイコロ振り)で……えいっ。

アルファさん所のドルモンから。『今のロイヤルナイツの印象は?』」


拓也「俺や輝二はアニメのロイヤルナイツしか知らないからなあ。強くてムカつく奴っていうイメージがまだある」


輝二「あれだけルーチェモンの復活にこだわっていたのには理由があるのかもしれない、と最近思っている。作者はそこまで妄想しているみたいだが」


星流「も、妄想……」


輝二「悪い、想像の間違いだった」(しれっ)


星流「わざとでしょ絶対……背景設定は考えてはいるけど、出す機会があるかは怪しい。少なくともフロ02ではもう出てこない」


友樹「異世界のロイヤルナイツはいい人だったよ?」


純平「俺と泉ちゃんは『会った』か微妙なラインなんだよな」


泉「そうね。前のイメージがすごく変わる、ってほどではなかったかも」


輝一「俺は会った相手が相手だったから、嫌な奴からカッコいいヒトに変わるくらいのショックを受けた」


信也「そもそもこの世界のロイヤルナイツ知らないし……印象って聞かれると『強い』、だな」


ノゾム「僕は信也よりもっと分からない。でも、信也の言う通り強そうな名前」


信也「じゃあ次は俺が引くぜ。

キラん所のまなさん、から。『もし、突然自分達の使用していた進化が通じない世界に飛ばされたらどうします?』デジヴァイス持ちに、だってさ」


ノゾム「信也は、僕と会う前の状況そのまんま」


信也「それを言うなよ……」


拓也「悔しい思いはするだろうけど、自分達の力が通じないのは何度も経験してきた。通用するまでぶつかるだけだ」


輝二「世界が変われば仕組みも変わる。俺達が戦う手段を探すさ」


純平「その世界のヒトに聞けば、手段が見つかるかもしれないよな」


友樹「うん、戦わないままなんてできないよ!」


輝一「結果はどうなるか分からないけど、まずはその世界のことを知ることからだね」


泉「進化する以外に自分ができることを探すのもありよ。戦えないデジモンを逃がしたり、情報を集めたりね」


友樹「さて、次の質問は。

ユキサーンさんから。『歴代デジモン作品の中でも『(それぞれの属性に合わせた台詞)――デジコード・スキャン!!』ぐらいしか決め台詞が存在していない(というか歴代デジモン作品のキャラに『決め台詞』があるのかも兄貴やタギルを除くと微妙なライン)フロンティア勢ですが、いつか自分が言ってみたいと思える模範な『決め台詞』などはあるでしょうか? テレビに出てくる架空のキャラなどから拝借しても大丈夫です』対象はできるだけ全員!」


純平「とりあえず、友樹と星流ニヤニヤするな」


星流「えー、だって決め台詞考えるとかテンション上がるじゃない☆」←特撮大好き


友樹「メタな話、フロンティアは戦隊ヒーローをモデルにして作ったみたいだし! 決め台詞はロマンだよ!」←ヒーロー大好き


星流「というわけで、私の知ってるマンガ・特撮の決め台詞はリスト作ってあるから思いつかない人は参考にしてね!」


信也「そういや俺、兄貴の決め台詞まだ聞いたことないな。いっぺん言ってみたいかも」


拓也「ぜいたく言うな。お前さりげなく二種類も決め台詞持ってるだろ。あ、信也これ言わせろよ(ニヤッ)『お前はもう俺の代わりなんかじゃない。ギンガレッドはお前だよ』」


信也「うわあああ、こんな適当な場所でそう言うセリフを言うなあっ! 本編にとっとけよ!」


友樹「えーと、僕これがいいな。『第6条 子どもの夢を奪い、その心を傷つけた罪は特に重い』」


輝二「『9.8秒、それがお前の絶望までのタイムだ』」


純平「前にフロ02でも似たような言葉が出てたけど『選ばれし子ども達なんて言われてるけど、ホントはさ、僕達が選んでるんだよね』とか。決め台詞かって言われると微妙だけどさ」


泉「改めてこういうセリフ言うって恥ずかしいな……。『さあ、終わりの時よ!』で」


輝一「『未来 は変えられなくても 自分たちの明日くらい変えようぜ』がいいな」


ノゾム「信也」


信也「ん?」


ノゾム「僕、これ言いたい」


信也「えーと? あー、なるほど……」


星流「ごめん、それはちょっとネタバレの危険があるから、また今度ね」


ノゾム「はーい……」


泉「じゃあ次の行くわよ。あら。(くすっ)

