皆さま
とうとうオウムのちゃまみつが、
家を出ました。
寂しくないか?
やっぱり応援するしかありません。
詳しくは本文をお読みください。
本日もよろしくお願いします。
【自己紹介】
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「オウムの一生物語」
~⑩自分の得意なことを仕事にした自立への道~
前回までのお話しはこちらです。
高校卒業と同時に長年過ごした
家からも卒業をする選択をオウムの
ちゃまみつはしました。
どこかで関係がちぐはぐしてしまい、
もう修復の余地が見つからなくなった
母トモコとの別れ、かわいくて仕方のない
この家でのオアシス癒しのような存在だった
妹アヤコとの別れ、ちゃまみつは
それを受け入れているつもりで、家を出て行ったのです。
そうして、ちゃまみつはそんなある意味
孤独な家族との生活で、鍛錬した
くちばしで筆をくわえて「書」を書くこと、
それを活かした仕事に就くことになりました。
それは、昔ながらの建物がどこか
懐かしい看板屋です。
店主はもちろんオウムで、顔の周囲を覆う
白いフワフワとした毛が特徴的なおじいさん
オウムでした。
ちゃまみつは、初めてこの白いおじいさんオウムに
会った時に、なんだか懐かしい気持ちが湧きあがったのです。
それは、オウムのちゃまみつが目を閉じると
浮かんでくる白くて光る大きな神様のイメージに
なんとなく似ていたからでした。
白いおじいさんオウムの名は雲十郎
(うんじゅうろう)と言いました。
白いフワフワの毛と雲のイメージが
ピッタリな名前です。
ちゃまみつはこの雲十郎の家に
住み込みで看板に文字を書く
仕事に就きました。
ちゃまみつは、実家を出ることは
初めてのことです。
いくら得意なことを仕事にすると言っても、
やっぱり緊張もしていましたし、いつか
飛べなくなるという思い込みも、時に
ちゃまみつを不安にさせるのでした。
それでもちゃまみつは、雲十郎の
指導の元、看板に筆で文字を書く
仕事に専念していったのです。
ずっと家で筆をくわえて「書」を
書いてきたちゃまみつにとっては
この仕事を行うにあたって、とても
有利に働きました。
数か月で、ちゃまみつは、ほぼほぼ
看板に文字を書くことに困らなく
なったのです。
この成長のスピードには師匠雲十郎も
驚きを隠せませんでした。
「ちゃまみつ、おぬし腕を上げたなあ」と
顔をしわくちゃにしながら、その上達っぷりを
喜んでくれたのです。
ちゃまみつは、自分を雇ってくれて
親切丁寧に技術を教えてくれて、
働く場を提供してくれ、さらには
寝食まで面倒を見てくれる雲十郎に
感謝の気持ちで溢れていました。
一見、ちゃまみつの自立に向けた
第一歩はうまくいっているかのように
思えます。
でも、どこかでちゃまみつの脳裏には
何かがひっかかり続けていました。
それは、仕事を終えて一番ホッとできる
布団の中で形を変えて現れるのです。
それが、なにか、ちゃまみつには
わかりませんでした。
でも、それがとても自分を不快にするのもだと
いうことは、わかります。
そんなときは、目を閉じて大きな神様の
イメージを浮かべてみます。
決まって大きな神様は、やっぱり笑顔で
「その調子、その調子」と言っている
ようでした。
ちゃまみつは、なんでこれが、
「順調なんだよー」と心の中で叫びます。
それでも、ちゃまみつに溢れ出す
不快な、違和感は止まることはありませんでした。
次の日も看板を書く仕事が待っています。
【続く】
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この物語を読んで何か一つでも
感じていただけたら嬉しく思います。
世の中が今よりも幸せな場所になっていきますよう
想いを乗せて書いています。
皆さまよろしくお願いいたします。