(2017年 印象に残った演奏会) | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

今回は演奏会の感想ではなく、別の話題を。

2017年ももうすぐ終わりということで、今年聴いたコンサートのうち、とりわけ印象に残ったものを挙げたいと思う。

なお、アマチュア音楽家によるコンサートや、ミュージカル・演劇・展覧会などは、今回の選定からは除外する。

オペラ、バレー、コンクール、マスタークラスは含むこととする。

あと、聴けなかったプログラムがあったり、印象に残った曲とそれほどではない曲があったりした場合、演奏曲目の一部しか記載していないこともある。

なお、昨年(2016年)の印象深いコンサートについてはこちら

 

 

まず、行ったコンサートの数。

 

1月 10回
2月 13回
3月 15回
4月 12回
5月 11回
6月 13回
7月 8回
8月 7回
9月 10回
10月 10回
11月 10回
12月 6回
計 125回

 

やはり行きすぎているが、下半期はなるべく減らして、どうにか月10回を超えないようにはできた(それでも多いけれど)。

来年は、さらに減らさなければ。

 

 

次に、印象に残るコンサート20選(順序は時系列)。

 

2月18日 マーク・パドモア(Tn) ティル・フェルナー(Pf) シューベルト:歌曲集「美しき水車屋の娘」

3月17日 アンドラーシュ・シフ(Pf) シューベルト:ピアノ・ソナタ第20、21番、即興曲D899-2、D935-2、3

3月19日 山本貴志(Pf) ショパン:「スイスの少年」変奏曲、3つのノクターンop.15、3つのマズルカop.50、スケルツォ第4番

4月8日 シルヴァン・カンブルラン指揮 読売日本交響楽団 ハイドン:交響曲第103番、マーラー:交響曲第1番

4月30日 アンヌ・ケフェレック(Pf) モーツァルト:ピアノ・ソナタ第11番、ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第5番「春」(テディ・パパヴラミ(Vn))

5月9日 ダニエル・シュー(Pf) J.S.バッハ/ブゾーニ:シャコンヌ、リスト:「ドン・ジョヴァンニ」の回想、ムソルグスキー:「展覧会の絵」

5月23日 松本和将(Pf) ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第30~32番

6月25日 アンジェラ・ゲオルギュー(Sp) ジャンルカ・マルティネンギ指揮 パレルモ・マッシモ劇場 プッチーニ:「トスカ」

6月26日 シモーネ・ヤング指揮 読売日本交響楽団 プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番(ベフゾド・アブドゥライモフ(Pf))、R.シュトラウス:アルプス交響曲

6月29日 ハーゲン弦楽四重奏団 ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第16番、ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第3、14番

7月26日 ヤクブ・フルシャ指揮 東京都交響楽団 スメタナ:連作交響詩「わが祖国」

8月4日 石井楓子(Pf) ブラームス:4つの小品op.119

8月25日 リード希亜奈(Pf) ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第26番「告別」、ブラームス:3つの間奏曲op.117、リスト:ピアノ・ソナタ

9月22日 五嶋みどり(Vn) イェヴァ・ヨコバヴィチューテ(Pf) ヒンデミット:ヴァイオリン・ソナタ、ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第2番、シューベルト:ソナチネ第3番、エネスク:ヴァイオリン・ソナタ第3番

●9月27/30日 クレア・フアンチ(Pf) ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第14番「月光」、スクリャービン:ピアノ・ソナタ第2番、ショパン:ノクターン第2、7、8、13番、24の前奏曲、幻想ポロネーズ、アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ(名古屋千葉

10月15日 アリーナ・イブラギモヴァ(Vn) セドリック・ティベルギアン(Pf) モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ第35番K.379、シューベルト:幻想曲D934、ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第9番「クロイツェル」

10月29日 中川真耶加(Pf) リスト:愛の夢第3番、ショパン:即興曲第3番、ワルツ第6、7番、舟歌、スケルツォ第1番、ショパン/リスト:「乙女の願い」「私の愛しい人」

11月5日 シルヴァン・カンブルラン指揮 洗足学園音楽大学管弦楽団 モーツァルト:「フィガロの結婚」序曲、ストラヴィンスキー:「ペトルーシュカ」、ベルリオーズ:幻想交響曲

11月30日 エマニュエル・パユ(Fl) エリック・ル・サージュ(Pf) モーツァルト:ソナタK.296、シューベルト:「しぼめる花」変奏曲、ドビュッシー:「ビリティス」、フォーレ:「コンクール用小品」「シシリエンヌ」「幻想曲」、プーランク:フルート・ソナタ

12月18日 小林愛実(Pf) 園田隆一郎 指揮 日本センチュリー交響楽団 ショパン:ピアノ協奏曲第1番、ノクターン第20番 遺作

 

