【要旨】
  • 機能不全かつ有害な『付随的違憲審査制』の廃止
  • 通常の司法裁判所とは異なる『憲法裁判所』を設置する



【解説】


そもそも、今の日本国憲法体制の下では、憲法を守らせるための仕組みが存在しません。
憲法第81条【最高裁判所の法令審査権】があり、日本では米国型の『付随的違憲審査制』を採用していますが、この制度は、実際に事件が起きた際に裁判所が憲法判断を下す制度であり、裁判所が独自判断で法律や政令を審査することはありません。

また、国民から選挙されたわけでもない裁判官が、高度な政治性を有する立法府・行政府の決定に対して「違憲だからダメ」という判断を下さない (※統治行為論) 考え方があり、裁判所自体が、統治行為論を理由に、憲法判断を避けるケースも多々あります。

特に、防衛省・自衛隊に関しては、安全保障という国家の存立にも関わる重要な行政機関・実力組織であることからも、
裁判所の判断で「違憲だから、廃止しなさい!」と言うわけにもいきません。

また、米国型の『付随的違憲審査制』の問題点としては、天皇陛下によって公布される前の法律や政令に対する違憲審査を行うことができないところです。

法律や政令は、憲法第7条の規定に基づき、
総理大臣及び国務大臣が連署し、天皇陛下の署名と押印『御名・御璽』がなされてから公布され、そこではじめて法令としての効力を発します。

しかし、日本国の象徴である天皇陛下には政治的権能がないので、国会を通過した法律や、内閣の政令にサインすることを拒否したり、政府に再考を促すことは基本的にできません。

その後の違憲審査に関しても、天皇陛下が憲法判断に介入する余地はなく、
最初に説明した通り、実際に事件が起きない限り、裁判所は憲法判断を下すことはできないことに変わりありません。

日本国憲法に定められている、天皇陛下の『国事行為』に対する責任は、全て、内閣が負うものであり、天皇陛下はその行為全般において無問責であるといえど、
憲法が国民に保証する基本的人権を侵害する『悪法』が制定されてしまった場合、
それを天皇陛下に公布させてしまうことによって、間接的に、皇室の御威光に傷をつける事にも繋がりかねません。

昭和28年に制定された『らい予防法』は、ハンセン病患者に対する偏見を背景に、遅くとも1960年代には抗生物質(※プロミンなど)による治療法が確立されていたにもかかわらず、
平成8年の同法廃止まで、法律が見直されることなく患者に対する隔離政策が継続された等、国による重大な人権侵害があったのは言うまでもありません。

しかし、ハンセン病に対する理解を深める取り組みのなかで、昭和天皇の御名・御璽がでてくる度に、
まるで『らい予防法』の責任が、昭和天皇にもあるかのような印象を与えかねないものであり、
それが新たな対立の火種にもなりかねないわけで、そういった過ちを未然に防げる仕組みは作っておくべきだと思います。

法律や政令が憲法に適合するかしないかを専門に判断する『憲法裁判所』は、通常の司法権裁判所に設置するのではなく、
裁判官も、国務大臣出身者や司法資格を有する有識者のなかから選挙するものにすべきだと思います。



【憲法訴訟の濫用が、憲法としての権威の失墜を招く】

また『信教の自由』や『思想良心の自由』を巡る憲法訴訟においては、被告である国や地方自治体と共に、皇室の祭祀や、特定の神社も、その攻撃対象にされることが多いですが、、、

原告である『個人』に、国を相手に裁判を起こせるだけの時間と金の余裕があるとは思えませんし、
やはり、その背後には左翼系の政党や政治団体の影響力があるわけで、労働組合、宗教法人なんかも影で糸を引いているのは明らかであり、手前らの利益のために、組織ぐるみで原告(※活動家) を援助している仕組みが出来上がっているのは間違いありません。

ひとつ例を挙げれば、、、
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通勤途中の交通事故(※公務災害)によって殉職した自衛官の妻(※キリスト教徒)が、山口県護国神社への夫の合祀を巡って、その取り消しと国に賠償を求めた裁判。

しかし、家族のなかでキリスト教徒は妻だけで、他の遺族は自衛官の護国神社への合祀に賛成していました。

後家の身で、加えて宗教を理由に遺族内でも孤立していたファンダメンタリスト(※原理主義者)が、長期に渡って裁判を行えるとは思えません。

当然、最高裁にて敗訴確定。(※昭和63年)


手前の我が儘や、手前の属する政党や宗教団体の利益につなげることを目的とした憲法訴訟を乱発することによって、
国民大衆に『憲法』に対する誤った印象を与えることにも繋がりかねません。

そうなれば、本来、国の最高法規である筈の憲法ですが、
左巻きな『変な人達』による憲法訴訟の濫用によって、それが『イデオロギーを宣伝し、手前らの我が儘を通すための道具』に格下げされ、その権威が大いに失墜させられているのが現行の日本国憲法の実態です。