びわ湖ホール ジルヴェスター・コンサート2016-2017
【日時】
2016年12月31日(土) 22:00開演
【会場】
びわ湖ホール 大ホール
【出演】
指揮:沼尻竜典(びわ湖ホール芸術監督)
司会:桂米團治
チェロ独奏:堤 剛
ソプラノ:並河寿美、メゾ・ソプラノ:森 季子、テノール:二塚直紀、バス:松森 治
演出:岩田達宗
管弦楽:大阪交響楽団
独唱・合唱:びわ湖ホール声楽アンサンブル、ジルヴェスター合唱団
ファンファーレ:ジルヴェスター・ファンファーレ隊
【曲目】
ヒナステラ:エスタンシア組曲 op.8a 第4曲 マランボ
冨田 勲:新日本紀行
サン=サーンス:チェロ協奏曲第1番 イ短調 op.33
ベートーヴェン:歌劇『フィデリオ』 op.72より 序曲
ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調 op.125「合唱付き」より 第4楽章
沼尻竜典:"トゥーランドット"のテーマによる 祝祭ファンファーレ
ビゼー:歌劇『カルメン』より 第1幕 前奏曲
モンテヴェルディ:歌劇『オルフェオ』より "トッカータ"、"プロローグ"
シベリウス:交響詩「フィンランディア」 op. 26(合唱付き)
ヨハン・シュトラウスI世:ラデツキー行進曲 op.228
※アンコール(ソロ)
サン=サーンス:「動物の謝肉祭」より "白鳥"
こちらもジルヴェスター・コンサート。
それも、コンサート中に年越しを迎えるという類のもので、こういったコンサートに行くのは初めてである。
曲目は雑多だが、いずれも2016年、あるいは2017年に関連する楽曲で、必ずしも有名曲ばかりというわけではないのが良い。
演奏はいずれも素晴らしかったが(アンコールでは沼尻竜典のピアノ演奏も聴けたが、これまたうまかった)、特にモンテヴェルディの「オルフェオ」の抜粋が、沼尻竜典のすっきりとした演奏スタイルに実によく合って、とりわけ印象に残った。
プロローグの「音楽」役の歌も(たしか歌い手は山際きみ佳と紹介されたように思うのだが)、清澄な良い歌声だった。
「オルフェオ」全曲を観てみたくなった。
カウントダウンあり、豪華景品多数あり、きらきらした装飾の花吹雪もありといった華やかな構成で、司会の桂米團治の軽妙な進行もあり、深夜の眠たい時間帯ながらなかなかに飽きさせない。
楽しい年越しを過ごすことができた。
さて、2016年も終わりということで、2016年で印象に残ったコンサートを挙げたいと思う。
演奏の優劣というよりは、個人的に印象に残った、強い感銘を受けたものを挙げたい。
なお、クラシック音楽以外のコンサートや、ミュージカル・演劇などは、今回の選定からは除外している。
また、アマチュア音楽家によるコンサートもいくつか行ったが、アマチュア音楽家の演奏に対し「ここが良かった、あそこが良くなかった」などと細かい感想を述べるのもいかがかと思い、このブログには載せていないし、今回の選定からも外している。
あと、聴けなかったプログラムがあったり、良かった曲とそうでない曲があったりした場合があり、演奏曲目の一部しか記載しないこともある。
まずは、20選(順序は時系列)。
●1月10日 山本貴志(Pf) ショパン全曲チクルス第1回
●1月24日 チョ・ソンジン(Pf)/ヤツェク・カスプシック(Cond)/ワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団 ショパン ピアノ協奏曲第1番、ケイト・リウ(Pf) ショパン 3つのマズルカ op.56
●4月3日 アリーナ・イブラギモヴァ(Vn) 無伴奏ヴァイオリン曲集(ビーバー パッサカリア、J.S.バッハ パルティータ第2番、イザイ ソナタ第3番「バラード」、バルトーク ソナタ)
●4月9日 キアロスクーロ・カルテット モーツァルト ディヴェルティメント 変ロ長調 K.137、ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第4番、シューベルト 弦楽四重奏曲第14番「死と乙女」
●5月29日 西本智実(Cond)/モンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団 ビゼー カルメン組曲第1番、第2番より、スメタナ 「モルダウ」、チャイコフスキー 交響曲第5番
●6月2日 ヤニク・ネゼ=セガン(Cond)/フィラデルフィア管弦楽団 武満徹 ノスタルジア、プロコフィエフ ヴァイオリン協奏曲第1番(五嶋龍(Vn))、ブラームス 交響曲第2番
●6月5日 ギドン・クレーメル(Vn)/ルカ・ドゥバルグ(Pf) ヴァイオリン・ソナタ集(ラヴェル、フランク)
●6月22日 五嶋みどり(Vn)/オズガー・アイディン(Pf) リスト(オイストラフ編) 「ウィーンの夜会」よりワルツ・カプリース第6番、シェーンベルク 幻想曲 op.47、ブラームス ヴァイオリン・ソナタ第1番、モーツァルト ヴァイオリン・ソナタ 変ロ長調 K.454、シューベルト 幻想曲 D.934
●6月30日 カンブルラン(Cond)/読売日本交響楽団 リスト ピアノ協奏曲第2番(小菅優(Pf))、マーラー 交響曲第5番
●7月2日 ミハイル・プレトニョフ J.S.バッハ/リスト 前奏曲とフーガ イ短調 BWV543、グリーグ ピアノ・ソナタ、グリーグ ノルウェー民謡による変奏曲形式のバラード、モーツァルト ピアノ・ソナタ ニ長調 K.311/ハ短調 K.457/ヘ長調 K.533/494
