皆さま
いつか飛べなくなると
信じたちゃまみつは、
どうなっていくのでしょうか?
ちゃまみつを応援します!
詳しくは本文をお読みください。
本日もよろしくお願いします。
【自己紹介】
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「オウムの一生物語」
~⑦いつか飛べなくなると信じた代償~
前回までのお話しはこちらです。
「いつか飛べなくなる」そう信じていった
小学生のオウムちゃまみつは、
無価値観や劣等感を日に日に
募らせていってしまいました。
もちろん、ちゃまみつは純粋で
ユーモラスなところもあり、もともと
優しい気質です。
たくさんの友達もできました。
しかし、無価値観や劣等感も
強かったため、それを突いてくる
子どもが多かったのもまた事実でした。
何かと具合の悪い左羽のことなどを
馬鹿にされたり、からかわれたりしました。
時には、痛い目にもあっていたのです。
でも、ちゃまみつは、そんなときは
目をつぶって大きな神様のイメージを
思いだしていました。
いつだって、大きな神様は
「大丈夫だぞ」と優しくちゃまみつに
語りかけてくれるのです。
母トモコの「いつか飛べなくなるわよ」という
根拠のない脅し文句は、純粋なちゃまみつを
信じ込ませていきました。
しかし、母トモコには悪気があるわけでは
ありません。あくまでも、愛=心配と
勘違いしていたから出る行動なのです。
ちゃまみつとしては、母トモコの
「いつか飛べなくなるわよ」という
言葉を聞きたくなくて仕方がありませんでした。
自分を守るためにも必死に母トモコに
抵抗するようになっていったのです。
言葉で言い返してみたり、時には
たたき返してみることもありました。
でも、大人の頭脳と力にはかなうはずも
ありません。
その度にちゃまみつは心と身体を
傷つけていったのです。
母トモコの愛は歪んで表現されてしまって
いました。
それに対してちゃまみつは、もっと母トモコに
愛して欲しかったのですが、子どもながらに
どのように伝えていいのかがわからなかった
だけなのです。
ただ、それだけだったのです。
しかし、そのこんがらがった糸は
中々解けることはありませんでした。
むしろ、時間が経つにつれてきつく
難解にこんがらがっていくのです。
ちゃまみつが行動をすると、
それが母トモコの意図と反すること、
ルールに反することだと、
母トモコが激昂してしまいます。
ちゃまみつが、言い返します。
大きな力が母トモコからちゃまみつに
与えられます。
ちゃまみつが痛みます。
母トモコが後悔をします。
母トモコがちゃまみつに謝ります。
でも、その謝罪での回復よりも
ちゃまみつの傷は深くなっていく
ばかりだったのです。
この日も母トモコの逆鱗に触れたようでした。
それは、ちゃまみつが妹アヤコのために
絵を描いてあげたのです。
そこには、母トモコ、妹アヤコ、ちゃまみつ
そして、この家にはいない、恐らく
妹アヤコの実の父であるユクオらしき
オスのオウムも描かれていたのです。
それをちゃまみつは、どうしても
妹アヤコに描いて見せてあげたかったのです。
それは、ちゃまみつが心から願う
「家族のカタチ」でした。
だから、ちゃまみつの心に決して悪意があったとか、
妹アヤコを傷つけてやろうとか、そんな気持ちが
あったわけなどないのです。
しかし、その絵はしばらくして母トモコの
目に触れることになりました。
母トモコもそこに描かれたオスのオウムが
ユクオであることは、理解したのです。
もちろん、理解したからこそ逆鱗に
触れました。
「ちゃまみつ!なぜ、こんな絵をアヤコに見せるの!」
もう、母トモコの怒りを鎮めることは、
困難な状態でした。
そう言って、ただただ怯えるちゃまみつの前で
母トモコは、その4人が描かれた絵を
力いっぱいビリビリに引き裂いたのです。
ちゃまみつは、その様子を下から
見ていました。
絵がビリビリになっていくのが、どこか
スローモーションに見えています。
「家族が壊れていく」
ちゃまみつは、それが錯覚では
ないように感じました。
遠くから妹アヤコの泣き声も
聞こえてきます。
その後、ちゃまみつは母トモコが
大きく振り被った右羽で、頭を
強打されることになりました。
その瞬間、ちゃまみつはボーっと
意識が飛びそうになります。
ボーっとしながら、ちゃまみつは
ただただボーっとしていました。
妹アヤコの泣き声もなぜだか
聞こえなくなっています。
でも、その後の言葉だけは
ゆっくりとハッキリとちゃまみつに
聞こえてきました。
「あんたみたいな子ども、産まなければよかった!」
ちゃまみつは、そのままただただ
ボーっとしていました。
もう、そうするしかできなかったのだと
思います。
どれくらいそうしていたでしょうか。
次に、ちゃまみつの耳に聞こえて
きたのは、母トモコの
「さっきは、悪かったね」
という一言でした。
もう、ちゃまみつにはそれに返事をする
気力は残っていなかったのです。
【続く】
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この物語を読んで何か一つでも
感じていただけたら嬉しく思います。
世の中が今よりも幸せな場所になっていきますよう
想いを乗せて書いています。
皆さまよろしくお願いいたします。