皆さま
ちゃまみつの成長を見ていると、
すごいなあと思います。
決してちゃまみつと同じ人生を
送ることはできませんが、僕も
参考にはしてみようかと感じています。
ちゃまみつの人生はちゃまみつの
ものでしかありませんからね。
誰しも唯一無二の人生です。
詳しくは本文をお読みください。
本日もよろしくお願いします。
【自己紹介】
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「オウムの一生物語」
~⑰自分で決めてきた不具合を受け入れる~
前回までのお話しはこちらです。
【第一部①~⑩話/人生の課題が作られる】
【第二部⑪~⑮話/人生の課題と向き合う】
【第三部⑯話~/自分らしく生きて、使命を果たす】
左羽に痛みを感じたちゃまみつは、
不安な気持ちになっていました。
それは、自分では癒えたと思っていた
母トモコから言われていた
「いつか飛べなくなるよ」という
言葉を思い出したからです。
ちゃまみつは、もし飛べなくなっても
自分にはくちばしで看板を書くことが
できるから、生きていけなくなるなんて
ことはないと思っていました。
でも、やっぱり鳥として、オウムとして
飛べなくなることは、とても大きな
出来事となります。
ちゃまみつは、これから仕事をして
家族だって築いていきたいと
思っていました。
自分では、心から望むような
普通の家族を得ることができなかったこともあり、
ただただ幸せな家族を築きたいのです。
そんなとき、もし子どもができたって、
飛べる父でありたいなあなんて思うのも
それはそれは自然な気持ちでもあります。
だからといって、別に飛べなくなると
言っていたのは母トモコだけです。
お医者さんも飛べなくなるなんてことは、
一回も言っていないのです。
それをちゃまみつは、何度も言われるうちに
信じてしまっただけでした。
こんなに左羽が痛んだことは、初めての
ことです。
あくる朝、ちゃまみつは、思い切って
師匠雲十郎に相談してみました。
「心配していた左羽が痛みます」
「ほう、それはどうしたんじゃろな?」
「はい、こんなに痛んだのは初めてなので、心配です」
「そりゃあ、そうじゃろな」
雲十郎は、白いフワフワの毛を
まさにフワフワさせながら、続けます。
「左羽の痛み、それがどういう意味かわかるか?」
「もしかして、飛べなくなるとか・・・」
「ちゃまみつ、まだそんなことを言っているのか」
「すみません」
「左羽は主張しているんじゃよ」
「え、何をですか?」
「ちゃまみつの左羽が曲がっているのは、問題だと思うか?」
「はい、問題だと思っています」
「でも、ちゃまみつは今まで生きてこられた」
「うんうん」と慎重にうなずくちゃまみつが
いました。
「ちゃまみつ、いいか、これは信じられなかったら、それでいい」
ちゃまみつはうなずいています。
「その左羽の不具合は、ちゃまみつの個性なんだよ」
ちゃまみつは、驚いています。
「なかなか、そんな風には考えられないかもしれない」
「はい、考えられませんでした」
「だからじゃな、左羽も含めて、表現に使っていくといいんじゃ」
「え、この曲がった左羽をですか?
「そうじゃ、それも含めてちゃまみつじゃろ?」
「たしかにそうですが・・・」
「だから左羽が痛くなって、認めてくれーと言って主張しているんじゃよ」
ちゃまみつは、目を見開きました。
何かに気が付かされたような
表情を雲十郎に向けています。
「もう、わしから言うことはなさそうじゃな」
そう言って、雲十郎は白いフワフワ毛を
大事そうに撫でながら、部屋から出ていきました。
ちゃまみつは、改めて左羽を撫でて
みます。不思議と少し痛みが和らいだ
ようなのです。
「これも含めて僕自身か」
ちゃまみつは、久方ぶりに目を閉じて、
大きな神様をイメージしました。
大きな神様は、
「気が付けて良かったね」と
親指を立てて、ちゃまみつに
サインを送ってくれています。
「そういうことだったのか」
ちゃまみつが、生まれる前に
左羽に不具合を持ってくると
決めたことには、大きな意味が
あったのです。
これこそを受け入れることが、
ちゃまみつの生きる道を大きく
開くきっかけになっていたのでした。
ちゃまみつは、この曲がったままの
左羽をどうやって、書くことに活かそうか
考え始めていました。
その表情は、少し前よりずっと
輝きを増しているのです。
【続く】
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執筆依頼なども承っております。
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この物語を読んで何か一つでも
感じていただけたら嬉しく思います。
世の中が今よりも幸せな場所になっていきますよう
想いを乗せて書いています。
皆さまよろしくお願いいたします。