『ツボクサエキス』主成分の化粧品…?韓国でも問題視される「◯◯エキス」、疑惑の表示法について | かずのすけの化粧品評論と美容化学についてのぼやき

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今ツイッターでも話題になっている話なんですが、

 

 

 

最近日本向けに発売されている韓国コスメ等で、

 

『◯◯エキス』という成分がまるで主成分かのように記載されている化粧品が多数確認されています。

 

 

 

例えば↓こちらの「アピュー マデカソ美容液」という製品、

 

 

 

 

全成分が「ツボクサエキス」と「マデカッソシド」2成分だけということになっており、

 

 

公式サイトでも

 

 

「ツボクサエキス」が99.99%も配合されていることをアピールしています。

 

 

 

 

 

通常、こういった液状タイプの化粧品であれば主成分にはほぼ必ず「水」という成分が入りますよね。

 

 

 

しかしこの美容液では水が記載されておらず、いきなりエキスが主成分に配合されている…

 

ということです。

 

 

 

 

化粧品にあまり詳しくなければ、

 

「水が入っていなくてエキスが99.99%も入っているなんてすごい!」

 

と思ってしまいそうなのですが…

 

 

 

 

 

実は、日本の化粧品の表示ルールを考えると、このような全成分表示は本来あり得ないものなのです。

 

 

 

 

◎「◯◯エキス」という成分について

 

 

まず、この話を深く理解するのは、「◯◯エキス」というものが一体どういう成分なのかを知っておく必要があります。

 

 

◯◯エキスについては、これまでも

 

植物エキスとエッセンシャルオイル

 

などの記事で説明していますが、

 

 

 

かずのすけ&白野実著 『美肌成分事典』のP.198でも詳しく解説しています。

 

 

 

◯◯エキス→「植物エキス」は、

 

植物に含まれる様々な化学成分を、「水」や「BG」「エタノール」等の抽出溶媒によって抽出した成分です。

 

 

 

主成分は「BGやエタノール」「水」などの溶剤であり、

 

 

 

「エキス」そのものはその溶媒を乾燥させて得られる固形分の重量で換算するため、

 

化粧品の表示では「◯◯エキス」自体は1%以下の微量であることがほとんどです。

 

エキスそのものが粉末の原料として売られている場合もあり、その場合は1%以上の配合もありえる

 

 

 

 

 

◎日本では「◯◯エキス」は水やBG等の溶媒を全成分に一緒に表示しなければならない

 

 

 

さらに、日本において…、というか世界的なグローバルルールでは、

 

 

これらのエキスなどを化粧品に配合した場合は、その抽出溶媒を成分表示に記載しなければなりません。

 

 

↓こちらのサイトに記載されている通り、

 

 

〈注〉混合物・抽出物・香料

①混合物は、混合されている成分毎に表示記載します。

②抽出物は、抽出された物質と、基になる抽出溶媒や希釈溶媒とを分けて記載します。

③香料については、「香料」という表示が可能です。香料は多成分からできている混合物ではありますが、これを一つの成分とみなして香料配合量を他の成分と同様に表示することができます。

 

抽出物(エキス)は基になる抽出溶媒と希釈溶媒を分けて記載しなければなりません。

 

 

 

つまり、例えば「ツボクサエキス」としてこちらの原料を配合した場合、

 

「水、BG、ツボクサエキス」

 

という表示になるわけです。

 

 

 

ちなみにこちらは「ハトムギエキス」の原液原料ですが、

 

image

 

ご覧の通り、原液にも関わらず「水、BG」という成分が記載されています。

 

 

 

 

「ツボクサエキス」そのものが液状の成分であれば主成分ということもまぁ考えられないことではないのですが、

 

調べる限りツボクサエキスもやはりその他の植物エキスと同様にそれそのものは粉末の成分のようです。

 

 

 

例えば↓

 

 

日本の表示法に則ると、もし99.99%が本当にツボクサエキスであれば、

 

それは限りなく粉末のような製品でないとおかしいというわけです。

 

