「アオラレ」　★★★☆～ラッセル・クロウの怪演が光る！

※※※　注意　※※※

　「シネマ報告書」は、映画鑑賞後の率直な感想を伝えるため、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれる場合があります。

　これから観ようと思っている方は、本報告書の趣旨についてご理解のうえ十分注意してお読みくださるようご了承願います。

「『シネマ報告書2021』の掲載にあたって」

ラッセル・クロウの怪演が光る！ ★★★☆

（2020年／アメリカ／90分／Unhinged） 【　監督　】 デリック・ボルテ【　出演　】ラッセル・クロウカレン・ピストリアスガブリエル・ベイトマンジミ・シンプソン

オースティン・P・マッケンジー

【あらすじ】

　夫との離婚で心身ともに疲労困憊している美容師のレイチェル。その日も寝坊してしまい、あわてて息子を車で学校へ送るも、渋滞のため大事な客を逃してしまい意気消沈する。

　その道中、一向に発進しようとしない車にクラクションを鳴らしてしまったことがきっかけで、ドライバーである不気味な男につきまとわれてしまう。

　次第に男の煽りはエスカレート、自分や息子の命をも危険にさらすことになっていく―

【コメント】

　祝・映画館再開！

　まだ緊急事態宣言の最中ではありますが、映画関係者の強い働きかけにより、時短営業ではありますが都内でも映画館が再開ということで、映画ファンとしては嬉しい限り。いや～これでわざわざ隣県まで遠出しなくて済むぜ～。

　ということで、さっそく観に行ったのが本作。昨今の煽り運転問題を見事？にタイトルにしたスリラーもので、古くは巨匠スティーブン・スピルバーグの『激突』やルトガー・ハウアーの『ヒッチャー』を想起させる作品だったので、これは面白そうだなと「MOVIX昭島」に足を運んだ次第です。

　いや～面白かった。実にシンプルで良い！何より、車で追いかけまくる狂った男役のラッセル・クロウの怪演が見事に光っている作品でしたね。もうね、内容云々よりも、ラッセル・クロウの不気味さを味わうだけでも十分に見応えありのアクション・スリラーです。

　先にも書いたとおり、内容は実にシンプル。クラクションを鳴らしてしまったがためにしつこく付きまとわれ、挙句の果てに家族たちが命の危険にさらされてしまう。既視感アリアリの内容ではありますが、逆に言ってしまえばストーリーなんてこれくらいシンプルで良いんです。映画は結局のところ総合芸術。ストーリーの妙に限らず、テンポの良い編集や映像の迫力、そして役者陣の演技力。これらが見事に融合して面白い作品ができるわけです。本作は言ってしまえばB級スリラーの類に位置するものではありますが、シンプルでわかりやすいストーリーに上映時間90分というコンパクトな長さの中でダレることなく最後まで突き抜ける爽快さがあるので、シンプルに楽しめる。

　そして何より、ラッセル・クロウの凄みよ。あれ？ラッセル・クロウってこんなにデブだったっけ？いかにもアメリカンな巨漢に変貌していて、しかも何考えているのか分からない危険な不気味さを醸し出す演技力。一時期はアカデミー賞の男優賞までノミネートされるような演技派の役者がなぜにこんなB級スリラーに出たんだろう？なんて疑問も湧いてくるが、本作を観ると演技力は伊達じゃねーなというのが分かります。とにかく、ラッセル・クロウの怪演を堪能するだけでも見応えがある作品です。