西原理恵子さんの語りおろし本。


貧しいということが、いかに人に希望をもてなくさせるのか。


あるとき、都内でも有数の高級住宅街に生まれ育った友人スジャータ女史にこの話をする機会がありました。たしか、インドカフェで「なんで貧乏人は子供が多いのか」とかそんな話をしていた気がします。おっ、自分が語れる分野だ!と目を輝かせる、低所得者層出身者の私。


「つまり貧困っていうのはね!」と勇んで話し始めましたが、「貧困」というワードが聞こえた瞬間、スジャータ女史が縄文時代の土偶みたいな遠い目になったのがわかり、出鼻をくじかれまくった私は、そっと話すのをやめました。


ボリウッド音楽に包まれて、なにもかもどうでもよくなり、私はひとこと「このチャイおいしいね…」。すると、スジャータ女史の表情にイキイキ血の気が戻り、「このシナモンとカルダモンの香りが前世インドを思い出すYO NE~☆」。


そんな疎外感を味わった夜、私はこの本をひとり読み返しました。あーよかった、あの子どもたちがちゃんとここにいる、と安心して眠りについたのでした。

この本は、誰にも語られることのなかった子どもたちの鎮魂歌みたいです。



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