2017年にパリ装飾芸術美術館を皮切りにロンドン、ニューヨークと世界を巡回してきた「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」展。
東京都現代美術館での開催は残すところあと一週間を切りました。
(事前予約はすでに完売していますが、こちらのサイトをかなりこまめにチェックすることでキャンセルが出るとその都度ネット予約ができるみたいです)
「情熱は全ての美の秘訣。情熱のない魅力的な美など存在しない」
「ドレスには魂が込められていなくてはならない」
「機械化ばかり優先されている時代だからこそ、昔のように念入りに仕事をしたいのです。研究所で仕事をするように」
クリスチャン・ディオール
数々の心に残る言葉を残したディオールは、スタッフを大切にし取引先の業者の方にも紳士的だったと言います。
「あれほどエレガントなモードを生み出すムッシュ・ディオールは、本人自身が心底からエレガントな人なのです。言葉遣いも動作も、生活の全てが尊い教えでした。寛大で心が温かく、さまざまな深い知識を持つ彼のものとで仕事をすることほど大きな喜びはありませんでした」と語ったのはイヴ・サンローラン。
生み出されるドレスから浮かぶ言葉が「エレガンス」だったのはその表面的な美しさではなくディオールの内面そのものが映し出されていたからなのですね!
↓↓ウエストのシェイプも自然なラインを描くドレスは左右の重ねのある日本の着物を連想させるデザイン。上半身も折り紙のように平面的な構築を意識したように感じられます。
体に沿う(フィットした)部分と体から離れた部分(フレア)を対比させ波のような動きを出すことで、平面的なデザインを生かしながらも奥深さを感じさせる美しさにうっとり。
1947年のコレクションで華々しいファッション界でデビューし、世界的な活躍を遂げたディオールですが、1957年にイタリアでの休暇中に心臓発作で突然の死を迎えました。
10年間で10万着のドレスを販売し、使われた布地は1500km。手がけたデッサンは1万点以上と言われています。
まだ世の中に悲しみや不安が多い戦後まもない時期に、多くの人へ夢や希望を与えたディオールの美への情熱が77年も引き継がれ、多くの人を魅了しているその現実を目の当たりにできることが奇跡のようにも感じられます。
1956年 51歳頃のクリスチャン・ディオール
ガーデニングや芸術に深い関心のあった母マドレーヌが、19世紀後半のジャポニズムの影響で浮世絵風の絵を邸宅に飾っていたことから、ディオールも生涯にわたって日本の文化に関心を持っていました。
(画像はWikipediaより)
日本に高い関心がありながらも来日の夢が叶わなかったディオールですが、その作品たちは1953年、今から70年前に日本に上陸していました。
フランスの専属モデルと共に83着のエレガントで美しいドレスがお披露目されたのです。
1959年4月10日、当時の美智子皇太子妃殿下のご成婚パレードのローブ・デコルテは、ディオール自身がデッサンしたものを、急逝のため後継したイヴ・サンローランが仕上げたものです。
ドレスに使われた生地は、日本が誇る明輝瑞鳥錦と呼ばれる厚手のシルクタフタ。
シンプルなVネックとフレンチスリーブ、初期のディオールらしいリボン使いが美智子さまの可憐さと若々しい美しさを際立たせています。
日本の着物がフランスに渡り広まったキモノスリーブ(日本ではフレンチスリーブと呼ばれています)
現在の皇室では観られない胸元の深いカットも、美智子さまのお首の長さと美しさを引き立てている点も注目したいポイントです。
