イラスト：並行世界の機械人形化少女・加賀美アッコⅡ

加賀美アッコは赤塚不二夫先生原作のアニメ『ひみつのアッコちゃん』に登場する女の子で、鏡の国の女王様からもらった「テクマクマヤコン」という呪文を唱えれば何にでも変身できる魔法のコンパクトを持っています。これは、コンパクトの力でロボットに変身したアッコが元の人間の姿に戻れなくなってしまうという設定のアナザーストーリーです。

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アッコちゃんの町に松戸博士という一風変わった科学者が引っ越してきてから、博士の発明品でいろいろな珍騒動が起こり、アッコちゃんもたびたびコンパクトの力を使ってトラブルを解決してまわったりしていました。
そしてトラブルが収まるたびに、博士の作った一体のロボットが、町の人々に「ピーッ！ドウモ申シ訳アリマセン」と頭を下げにまわるのが、いつしか年中行事のようになっていたのでした。
博士の評判がとても悪いため、町の人々のロボットに対する態度も冷たく、中にはひどい悪戯や嫌がらせをする者もいましたが、ロボットはじっと耐えていました。
ある日、アッコはいつものように頭を下げにやって来たロボットにいろいろ話しかけようとしましたが、ロボットは

「ピーッ！ワタシハ博士ニ・人間ト余計ナ会話ヲスルナト・命令サレテイマス」と言って、頑なに会話を拒むのでした。
「でもそんなんじゃ町の人の誰とも友達になれないわよ。さびしいんじゃない？」
「ピーッ！博士ノ命令デスカラ・仕方アリマセン・ロボットハ人間ノ命令ニ・逆ラウコトハデキナイノデス」
「１つだけ教えて。人間とは余計な会話ができないと言ったけれど、他のロボットとならできるの？」
「ピーッ！ソレハ博士ノ命令デハ・禁止サレテイマセンカラ・可能デス」
（ようし、いいこと思いついたわ。それじゃあ私がコンパクトの力でロボットに変身して、このロボットと仲良くしてあげればいいんだ！）
そしてある日、アッコは博士が用事で外出したのをしっかり確認してから、博士の研究所の前で女性型ロボットに変身したのでした（そのあと、機械の国の女王様との多少のやりとりがあったのは皆さんも存じのとおりです）。
「ピポポポポッ！ドウスレバ・アノロボットニ・研究所ノ外ニ出テキテモラウコトガ・デキルカシラ？…ピキュ～ン！」
アッコが思案していると、急に髪につけたカチューシャ（髪飾り）が光り、それがスライドして中から長いアンテナがするすると伸びて出てきました。実は人間だった時は髪飾りだった部分は、ロボット化してからは頭部に直接くっついたメタリックプレートになっており、その内部にロボット同士の連絡に使用する交信用アンテナが収納されていたのでした。
それを知らないアッコは急に頭からアンテナが飛び出てきたので驚きましたが、頭の中に直接電子情報が流れこんできたので、使い方を飲み込みました。
「ピポポポポッ！ロボットサン・コノ電波ガ聞コエルカシラ？私ハ・アナタト友達ニナリニ来タ・別ノ科学者ガ作ッタロボットヨ…ドウカ外ニ出テキテ・姿ヲ見セテチョウダイ…イロイロオ話シマショウ…ピキュ～ン！」
ロボットに対して電波を送信するのに夢中なアッコは、今変身に使ったばかりのコンパクトをうっかりとスカートのポケットに入れたつもりになってしまいました。当然のことながら、ロボット化したアッコはスカートを履いていないので、手から離れたコンパクトはコロコロと道を転げていってしまったのでした。

