幸せを願う 〜金龍山浅草寺・後編
その翌朝。宿を一人抜け出して昨日の感謝の氣持ちをお伝えしようと僕はふたたび浅草寺ご本堂の内陣を訪ねました。昨日、そらさんに教えてもらったばかりなのにすっかり常連さんの顔をして…。(,,>ლ<,,)さて、ご内陣に上がると今朝は愛染明王が僕にこう仰いました。… (寂しさや喪失感も含めて) 今、お前が感じているものすべてが 愛なのだよ。そんな言葉で僕の肩を優しく抱いてくださった後、続けてこう仰いました。…お前が母の幸せを願う時、 お前の幸せを 願わない母親などいるだろうか。 その言葉は僕の心を激しく震わせて。他に誰もいないのをいいことに号泣していると、それを補うようにして寄り添うような囁きが聞こえてきました。… 愛で繋がっている時、 一人称と二人称は簡単に入れ替わるんだよ。朝の静かなご内陣でそんなふうにして僕を取り囲んでくださる神仏の温もりもまた何ものにも代えがたい癒しとなりました。そうして最後に僕は御本尊の聖観音さまに正直な氣持ちを打ち明けてみました。最愛の母を亡くしてこの先、どう生きていけばよいのか今は途方に暮れています、と。すると聖観音さまはこう仰いました。…お前にはここから人生の春がやって来る。… 何をしようとせずとも良い。 お前はただ受け取るだけで良いのですよ。確かに自分の頭で考えたことはことごとく上手くいかず…。( ̄▽ ̄;)けれどそこにはすべてが用意されていたこの旅がまさにそのことを象徴していました。で、ですね。心からの感謝とともに「他にもまだお言葉がありましたら余すところなく戴いて帰ります。」そう申し上げてお神籤を引いてみると…。枯木、春に逢うて(葉を)生ず前途 必ず 利とおるまた佳人の箭(せん)を得たり車に乗じて 禄、自ずからゆくそこにはまるで先ほどの聖観音さまのお言葉をしたためたような文字が並んでいました。朝の爽やかな風が浅草寺を吹き抜けていきます。………。(◦ˉ ˘ ˉ◦)と、そこへ絶妙なタイミングで大盛りの朝食(ビュッフェ)を終えたはちみつ君がやって来て優しく僕を俗世へと連れ戻してくれました。あなたの幸せをずっと願っています。神仏に手を合わせて感じることのできる歓び、安らぎ。これまでもこれからも僕は愛に溢れた世界で生きていく。そのすべての計らいが宇宙の根源たる神の御遣いである龍神の仕業だったとわかった時、僕はもう宇宙の一部なのだと認めざるを得ない氣持ちになりました。こうして浅草寺の神仏は久しく体感し得なかったその感覚を呼び醒まし、光を指し示して。新しい朝の光の中で僕を送り出してくださいました。松任谷由実 / ANNIVERSARY