加賀美アッコの練習画

アッコちゃんは赤塚不二夫先生の漫画『ひみつのアッコちゃん』に登場する女の子で、鏡の国の女王様からもらった「テクマクマヤコン」という呪文を唱えれば何にでも変身できる魔法の鏡を持っています。今回のイラストは、アッコちゃんが魔法の鏡の力でロボットに変身して元の姿に戻れなくなったという設定のアナザーストーリーです。

改造絵日記(11月10日)「機械人形化ひみつのアッコちゃん」
改造絵日記(11月13日)「機械人形化ひみつのアッコちゃんⅡ」

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アッコちゃんの町に松戸博士という一風変わった科学者が引っ越してきてから、博士の発明品でいろいろな珍騒動が起こり、アッコちゃんもたびたびコンパクトの力を使ってトラブルを解決してまわったりしていました。
そしてトラブルが収まるたびに、博士の作った一体のロボットが、町の人々に「ピーッ!ドウモ申シ訳アリマセン」と頭を下げにまわるのが、いつしか年中行事のようになっていたのでした。
博士の評判がとても悪いため、町の人々のロボットに対する態度も冷たく、中にはひどい悪戯や嫌がらせをする者もいましたが、ロボットはじっと耐えていました。
ある日、アッコはいつものように頭を下げにやって来たロボットにいろいろ話しかけようとしましたが、ロボットは
「ピーッ!ワタシハ博士ニ・人間ト余計ナ会話ヲスルナト・命令サレテイマス」と言って、頑なに会話を拒むのでした。
「でもそんなんじゃ町の人の誰とも友達になれないわよ。さびしいんじゃない?」
「ピーッ!博士ノ命令デスカラ・仕方アリマセン・ロボットハ人間ノ命令ニ・逆ラウコトハデキナイノデス」
「1つだけ教えて。人間とは余計な会話ができないと言ったけれど、他のロボットとならできるの?」
「ピーッ!ソレハ博士ノ命令デハ・禁止サレテイマセンカラ・可能デス」
(ようし、いいこと思いついたわ。それじゃあ私がコンパクトの力でロボットに変身して、このロボットと仲良くしてあげればいいんだ!)
そしてある日、アッコは博士が用事で外出したのをしっかり確認してから、博士の研究所の前で女性型ロボットに変身したのでした(そのあと、機械の国の女王様との多少のやりとりがあったのは皆さんも存じのとおりです)。
「ピポポポポッ!ドウスレバ・アノロボットニ・研究所ノ外ニ出テキテモラウコトガ・デキルカシラ?…ピキュ~ン!」
アッコが思案していると、急に髪につけたカチューシャ(髪飾り)が光り、それがスライドして中から長いアンテナがするすると伸びて出てきました。実は人間だった時は髪飾りだった部分は、ロボット化してからは頭部に直接くっついたメタリックプレートになっており、その内部にロボット同士の連絡に使用する交信用アンテナが収納されていたのでした。
それを知らないアッコは急に頭からアンテナが飛び出てきたので驚きましたが、頭の中に直接電子情報が流れこんできたので、使い方を飲み込みました。
「ピポポポポッ!ロボットサン・コノ電波ガ聞コエルカシラ?私ハ・アナタト友達ニナリニ来タ・別ノ科学者ガ作ッタロボットヨ…ドウカ外ニ出テキテ・姿ヲ見セテチョウダイ…イロイロオ話シマショウ…ピキュ~ン!」
ロボットに対して電波を送信するのに夢中なアッコは、今変身に使ったばかりのコンパクトをうっかりとスカートのポケットに入れたつもりになってしまいました。当然のことながら、ロボット化したアッコはスカートを履いていないので、手から離れたコンパクトはコロコロと道を転げていってしまったのでした。

『ひみつのアッコちゃん(Wikipedia)』

【今回描いた絵】