ぱろっともんさんの所の彩芽から拓也に。『ちゃんと勉強してるわよね?』だって!」


拓也「げっ」


純平「そういえばあっちでもらった問題集あったよな? 最近出てこないけど持ってるのか?」


拓也「あーあれは、雷のエリアで雨宿りした空き家に置いてきちゃってさ。フレイモンになって偵察に出るのに持っていくわけにもいかなかったから、あはは」


輝二「だからもう持ってない、と言いたいわけか……」(どさっ)


拓也「えーっ!? なな、何で輝二が持ってるんだよ!?」


輝二「お前が問題集をこっそり戸棚に隠すのを見ていたんだ。合流する前に回収しておいた」


拓也「余計なことを……」(泣)


純平「オチもついた所で次引くぞ。

パラレルさんから。『今回の戦いの中で、自分が変わったと思うことは?』」


信也「スピリットを失って、スーリヤモンの力を手に入れて。前以上にスピリットの事とか戦う意味とか考えるようになったな。兄貴を超えるとか、デジタルワールドを救うとか、それだけじゃなくなった気がする」


ノゾム「僕は戦えないし、昔の記憶もないけど。でも最近、信也といると楽しいって思う」


友樹「僕は前より強くなれたのが嬉しいんだ。疲れてみんなの足をひっぱることもないし」


泉「私は逆に、みんなほど強くなれていないなあって。補助スピリットは最初に手に入れたのに、いまだにダブルスピリットできないから。信也みたいな特性はないはずなんだけど……」


純平「泉ちゃん心配いらないよ! 唯一の女子を冷遇するほどヒドイ作者じゃないはずだから!」


星流「ちょっ、慰め方がメタい」(笑)


純平「それじゃ気を取り直して。俺は自信を持ってみんなを支えられるようになったな。前線で戦うだけじゃなくて、仲間のフォローをしたりとどめを刺す手助けをしたり。そういうのも大切なんだって思うようになった」


輝一「純平の考えに賛成。俺も周りが見えるようになって、改めて仲間の大切さを感じたよ」


拓也「みんなより戦いに復帰するのが遅かったけど、セミ・スピリットのおかげか底力が上がったな」


輝二「俺もだ。敵地にいた分情報も得てきたし。それまで過ごした時間も無駄じゃなかった」


輝一「それじゃあ、次だね。

キラさんの所の苳真くんから。『もしも小2の男の子が空手の実力者とは言えゴブリモン数匹に【生身で】戦いを挑んでほぼ無傷で勝ったらどう思う?』対象は人間全員だって」


信也「タイマンならワンチャン……いやさすがに小2じゃムリか」


友樹「信也負けず嫌いすぎるよ(笑)」


ノゾム「その子本当に、人間……?」


純平「どうやったらそううまく勝てるのか興味あるな」


輝二「確かに。こっちがダメージを受けずに勝つのは重要だ」


拓也「そういや輝二はスピリットを持つ前から結構強かったよな。今ならゴブリモン相手でもいけるんじゃないか?」


輝一「拓也も牢破りする時に見張りを生身で倒してなかったっけ?」(笑)


星流「あの見張り、はっきりとは書かなかったけど成熟期だったんだよ?」


泉「拓也と輝二もその子に負けないくらいたくましいわね……」


拓也「そうか? さ、次の質問行こうぜ。

パラレルさんから。『公式のアニメ歴代主要人間キャラクターで気が合いそうだと思うのは?』対象は全員」


信也「やっぱタギルだな。一緒に冒険したら楽しいだろうな」


ノゾム「ん、イクト。僕もデジタルワールド育ちって説が出てきてるし、話合うかも」


友樹「小春シウチョン。いや、年下がいるっていうのもいいかなあって」


泉「ミミ! 明るいし話し好きだし、気を遣わずに話ができそう」


純平「ゼンジロウとか気が合いそうだな」


信也「何で、ギャグ担当だから?」(笑)


純平「信也お前っ!」(ドタバタ)


拓也「俺マサルと戦ってみたいな。あ、さすがにスピリットはありで」(笑)