惜しくも選に漏れたものもたくさんある。

最後まで悩んだのは、カンブルラン&読響のメシアン「アッシジの聖フランチェスコ」、ベルリン・フィル八重奏団、メルニコフとファウストとケラスのピアノ三重奏、松本和将と上里はな子らのピアノ三重奏(シューマン&ブラームスと、ベートーヴェン「大公」の2回)、山本貴志と佐藤卓史のピアノ・デュオ、キャスリーン・バトルのソプラノ、深見まどかのピアノ、相愛大学卒業演奏会あたり。

また、山本貴志と中川真耶加については、リサイタルを1回ずつ選んだが、ここで選ばなかった別のリサイタルも大変素晴らしかった。

これらは結局外してしまったが、これらも含めて30選にしたほうが良かったかもしれない。

 

 

それから、今年も外来オケをいくつか聴いて、ラトル&ベルリン・フィル、ガッティ&コンセルトヘボウ管、ペトレンコ&バイエルン国立管など、綺羅星のごとき取り合わせだったし、もちろんそれぞれ良い演奏だったのだが、結局どれも外してしまった。

去年のマイMVPはメータ&ウィーン・フィルのブルックナー交響曲第7番だったのだが(そのときの記事はこちら)、それは曲と奏者(指揮者&オーケストラ)の相性、曲と私の相性、奏者と私の相性が、3つともぴたりとはまったためだろう。

今年聴いた上記の外来オケのレベルが低かったわけでは、もちろんなかった。

 

 

さて、上記の20選から、さらに無理やり5選まで選ぶとすると、下記のようになる(順序は時系列)。

 

7月26日 ヤクブ・フルシャ指揮 東京都交響楽団 スメタナ:連作交響詩「わが祖国」

9月22日 五嶋みどり(Vn) イェヴァ・ヨコバヴィチューテ(Pf) ヒンデミット:ヴァイオリン・ソナタ、ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第2番、シューベルト:ソナチネ第3番、エネスク:ヴァイオリン・ソナタ第3番

●9月27/30日 クレア・フアンチ(Pf) ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第14番「月光」、スクリャービン:ピアノ・ソナタ第2番、ショパン:ノクターン第2、7、8、13番、24の前奏曲、幻想ポロネーズ、アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ(名古屋千葉

10月15日 アリーナ・イブラギモヴァ(Vn) セドリック・ティベルギアン(Pf) モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ第35番K.379、シューベルト:幻想曲D934、ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第9番「クロイツェル」

11月5日 シルヴァン・カンブルラン指揮 洗足学園音楽大学管弦楽団 モーツァルト:「フィガロの結婚」序曲、ストラヴィンスキー:「ペトルーシュカ」、ベルリオーズ:幻想交響曲

 

この5公演は、いずれも心の底からの感動を与えてくれた。

 

 

これ以上に絞るのは本当に難しく、不可能と言っていい。

しかし、それでもあえて今年のMVPを選ぶとすると、

 

●9月27/30日 クレア・フアンチ(Pf) ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第14番「月光」、スクリャービン:ピアノ・ソナタ第2番、ショパン:ノクターン第2、7、8、13番、24の前奏曲、幻想ポロネーズ、アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ(名古屋千葉

 

ということになる。

ここまで来るともう、他の4公演よりもさらに素晴らしい演奏だから選んだというのとは、ちょっと違う。

2010年ショパンコンクールの配信でクレア・フアンチの演奏を聴き、衝撃を受けて以来、これを実演で聴いたらいったいどうなるだろう、とずっと思ってきた。

特に、このコンクールでの「アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ」の演奏。

ここでは、ヴィルヘルム・ケンプやエトヴィン・フィッシャーといった往年の伝説的ピアニストのみがなしえたような、本当の意味でピアノを「歌わせる」ということを、彼女はより現代的な引き締まった形で実現している。

この演奏動画は、ピアノ演奏の一つの「理想形」として、数えきれないほど何度も聴いた。

そんな彼女の生演奏を今回ついに聴くことができた、それもあの「アンダンテ・スピアナート~」を弾いてくれた―その感慨が、名古屋のみならず千葉の多古町まで出かけたドキドキワクワク感や、サイン会でのごく短い会話なども相まって、忘れがたい思い出となった。

その思い入れが、今回のMVP選定の一番の理由である。

演奏の素晴らしさ自体は、5公演いずれも本当に格別で、優劣はとてもつけられない。

 

 

こんなマニアックな演奏会ブログを今年お読み下さった皆様、誠にありがとうございました。

来年も内容はあまり変わらないと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。

 

 


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