 

 

 

また、植物エキスの原液(植物エキス1%程度のもの)は、

 

ほとんどの場合何らかの色がついています。

 

 

 

例えば↓この製品、本当に原液と言えるかどうかは正直言ってわかりませんが、

 

 

ご覧の通り茶色っぽい色がついています。

 

 

 

ぶっちゃけこれも薄めている可能性もあると思いますが、

 

まだこちらの方がエキス感を感じます😅

(ちなみにこちらは抽出溶媒は書いてあるものの、「水」という表示はないそうです。苦笑)

 

 

 

 

 

…というわけで、

 

 

日本の化粧品表示法に基づくと、

 

このような表示は基本的にあり得ないわけです。

 

 

 

 

◎しかし韓国ではこのような表示が通例化しているらしい?

 

 

 

というわけでまぁ非常に疑問に感じたので、

 

どういうことかを色々調べてみたのですが…

 

 

 

まず韓国の化粧品法を調べたところ、

 

「エキス(抽出物)」について明確な成分表示ルールが記載されていませんでした。

 

 

ギリギリ関係しそうなところといえば

 

 第19条(化粧品包装の記載及び表示等) 

①法第10条第1項ただし書により、次の各号に該当する1次包装または二次包装には、化粧品の名称、化粧品の責任販売業者の商号、価格、製造番号と使用期限や開封後の使用期限(開封後の使用期限を記載する場合には、製造年月日を併記しなければならない)のみを記載及び表示することができる。ただし、第2号の包装の場合、価格と見本品や非売品などの表示をいう。  <改正2016年9 9、2019. 3. 14>

1.内容量が10ミリリットル以下、または10グラム以下の化粧品の包装

2.販売の目的ではなく、製品の選択などのために事前に消費者が試験及び使用する製造又は輸入された化粧品の包装

②法第10条第1項第3号に基づいて記載及び表示を省略することができる成分とは、次の各号の成分をいう。  <改正2013. 3. 23.>

1.製造過程中に除去されて、最終製品には残っていない成分

2.安定化剤、保存剤などの原料自体に含まれている付随成分として、その効果が現れるようにする量よりも少ない量が含まれている成分

3.内容量が10ミリリットルを超え、50ミリリットル以下または重量が10グラムを超え50グラム以下の化粧品の包装である場合には、次の各目の成分を除いた成分

 

この第19条第二項なんですが、

 

これって日本でいうところのキャリーオーバー成分と同じ話で、

 

あくまで実際の性状や効果に関連しないぐらい微量配合であることが条件です。

 

 

 

抽出溶媒はエキスが1%だとしたら残り99%に相当する量ですので、

 

この19条第二項を当てはめるのは無理がありそうですが…、、

 

 

 

 

いずれにせよ現状の韓国の化粧品法では、

 

エキスの抽出溶媒の記載方法については明確な定義がないようなんです。

 

 

 

そのため、

 

抽出に使っている溶媒や保存料などは伏せて「エキス」とのみ書いている化粧品が増えているのだそうです。

 

 

 

 

そしてこれは韓国国内でも結構問題視されているようで、

 

 

 

 

 

 

 

 

いくつかの個人ブログやウェブ記事にて

 

「エキス(抽出物)の表示基準が曖昧なため、精製水の代わりとしてエキス配合をアピールしているが、実際には溶剤や保存料などが入っているにも関わらずその内訳は不明である」

 

ということが記載されていました。

 

 

 

 

詳しくはGoogle等で日本語訳してみると分かると思います。

 

 

 

この傾向は韓国で全成分表示義務が施行された2008年からしばらくして、2010年くらいからとのこと。

 

 

いずれにせよ、

 

韓国ではこの表示を縛るルールが無いことから、

 

エキスとのみ表示してもOKということになっているようです。

 

 

 

 

しかし、日本ではこの表示は許可されていないので、

 

韓国化粧品を日本向けに発売する場合はその全成分表示も日本国内向けに作り直す必要があります。

 

 

 

 