輝二「ヤマト。お互い、あまり会話はしそうにないけど」


輝一「伊織かな。落ち着いて話すところなんか似てるし」


星流「ちなみに私はk」


ユニモン「あー僕はタイキがいいですね。みんなのために頑張っちゃうところとか、ネプトゥーンモン様に似てるんですよ」


星流「私はね、k」


輝二「さ、次の質問行くぞ」


泉「ユニモンと輝二が作者の扱いをマスターした……」


輝二「ユニモン、お前宛てにきてるぞ。ぱろっともんさんから。『ネプ様が贈った物で一番これは無いと思ったものは何ですか?』」


ユニモン「そうですねー、色々面白いものはありましたけど。一番は『干物』でしたね」


拓也「え、干物って……あの魚の干物?」


ユニモン「ええ。高級品で長持ちするものをって考えた結果らしいんですけど。マーメイモン様にかつお節でぶん殴られてました」


泉「さすがにそれは、マーメイモンに同情するわ」


純平「俺もプレゼントには気をつけよう、うん」


星流「はーいじゃあ次の質問ね。

キラさんから。『初めてデジモンを見てどう思った?』人間全員に、だって」


信也「俺が初めて見たデジモンって、マルスモンなんだけど。あの時は事情も分からないし、正直怖かった」


輝一「俺が初めて会ったデジモンはケルビモンで……警戒心で身構えてたな」


ノゾム「僕が初めてデジモンを見た時……覚えてないから分からない。プレイリモンに会った時は驚かなかった。やっぱり前からデジモンを知ってるのかな」


友樹「僕は信也と同じ。子どものデジモン達でも怖くて怖くて」


泉「私もポヨモンが窓に張りついてきた時は悲鳴あげちゃった。あれトラウマものだったわよ」


純平「俺はちょっと面白かったかな。帰りたいって気持ちもあったけど、結局好奇心が勝っちゃってさ」


拓也「みんなけっこうビビってたよな。俺はわくわくしてた」


輝二「ああ。何か新しいことが始まる予感がした」


信也「よーし。次引くぜ。

お、またこの子か。キラん所の愛さんから。『自分の好きな相手(幼馴染み)が自分の親友の女友達の事を好きになってるんですけど……どうしたら振り向いてくれると思いますか?』泉と星流にだって」


星流「ふむふむ。それはやっぱり、その男の子の好みを知ることからだよね」


泉「女友達のどこを好きになっているのか調べて、それを上回れるだけの実力をつけないと」


星流「で、その実力を好きな相手にアピール! もちろん無理なイメチェンはしなくてもいいけど」


泉「最後は自分の素の魅力が通じるかどうかだものね。答えになったかしら?」


純平「女の子の恋バナへの熱意ってすごい……」


友樹「今度は僕の番だね。

キラさんとこの苳真くんから。『小2の男の子(前述と同じ人物)が過去に姉と2人で猛獣のいる無人島にナイフ2本を持っていき、そこで1か月生活してた事があると聞いてどう思う?』」人間全員にだって」


ノゾム「人間って、デジモンと同じくらいたくましいんだね」


信也「ノゾム、違うぞ。勘違いするんじゃない」


拓也「でもなんか、面白そうだな!」


泉「ああ、こっちのバカたくやも色々振り切ってる……」


友樹「猛獣って何かな? ライオン? トラ? ピラニア?」


輝一「ピラニアは猛獣に入らないんじゃないか?」


輝二「姉が何歳かにもよるな。5年生以上ならいけるかもしれない」


純平「俺達も野宿や戦いに慣れ過ぎて感覚マヒしてるな……」(泣)


星流「スピリット持ってる時の感覚で、現実世界の動物にケンカ売らないようにね?」


泉「次行きましょうか。

キラさんの所のタカミツさんから。『もし、朝目覚めて起きたら突然四足歩行のデジモンになってたらどうする?』人間全員に」


友樹「え?」←フロストモン(ダブル。四足もいける)


輝二「別に」←ガルムモン(ビースト)


輝一「よくあること」←カイザーレオモン(ビースト)


純平「だけど」←ライノカブテリモン(ダブル。四足通り越して六足)


星流「確かに、君達は何の問題もないね!」(笑)


信也「俺の進化は全部二足だけど、仲間を見てると四足になっても普通に行けるような気がする」


拓也「言えてる。みんな割と問題なく使いこなしてるよな」


泉「私はビーストでも人間の姿に近いから、とまどっちゃいそう」


ノゾム「僕も困りそう」


純平「さ、俺の引く番だな。

アルファさんのとこのドルモンから。『スーリヤモンとアグニモン、どっちが強いと思う?』全員にだって」


信也「そりゃあスーリヤモンに決まってるだろっ!」


ノゾム「あんまり進化してないのに、自慢げだね」


拓也「そうだよ。まだ力の源も分かってないんだろ? いつ妙なことになるかもしれないのに、それで俺より強いとは言えないんじゃないか」


信也「えー、でも設定的には『アルダモンを上回るともいわれている』だぜ?」


拓也「『アルダモンを上回るともいわれている』だろ?」


友樹「なんか、兄弟げんかみたいになってきちゃったね」


泉「どっちも引きそうにないわね」


輝二「そんなに言うならあっちで腕試しでもしてきたらどうだ」


輝一「あ、それ言っちゃうんだ」


信也「よーし兄貴、勝負だ!」


拓也「手加減なしだぞ!」


星流「あら、行っちゃった。じゃ、質問も半分過ぎたことだし、待ってる間に休憩にしましょうか。ユニモンがアンブロシア用意してくれたよ!」


ユニモン「本編では希少品ですが、今回は特別です。プレーンの他にメープルやレーズンもありますよ」(もぐもぐ)