「私は日本に特に深い興味を日頃から抱いています。日本は古い歴史と誇り高い芸術を持っているからです。それに日本の着物の織物の美しさ、模様の美しさ、形の柔らかい線。西欧では見出せない東洋独特の美を持っているからです。日本の着物は実用の点から言えば論議される点も多いでしょうが、その美しさの面から言えば日本人が決して忘れてはならないものと信じています。私の今冬のコレクションに日本の織物を用いましたが、私はわざとフランスのスタイルとしてデザインしました。それは日本の織物がいかにフランスのスタイルとして利用できるかを知らせるためにやったことです。」「私は18世紀の日本の版画をよく知っていますが、18世紀のこの美しさの生まれた源泉、すなわちその前の時代を知りたいと私は望んでいます。日本語が読めないのが大変残念なのですが、私はもっと日本の歴史、文化史と着物の歴史を勉強したいと思います。私は日本の古い文化から、いろいろな美しいものを汲み出して、現代の上に生かしてみたい。私はとてもこのことに意欲を感じています。」そして最後に日本の服飾界に対して何か一言をという投げかけに対して「日本の着物を決して忘れないように。私は日本を訪れたいと考えていますが、日本の古い歴史、芸術的な美しいものをこの機会に存分に吸収したいと思っています。」
私たち日本人が忘れかけている着物の美しさや文化、誇りを70年以上も前にディオールが着目していたなんて。
ディオールのクリエイションに心をゆさぶれ、その魅力や創作源などについて調べているうちに、日本との繋がりや、ルーチェクラッシカがこれから行っていきたいと考えている(日本に眠る美しい素材を生かして、フランス流のドレスを作り生かす)着物リメイクとも重なる部分を見つけられたことが大きな発見と喜び、そして励みとなりました。
私も日本の歴史や美についても学びを深め、これからのドレス作りに生かしたいです。
今週末は海外にお住まいでブログを読んでくださっているという美しいお客様が、ご帰国のタイミングに合わせてご来店くださいました。
こちらを信頼してくださり温かいお気持ちで接してくださって、ウエディングドレスのご試着や打ち合わせのお時間をとても楽しんでくださいました。
最高に美しい花嫁になるお手伝いを心を込めて万全を尽くしたいと思います*
明日から始まる一週間も皆さんにとって嬉しさが溢れる毎日でありますように。
今日も最後まで読んでくださってありがとうございました。
「クリスチャン・ディオール 夢のクチュリエ」展に感動して以前書いたブログ
◎この気づきからますます関心が高まった
◎感動冷めきれずに再び考察
◎新緑の季節2度目のディオール展へ
◎ふるさと青森が日本の美を表す素材に
◎白いドレスの魅力を探る
◎2023年のはじめに観た
私たちのアトリエではウェディングドレスの制作の経験を活かし、着物リメイクをスタートしました。眠っている着物をとっておきの一着にしませんか。
人やものとの繋がりを大切にすることで未来と繋がる。
守られているような安心感や生きる力が湧いてくる。
本当に好きなもの、捨てたくないもの、長持ちするもの。
そんなものづくりを目指しています。
想う気持ちを形に・・・着物リメイクを始めるきっかけになったこと
和とフレンチの融合・・・大島紬をドレスワンピースに
目に見えない力を感じた着物リメイク・・・小紋と羽織りが引き寄せた偶然とパワー
ふりかえり・2022・・・駆け抜けた撮影までの道のりと自分の変化
思い出いろいろ・・・浴衣地をメンズシャツに
お守りのような存在・・・長襦袢をアロハシャツに
未来とツナガル・・・着物リメイク料金のご案内について
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心豊かになるようなウェディングフォトを残して、この先の人生をさらに豊かに喜びあふれるものにしてみませんか。
お二人やご家族の皆様にとって心に残る最高のお写真をご提供しています。
フォトウェディングでご提供しているウェディングドレスは、厳選された素材とこだわりのデザインのものをオートクチュール仕立てで仕上げた一点もの。
男性用の衣装は上質な日本製とイタリア製のウールをシンプルなデザインで老舗テーラード屋さんが仕立てた上質なロングタキシードです。
洗練されたヘアメイキャップアーティストによるヘアメイク、感性豊かなフラワーデザイナーによる生花のブーケなど、クオリティの高いお仕事をモットーにお客様の個性に合わせてご用意しています。
お手元にデータが残るだけではなく、撮影の当日も素敵な思い出に残るお時間になりますように、ドレス作りと同様心を込めて準備を重ねています。
ご縁のあるお客様との出会いを心から楽しみにスタッフ一同お待ちしています。
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