皆さま

 

なぜか残る不思議な感覚、

それはいったいどこで感じて

いたのでしょうか?

 

詳しくは本文をお読みください。

 

本日もよろしくお願いします。

 

【自己紹介】

不安な人生から安心の人生に転換した僕の物語

 

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「オウムの一生物語」

~③残った不思議な感覚と父との別れ~

 

前回までのお話しはこちらです。

~①生まれる前に大切なことを決めてきた~

~②決めてきた家族との出会い~

 

ちゃまみつには不思議な感覚が

残っていたのです。

 

ひとつは、目を閉じると大きな

神様のようなイメージが

湧きあがり、なんだかホッとした

気持ちになれることです。

 

もうひとつは、ちゃまみつが

あまり家の中でも話さないのですが、

それにはちゃまみつなりに理由が

あったのです。

 

それは、ちゃまみつは自分で

思ったことが、自動的に相手に

伝わるのだと信じていました。

 

例えば、「ご飯が食べたい」と

思ったら近くにいる母のトモコに

伝わるのだと本気で信じていたのです。

 

だから、ちゃまみつは必要なこと以外は

あまり思いを湧かないようにコントロール

していました。

 

なので、自然と口数は少なくなります。

もちろん、父ユクオと母トモコが

会話をしていることも知っているので、

この世の中では言葉を発することで

相手に伝わるのだと、どこかではちゃまみつも

理解はしているのです。

 

そうして、ちゃまみつも自分で

羽を広げて飛べるようになっていきます。

 

すると、幼稚園なるものにもちゃまみつは

行くようになりました。

 

同じくらいの年齢のオウムたちと

初めて触れ合うのです。

 

しかし、ちゃまみつは繊細で敏感、

しかも思ったことが相手に伝わると

信じているので、ほとんど話しをしません。

 

ちゃまみつは、他の園児のオウムからも

変わり者だと思われていました。

 

そんな個性というものは、ときに残酷で

子どもたちのイジメの対象になり得たのです。

 

ちゃまみつは、周囲の園児から

「おい、ちゃんと喋れよ」などと

因縁を付けられて、大切なくちばしを

痛めつけられたりしていたのです。

 

ちゃまみつは、目を閉じてあの大きな神様を

イメージしながら、必死で耐えていました。

 

そんな幼稚園時代を過ごすちゃまみつは、

ある日から父ユクオが家に帰ってこないことに

気が付きいたのです。

 

最初は、「どうしてお父さん帰ってこないの?」と

母トモコに聞いていましたが、母トモコは、

「お父さんは忙しくなったの」

「今日からしばらく出張なの」と

言い続けるばかりでした。

 

純粋なちゃまみつは、その言葉を

信じていましたが、もともと繊細な

性格です。

 

そう言っている母トモコの表情の

変化をいつも気にするようになりました。

 

「お父さんは会社に泊まっているの」と、

今日もちゃまみつのいつもの質問に

そう答えた時、母トモコの目からは

羽に向かって一筋の涙が流れたことを

ちゃまみつは見逃しませんでした。

 

「お母さん、もういいんだよ。僕わかっているから」

 

母トモコは泣き崩れました。

 

ちゃまみつは、自分の小さな羽で

母トモコの丸くなった背中を

そっと撫でています。

 

それから父ユクオがちゃまみつの

元に姿を現すことはありませんでした。

 

【続く】

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この物語を読んで何か一つでも

感じていただけたら嬉しく思います。

世の中が今よりも幸せな場所になっていきますよう

想いを乗せて書いています。

 

皆さまよろしくお願いいたします。