純平「って、お前もう食べてるのかよ!」



(休憩中)




星流「さて、おなかも膨れたところで後半戦だよー!」


友樹「さっきの戦いどっちが勝ったの?」


神原兄弟「…………」(黙って視線をそらす)


ノゾム「何があったんだろう……」


輝一「まあ、質問引こうか。

ユキサーンさんとこの雑賀くんから。『こちらの最新話で『情報変換《データシフト》』という変身系の異能の設定が登場しましたが、もし仮にフロンティア02メンバーがこの能力を得たとしたら、『スピリット』関係以外のどんなデジモンを原型とした姿に変身してみたいですか?(進化ではなく変身と書いているのがミソ)』人間全員に」


星流「見ててください――」


友樹「俺の――」


星流&友樹「変身!」


信也「お前ら二人はちょっと黙ってろ。俺はエクスブイモンなんかいいな」


ノゾム「エンジェモン」


拓也「炎系統でメラモン。どんな外見になるのか想像しづらいけど」


輝二「ムシャモンなんか戦いやすそうだな」


輝一「そういう意味ではトゥルイエモンもありだ」


純平「俺は昆虫系統でカブテリモン!」


友樹「僕アンキロモンがいい!」


星流「ただのコスプレになっちゃう気もするけど、シスタモン姉妹もかわいいよね」


泉「そうね。どっちもかわいいなあ」


純平「泉ちゃんがあの衣装を……」(ごくり)


泉「何想像してんのよ!」(強烈なひじうち)


純平「ぐはっ!?」


拓也「……次、いくか。

キラさんところの、信心まこと、くんから。『人間の心の闇はあるべきか否か』人間全員となってるけど」


輝一「待って、対象人間全員だよね。何でみんな当たり前のようにこっち見るの」(笑)


信也「いや、だって」


友樹「ねえ?」


輝一「仕方ないか。闇は消そうとしてもなくなるものじゃないと思うよ。大事なのは、そんな自分を認めてあげること。それから、支えてくれる仲間を見つけること」


拓也「うん。輝一のそれだけ聞いたら俺達が話すことないな」


輝一「えっ」(笑)


ノゾム「いいと思う」


純平「それ以上の回答俺達に求められても困るし」


輝二「じゃ、次だな。

キラさんところのタカミツさんから。『もしも四足歩行のデジモンになっちゃったとしたらどのデジモンが一番良い?(全員で決める)』全員に」


ユニモン「もちろんユニモンです!」


拓也「お前には聞くまでもないわ!」


輝二「まあ、ガルムモンだな」


輝一「カイザーレオモンだね」


信也「そこの兄弟ずるいぞ(笑)俺はエンシェントグレイモン!」


拓也「俺それ言おうとしてたのに」


友樹「フロストモンは基本二足歩行だからなあ。あ、エンシェントメガテリウモンは四足歩行だ!」


純平「ライノカブテリモンは足が二本多いからボツか。ドゥフトモンレオパルドモードで」


泉「うーん、キュウビモンかな。きれいだし」


星流「私ネフェルティモンがいいな」


ノゾム「チィリンモン、がいい」


星流「さて次ね。

ユキサーンさんからユニモンにだよ。『率直に聞きたいんですが、実際のところネプトゥーンモンの普段の日常生活はどうだったのです? 過去編でも明らかになっていたのはシャウジンモン時代の事だったりなので、争いとか関係無い時の『素』の日常を知ってないかどうか……』」


ユニモン「もちろん知ってますよ。戦争が終わってからもずっと仕えてますから。真面目なヒトなので、民の様子を視察に行ったり、自分の鍛錬をしたり。マーメイモン様の船にも視察や休暇で行きました。プレゼントのセンスはあれですが、マーメイモン様はネプトゥーンモン様の誠実なところを好いてました。ネプトゥーンモン様もマーメイモン様と一緒にいる時が一番楽しそうでしたね」