●8月16日 西本智実(Cond)/イルミナートフィルハーモニーオーケストラ/イルミナートバレエ チャイコフスキー 「くるみ割り人形」
●9月10日 五嶋みどり(Vn)/広上淳一(Cond)/京都市交響楽団 チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲
●9月24日 西本智実(Cond)/大阪交響楽団/イルミナートヴァチカン合唱団 ベートーヴェン 交響曲第9番
●10月6日 ズービン・メータ(Cond)/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 モーツァルト 交響曲第36番「リンツ」、ブルックナー 交響曲第7番
●10月21日 小林愛実(Pf)/角田鋼亮(Cond)/大阪フィルハーモニー交響楽団 ショパン ピアノ協奏曲第1番
●10月27日 西本智実(Cond)/イルミナートフィルハーモニーオーケストラ/イルミナート合唱団 プッチーニ 「蝶々夫人」
●11月11日 シモーネ・ヤング(Cond)/大阪フィルハーモニー交響楽団/大阪フィルハーモニー合唱団 ブラームス 悲劇的序曲、運命の歌、交響曲第2番
●11月20日 クリスティアン・ティーレマン(Cond)/シュターツカペレ・ドレスデン ヴァーグナー 「ラインの黄金」
●12月8日 ヤクブ・フルシャ(Cond)/大阪フィルハーモニー交響楽団 ベートーヴェン ピアノ協奏曲第4番(河村尚子(Pf))、ショスタコーヴィチ 交響曲第10番
●12月18日 クリスティアン・アルミンク(Cond)/兵庫芸術文化センター管弦楽団 ベートーヴェン ピアノ協奏曲第3番(クンウー・パイク(Pf))、ブラームス 交響曲第3番
この他にも、ヒラリー・ハーンやイザベル・ファウストのリサイタルもとても良かったし、ブロムシュテットも選に入れたいのだが、どうしても20選までということで、泣く泣く外すことにする。
また、一般的にはアダム・フィッシャー/ウィーン国立歌劇場の「ヴァルキューレ」も入れるべきだろうが、これも外している。
この20選は、どれも本当の名演ばかりだった。
西本智実が多い気がするが、これは個人的な好みの問題か。
室内楽が少ないが、そもそも室内楽の演奏会にあまり行っていないということと、私自身が室内楽の演奏について好みの幅がかなり狭いということがあるだろう。
室内楽が嫌いというわけでは決してなく、むしろ大好きである。
また、古楽も少ないが、古楽オーケストラの良し悪しについて、個人的にモダンオーケストラほどには判断しにくいというのも一つあるだろう。
それこそ、クルレンツィス/ムジカ・エテルナのモーツァルトとか、ガーディナー/イングリッシュ・バロック・ソロイスツのモンテヴェルディとか、タリス・スコラーズのパレストリーナほどの鮮烈な演奏であれば、話は別かもしれないが。
さて、この20選から、さらに無理やり5選まで選ぶとすると、下記のようになる(順序は時系列)。
●5月29日 西本智実(Cond)/モンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団 ビゼー カルメン組曲第1番、第2番より、スメタナ 「モルダウ」、チャイコフスキー 交響曲第5番
●6月30日 カンブルラン(Cond)/読売日本交響楽団 リスト ピアノ協奏曲第2番(小菅優(Pf))、マーラー 交響曲第5番
●9月10日 五嶋みどり(Vn)/広上淳一(Cond)/京都市交響楽団 チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲
●10月6日 ズービン・メータ(Cond)/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 モーツァルト 交響曲第36番「リンツ」、ブルックナー 交響曲第7番
●12月8日 ヤクブ・フルシャ(Cond)/大阪フィルハーモニー交響楽団 ベートーヴェン ピアノ協奏曲第4番(河村尚子(Pf))、ショスタコーヴィチ 交響曲第10番
5選は本当に難しく、例えば西本智実も1つまでしぼったが、本当は「くるみ割り人形」も第九も大変な名演だったし、実に捨てがたい。
ただ、オケや舞台なども含めた全体的な完成度を勘案して、結局このモンテカルロ・フィルとのチャイコフスキーを選ぶこととした。
この5つは、いずれもまぎれのない超名演である。
そして、この中から、MVPを一つだけ選ぶ。
とても悩んだが、結局はこれを選んだ。
●10月6日 ズービン・メータ(Cond)/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 モーツァルト 交響曲第36番「リンツ」、ブルックナー 交響曲第7番
これは本当にすごかった。
特にブルックナーの交響曲第7番は、指揮者・オーケストラ・曲目・会場・座席といったあらゆる環境の相性が全て整い、約1時間もの間、ずっと感激しっぱなしだったのだ。
あのような音楽体験は、今後できるかどうか。
以上が、2016年の総括。
今年は意識して多くのコンサートに行ったということもあり、名演に出会うことがとても多かった。
来年は少し行くコンサートの数を減らすかもしれないが、そう言いながらも結局あまり減らないかもしれない。
ついつい行ってしまうのである。
そんな私ですが、来年もどうぞ宜しくお願いします。
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