このため、韓国向けの製品と日本向けの製品では成分表示が異なっているというものも多数あるのを皆さんもご存知だと思います。

 

 

 

ですが、全てのメーカー・商品がこのルールを遵守できているか?というと怪しい部分があり、

 

今回のこの美容液のように「うっかり表示を直し忘れていた」、みたいなミスも普通にありそうです。

 

 

 

当然、これをしないと違法なので回収になるのが一般的です。

 

 

 

◎「水」以外にも主成分として記載できる成分もある

 

 

 

ちなみに、今回の美容液は「ミシャ」という結構大きい韓国コスメメーカーの製品なので、

 

その辺もしっかりしているはずなのですが…、、

 

 

どういうことなのか?というと、恐らく日本向けに成分表記を直し忘れた可能性が高いです。

 

 

 

 

なぜそう思うのか?というと、

 

 

実はこの化粧品、韓国向けのものと日本向けのものとでは製品オモテ面に記載の成分が異なっているのです。

 

 

韓国向けでは「Centella Asiatica Extract=ツボクサエキス」

 

 

と書いてある一方で、

 

 

日本向けでは「Centella Asiatica Leaf Water=ツボクサ葉水」と書いてあるのです。

 

 

 

この成分、両者似ているようで違う成分で、

 

 

 

 

 

 

韓国ではツボクサエキスのみの表示はOKですが、日本ではダメなので、

 

そのために恐らく主成分を別の成分に切り替えたのではないかと予想できます。

 

 

 

それが「ツボクサ葉水」というもので、

 

これは「芳香蒸留水」という類の成分です。

 

 

美肌成分事典46ページにまとめているように、

 

化粧品の主成分として「水」のように使える成分には、上記のようなものがあります。

 

 

「芳香蒸留水」は簡単に言うと、その植物のエキスや精油を微量に含んでいる「水」で、

 

エキスや精油の抽出の際に得られる副産物です。

 

 

 

似ているけど、エキスとは別の成分になります。

(基本的にほぼ「水」で、エキスの方が有効成分がかなり濃いです)

 

 

エキスが少量溶けた水で、これそのものが成分として登録されているため、

 

溶媒などを書かずに水のように主成分に記載できるのです。

 

 

 

 

恐らくこの美容液は、

 

成分表示ルールの違いからツボクサエキスとのみ表示できないことを危惧して、

 

日本向けでは同じく主成分表記できるツボクサ葉水に切り替えていたにも関わらず、

 

全成分表を直し忘れた…ということではないか?と考えられます。

 

 

 

(CICAクリームの方はちゃんと「ツボクサ葉水」になっていました。↓)

 

 

 

 

いずれにせよ、オモテ面に記載の成分が『ツボクサ葉水』なのに

 

全成分表が『ツボクサエキス』となっているのはどちらかが完全なる誤記になりますので、

 

どう頑張ってもこの美容液は回収しなければならないでしょう…。。

(南無三…)

 

 

全成分表示及びパッケージデザインの誤表記に関するお詫び

(やはり誤表記&回収が確定しました)

 

 

 

ちなみにマデカッソシドも0.001%ととても少なく見えるのですが、

 

これは極微量でも鎮静効果が結構ある成分ですから全く効果のない濃度ではないと思います。

 

 

 

 

◎同様に韓国国内の表示のまま日本で売られている製品がたくさんありそう

 

 

 

というわけで、今回は韓国国内の化粧品表示ルールと日本でのルールの違いによる誤解について詳しく解説してみました。

 

エキスという成分はすごく複雑なので、ちゃんと成分の特徴を詳しく知っていないとあわやあまり良くない製品を購入してしまうことになりかねません。

 

 

韓国の表示ルールがまだ曖昧な部分があるのと、

 

日本向けに成分表示を変えなければならないものをちゃんと対応していないメーカーが多数あるという現状ですので、

 

韓国製品で特にこういった◯◯エキスを押している製品には注意して欲しいと思いました。

 

 

 

 

 

では本日は以上です。




 

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