輝二「ネプトゥーンモン、無事だといいな」


ユニモン「もちろんです。絶対見つけてみせますよ」


信也「よし、次の質問。

パラレルさんから。『遭遇したオリンポスで最も印象の良かった奴、悪かった奴は?』全員に」


友樹「本編には10体出てきたね。ユピテルモンとディアナモン以外は」


ノゾム「僕は、誰にも会ったことないからパス」


拓也「印象のよかったのはやっぱりネプトゥーンモンだな。悪かったのはマルスモン」


輝二「俺も同じだ。悪かったのはミネルヴァモン。いきなり怒り出したから何かと思った。おかげで脱出の糸口はつかめたが」


泉「ウェヌスモンは十二神族の中でもかわいそうな倒され方だったわね。そういう意味では、メルクリモンが許せなかったわ」


純平「最近会ったアポロモンは強かったけどいいやつだったな。逆に、友樹を黄金化したバックスモンはいい印象ないな」


友樹「僕もバックスモンはちょっと……。アポロモンはいいヒトだったね」


輝一「ああ。あんなケガをしてなければ仲間になれたかもしれない。輝二をさらったマルスモンは許せなかったな」


信也「俺はアポロモンにもネプトゥーンモンにも会ってないから……やっぱウェヌスモンが印象良かったかな。ユピテルモンは、まだ会ってないけど既に印象最悪」


友樹「次は僕だね。

キラさんから。『もしも別(小説の)世界のキャラに会えるなら誰に会いたい?(まだ会ってない相手限定)』全員にだって」


拓也「小説限定か。俺ロストメモリーズのみなさんには挨拶行かなきゃと思ってるんだよ」


信也「なんで?」


拓也「『信也がお世話になりました。ご迷惑をおかけしてはいませんでしたでしょうか』って」(笑)


信也「んなのしなくていいよ! あ、じゃあ俺彩芽に『うちの兄貴は勉強サボってます』って言ってやる」


拓也「うわああ、やめろ!」


輝二「なんだかんだで、俺と拓也と、atonementのみんなの付き合いは広いな」


ノゾム「信也とよくコメント欄で喧嘩してたって人、会ってみたい」


友樹「うーん、僕けっこう色んな人ともう会ってるからなあ」


泉「そうねえ」


純平「もう一度会いたいっていうのはあるけどな」


輝一「俺はロードナイトモンの話に出ていた『保護してるデジモン』に会ってみたい」


星流「私は『都会のトム&ソーヤ』(はやみねかおる、講談社刊)の二人組がいいな、って言っても分からないね」(汗)


泉「次引くわよ。
パラレルさんから。『ネプトゥーンモン以外の十二神族の部下になるとしたら、誰?』ユニモン、あなたによ」


ユニモン「うーん難しい質問ですね。ネプトゥーンモン様以外に仕える相手なんてなかなか。アポロモンかディアナモンですかね。二人とも優しいですし。ディアナモンは手厳しいところがありますけど」


輝二「ディアナモンもそろそろ出てきそうだな」


星流「そうだね。十二神族も残りわずかになっちゃったし」


純平「続いての質問は。

ぱろっともんさんから。『自分のスピリットと誰か別のメンバーのスピリットを交換して使うとしたら誰と交換しますか?ノゾムは誰かのを使わせてもらうとしたらという事で』対象は全員」


信也「友樹の氷のスピリットがいいな。スキーとか雪玉とか面白そう」


拓也「俺は輝二の光のスピリット。一緒に戦うことが多いから、コツも早くつかめそうだし」


友樹「僕は雷のスピリット使ってみたい! で、ライノカブテリモンやりたい!」


泉「私も光のスピリットかな。女の子が使っても、他に比べると違和感少なそう」


輝二「炎のスピリット。たまには格闘技で戦うのもいい」


純平「闇のスピリット使ってみたいな。結構強いし」


輝一「輝二とかぶるけど、俺も炎のスピリット。体格が似てるし戦いやすいと思う」


ノゾム「風のスピリット、出てないけど。どんなやつ?」


男一同「俺達が選んだら痛いことになるやつだ!」


ノゾム「!? そう、なんだ?」


泉「まあ、そうね……」(苦笑)


輝一「残りも少なくなってきたね。

キラさんところの信心くんから。『人をどうやったら信頼出来るかどうか』人間全員にだって」


信也「ケンカする」


拓也「時にはつかみ合いしたりする」


星流「どこの喧嘩番長だっ!」


友樹「あの二人は、よく家でケンカしてるみたいだから……(苦笑)僕は、同じ趣味を見つけることだと思うな!」


泉「相手の気持ちを考えてあげることかな」


純平「物や手品じゃ人の心は釣れないぜ」


輝二「一緒に出かけるのもいい」


輝一「おいしいものを一緒に作って食べるとか」


ノゾム「分かる。信也と旅してて、おいしいご飯作ってもらって、嬉しい。僕も信也に恩返ししたい」


信也「いいよ、そんな気にしなくても」


拓也「さてと、次行くか。……ぷっ、ははは。ここでこれ来たか!」


輝二「何笑ってるんだよ」


拓也「アルファさんとこのドルモンから信也に。『エメラのことは好きですか!?』だってよ」


信也「なあああっ!?」(顔真っ赤)


