皆さま
久々にオウムのシリーズに
戻ってまいりました。
ちゃまみつは、どうやって
自分を表現していくのでしょう?
ちゃまみつ、楽しみにしているぞ!
詳しくは本文をお読みください。
本日もよろしくお願いいたします。
【自己紹介】
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「オウムの一生物語」
~⑳思い切り自己表現する~
前回までのお話しはこちらです。
【第一部①~⑩話/人生の課題が作られる】
【第二部⑪~⑮話/人生の課題と向き合う】
【第三部⑯話~/自分らしく生きて、使命を果たす】
休暇をもらっていたちゃまみつは、
住み込みで働いている看板屋に
戻ってきました。
「ただいま戻りました」
ちゃまみつが、そう言うと
師匠雲十郎は、ちゃまみつの
表情の変化に気が付いた
ようです。
「どうじゃった?」
「とても良い休暇でした。ありがとうございます」
ちゃまみつは、感謝の気持ちを
込めて師匠雲十郎に頭を下げました。
「思い切り表現するとよい」
「はい、やってみます」
雲十郎は、ちゃまみつの表情の
変化から自分を思い切り表現
できるようになっていると
確信しているようです。
あくる日、ちゃまみつは、いよいよ
真っ白な看板の前に立ちます。
どんな風に書くのか、師匠雲十郎も
内心ドキドキしていました。
いつもはフワフワとしていた雲十郎の
白い毛が、この日ばかりは緊張したのか
固くなっているように感じます。
そうして、ちゃまみつは書き慣れた
筆をくちばしにくわえました。
たっぷりと墨をつけると、
なんとちゃまみつはその場で
羽ばたき始めます。
さすがの雲十郎も腰を抜かさん
ばかりに驚いていました。
思っていた以上にちゃまみつの
羽は大きく、内側まで輝いている
ように見えました。
左羽は相変わらず曲がっていますが、
それはそれで、なぜだか美しくも
見えるのです。
ちゃまみつは、羽ばたきながら
地上から1メートルほどの空中で、
態勢を整えていきます。
くちばしでくわえた筆からはポツポツと
墨がしたたり落ちて、真っ白な看板に
色が入ってゆくのです。
そうして、ちゃまみつはグッと方向を
変えて、真下にある看板めがけて
筆をくっつけていきます。
なんと、空中で羽ばたきながら
看板に文字を書き始めたのです。
見ているだけも、その躍動感は
相当なものでした。
しばらくの間、師匠雲十郎も
固唾を飲んでその様子を見ています。
じっくりと力強く看板はちゃまみつに
よって、書きあげられていきます。
そうして、書きあげられた文字は
「雲十郎看板店」
でした。
そのひとつひとつの文字は、
エネルギーに満ちていて、
しばらくの間見ていると、
何物かに変化していくかのような
錯覚さえ覚えそうでもあります。
どうしても、ちゃまみつの左羽は
曲がっているために、飛んでいるときも
少し斜めになってしまいます。
それが、文字にも斜体のように表現されていて、
それはそれはまた味のある文字になっているのです。
書かれた看板を見て雲十郎も
あまりの迫力に、目を丸くしていました。
書き終えたちゃまみつは、あまりの
集中力を使ったからか、「はぁ、はぁ」と
息を切らしています。
「雲十郎さん、どうですか?」
白いフワフワの毛の緊張も取れたのか、
再びフワフワさせて雲十郎は言いました。
「見事じゃよ、見事じゃ、ちゃまみつ」
ちゃまみつはうれしそうに、小さく
笑顔を見せてくれました。
ちゃまみつは、左羽が曲がっていることを
そのまま活かして、文字を表現したのです。
まさに、「自分の個性を思い切り表現」
しました。
「雲十郎看板店」
ちゃまみつもうれしそうでしたが、
師匠雲十郎は、それよりもずっと
うれしそうにニコニコしています。
その日のうちに、自分の看板店の
看板をちゃまみつの書いたものに
早速変えてしまいました。
ちゃまみつは、とうとう過去の辛い
出来事を光の出来事に変えて、
自分の個性を思い切り表現
できるようになったのです。
生まれる前に決めてきた左羽の
不具合を、活かすことで、人生を
変えていくというストーリーへと
大きく方向を転換していきます。
その夜、ちゃまみつは大きな達成感と
幸福感を感じていました。
目を閉じると大きな神さまが現れて、
一言だけ伝えてくれます。
「ちゃまみつ、良くやったな」
ちゃまみつは、うれしそうに
笑顔で返答しました。
【続く】
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執筆依頼なども承っております。
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この物語を読んで何か一つでも
感じていただけたら嬉しく思います。
世の中が今よりも幸せな場所になっていきますよう
想いを乗せて書いています。
皆さまよろしくお願いいたします。