「哭声コクソン」　★★☆～とにかく長くて意味不明な映画

※※※　注意　※※※

　「シネマ報告書」には、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれております。

　これから観ようと思っている方は、本報告書の内容についてご理解のうえ十分注意してお読みください。

「『シネマ報告書2017』の掲載にあたって」

とにかく長くて意味不明な映画 ★★☆

（2016年／韓国／156分／The Wailing）【　脚本・監督　】ナ・ホンジン

【　出演　】クァク・ドウォンファン・ジョンミン國村隼チョン・ウヒ

【あらすじ】

　韓国のとある田舎の村。静かなその村で、村人が家族を惨殺する事件が多発していた。

　事件を担当する村の警官ジョングは、この村に身元不明の日本人が住み始めたころから事件が起き始めたとにらみ、日本人の身辺を調査し始める。

　そんななかで、ジョングの一人娘の異常な行動が目立ち始め、ジョングは事件との関連を疑い始める。そして事態は、思わぬ方向へ向かっていくのだった―

【コメント】

　さて、今回行きつけのTSUTAYAにて、劇場公開当時非常に気になっていた本作をレンタル。

　なんだかんだで、韓国製のミステリーものはなかなかにウェットで見応えがあるし、今回はいまや日本の名脇役といっても過言ではない國村準が韓国映画に出演ということで、劇場公開当時観に行こうかと思ってたわけですが、今般やっとこさ観ることができた次第です。

　いや～これは・・・。こりゃまた難解な映画を観てしまったな～。まさに映画ブロガー泣かせ。2時間半強という長尺の上映時間でありながら、結局何が何だったのか解決しないまま終わってしまう、投げっぱなしのストレスが溜まる映画でしたね。

　訳が分からなくなってしまうのはクライマックス部分なので、それまでの展開はミステリアスで非常に面白い。謎が謎を呼び、この後一体どうなってしまうのか、どういう結末が待っているのか、とにかく目が離せない。謎の連続殺人事件、謎の日本人、そして可愛い娘の異常行動、胡散臭い祈祷師、正体不明の美女。ミステリーものを観るには十分すぎる謎を配置し、韓国映画ならではのウェットでダークな映像でもって観る者を引き付けるテクニックはさすがの一言。

　ところがクライマックスはどうだろう。呪いや悪魔といったオカルティックな展開に進み始め、祈祷師は噴水の如くゲロを吐き、なぜかゾンビまで登場し、日本人は悪魔の姿に変貌し、呪いが解けたはずの娘は結局訳が分からなくなり。とにかく、クライマックスがしっちゃかめっちゃかというか、何が起こっているのか、何を描き出したかったのか分からないまま、破綻した状態で長丁場の映画が終わってしまうわけです。ハッキリ言って訳が分かりません。

　まあここで、難解な映画と受け取り、作り手が訴えたかったテーマ・メッセージを紐解く人もいるだろうし、なんじゃこりゃ意味不明わけワカンネと吐き捨てる人もいるでしょう。つまりは好みはハッキリ分かれるかと。そういった意味では僕は後者でしょう。

　そんなわけで、非常に期待していた本作でしたが、スッキリしない映画だったな～というのが鑑賞ですかね。観客に解釈を委ねるのも手法のひとつですが、ある程度の解決やもう少しヒントを与えてほしかったかな。