ノゾム「え、何、どういうこと」


友樹「あのね、こことは違うサイトで信也が参加しているイベントがあるんだけど。そこで2歳年上のエメラって女の子がいて。どうも信也はその子が好きらしいんだ」


泉「ほら信也、答えなさいよ」


信也「ああ……いや、別に好きとかそういうんじゃ、その、なんていうかさあ」


純平「はっきり言わないと女の子には通じないぞー」


信也「あおるなよっ! まあ、実際の所は……っ、こんなところじゃ言えねえよ。言うならちゃんと本人の前で言う」


輝一「つまり、好きなんだね」


星流「好きって事だね~」


信也「……っ! 次の引いてくれ!」


輝二「仕方ないな。

キラさんから。『皆から星流へ一言メッセージ、星流は皆へ一言メッセージを言って(星流は彼相手にはノロケはせずに真面目に)』対象は全員」


星流「なんでわざわざ注釈をつけるかなあ」


輝二「自分の行動思い返せば当然だろ」


信也「追手に襲われたり、ノゾムの謎が深まったり重い展開が続いてるけど。最後はハッピーエンドにしてくれよ」


星流「そうだね。信也達の思いが尊重される終わりにしたいと思ってる」


ノゾム「まだ僕の過去は分からないけど。でも信也に会わせてくれてありがとう」


星流「正面から言われると照れるなあ」


友樹「早く信也達と合流させて!」


星流「あと10話くらいしたら合流できる、と思う」


泉「そろそろダブルスピリットがしたいな」


星流「合点承知です」


純平「俺の恋愛を成就させてぶっ!」(星流に胸ぐらをつかまれた)


星流「私がノロケ禁止されてるってのに! お前はそんなことを言うかっ!!」


拓也「えーっと、俺も早く信也を見つけたいな」


星流「序盤以来会えてないもんね。頑張ります」


輝二「輝一と無事再会できてよかった。これでまた一緒に戦える」


星流「お互い心配しきりだったもんね。私もひと安心だよ」


輝一「言いたかったこと輝二に言われちゃったな。リアルが忙しいみたいだけど、無理せずいい話を書いてね」


信也「じーっ」


星流「な、なによ、ニコニコしてたっていいでしょ! 発言はしてないんだし! 私からみんなには、最近暗い展開続きだけど、みんなならきっと乗り越えてくれると信じてます。これからもよろしく!」


ノゾム「本当に、真面目なこと言った」


星流「ノゾムまでそういうことを……」(泣)


信也「これが最後の質問だ。ノゾム、ユニモンがデジ文字に訳してくれたから読みなよ」


ノゾム「本当!? ありがとう」


ユニモン「いえいえ」


ノゾム「えっと、キラさんから。『150話を突破したわけだけど、これからの目標と意気込みをどうぞ!』全員に」


信也「ノゾムの過去を見つけて、ユピテルモンの企みをあばく!」


ノゾム「自分が誰か知る」


友樹「ラスボス戦も少しずつ見えてきたけど、絶対負けないよ!」


泉「まずはダブルスピリットをすること。そして世界もデジモン達も守るわ」


純平「最後はみんなで笑って終わりたいな!」


輝一「輝二達と一緒に、最後まで戦い抜く」


ユニモン「私達の世界の生き残りも、ネプトゥーンモン様も救ってみせます」


輝二「本物のスピリットも手元に戻ってきた。俺達の本気はこれからだ」


拓也「ああ。どんな展開が待ってても心は折れないぜ!」



星流「と、いうわけで! 座談会はここまで!」


ノゾム「これからも『デジモンフロンティア02~神話へのキセキ~』をよろしくお願いします」


信也「次の151話でまた会おうぜ!」


一同「おつきあいありがとうございました! さようなら~」

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「星流の二番目のたな」をお読みくださっている皆様! 改めまして、あけましておめでとうございます!

本年も『デジモンフロンティア02~神話へのキセキ~』と『デジモンユナイト』をご愛読のほど、よろしくお願いします!


何とか松が明ける前に間に合いましたね(苦笑)今年は去年よりか余裕がある予定だったんですが……空いた時間は泥のように眠って疲労をいやしていました。早めに書いておけばいい話なんですけど、時間に余裕があるならできるだけ本編の更新に回したいとも思うし。悩みどころです。


さて、2015年の主役は羊さんですね。というわけでお正月恒例のカオス展開をどうぞ!





