(改正案)
第五章 政党
第四十八条 国民の自由意思によって組織され、国民の政治的意識を形成に寄与する政党に対しては、その公益性を鑑みて、法律の定めるところに依り、国からの助成を受ける権利を有する。
第四十九条 憲法が、政党に対して求める要件は以下のものとする。
- 政党の役割と期待事項を明記する
- 憲法の政党条項を遵守できる政党のみが、国からの助成を受ける資格を有する
- 政党条項の要件を満たさない政党も、一応は活動可能
- 独裁政党に対して、党内の自由化を促す
この法律案は、1996年12月に第139回国会衆法第12号として中山太郎議員他によって、議員立法として提出され、1997年4月24日に衆議院で可決され参議院に送られた。参議院では、1997年6月17日に一部修正の上可決され、衆議院に回付された。衆議院では、参議院からの修正回付案に同日同意が与えられ、成立した。法律の施行日は、1997年10月16日。
このように、衆議院で無修正の上可決された法案が、参議院で大幅修正の上もう一度衆議院で同意が与えられ成立するという異例の展開となった。
この法律案に関しては、日本共産党を除く全政党が、例外として党議拘束を外している。党議拘束を外した理由として、各政党は人の死を定義するという、議員個人の倫理・宗教観に関わるような議案だったためとしている。なお日本共産党は、党議拘束をかけて採決を棄権している。
日本共産党の、こくた恵二国対委員長が18日、臓器移植法改正法案4案採決に先立って発表した見解は次のとおりです。
一、拙速な採決には反対だ、ということをあらためて表明したい。
臓器移植法は、人の生死にかかわる極めて重大な法律である。脳死臓器移植によってしか救命が困難な疾患をかかえる患者を救う道をひらくことは重要な課題であるが、人の命にかかわるだけに慎重さと厳格さが不可欠である。従って、その改正には、正確な医学的知見を共通認識にし、国民的な議論をおこない、十分な審議をつくして、合意を形成する努力が必要である。
ところが、4法案の厚労委員会での審議は8時間にすぎない。しかも専門の委員会が議論の集約もできないまま、「中間報告」をおこない、本会議でいきなり多数決で決めてしまうようなやり方は乱暴きわまりない。審議をつくさず採決だけを優先することは、脳死臓器移植についての国民的理解と合意形成の障害ともなりかねない。こうしたやり方はとるべきでないということを改めて強調したい。
一、4法案の評価について、わが党として検討してきた結果をのべたい。
そもそも、現状では、脳死を「人の死」とすることには、国民的な合意はない。また、子どもの脳死判定基準については、医学的にも結論がでていない。さらに、臓器提供者本人の意思表示がおこなわれていない場合に、家族の同意で脳死判定や臓器の摘出をおこなうことの是非についても国民的な合意はない。
こうした点に照らして、子どもに対する脳死判定、臓器移植に道をひらくA案、B案、D案にはそれぞれ問題がある。
A案は、一律に「脳死を人の死」とし、年齢制限なくすべて家族の同意で臓器提供を可能とするものである。またD案は、15歳未満の子どもについては家族の同意のみで脳死判定と臓器提供を可能にするものである。またB案は、意思表示の可能年齢を12歳以上に引き下げるものだが、その根拠を合理的に説明できていない。
これに対してC案は、脳死判定を厳格化するというものだが、現行の脳死判定基準を厳格化する必要性について、医学界での合意は得られていない。
4案のどの案についてもその根幹で国民的合意が得られていない問題をかかえている。従って、わが党は、どの案についても賛成することはできない。
しかし、これらの問題点については、十分な国民的議論によって、今後、合意が形成されていくこともありうるので反対はせず、「保留」の態度をとることとした。
一、以上の立場で、本日の本会議にのぞみ、採決にあたっては、記名投票に加わらず、棄権する。