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（ピーッ！マタ何カ博士ガヤラカシマシタカ？ドウモ申シ訳アリマセン）
なかなか返信が戻ってこないので、また何か別の方法を考えようかと思案しはじめたアッコのアンテナに、ようやくロボットからの返事が戻ってきました。
「ピポポポポッ！ロボットサン・謝ルコトハナイワ…今日ハ博士ニ苦情ヲ言イニ来タンジャナクテ・アナタト友達ニナリニキタダケナンダカラ…ピキュ～ン！」
（ピーッ！ソウデシタカ…謝ル必要ガナイノニ謝ッタリシテ・申シ訳アリマセン）
「ピポポポポッ！結局謝ッテバカリネ…ソンナ情ケナイコトジャダメヨ・モット積極的ニナッテ・博士ニモ言イタイコトガアレバ・チャント言ワナイト…イロイロアルンデショ？…ピキュ～ン！」
（ピーッ！デモロボットハ・人間ニ逆ラエナイヨウ・プログラムサレテイマスカラ）
「ピポポポポッ！ソンナノヘイチャラヨ！私ガアナタノ話ヲ聞イテ・ソレヲミンナニ伝エテ・協力シテ博士ヲ懲コラシメテヤレバイインダカラ…ピキュ～ン！」
その時、アッコの胸のハート型の良心回路『ロボットハート』がピカピカと点滅しました。
「ピポポポポッ！エッ・アタシ何カオカシナコトシタ？…アッ・ソウカ・人間ヲ懲ラシメルトカ・言ッチャダメナンダワ…ピキュ～ン！」
アッコは前回のようにロボットハートに屈辱感と羞恥心を与えられるのかとひやひやしましたが、今回は光の点滅による警告にとどまったようなので、ホッとしました。
（ピーッ！久シク聞カナカッタ・温カイ言葉アリガトウゴザイマス…アナタノオ名前ヲ聞カセテクダサイ）
「ピポポポポッ！私ノ名前ハ加賀美アッ…ジャナカッタ…サイバードールＡＫＫＯ１３２NO（ワンスリーツーエヌオー＝ひみつの）…トカソンナ適当ナ名前ヨ…ピキュ～ン！」
（ピーッ！美シイ名前デスネ・私ノ名前ハピースケデス）
「ピポポポポッ！呼ビヤスイ名前ネ…ピースケクン・ヨロシクネ…デキレバ研究所ノ外ニ・出テキテモラエナイカシラ・チャント顔ヲアワセテ・イロイロオ話シタイカラ…ピキュ～ン！」

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「ピポポポポッ！フーッ！疲レタワ…マサカピースケクンカラ３時間モ・博士ノ愚痴バカリ聞カサレルナンテ…人間ノ命令ニ絶対逆ラエナイッテ・ズイブンストレスガ溜マルノネ…マア私ノコトヲ・トテモ美シイロボットト・随分褒メチギッテクレタノハ嬉シカッタケレド…デモ私ノ方ハ・アアイウノハ好ミノタイプジャナイナア…モットジェットジャガーミタイナ・カッコイイロボットガ好ミノタイプカナ…アラ・アタシッタラ…ロボットノコトヲタイプダナンテ…マルデコノママズット・ロボットノママデイルミタイナコトヲ…ソモソモドッチニセヨ・ロボットト人間ガ・恋愛ナンテアリエナイワネ…ピキュ～ン！」
とりあえずピースケと友達になる目的はなんとか果たしたアッコは、元の姿に戻ろうとして、自分がコンパクトをどこかに落としてしまったことに気がついたのでした。

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ピースケが可愛い女性型ロボットと久しぶりに（実は作られてはじめて）会話した楽しさにふわふわと舞い上がった気分で研究所の中に戻り、またあの子はやって来てくれるんだろうか、もっと仲良くなれるんだろうか、あわよくばデートしてラブラブになれないだろうかなどとロボットらしからぬ妄想をあれこれめぐらしているところに、突然、体内の交信装置に誰かからの通信が入りました。
「ピーッ！コレハサイバードールＡＫＫＯ１３２NOサン…ドウシマシタ？サッキオ別レシタバカリナノニ…私ハモチロンイクラデモオ話スルノハカマイマセンガ…今度ノラブラブデートノ予定デモ？」
（ピポポポポッ！冗談言ッテイル場合ジャナイワヨ！！オ願イダカラ・一緒ニ捜シテホシイノ…エート…ドコカニイッテシマッタ・私ノコンパクトヲ…ピキュ～ン！）
「ピーッ！コンパクトトイウト・人間ノ女性ガ携帯スル手鏡ノ一種？ナゼソレヲアナタガ？」
（ピポポポポッ！エート・カイツマンデ説明スルノハ難シインダケレド…ソレハ私ノゴ主人サマガ大切ニシテイタモノデ・ソレヲ一時的ニ私ニ預ケタ大事ナコンパクトナノ…ソレヲ無クシタトナルト・ゴ主人様ガトテモ悲シムノヨ…何トカシタイノ…ピキュ～ン！）
「ピーッ！ソウイウコトナラ・私モオ手伝イシマス・何デモ言ッテクダサイ」
（ピポポポポッ！アリガトウ・ピースケクン！頼リニナルワ！！…ヤッパリアナタ・ジェットジャガーヨリモズットカッコイイワヨ…ソレジャア研究所ノ入口デ待ッテルカラ…ソウソウ・モシコンパクトガ見ツカッタラ・オ望ミドオリ・ラブラブデートヲシマショウネ…ピキュ～ン！）

『ひみつのアッコちゃん（Wikipedia）』

【今回描いた絵】