―――





「シープモンの羊毛枕ぁ?」

 俺の拍子抜けした言葉に、友樹が真面目な顔で頷いた。

「それが、エンジェモンからの頼まれごとなのか?」

「うん、僕と信也にお願いしたいって」

 オリンポス十二神族と戦ってる真っ最中だっていうのに、なんでそんなこと頼まれるんだよ。

 俺があからさまにぽかんとしているのを見て、友樹が詳しく説明してくれた。

「このお城のワーガルルモンは毎年今頃になると、シープモンの群れの所に行くんだって。それで、シープモンの羊毛を刈り取って、それを城中の枕に詰めるんだ。でも、この戦いでワーガルルモンはケガをしちゃって、とても羊毛刈りにはいけないって」

「それで、俺達に行けと?」

「シープモンの枕はぐっすり眠れて、疲れも取れるスーパー枕なんだ。でも、効き目が一年しかもたない。戦いで疲れたデジモン達のためにも、絶対必要なんだよ!」

 友樹が熱いこぶしで机を叩いた。……なんか、妙に気合入ってないか?

 俺は若干体を引きながら、もう一つ聞く。

「で、でもさ。羊の毛を刈るだけなら、他のデジモンでもいいんじゃないか? 何も主戦力の俺達が行かなくても」

 俺が言い終わる前に、友樹が俺の腕をつかんだ。

「エンジェモンによると、シープモンには並みのデジモンじゃ近寄れない。その毛を刈るには速度と技術力が必要らしいんだ」

 ……シープモンって羊だよな? 羊ってそんなにヤバい生き物だったっけか?

 とにかく、詳しくは着いたら話すから! と言われて、俺は訳も分からずトレイルモンに乗せられた。


 木のエリアの奥、レールの途切れる果ての地でトレイルモンは止まった。同じ森の中と言っても、城の辺りと違って草も木々も鬱蒼としている。

「本当にこんなところに羊がいるのか?」

「シープモンがいるのはこの上だって」

 友樹が地図と見比べ、目の前に見える崖を指さす。その高さ約二階分……待て、これをよじ登れと?

 友樹が俺の肩をぽんと叩いた。

「信也、よろしく」

 ヴリトラモンおれはタクシーかよっ!


 友樹を抱えて、俺は崖のふちまで上がった。茂みに隠れる位置で進化を解く。崖の上は広い草原になっていた。俺達の膝くらいまである草の向こうに、ピンクのもこもこ軍団が見える。背中に二連のバズーカを備え、頭にくるんと巻いた赤い角を持つ羊達だ。顔も愛嬌がある。危険な雰囲気なんかかけらもなく、のたっ、のたっとした動きで歩き、草を食べている。

 その数、一匹二匹、三匹、四ひ、……。




「信也、起きてったら! 信也!」

 頬を何度も叩かれて、俺はようやく重いまぶたを開けた。何だよ、せっかく寝てたのに。って、俺何してたんだっけ?

 寝ぼけた頭が少しずつ回るようになって、やっと羊毛刈りに来ていたことを思い出す。群れに目を向けかけると、友樹が俺の頭をつかんでぐいと向きを戻した。(首が変な音を立てたような気がする)

 友樹が真面目な顔で忠告してくる。

「シープモンの群れを長い間見ないで。動きにつられて眠くなるから。僕らの前にもグレイドモンってデジモンが刈りに来たらしいんだけど、シープモンの動きを見極めようとして、三日三晩ここで寝た挙げ句、雨に降られて『デジフルエンザ』にかかったらしいよ」

 友樹の真実味のある声に、頬を汗が一筋流れる。シープモン、なんて手ごわい相手なんだ……。

 今度は注意深く、横目で群れを見る。

「見ちゃダメなら、どうやってあいつらの毛を刈るんだ?」

「ワーガルルモンは、群れからはぐれた奴を狙えって」

 俺は群れの周囲をそれとなく見る。なるほど、群れから離れた場所で草を食うはぐれシープモンが何体かいる。あれ単体なら動きを見ても眠くならない。逃げられないよう茂みに隠れ、足音を忍ばせて近づく。右手をポケットに伸ばし、バリカンをつかみとる。

「でええい!」

 茂みから飛び出すと同時に、足払いをかける! 油断していたはぐれシープモンはあっさり横向きに倒れ込んだ。その足を抑え込み、バリカンを起動!

「《ウールグレネード》!」

 背中のバズーカが俺を向き、桃色毛玉を打ち出す。

 が、俺は上体を大きく反らしてそれを避けた。ふっ、見たか俺のマトリックス避け!

 バリカンを握りしめ、いよいよ毛を刈るべく体を起こす。

 その視界に入ったのは、俺目がけて走りくる怒涛どとうの羊達。さっきののろい動きとはけた違いの速度。全てのバズーカが俺をロックオン。

「《ウールグレネード》!」

「《ウールグレネード》!」

「《ウールグレネード》!」

「《ウールグレネード》!」

「《ウールグレネード》!」

「《ウールグレネード》!」

「《ウールグレネード》!」

「《ウールグレネード》!」

「《ウールグレネード》!」

「《ウールグレネード》!」

「《ウールグレネード》!」

「《ウールグレネード》!」

「《ウールグレネード》!」

「《ウールグレネード》!

