[目次]第2章  後腹膜脂肪肉腫[初回手術]

~ 全23記事で完結 ~

 

 

悪性軟部腫瘍「後腹膜脂肪肉腫」は、共存できているうちは大暴れするがんではないことを知った。

初回手術から2年経過するが、生活の質もさほど落とすこともなく元気に過ごせている。

がん細胞よりも健康な細胞が少しでも優位に立てるようにバランスを保つことが大事だと思う。

ともかく、家族全員がストレスを溜めないで生活できること、これがウチの目標。

 

 

  

 

 

■ 手術・入院して感じたこと

 

手術当日や入院中にやってほしくないこと

大きな手術を前に心配をしてくれる親族。入院中は”応援の気持ち”だけで十分。静かに見守っていてもらえると、治療・リハビリに専念できる。(…ということを初めて知った。)手術に至るまでの準備(病気の勉強も含む)に全く関わっていない人が、当日の手術を「祭り」のようなイベントと勘違いするのは…。当日の手術で一番大事なのは術後の医師の説明で、それまでの受診で「CT画像で予想していたこと、開腹してみないと分からないこと」の結果を聞くこと。医師の記憶も術後で鮮明なのでこの説明を同居する家族が聞けなかったのは、何年経っても悔やまれる。

 

 

 

■ 手術前

 

(1)入院前日 2022年1月27日

不安よりも病院が決まり早く入院できた喜びの方が大きい。夫と2週間以上離れるのは結婚してから初めてのこと。

不謹慎だが、「起きる時間も寝る時間も自由だ!」と思ってしまった。

 

 

(2)入院1日目 2022年1月28日

コロナ禍のため、付き添いは長い時間病棟にはいられない。看護師の説明を受け夫が病室に入ったら、お帰り下さい状態だった。あっけないな。外来のエリアで行動するのは問題なかったので、図書館やドトールで休憩をとって自宅に戻った。

 

 

(3)入院2日目 2022年1月29日

運動習慣のある夫なので、手術後リハビリできる場所を探した。

 

 

(4)入院3日目 2022年1月30日

手術が明後日に差し迫っている。腎臓を切除するのは決まっているが、副腎まで取るかどうか…悩むところ。ギリギリまでCTの画像とにらめっこしている。初回の手術で脂肪肉腫をきちんと取れれば、早期の再発が避けられる。

 

 

麻酔科の受診。付き添いの同伴が許された。自分が学生時代の時に手術をした時は、ベッドに麻酔科の人が来て5分ほどの面談で終了。今は30分以上時間をかけて説明してくれる。丁寧だ。

 

 

■ 手術後

 

(6)入院5日目(手術日) 2022年2月1日

手術は3時間半で終了。ICUで夫に会った夫はせん妄状態にはなく、意外に意識がハッキリしていた。

他の親族も手術に立ち会う場合、手術後の説明は誰が聞くかハッキリさせておいた方が良い。

残念なことに私は聞けなかった。1年半経った今でも後悔が残る。

 

 

手術翌日なのに、夜には自分でトイレで排便までしたとのこと。私が大学時代に手術をした時は、1週間ベッドから起き上がることを禁止されていた。時代が変わったのだな。

 

 

(8)入院7日目 2022年2月3日

手術傷の痛みに使用している鎮痛剤は、「カロナール」。私が片頭痛で使っている薬だ。

カロナールは弱い消炎鎮痛剤、即効性があり持続時間2.4時間。胃への負担0.1%未満、腎臓に負担もない。

 

 

(9)入院8日目 2022年2月4日

食欲はあるが、ピーチ味の栄養ドリンクが連日出ており、人工的な味はさすがにカラダが受け付けない。「お粥と梅干」を食べたいと電話口でグチをこぼしていた。重湯ぐらいなら食べても良い気がするけれど…。

 

 

(10)入院9日目 2022年2月5日

個室に移動できた。この日から固形食。食事の写真を送ってきてくれたが、消化の悪い繊維質の多いものも提供されているのがかなり気になる。昼過ぎから吐き気と胃もたれが始まった。「あーあ…。」

 

 

(11)入院10日目 2022年2月6日

昨日の昼からの吐き気と胃もたれが治らず、ほとんど寝られなかったらしい。お腹がパンパンに腫れてきて辛い。退院が遅れそうだ。

 

 

(12)入院11日目 2022年2月7日

管理栄養士が来て食べられそうな献立を出してくれたが、食べ物を口に入れるとお腹がその何倍も膨れて辛い。ドクターから胃の内容物が無くなるまで絶食を命じられる。こちらでも腹部膨満感を和らげる方法を調べる。

 

 

(13)[入院12日前] 2022年2月8日

腸が狭くなっているところがある。炎症も出ている。(腸閉塞の恐れ)炎症が引けば、食事もできるようになるのではないか…とのこと。なぜ、炎症が起きたのかは分からない。

 

 

(14)[入院13日目] 2022年2月9日

2/8・9と体の姿勢を変化させることで、排便が促進され、1kg出た。空腹感も感じられるようになってきたが、今日のレントゲンの結果は、明日も絶食とのこと。

 

 

(15)[入院14日目] 2022年2月10日

がんセンターとしては手術も終わり、傷もふさがっているのでやることはないと…来週半ばの退院もできるとのこと。ただ、食事がとれていないので退院できない。 病院食が原因なので、この時点で退院を許可してもらえると良いのだが…。ここから先、日に日に体重が落ち体力が激減する。

 

 

 

(16)[入院15日目]  2022年2月11日

52~53kgあった体重が、48kg台に落ちた。

 

 

(17)[入院16日目] 2022年2月12日

栄養点滴の弊害。深夜に点滴を交換に来るので熟睡できない。

 

 

(18)[入院17日目] 2022年2月13日

固形食が食べられない。栄養点滴の毎日。体力の低下が低下し電車やバスを使って帰宅は無理と判断。車を持っている親族に迎えに来てもらうことにした。

 

 

(19)[入院18日目]  2022年2月14日

栄養点滴がやっと外れた。体重は47kgまで減少。

 

 

(20)[入院19日目] 2022年2月15日

やっと、退院の許可が下りた。500g体重減少、46.5kg。

肝胆膵外科の病棟はステージの重い方が何名も入院されているようで、自分の余命を悲観して家族に電話している姿が見ていて辛いとのこと。

 

 

(21)[入院20日目] 2022年2月16日

判断力が落ちた夫の携帯にフィッシング詐欺メール。信用してしまうところだった。
さらに500g体重減少、46.0kg。

 

 

(22)[入院21-22日目] 2022年2月17・18日

2日前から個室のトイレが壊れ水が吹き上げたそうだ。緊張で便秘になってしまった。

今日も500g体重減少、45.5kg。

 

 

(23)[退院] 2022年2月19日

こんなハズではなかった。全身の筋肉が削げ落ちた状態での帰宅。体重45kg。あまりの変わりように絶句。夫の顔に死相が出ている。すでに食欲もなくなって、おにぎり1個も食べれない。どうやって元の状態に戻すか…。