「恋する遊園地」　★★★～ヤバいほうのラブファンタジー

※※※　注意　※※※

　「シネマ報告書」は、映画鑑賞後の率直な感想を伝えるため、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれる場合があります。

　これから観ようと思っている方は、本報告書の趣旨についてご理解のうえ十分注意してお読みくださるようご了承願います。

「『シネマ報告書2021』の掲載にあたって」

ヤバいほうのラブファンタジー ★★★

（2019年／フランス・ベルギー・ルクセンブルク／94分／Jumbo） 【　脚本・監督　】 ゾーイ・ウィットック【　出演　】

ノエミ・メルラン

エマニュエル・ベルコ

バスティアン・ブイヨン

サム・ルーウィック

【あらすじ】

　テーマパークの夜間スタッフとして働いている内気な性格のジャンヌ。彼女は、テーマパークのアトラクションのミニチュアを制作することが趣味だった。

　ある日、新たに導入されたアトラクション“ムーブ・イット”を清掃していると、ジャンヌの言葉に呼応するかのようにライトを灯し動き始める。“ジャンボ”と名付けたジャンヌはムーブ・イットに魅了され、それはやがて恋心に変化していく。

　ジャンボにどんどん心を魅了されていくジャンヌだったが、周りの人間たちは彼女の行動を異常とし、ついにはムーブ・イットを撤去するまでに発展していく―

【コメント】

　またもや緊急事態宣言が発令、短期間とはいえ昨年と同じ百貨店やスポーツジム、そして映画館までもが休業という事態に。第4波とはいえ“ゴールデンウィーク潰し”の名にふさわしい、国民を舐めているとしか思えないこの行き当たりばったりの宣言に怒り心頭の僕です。1年もかけて結局人流を抑える考えしか浮かばなかったのか、解除したところで結局元に戻るのは明白だろう。ウイルス抑え込みとか撲滅とか考えるだけ無駄、僕はもうウィズコロナの考えなので、罹患しない最大限の努力と罹患しても重体とならないような体力作りを心掛け、過度にビビらないよう通常通りの活動をしております。

　とまあ、言いたいことは山ほどあるのですが、結局映画館も休館となってしまったので、またしばらくはレンタルでお茶を濁すことになるかと思いますが、今回行きつけのTSUTAYAで手に取ったのが本作です。

　ラブストーリーものはあまり得意じゃないのですが、別のレンタルの折に予告で観たんだっけかな、遊園地のアトラクションに恋するという奇想天外なものだったので、ちょいと面白そうだなと鑑賞してみた次第です。

　うむ、なるほど。なかなかに面白かったです。何が面白いかって、この手の人間とマシンの恋愛モノってディズニーのようなキラキラ輝く夢物語なすごいファンタジー寄りの作りになっているんものですが、本作は一歩間違えればヤバい奴認定される、ややダークな面を持ち合わせたラブファンタジーに寄っているんですね。少なくとも本作を素敵なラブストールだと感じる人は少ないと思います。

　その昔、TV番組「探偵！ナイトスクープ」でマネキンと結婚した女性という神回がありましたが、要するに「現実の人間が‘物質’に深い恋愛感情を抱いたらどう映るのか？」という視点で作られていて、見方によって主人公ジャンヌが純粋に見えたり、逆に狂気を感じたりするわけです。そんな演出を意図的にしたのかどうかは分かりませんが、かなり絶妙だったと思います。この恋愛に理解を示せるか、それとも頭おかしいと感じるか、本作でも登場人物でもって使い分けられていますね。意外だったのが、粗暴と思われたジャンヌの母親の愛人が、この恋愛に対し理解を示すシーンは粋でカッコイイなと感じましたね。

　とにかく、少なくともタイトルだけで判断して100％ファンタジックなラブストーリーと思って観ると、けっこうなダークさを兼ね備えているのでイメージは違ってくると思います。