「《ウールグレネード》

「《ウールグレネード

「《ウールグレネー

「《ウールグレネ

「《ウールグレ

「《ウールグ

「《ウール

「《ウー

「《ウ

「《




「信也、起きろって! 信也っ!」

 頬を盛大にひっぱたかれて、俺はようやく重いまぶたを開けた。頬がじんじんする。
「えっと俺は、何をしに」

 言いかけたところで友樹が再び平手を振り上げ、俺は慌ててさっきのことを思い出した。

「言われた通りにやったけどダメだったぜ。なんだよあの羊の大群」

「確かに動きは良かったけど、遅すぎたんだ」

 友樹が真剣な顔で批評する。

「シープモンの群れは一匹の危険に気づくと一斉に襲いかかる習性があるんだ。グレイドモンの後にカラテンモンってデジモンが刈りに来たらしいんだけど、得意の先読みを上回る弾幕を張られて、その場で昏睡。三日三晩寝た挙げ句、『デジふく風邪』にかかったらしいよ」

 友樹の真実味のある声に、頬を汗が二筋流れる。シープモン、なんて恐ろしい相手なんだ……。

 こんな相手と毎年戦っていたワーガルルモンは十闘士を超える猛者じゃないのか。

 いや、ここで諦めるわけにはいかない。十闘士としての名誉を守るためにも、必ず羊毛を持ち帰る!

 膝を叩いて気合いを入れる。

「友樹、他にも何か情報ないか? ワーガルルモン以外に羊毛を持って帰れた奴は?」

「カラテンモンの後に来たゲコモンが枕二つ分だけ持って帰れたらしいよ。シープモンの性質を逆に利用して、子守唄で眠らせたんだって。それでも途中で他のシープモンに見つかって、命からがら帰ってきたんだ」

 子守唄、か……。俺と友樹には向いてないな。

 アグニモンもフェアリモンに比べたら早く動けるデジモンじゃないし。ん?

「そうだ、氷と炎の合わせ技でいかないか? つまり、チャックモンの力で、群れを凍らせて、アグニモンが溶かしながら羊毛を。って、さすがに無理か」

 いくら友樹が氷の闘士になっても、群れ全部を一気に凍らせるほどの範囲技はない。何度も分けて凍らせてたら、残ったシープモンに攻撃されてしまう。

 もう少し、他に手を考えないと。


 突然友樹が立ち上がった。こぶしを握り、妙に気合いの入った……いや、すわった目をしている。

「分かった。僕に任せといて!」

「待てって、チャックモンの《カチコチコッチン》でも数体が限界だろ! ダブルスピリットのフロストモンも自分のそばに冷気をためるタイプだし」

「信也、デジヴァイスの中に土のスピリットと進化補助プログラム入ってるよね?」

「え? あ、ああ」

 訳が分からないながらも頷く。

「じゃあ貸して。木のスピリットの補助でフロストモンになれるなら、土のスピリットの補助でもっと別のデジモンになれるかもしれない! というかなれる! そんな気がする!」

「お前何か変な電波受信してないか!?」

 ドン引きながらも、気迫に押されて手がデジヴァイスに伸びる。土のスピリットと進化補助プログラムが友樹のデジヴァイスに送り込まれた。

 友樹の左手に何輪ものデジコードが浮かぶ。


「ダブルスピリット・エボリューション!」

「――――――!」




 友樹が進化したその姿を、俺は記憶から抹消している。

 覚えているのは、ヴリトラモンをはるかに超える巨体と、それが暴れまわりシープモンの群れを冷凍したことだけだ。

 俺はその陰でアグニモンに進化し、シープモンを解凍しながら毛を刈っていたから。

 そう、作業に集中していたんだ。親友の衝撃的な暴走を必死に現在進行形で抹消し続けながら……。




「おお、これだけあれば城中の枕が詰め替えられる!」

 俺達が城に帰ると、松葉杖をついた二足の狼デジモンが出迎えてくれた。これが噂の枕職人ワーガルルモンか。

 ワーガルルモンは杖を器用に使って、トレイルモンの貨物車に近寄った。そこには二両分いっぱいに羊毛が積まれている。

 ワーガルルモンが満面の笑みで俺達に振り向いた。

「戦闘を見てても大した奴らだと思ってたが、まさかシープモンの群れとさえ戦えるとはな! 一体どうやったんだ?」

「十闘士の企業秘密です」

 無邪気に笑って答える友樹。

 それを見て、俺は「二度と土のスピリットを渡さない」と決心した。




―――




フロストモン初進化以降、ユノモン戦以前のどこかの時系列です。

最強の羊を書くはずが、気づいたらもっとトンデモナイ何かが降臨する羽目になりました。

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