〔51〕洞窟サバイバル! | 星流の二番目のたな

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デジモンフロンティアおよびデジモンアドベンチャー02の二次創作(小説)中心に稼働します。たまに検証や物理的な制作もします。
続き物、二次創作の苦手な方はご注意くださいませ。

 拓也が見つけた洞窟の入口は、町の地下道くらいの大きさだった。太陽の光が差し込まず、奥は黒々としている。

「真っ暗だよ? 本当に入るの?」

 友樹が怯えて拓也の腕にしがみつく。

「伊織、タグは反応しとるか?」

 アルマジモンに聞かれて、伊織が胸元のタグを手に取る。

「! 少しだけど白く光ってる!」

「よし! 最初から当たりだな」

 息をのんだ伊織に、拓也も嬉しそうに笑う。その横で友樹はため息をついた。

「それでも、この暗さでは入れませんね。懐中電灯を持ってきた方が」

 伊織の言葉が途中で止まった。

 その視線は拓也の顔にまっすぐ向けられていた。



「使い方を間違ってる気がする……」

 先頭を歩くアグニモンは、同じセリフをもう四回も吐いていた。

 全身の鎧の間からは明るい炎がちらちらと出て、進む道を照らし出している。まさに歩くたいまつである。

「あの、嫌でしたらやっぱり帰って懐中電灯を」

 言いかけた伊織の言葉は、突然の揺れに遮られた。地面が揺れ、頭上から砂が降り注ぐ。

「うわああっ!」

「くっ!」

 悲鳴をあげる友樹達に、アグニモンが覆い被さった。




 三分後、洞窟の中は岩石と砂煙に埋め尽くされていた。

 岩石の下から、かすかな機械の回転音がする。次第にその音は大きくなり、ドリルが岩石を砕きながら現れた。

 片腕に伊織を抱きかかえて、ディグモンが這い出してきた。

「助かったよ、ディグモン」

「これくらいお安いご用だぎゃ」

「しっかし、派手に崩れたな」

 アグニモンが辺りを見回してぼやく。

「……入口もふさがってしまいましたね」

 伊織の言葉通り、元来た方向は完全に崩落している。

 ディグモンが歩み寄り、崩落した土砂にドリルを突き立てる。

 が、1メートルも進まないうちに土砂が不穏な地鳴りと共に崩れだしてきた。ディグモンが慌ててドリルを止め、数歩下がる。無理に掘り進むと、自分達がいる場所まで巻き添えになりかねない。

「戻れないとなると、進むしかありませんね。とりあえず京さんにメールを打っておきます」

 伊織がD-ターミナルを開き、手早く文面を打ちこむ。

 それを待つ間、アグニモンが進む先に目をやる。こちらも崩れてはいるが、岩の上を進めば何とか行けそうだ。

「俺達が入ったとたん洞窟が崩れるなんて、偶然とは思えない。この先何が待ってるか分からないな」




 伊織の背丈ほどもある岩を乗り越えていく。ふさがっている場所は、ディグモンのドリルで穴を開ける。幸い、入口のように崩れてくることはなかった。

 ディグモンの背中に乗っていた伊織がせき込んだ。

「大丈夫か?」

 パートナーに気遣われて、伊織は辛そうな顔でうなずく。

「大丈夫。でも、さっきから息がしづらいんだ」

「奥は酸素が少ないのかもしれないな」

 アグニモンが顔をしかめて、鎧の炎を弱める。自分の指の先が見えるぎりぎりまで絞った。炎は酸素を消費してしまう。

 長居は危険だ。出口を見つけるため、ペースを速める。

 炎を弱めて一つだけ良かったことがあった。伊織の持つタグの発する光が見やすくなったのだ。進むにつれ、その光は強くなっていく。

「明かりが見える!」

 伊織が奥を指さし、声を上げた。カーブの向こうから、白と赤の混じった光が差している。伊織を乗せてディグモンが一歩踏み出す。

「危ない、伏せろ!」

 アグニモンがディグモンの頭をつかみ、地面に伏せる。

 直後、頭上を大量のコウモリが飛び過ぎた。

 その攻撃が過ぎてすぐに、アグニモンが片膝をついて立つ。そばに転がっていた顔面大の岩をつかんだ。

「くらえっ!」

 カーブの先へ岩を蹴り込む。誰かがひるむ声と、岩の砕ける音。

「今のうちに!」

 アグニモンの声で、カーブの先へ走る。相手の見えない状態は不利だ。

 カーブの向こうには、教室二つ分くらいの空間があった。天井も普通の二階分ある。

 正面には古びた壁画があった。デジモンの文字がびっしり書かれている。その中心には白とマゼンタ色の紋章が埋め込まれ、光を放っている。

 その前に黒くつやめいた服の女性型デジモンが立っていた。背中の黒い羽や赤い目は、さっきのコウモリ攻撃とよく似ている。

「洞窟ごと潰れたと思ってたのに。念のためここで待ってて正解だったわ」

 黒衣のデジモンはそう言ってふふっと笑う。アグニモンが歯を噛みしめた。

「デーモンの手下か」

「レディーデビモン……完全体です!」

 デジヴァイスを見た伊織が顔をこわばらせる。

 先日戦ったマリンデビモンも完全体だったが、あの時はエアロブイドラモンとジュエルビーモンという二体の完全体と、多くの仲間がいたから勝てた。

 今はディグモンとアグニモンだけ。

 奥の紋章さえ取れれば伊織のパートナーを完全体にできるかもしれない。だが、そのためには立ちはだかるレディーデビモンを何とかしなければならない。レディーデビモンを倒すために紋章が必要なのに、本末転倒だ。

「さあ、今度こそ埋葬してあげる」

 レディーデビモンが左手の赤い爪を掲げる。

 打開策の見つからないまま、ディグモンとアグニモンは身構えた。




◇◆◇◆◇◆




どうも、お待たせしました(汗)

洞窟内でピンチに陥る拓也達ですが……本当の危機は別に起きています。きっと何名かはお気づきの通り。

あ、あと伊織と京の紋章の意味と色、進化先決まりました。カッコよく出せるように頑張ります。